著者
後藤 元彰 山内 仁史
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子学会予稿集 第59回高分子討論会
巻号頁・発行日
pp.3472, 2010 (Released:2012-03-28)

水酸化アルミニウムにて架橋されたポリアクリル酸ナトリウムから形成されたゲルは,パップ剤として外用医薬品に広く使用されている.ポリアクリル酸‐アルミニウム架橋高分子ゲルの特性について紹介する.
著者
山本 隆一 本田 圭介
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.68-71, 1997-02
参考文献数
67

重縮合の分野において,遷移金属錯体を用いる高分子合成の研究は,一つの時代を切り開きつつある.特に,ニッケルやパラジウム錯体を用いた重縮合では,モノマー合成の自由度の高さを活かし,機能性材料を目指した研究が活発に行われている.本総説では,最近の研究成果について,新規合成法だけではなく,その応用面についても紹介する.
著者
宮沢 辰雄
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.362-365, 1973

今から数十年前に,ミクロの原子構造が研究されていたとき,マクロの太陽系の運動よりのアナロジーが役にたったという,今日,生物についてミクロの分子レベルで研究しようとするとき,マクロの生物のふるまいよりのアナロジーが,いろいろのヒントを示しているようである。酵素分子は餌にぱくつくミクロの金魚であるというお話を,酵素化学の先生に教わったのは,だいぶ前のことである。その後,酵素タンパク質の構造解析が行なわれて,酵素分子が基質分子をくわえることが明らかになった,ヘモグロビン分子も,酸素分子を取り込むときにかなり変形し,ミクロの肺のようにふるまうという。ミクロの生きもののような機能タンパク質分子,それらがポリエチレンなどの合成高分子ときわだって違ってふるまうのは,どこかで構造がかなり異なるためであろうか。
著者
鈴木 信吉 森屋 泰夫 山本 隆
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.81-88, 1987-02-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
14
被引用文献数
5 5

一分子中に数個以上のO-O結合を持つポリ過酸化物 (PPO) を用いてビニルモノマーのブロックコポリマーの合成を行なった. 第一段重合はPPOで第一モノマーを重合させてポリマー中にO-O結合を持つブレボリマーを合成し, このポリマーに第二モノマーを付加重合させてブロックコポリマーを得た. メタクリル酸メチル (MMA) -スチレン (St) 及び酢酸ビニル (VAc) -スチレンの各等重量のモノマーの組合せについて行い, 次の組成の各ブロックコポリマーを得た. Poly- (VAc-b-st) /PVAc/PSt=68/24/8, Poly (VAc-b-St) /PVAc/PSt=84/6/10. 得られたブロックコポリマーについて, 成形物の電子顕微鏡による観察により, 微細な均一分散相を持つミクロ相分離構造を確認し, また, 相溶化剤としての機能も認めた.
著者
渡辺 徳二
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.26-30, 1975-01-01 (Released:2011-09-21)
被引用文献数
1
著者
中村 晃 安田 源
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.795-798, 1979-11-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1
著者
平岡 淳一郎 荻原 忠 桜井 聡 末光 淳輔 赤池 敏宏
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.693-697, 1985
被引用文献数
1

高分子材料とimmunogtoblin G (IgG) の吸着相互作用について, 既報のマイクロスフィアカラム法を用いて解析を行った. 高分子材料としてはポリメタクリラート誘導体を用いて, その構造上のパラメーター (親-疎水性, 実効荷電など) がIgGの吸着挙動に及ぼす影響について検討した結果, IgG分子はポリメタクリラート誘導体に対しては, 疎水的相互作用や複数の相互作用の協同効果による吸着が主体であり, 実効荷電を持つ材料においても静電結合とみられる吸着の割合は少なかった. また, IgGをF (ab&prime;) <SUB>2</SUB>・Fcのフラグメントに分け, 各フラグメントの吸着挙動を解析した結果, 表面荷電がneutralである材料に対して正荷電を導入することでFabサイトの, 負荷電を導入することでFcサイトの吸着親和性がそれぞれ増加する傾向を示した.
著者
守谷 武彦 榎本 兵治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.661-673, 2001-12-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
28
被引用文献数
18 20

超臨界水によるポリエチレン分解の特徴を明らかにすることを目的として, 熱分解実験と超臨界水分解実験を行い, 分解生成物, 収率および構造などの比較を行うことにより, その特徴から見た分解機構について考察を行った. さらには, 超臨界水のポリエチレン分解への寄与についても考察した. 超臨界水分解では, 熱分解と比較して高収率で油分が得られ, かつコークスの生成が抑制されることが明らかとなった. 次に, トレーサーとして重水 (D2O) を利用したポリエチレン分解実験を行った結果, 超臨界水中の水素は生成油中に取込まれていること, そして超臨界水中の水素の生成油への供与量は水充てん率が高くなるにつれて増加することを明らかとした. また, ポリエチレン分解油への超臨界水からの水素供与機構としてポリエチレンの分解で生成したPropyleneなどの低級1-Alkeneが水和により2-Propanolなどのsecondary alcoholsへと変換され, そのsecondary alcoholsが酸化されて2-Propanoneなどのケトンとなるときに放出する水素が分解生成物に供与される機構が存在することを明らかにした. さらには, ポリエチレンの分解により生成する活性な分子末端に超臨界水から水素が供与され分子が安定化される水素化分解反応が生じていること, メチレン鎖への水素供与はある特定の部位に生じていること, そして高水充てん率では低水充てん率の場合よりも分子末端への水素供給力が高いために活性な分子を安定化させることにより, さらなる反応を抑制していることで, ガス化が抑制されていることが明らかとなった.
著者
岡村 清人
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.464-467, 1988-06-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1
著者
川村 和明
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.504-507, 2002-07-01
参考文献数
9
被引用文献数
3

高分子凝集剤は,水環境の保全に欠かすことのできない機能剤として広く使用されている。従来から使われているアクリルアミド(共)重合体系の凝集剤に加え,近年開発された両性型やアミジン型高分子は凝集剤として特異な性能を発するとして注目されている。また,高分子凝集剤の新たな用途として浄水処理への適用が期待されている。ここでは,高分子凝集剤の特性と最近の技術および今後の展望を紹介する。
著者
後藤 康夫 根岩 祐貴 平澤 祐 Sijun XU Jiangchao SONG 森川 英明
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.347-353, 2016-07-25 (Released:2016-07-25)
参考文献数
25

少量の酸化グラフェン(GO)をポリビニルアルコール(PVA)へ導入したコンポジット繊維をゲル紡糸・二次延伸によって作製し,GO添加が引張物性に及ぼす影響を調べた.導入したGOはPVA中で高分散し,繊維軸方向に配向していると推定された.2 GPa以上の強度ならびに40~50 GPa程度の弾性率を有する高性能PVA繊維マトリックスに対して0.5 wt%のGOを添加することで,強度および破断伸度は低下し,ヤング率は3~5 GPa程度増加した.この引張物性の変化は,PVA/GO間の界面接着力とPVAマトリックスからGOへ伝達されるせん断応力の力関係によるものと推定した.すなわち引張応力が低い領域では界面接着力がせん断応力を上回りGOが繊維の引張変形を抑制するために弾性率が増加し,破断点近くの高応力域ではせん断応力が勝って界面剥離が起こるために強度・伸度が低下したと考えられる.
著者
加倉井 敏夫 帰山 享二 野口 達弥
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.23, no.254, pp.426-432, 1966
被引用文献数
2

約100メッシュのポリプロピレン粉末に水素ふんい気中でテスラ・コイルを用いて放電し, 生成したラジカルを空気と接触させてパーオキサイドにした後, メタクリル酸メチルと加熱してグラフト共重合体を得た。重合条件70℃, 3時間の場合, 放電時間60秒以上ではグラフト率は増加しなかった。放電の際の水素圧とともにグラフト率は変化し, 7.5mmHg付近に最適水素圧が存在する。空気との接触時間とともにグラフト率は減少する。放電管中の放電による温度の上昇, ならびに放電径路の限定を防ぐために冷却, ならびに振りまぜることによりさらに良い結果を得た。低重合率ではグラフト率は重合温度によらないで重合時間とともに上昇する。一方, グラフト効率は重合時間によってあまり変化せず, 重合温度の低い方が大きい。高重合率まで重合するとポプコーン状の生成物ができ, 見かけ上のグラフト率は急激に増大する。
著者
三宅 彰
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.16, no.165, pp.40-44, 1959
被引用文献数
1

実験的に求められる吸収線の2次能率が著しい温度依存をもつのに反してAndersonや久保・富田の理論で与えられるその理論値が, 実際上一定値をもつことの矛盾は、実験で求められる2次能率が理論で要求されるような完全な2次能率の値ではなく, 常に吸収線のすその部分を切断して捨ててしまって得られたもので, そのためにその値は吸収線のmotional narrowingと並行的な温度変化を示すことを認めて解決された。核が軸回転を行なっているときの2次能率を計算するGutowsky-Pakeの近似方法を論じ, それが妥当するのは回転による相関時間が2次能率のrigid valueの平方根を時間に換算したものよりもはるかに短い場合に限られることを示した。
著者
岡田 守
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.748-749, 1995-11-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
9
著者
吉田 博久 畠山 立子 中村 邦雄 畠山 兵衛
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.597-602, 1989
被引用文献数
16

ヒアルロン酸ハイドロゲルのガラス転移挙動をDSCを用いて検討した. ハイドロゲルは水分率 (<I>W</I><SUB>c</SUB>=水/絶乾試料, g/g) が2以下では10K/minの速度で冷却しても容易にガラス状態を形成し, ガラス転移現象が観察された. ガラス転移温度 (<I>T</I><SUB>g</SUB>) と<I>T</I><SUB>g</SUB>における熱容量の差 (Δ<I>C</I><SUB>p</SUB>) の<I>W</I><SUB>c</SUB>依存性を検討した結果, <I>W</I><SUB>c</SUB><0.5の領域ではガラス転移は不凍水が吸着したヒアルロン酸によって起こり, <I>W</I><SUB>c</SUB>>0.5の領域ではガラス化した水とヒアルロン酸との協同的な運動によって起こることが判明した. ガラス化した水のΔ<I>C</I><SUB>p</SUB>は<I>W</I><SUB>c</SUB>の増加に伴って減少し純水の値に近づき, ヒアルロン酸との相互作用の程度によってハイドロゲル中の水の構造が影響を受けることが分かった.