著者
大竹 翔太 兵頭 弘晃 琵琶 哲志
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
pp.15-33TA_OA, (Released:2015-11-30)
参考文献数
17

熱音響自励振動を応用すると可動部品のない熱機関「音波エンジン」を実現できる.音波エンジンではこれまで気柱管の固有振動モードを利用することが多かった.本研究では,気柱管の一端にボイスコイルモーター型の発電機を接続した音波エンジン発電機の試作を試みた.この装置はループ管と枝管共鳴管からなる音波エンジンの枝管共鳴管の役割を発電機部分が担うことで,短い全長と低い周波数を両立させている.エンジン部分と発電機部分で構成させる合成系の動作条件について実験的に検討し,動作させた結果について報告する.
著者
鈴木 徹 竹内 友里 益田 和徳 渡辺 学 白樫 了 福田 裕 鶴田 隆治 山本 和貴 古賀 信光 比留間 直也 一岡 順 高井 皓
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.371-386, 2009 (Released:2011-05-23)
参考文献数
24

Recently, several food refrigeration equipments that utilize magnetic field have attracted much attention from food production companies, consumers and mass media. However, the effectiveness of the freezers is not scientifically examined. Therefore, the effectiveness should be clarified by experiments or theoretical considerations. In this study, the effect of weak magnetic field (about 0.0005 T) on freezing process of several kinds of foods was investigated by using a specially designed freezer facilitated with magnetic field generator. The investigation included the comparison of freezing curves, drip amount, physicochemical evaluations on color and texture, observation of microstructure, and sensory evaluation. From the results of the control experiments, it can be concluded that weak magnetic field around 0.0005 T provided no significant difference on temperature history during freezing and on the qualities of frozen foods, within our experimental conditions.
著者
則竹(安藤) 寛子 加藤 豊望 梶原 一人 鈴木 徹
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.263-270, 2012-06-30 (Released:2013-06-30)
参考文献数
12

The quality of ice cream surface degrades significantly from alteration of the surface properties due to the repetition of thaw-recrystallizing accompanied with temperature vibration at subzero temperature, a little above the melting temperature. For understanding the phenomena in detail, ice crystals in ice cream after once thawed and recrystallized was observed morphologically, and evaluated quantitatively by fractal analysis. It was shown that the shape of ice crystal recrystallized from once thawed ice cream was modified from round shape to complex shape, of which the degree depended on thawing temperature at subzero temperature. However, the ice crystal retuned gradually into round shape with increasing the holding time at the thawing temperature. These phenomena would be caused by spatial micro distribution of high concentration part which was organized in thawed ice cream by freezing concentration. That is, the complex ice crystal formed in thawed ice cream at subzero temperature would be induced by losing the micro uniformity of concentration.
著者
瀧本 昭 多田 幸生 大西 元 長浦 一義 小坂 暁夫
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-30, 2012-03-31 (Released:2013-03-31)
参考文献数
4

The development of a gas clean technology may be one of the most expecting techniques in a wide field from global environment to living conditions. In this paper, the authors proposed the new concept of a gas clean technology by utilizing negative air ions and ozone gas with the formation of mist. A system is composed of the heat exchanger of staggered fins and a electrostatic precipitator. The negative air ions and ozone gas generated by corona discharge provide an electric charge and bactericidal effects. Formation of the mist in the field of super-saturation state by cooling of the system can make them high efficiency. Experimental data showed that the present system allowed air to be sanitized in high efficiency.
著者
松原 久
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.251, 2021-09-30 (Released:2022-09-30)
参考文献数
4

近年関心が高まっている魚類の熟成は,その前処理法である活締め脱血神経抜き技術とともに一般に広がりを見せている.しかし,その効果と安全性に関する科学的研究報告はごく僅かである.そこで,カレイ類の高級魚マツカワを使い,脱血神経抜きなし,従来の脱血神経抜き法,灌水式神経抜き脱血法で処理し,0 ℃で1 ヶ月熟成させた.その結果,洗浄したマツカワセミドレスの魚肉の一般生菌数の増加は認められなかった.一方,脱血法に関わらず1 ヶ月の熟成終了時にイノシン酸(IMP)は消失し,遊離アミノ酸総量は増加せず,官能試験での濃厚な旨味は確認されなかった.同処理でのマツカワの食べ頃はIMP の分析から熟成開始翌日〜6 日目頃と推定された.
著者
浅輪 貴史
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
pp.15-28RE_OA, (Released:2015-08-31)
参考文献数
11

数値解析により,実在街区における建物からの空調排熱と対流顕熱の放出割合を明らかにした.解析システムは,屋外熱収支計算部,建物熱負荷計算部,空調用エネルギー計算部,人工排熱計算部により構成されている.12 階建の事務所ビルを対象に解析を行った結果,ガス焚吸収式冷温水発生機+冷却塔を使用する場合,空調排熱は潜熱分が大部分であるため,12 時の時点の大気顕熱負荷量には,対流顕熱が約8 割を占めた.熱源機器を空気熱源ヒートポンプチラーに変更した場合,トータルの大気顕熱負荷量が2 倍以上に増加し,空調排熱の顕熱分は対流顕熱の2 倍近くまで増加した.
著者
上野 茂昭 大川 博美 市原 史基 山田 哲也 島田 玲子
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.193, 2018-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
5

本研究では鶏唐揚げの保存性を向上するために,種々の条件で保存した鶏唐揚げの衣の食感,肉のやわらかさ,ジューシーさ等を測定し,揚げたての品質を保つための保存条件の検討を行った.破断圧縮試験では25℃40%RH 条件が揚げたてに近い結果となった一方,高温度または高湿度条件では試料の脱液の進行に伴い硬化が認められた.40℃や40%RH 程度で保存することにより,他の条件に比べて鶏唐揚げは歩留まりよく,サクサクでジューシーな状態を保持可能であることが分かった.
著者
高市 健二 平良 繁治
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.13-21, 2016-03-31 (Released:2017-03-31)
参考文献数
12

2011 年から開始した家庭用エアコンの燃焼性ハザードに対するリスク評価は対象製品の全てで評価を終了した.本レポートではそのリスクアセスメントの評価手法について概括し,冷媒リークシミュレーション,着火源評価,FTA の評価などを通して,壁掛けエアコンでの各微燃性冷媒によるリスク評価結果が得られた過程を示す.また家庭用エアコンでリスクが高い1 対1 接続の床置き形エアコンのFTA 結果から見直しやリスク低減策により着火確率が許容値以下になった経緯も記述する.
著者
福田 充宏 林 佑樹 竹内 柊之 本澤 政明 山田 竜介 山村 聡史
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.296, 2017-09-30 (Released:2018-09-30)
参考文献数
10

ベーン型圧縮機はカーエアコン用圧縮機として幅広く使われており,電磁クラッチを介してエンジンにより駆動されるタイプの圧縮機では,起動時に大きなトルクピークを生じ,この現象はドライブフィーリングの悪化や騒音の発生につながっている.そのため,起動時のトルクピークの発生原因や,駆動側に伝達されるトルク挙動を明らかにする必要がある.本研究では,ベーン型圧縮機の起動トルク解析モデルを構築し,起動時のトルク発生およびその伝達特性について検討した.その結果,起動時の軸トルクのピーク発生原因は,圧縮機の急激な加速による圧縮機内の過圧縮およびクラッチのトルク伝達特性によるものであり,起動トルクによって発生するねじり振動によりエンジン側のトルク変動が発生することが明らかになった.
著者
宮岡 洋一 森 稜平 ジャンネッティ ニコロ 鄭 宗秀 富樫 英介 齋藤 潔
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
pp.22-17_OA, (Released:2023-02-15)
参考文献数
27

地球温暖化防止の観点からカーボンニュートラルの実現が世界的要請となり,需要側の主要なエネルギー消費機器の一つであるエアコンディショナーにおいては更なる大幅な性能向上が必須となっている.エアコンディショナーの性能は,JIS で規定された年間性能評価指標としてのAPF をはじめとして運転データ取得を簡略化するため,圧縮機の回転数を一定とし,制御系を除外した状態で取得された数点の運転データをベースに導出される.実際の機器では当然,搭載された自動制御によって,圧縮機の回転数や膨張弁開度などを適切に変化させながら運転されるため,この方法では実運転性能と大きく乖離することが指摘されている. そこで,本研究ではエアコンディショナーの動的性能を評価可能な新しい手法を確立することを目的とし,建物や室内外環境など任意の環境を疑似的に計算可能なエミュレーターと性能試験装置から構成される「エミュレーター式負荷試験装置」を新たに開発した.この装置の健全性を確認するとともに,この装置を用いて具体的に機器の動的性能を把握することに成功した.この装置によって,エアコンディショナーの公平かつ再現性のある性能評価試験が実施可能となる.
著者
藤井 秀俊 佐藤 秀昭 粕谷 潤一郎 小坂 梨奈 中曽 浩一 深井 潤
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.35, 2018-03-31 (Released:2019-03-31)
参考文献数
14

未利用熱の蓄熱による熱の最適利用は,各種のヒートポンプシステムの高効率化・省エネルギー化の方法の一つである.飲料自動販売機は圧縮機によるヒートポンプによって加温・冷却を行っており,その消費電力量の約6 割を加温が占めていることから,加温の消費電力の改善が求められている.本研究では,CO2 ヒートポンプ飲料自動販売機の省電力化を目的に,2 種類の潜熱蓄熱槽の設計指針を明らかにした.ヒートポンプのCO2 冷媒の熱を蓄熱する2 種類の蓄熱槽の伝熱を検討した結果,ヒートポンプ停止時の加温庫室における空気の加熱に用いる第一の蓄熱槽では,蓄熱材側の熱伝導促進の効果と空気側の熱伝達促進の必要性を明らかにした.また,圧縮前のCO2 冷媒の加熱・蒸発に用いる第二の蓄熱槽では,蓄熱槽における各パラメータの寄与度を示した.
著者
東 朋寛 玉井 翔 斎藤 静雄 党 超鋲 飛原 英治
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.181-191, 2017-09-30 (Released:2018-09-30)
参考文献数
18

ルームエアコンのポンプダウン時の圧縮機の爆発事故を想定して,微燃性を持つ低GWP 冷媒の安全性評価を行った.冷媒,空気,圧縮機に用いられる潤滑油混合気を断熱圧縮することで,ポンプダウン時の冷媒配管への空気混入を再現した.微燃性冷媒であるR 1234yf,R 32 と従来の不燃性冷媒であるR 410A,R 22 を用いて実験し,冷媒の燃焼性が与える影響を比較した.潤滑油としてPAG オイルとPOE オイルを用い,異なる潤滑油量や種類を比較することで燃焼への潤滑油の影響を調べた.本実験範囲において,潤滑油量が多い程冷媒の燃焼濃度範囲が広くなり,燃焼時の圧力も大きくなった.また,PAG オイルと比較しPOE オイルを用いた実験では冷媒の燃焼範囲が小さくなり,ポンプダウン時の事故では冷媒だけでなく潤滑油の燃焼特性が大きく影響していることが示された.
著者
田中 竜介 中澤 奈穂 前田 俊道 福島 英登 和田 律子 杉浦 義正 松下 映夫 幡手 英雄 岡野 利之 福田 裕
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-49, 2015-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
48
被引用文献数
1

日本国内で流通している冷凍Norway 産タイセイヨウサバ (Scomber scombrus Linnaeus)ならびに冷凍国内産マサバ(Scomber japonicus Houttuyn)において,漁獲場所,漁獲時期,冷凍期間,冷凍温度による,脂質酸化ならびにアルデヒド類の影響について検討を行った.脂質含量はNorway 産タイセイヨウサバと冬期に日本近海の低緯度で漁獲されたマサバが高かった.過酸化物価,アルデヒド類は冷凍温度が高く,冷凍期間が長くなると増加した.また,ビタミンE 含量の減少とともに,アルデヒド類の一つである4-hydroxy-2-hexenal が増加したことから水産物に多く含まれるn-3 系不飽和脂肪酸の酸化が示唆された.以上の結果から,国内で流通している冷凍サバ類は様々な脂質酸化レベルの商品が存在し,これらの品質を向上させるためには,冷凍期間・温度に留意する必要があることが示唆された.
著者
水本 裕士 阿部 駿佑 稲垣 裕之 浅岡 龍徳
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.327, 2019-12-31 (Released:2020-12-31)
参考文献数
13

工場排熱や太陽熱等の中低温(200°C 以下)の熱利用を対象としたスラリー熱媒体として,エリスリトール水溶液の固液共存状態であるエリスリトールスラリーを提案する.熱媒体として使用するために,熱伝達特性について把握することを目的とする.実験は周囲から一様の熱流束で加熱されたステンレス管にエリスリトールスラリーを流し,固相率とレイノルズ数をパラメータとして局所熱伝達係数を測定する.層流では,管断面の局所熱伝達係数に関して,管側部と管下部の局所熱伝達係数が高くなることがわかった.乱流では,管断面で熱伝達係数の差は小さく,固相率の影響も少ないことがわかった.結果より,層流域において固相率と流動様相の変化が局所熱伝達係数に大きな影響を及ぼすことを確認し,システムの設計においては流動様相を考慮する必要があることを示した.
著者
角田 功
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.417, 2020-12-31 (Released:2021-12-31)
参考文献数
6

電気自動車では,走行用として蓄えている電力の一部が,暖房用としても使われる.暖房システムとしては,構造の簡単さからCOP1以下である電気ヒータが使われるが,消費電力が大きいため,暖房運転が走行距離を短縮するという問題が生じる.その対策として暖房効率の高いヒートポンプが検討されているが,様々な課題を有している.室外熱交換器着霜による性能低下はその中でも解決が難しい課題である.建物用のヒートポンプでは,定期的な除霜運転を行う.しかし自動車の場合には走行することと,暖房空間の狭さから一時的に暖房を停止するのは難しいため,着霜したまま運転を続ける.本稿では自動車のヒートポンプにおいて,室外熱交換器に着霜させたまま連続で暖房運転した場合に,その性能と効率の変化を確認したため,その内容を報告する.
著者
木村 幸雄 定道 有頂 丸山 直樹 加藤 征三
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.45-54, 2005

These days the environmental impact due to vending machines'(VM) diffusion has greatly been discussed. This paper describes the numerical evaluation of the environmental impact by using the LCA (Life Cycle Assessment) scheme and then proposes eco-improvements' strategy toward environmentally conscious products(ECP). A new objective and universal consolidated method for the LCA-evaluation, so-called LCA-NETS(Numerical Eco-load Standardization ) developed by the authors is applied to the present issue. As a result, the environmental loads at the 5years' operation and the material procurement stages are found to dominate others over the life cycle. Further eco-improvement is realized by following the order of the LCA-NETS magnitude; namely, energy saving, materials reducing, parts' re-using, and replacing with low environmental load material. Above all, parts' re-using is specially recommendable for significant reduction of the environmental loads toward ECP.
著者
平山 卓也 平野 浩二 志田 勝吾 ジャフェット フェルディ モナスリ
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.67-73, 2013-03-31 (Released:2014-03-31)
参考文献数
3

By having a mechanism to switch-off one of two cylinders, ”Dual Rotary Compressor” has become the best candidate to operate in wide range load condition. But the conventional mechanism still has some problems such as a decrease in efficiency in 2-cylinder operation, space-consuming pipe fittings and difficulties of application to highly-efficient models. We have developed a new mechanism which can solve those problems, and succeeded in commercialization for room air-conditioners. The new space-saving dual rotary compressor is more efficient 3% in APF than conventional model.
著者
上野 茂昭 髙橋 玲 劉 修銘 島田 玲子 都 甲洙
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
pp.18-18FB_OA, (Released:2018-07-15)
参考文献数
8

サバ類は冷凍によって肉質が著しく劣化することから,貯蔵中の肉質劣化を防止する高品質な冷解凍技術を開発する必要がある.本研究では脂質含量の異なるサバを-20℃,-40℃および-80℃の冷凍庫または-196℃の液体窒素で凍結し,K 値,pH,氷結晶サイズ等の品質項目について分析した.サバの品質を決定する重要な評価指標の一つである脂質含量は,魚肉のK 値,ドリップ率および氷結晶サイズに影響を及ぼすことが示唆された.脂質含量の異なる魚介類に対して適した凍結条件を選択することで, 鮮度低下抑制やドリップ抑制,氷結晶サイズの制御が可能となることが期待される.
著者
〓 相哲 小川 真人 勝田 正文
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-57, 1999-03-31
参考文献数
6

The MH refrigeration systems are regarded as important and compact ones for solving energy and environmental issues. Our purposes are to develop the compact refrigeration system for the vending machine and the show case using MH, and to attain a refrigeration temperature of 243K by using a heat source of 403&sim;423K.<br>The kinetics of MH hydriding and dehydriding reactions is of importance relative to their practical use as a refrigerator system. The kinetics of the reaction between hydrogen and MH<sub>High</sub> (Ti<sub>0.18</sub>Zr<sub>0.84</sub>Cr<sub>1.0</sub>Fe<sub>O.7</sub>Mn<sub>0.3</sub>Cu<sub>O.057</sub>)has been followed in this paper. A relatively rapid absorption of hydrogen takes place for values of relative composition to about 0.3&sim;0.4. It is evident that a hydrogen diffusion plays a minor role during this stage, as that part of the metal not covered by hydride is always in contact with hydrogen. The direct chemical reaction between the hydrogen and the exposed metal surface is therefore postulated as the rate-controlling process. The rate of the reaction then decreases, and for values of relative composition above about 0.8, the reaction becomes slow. After the metal particles have been completely covered by a hydride layer, the transport of materials through the layer by diffusion becomes rate controlling process
著者
小林 りか 田村 朝章 渡辺 学 鈴木 徹
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.155-161, 2015-06-30 (Released:2016-06-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

食品冷凍において,凍結,低温貯蔵,解凍といった一連の冷凍操作すべてが品質劣化に影響を与える.特に大部分をタンパク質で構成される魚介類の品質は,タンパク質の冷凍変性に大きく影響を受ける.そのような中,解凍過程におけるタンパク質変性挙動に関する研究は,凍結貯蔵過程と比較してあまり着目されてこなかった.そこで本研究では,マグロ魚肉の解凍過程でのタンパク質変性の反応速度をCa-ATPase 活性値を指標として算出し,解凍中保持温度よる影響を議論した.同時にドリップ流出量を測定して両者の相関性を検証した.結果として,10℃以下の解凍中保持温度によってタンパク質変性進行は抑制され,Ca-ATPase 比活性値とドリップロスには緩やかな相関関係が確認された.