著者
松原 久
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.57-67, 2017-12-26 (Released:2019-01-28)
参考文献数
14

本稿の目的は,「平成の大合併」による負の影響が指摘されてきた宮城県石巻市雄勝町を事例として,住民組織における各種対立関係の推移から,災害復興過程にあらわれる問題とその特質を検討することである. 津波で壊滅的な被害をうけた雄勝町では,震災後,一部住民は町内でいち早い生活再建に向けて動きだしたが,多くの住民は町外への避難を迫られた.そのような状況で,雄勝町単位で復興を議論する場として住民組織が設立され,早期に復興方針が決定される.しかし復興方針の事業化に向けた具体的な手続きは,雄勝町中心部の住民を中心に反発を招き,行政・住民間,住民間の対立をもたらす結果となった.また行政と一部住民は,復興事業の早期推進を堅持したことで,事業の進め方や条件に反対する住民を議論の場から排除・退出させていく.その結果,復興事業を推進する以外の議論の停滞を招いていた.以上のような対立は,広域合併で生まれた統治形態の変化(雄勝町の周辺化)に,合併前から継承された自治の特性(雄勝町単位の自治の弱さ)が加わることで発生したものであった.ここから合併の影響を論じるうえで,合併パターンや行政対応とともに,旧市町村がもつ自治の特性を視野に入れる必要性が示唆される.
著者
松原 久
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.251, 2021-09-30 (Released:2022-09-30)
参考文献数
4

近年関心が高まっている魚類の熟成は,その前処理法である活締め脱血神経抜き技術とともに一般に広がりを見せている.しかし,その効果と安全性に関する科学的研究報告はごく僅かである.そこで,カレイ類の高級魚マツカワを使い,脱血神経抜きなし,従来の脱血神経抜き法,灌水式神経抜き脱血法で処理し,0 ℃で1 ヶ月熟成させた.その結果,洗浄したマツカワセミドレスの魚肉の一般生菌数の増加は認められなかった.一方,脱血法に関わらず1 ヶ月の熟成終了時にイノシン酸(IMP)は消失し,遊離アミノ酸総量は増加せず,官能試験での濃厚な旨味は確認されなかった.同処理でのマツカワの食べ頃はIMP の分析から熟成開始翌日〜6 日目頃と推定された.
著者
海宝 雄人 齊藤 正昭 角田 慎輔 青木 泰斗 青柳 智義 池田 憲政 三浦 文彦 松原 久裕
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.1853-1857, 2012-06-20
参考文献数
10

【背景・目的】内視鏡による胃液pH検査は酸関連疾患の研究にしばしば用いられる.ぶどうジュースにはpHにより色調が変化する色素が含まれており,これを利用した内視鏡による胃液pHの評価を試みた.<BR>【方法】咽頭麻酔時にぶどうジュースを投与し前処置をおこなった.その後内視鏡検査時にモニターでの胃液の色調評価,胃液の採取およびpH測定を行った.<BR>【結果】胃液の色調は赤色,黒青色,透明~白色,黄色の4つに分類した.黄色と透明~白色以外のすべての色間でpH値は有意差を示した.赤色および透明~白色では酸性であり,黒青色は弱酸性から中性であった.<BR>【結論】胃液pH測定は胃酸関連疾患の病態生理を知るうえで有意義である.本法により容易かつ安全に多くの症例で大まかな胃液pHの評価が可能である.
著者
栃木 透 森 幹人 夏目 俊之 赤井 崇 林 秀樹 松原 久裕 大出 貴士
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.386-390, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
18

Glomus腫瘍は四肢末端の皮下や爪下に好発し,胃原発のGlomus腫瘍はまれである.症例は52歳,男性.平成22年8月,胃粘膜下腫瘍の診断にて当科紹介.入院後精査から前庭部大彎の大きさ25cmの胃carcinoidの診断となり手術施行.病理組織所見および免疫染色から胃原発のGlomus腫瘍の診断であった.現在,WHOによるGlomus腫瘍のCriteriaによれば,大きさ2cm以上の胃Glomus腫瘍は,転移性病巣を形成するリスクのある悪性病変と定義されている1)2).しかし,本邦報告例では転移再発例はなく,海外の報告例4例のみであった.胃Glomus腫瘍に関して若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
松原 久利
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.521-539, 1989-04-10 (Released:2022-12-30)
著者
白板 孝朗 角 勇悦 松原 久
出版者
青森県産業技術センター食品総合研究所
雑誌
地方独立行政法人青森県産業技術センター食品総合研究所研究報告 (ISSN:21851913)
巻号頁・発行日
no.2, pp.21-24, 2009

1.梱包方法の違いによるヒラメの魚体温の低下速度は、直氷が最も速く、次いでウレタンシート、アルミ蒸着シートの順であった。2.死後硬直並びにK値の結果から、アルミ蒸着シートによる梱包で最も効果的にヒラメの鮮度を保持できることが明らかとなった。3.アルミ蒸着シート梱包によるヒラメは、氷による魚体の凹凸もなく、適度にぬめりや潤いもあり、試験区の中で最も良い外観を呈した。
著者
松原 久裕
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 = Chiba medical journal (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.261-270, 1990-08-01

HTLV-1とSV40のプロモーターを用いた発現型cDNAライブラリーとモノクローナル抗体を用いて細胞表面抗原遺伝子のcDNAクローン化の条件を種々検討した。COS7細胞への遺伝子導入の効率をプロトプラスト融合法とDEAE-デキストラン法においてFACSを用いて比較検討した結果,DEAE-デキストラン法において導入効率が数倍高かった。また,DEAE-デキストラン法において導入DNA量と形質発現に至るまでの時間の検討をFACSを用いて行った結果,10μgのDNAを用いて遺伝子導入を行い48時間後が最も形質発現の効率が高かった。さらに目的とする遺伝子クローンを選別するための遺伝子導入-パニング-Hirt法による遺伝子回収という方法におけるenrichmentの効率をヒトIL-2レセプターcDNA,抗ヒトIL-2レセプター抗体を用いてコロニーハイブリダイゼーション法により解析した。この結果,目的とするcDNAが1/10^4以上含まれていれば1回の操作で約30倍に濃縮され,本法が表面抗原をコードする遺伝子のクローニングに有用であることを示した。次にB16マウスメラノーマ細胞より作製したcDNAライブラリーを用い,マウスメラノーマ抗原遺伝子のcDNAクローニングに成功した。また,種々の細胞,臓器におけるこの遺伝子の発現様式をノザンブロット法により解析したところ,マウスメラノーマ細胞に遺伝子発現を認めたが正常組織には検出できなかった。
著者
首藤 潔彦 山崎 将人 幸田 圭史 河野 世章 阿久津 泰典 松原 久裕
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.11, pp.3028-3033, 2013 (Released:2014-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

症例1は74歳,男性.食道癌Mt,cT1bN0M0,Stage Iの診断で,開胸食道亜全摘・後縦隔胃管再建・高位胸腔内吻合術を施行.術後右肺尖部から大網内に大きく広がる膿瘍腔が認められ縫合不全と診断された.症例2は54歳,男性.食道癌食道癌LtAe,cT3N1M0,Stage IIIの診断で,術前FP化学療法のち胸腔鏡補助下食道亜全摘・後縦隔胃管再建・高位胸腔内吻合術を施行.術後左房背側の大動脈周囲に大きく広がる膿瘍腔が認められ縫合不全と診断された.両症例に対し経鼻経食道的縦隔ドレナージ(NEED)を施行した.胃管減圧を併用しつつ経腸栄養管理に移行することで膿瘍腔は縮小し経口摂取可能で退院となった.経腸栄養を併施したNEED治療によりmajor leakageを発症した場合でも低侵襲的に完全治癒可能であることが示され本治療法は有用な選択肢と考えられた.
著者
松原 久利 Hisatoshi Matsubara
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 = The Doshisha law review (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.2945-2975, 2018-02

交通事故、医療事故においては、直接結果を発生させる行為時点で、行為能力、結果予見・回避可能性が欠如する場合であっても、それ以前の段階で注意義務を基礎づける危険が存在し、その時点においてその危険が予見・回避できた場合には、過失により行為能力、結果予見・回避可能性を排除する原因行為に過失犯の実行行為を認めることができる。ただし、この引受け過失と危険運転致死傷罪の関係については、なお検討すべき課題がある。Bei den Verkehrsunfall und medizinischem Unfall, soll die Ausführungshandlung von den Fahrlässigkeitsdelikte in der ursächlichen Hndlung, die die Handlungsfähigikeit, Vorhersehbarkeit und Vermeitbarkeit des Erfolges fahrlässig ausschliesst, anerkennen werden, wenn in der früher Phase die Gefahr, die die Sorgfaltspflicht begründet, liegt vor, und ,man im Zeitpunkt die Gefahr vorhersehen und vermeiden kann, obwohl im Zeitpunkt der Handlung, die direct den Erfolg führt herbei, es an den Handlungsfähigkeit, Vorhersehbarkeit und Vermeidbarkeit des Erfolges fehlt. Jedoch bedarf es noch die Frage des Zusammenhang mit der Übernahmefahrlässigkeit und dem gefährlichen Autofahren mit Todes-oder Verletzungsfolge zu untersuchen.瀬川晃教授古稀記念論集第二部(II)
著者
小松原 久治
出版者
京都帝国大学
巻号頁・発行日
1931

博士論文

1 0 0 0 金銀の精製

著者
小松原 久治
出版者
公益社団法人 電気化学会
雑誌
電氣化學 (ISSN:03669440)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.214-217, 1933