著者
並木 勇
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-6, 1975

触媒の種類, 触媒添加量, ホルムアルデヒド-フェノールのモル比を変えてフェノール樹脂を合成し, ポリビニルアセタール樹脂と配合した2成分系の印刷回路用接着剤のはんだ耐熱性とはく離強度を測定し, フェノール樹脂の分子構造との関連性を考察した. アンモニア, 低沸点のアミン類, アルカリ土類金属酸化物, および水酸化物などを触媒とした樹脂は良好な性能を示した. アンモニア触媒添加量がフェノールに対して5~10モル%, ホルムアルデヒド対フェノールのモル比1.5の場合に, 良好な性能を有するフェノール樹脂を得ることができる. またフェノール樹脂を溶液状態で加熱し, 熟成するとはんだ耐熱性が向上することを明らかにした.
著者
松澤 康夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.810-813, 2006-10-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
11

P-HEMA製レンズによってソフトコンタクトレンズ時代が始まって以来,さまざまな改良が加えられ,レンズの安全性を確保しつつ低価格化を実現し,装用感を改善してきた.本稿では,最近著しい進化を見せている一日使い捨てレンズと連続装用レンズであるシリコーンハイドロゲルに注目し,素材や工程,表面の性質について紹介する.
著者
永渕 啓 樫尾 幹広 杉崎 俊夫 守谷 治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.48-56, 2015-02-25 (Released:2015-02-25)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

機能性ハイブリッド材料の中間体として,スクシンイミド構造を有する新規ポリシルセスキオキサン(PSQ)を合成した.そして,この反応性置換基のアミノ化合物による開環反応を利用した温度応答性機能の付与について検討した.スクシンイミド基を単独の置換基として有し,残存ヒドロキシ基をトリメチルシリル化したPSQは水に難溶,アセトンやクロロホルムなどの有機溶媒には易溶であった.PSQ上のスクシンイミド置換基の開環反応に2-エトキシエチルアミン類を用いたところ,水溶液中で下限臨界溶液温度を,ニトロメタン中では上限臨界溶液温度を示す温度応答性PSQ誘導体が得られた.一方,エタノールアミンや2-メトキシエチルアミンを用いた場合は,水溶性となり両親媒性は示したが温度応答性は発現しなかった.また,この開環反応は,スクシンイミド基に対してこれらのアミンを2当量用いることでほぼ定量的に進行した.
著者
谷 吉樹
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.382-386, 1984-05-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
20
被引用文献数
1
著者
谷口 政勝
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.12, no.8, pp.608-613, 1963-07-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
13
被引用文献数
1
著者
服部 滋 浜島 求女
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.27, no.307, pp.775-784, 1970
被引用文献数
7

分取用ゲルパーミエーションクロマトグラフィー (GPC) を用いてポリスチレン試料 (旭・ダウ, スチロン683-7) の分別を行ない, その実験条件および分別結果について検討した. 温度35℃でテトラヒドラフラン (THF) を溶媒として用いて, 2本の分取用GPCカラム (ボアサイズ3×10<SUP>6</SUP>Aおよび105A) を用いて分別を行なうと, 試料は9区分に分けられる. 最初と最後の区分の量は, 中心区分 (第4区分~第6区分) に比べると非常に少ない. 分析用GPCを用いて測定したそれらの各区分の分子量分布は, 高分子量区分ではかなり狭いが, 低分子量区分では広くなっている. また, 注入試料濃度 (0.5および1.0g/100ml), 流速 (20および30ml/min), および試料注入の回数 (1および15回) の三つの条件を変えた場合, あまり異なる結果は得られなかった.<BR>さらにもう1本のカラム (ポアサイズ10<SUP>4</SUP>A) を加え, 3本のカラムで分別を行なった場合, 分別区分の数は15個になった. 試料注入濃度1.0g/100mlの場合には, 2本のカラムの場合と同様に低分子量区分の分布は広くなるが, しかしそれらは濃度を低くすると狭くなり, 濃度0.2g/100mlの場合には, M<SUB>w</SUB>/M<SUB>n</SUB>の値はすべての区分において1.2~1.4であった. これらの結果から, GPCの濃度依存性について考察した.<BR>また溶媒としてトルエソを用いた場合は, 分別結果はTHFの場合とほとんど同じであるが, メチルエチルケトンを用いた場合は区分のMw/Mnの値も小さく, 他の二つの溶媒の場合よりやや良い結果が得られた. これはメチルエチルケトンが, 他の二つに比べてポリスチレンに対して貧溶媒であるためと考えられる.
著者
和田 達夫 大島 隆一
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.377-382, 1984
被引用文献数
1

ビスカルゾリル化合物の高分子固溶体の蛍光スペクトルを測定し, エキシマー生成能について検討した. a, ω-ビスカルバゾリルアルカンではクロモフォア濃度の増加に従い, モノマー発光は消光されエキシマー発光が増加した. エキシマー発光とモノマー発光との強度比の濃度変化はメチレン鎖数, C<SUB>6</SUB>>C<SUB>4</SUB>>C<SUB>10</SUB>>C<SUB>5</SUB>>C<SUB>3</SUB>の順に大きくなる. 1, 2-<I>trans</I>-ビスカルバゾリルシクロブタンでは高濃度でもサンドイッチ型エキシマー発光は見られなかつた。クロモフォアの均一分散・分子運動・相対量子収率の濃度変化の検討を行い, エキシマー生成が主に分子内で生成されることが明らかになった.
著者
田原 省吾
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.23, no.253, pp.303-309, 1966-05-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1

ポリカーボネートの紫外線照射による劣化機構について, 主として赤外および紫外分光分析法により解析し, その劣化機構に2種の波長依存性が存在することを明らかにした。1) 太陽光にも含まれる約280mμ以上の長波長紫外線を照射すると, 炭酸結合部のC=Oのp電子によるn-π*遷移に相当する約287mμの光吸収が起こり, その励起エネルギーが分子内移動現象により炭酸結合部を構成するエーテル結合を切断し, COまたはCO2の系外離脱が起こるとともに, フェノール, エーテル, エステル, 酸などの助色団を生成して解重合反応が進む。2) 約280mμ以下の短波長紫外線域では258~273mμ付近に微細構造を有するベンゼン核のπ-π*禁制遷移による光吸収が起こり, n-π*励起移動と同様に炭酸結合部の切断が起こるとともに, イソプロピリデン結合部への励起移動現象も現われ, おそらくイソプロペニルやジフェニルエチレンなどの助色団が生成しつつ解重合反応が進む反面, 橋かけ反応も進行して不溶化現象が現われるものと思われる。さらに, 本実験では, 生成ラジカル, または反応中間体の寿命が比較的長いためか, 光照射中断後も経時的なスペクトルの変化が認められ, しかも, 長波長紫外線と短波長紫外線とでは異なった継続現象が観測された。
著者
岡 小天
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.130-134, 1958-02-20 (Released:2011-09-21)

1 0 0 0 OA 入門講座

著者
吉原 經太郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.445-449, 1990-06-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
19
著者
横山 士吉 益子 信郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.637-645, 2000

分子構造の繰返しに, アゾベンゼン色素を有するデンドリマーが高い分子内組織性を有し, 超分極率を有効に増幅していることを示した. 分子集合体から発生する2次非線形光学現象の起源は, 反転対象中心のない分子配向構造であるので, デンドリマーが分子内で高度に組織化し1軸配向を有していることが明らかとなった. 本研究では超分極率の測定をHyper-Rayleigh散乱法で行い, 解析したデンドリマーの2次非線形光学特性は, 溶液中における分子コンホメーションに反映している. したがって, デンドリマーの分子組織構造が, 分子内の自己組織化によって構築されていることを示すとともに, 観察した超分極率の増幅がデンドリマー組織体によって発現した特異な現象であることを示した. 本誌では, 以上の結論に併せて, 詳細を量子化学的に考察する目的でデンドリマーの3次構造と非線形光学現象について分子動力学計算と分子軌道計算を用いて解析した.
著者
高橋 利禎 小林 敏彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.839-844, 1988
被引用文献数
1

いろいろの条件の下に調製されたポリビニルステアラート (PVS) の構造を透過電子顕微鏡法で研究した. 次のような結果が得られた. (1) 0.3%の高分子を含むクロロホルム溶液より水面または炭素膜上に室温でキャストして薄膜を作成した. 水面上では直径約nmの微粒子よりなる不定形な構造が形成されたが炭素膜上ではフィブリル状の構造が形成された. 電子線回折法 (ED) による研究により, PVSの側鎖は親水性の基盤 (水) 上には垂直に, また疎水性の基盤 (炭素) 上には平行に配列していると推定された. (2) PVSを疎水性基とともに極性基を持つ溶剤 (オクタノール, ニトロベンゼン, シクロヘキサノール, ベンジルアルコールなど) に60℃で溶解させ. その溶液を冷却して形成されるPVSの構造を検討した. PVSは球殻, しわのある円盤, 花弁のような結晶を形成したが. それらは側鎖がその表面に対し垂直に六方充てんした球殻状構造に由来するものと考えた.
著者
竹内 大介 朴 世訓 岡田 健史 松浦 龍一 小坂田 耕太郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.597-606, 2007
被引用文献数
2

シクロオレフィンポリマーは高い透明性,耐熱性を有することから注目を集めている.本報では,パラジウムをはじめとする後期遷移金属錯体触媒を用いると,ジエンの環化重合が円滑に進行し,主鎖に環構造をもつ高分子生成物の立体構造を精密に制御できることを見いだした.パラジウム錯体触媒によってさまざまな官能基を有するジエンの環化重合が進行した.得られたポリマーの 1,2-二置換シクロペンタン骨格は定量的にトランスに制御されていた.ジエンとエチレンや &alpha;-オレフィンとの共重合も可能であり,この場合にも環化は定量的におきた.7-位にアルキル鎖を有する 1,6-ヘプタジエンの反応に同様のパラジウム錯体触媒を用いると,新しい環化&mdash;チェーンウォーキング型の重合が進行し,トランス-1,2-二置換シクロペンタン環がオリゴエチレン鎖で連結されたポリマーが得られた.鉄錯体やコバルト錯体を用いると,無置換の1,6-ジエンの環化重合が進行し,1,2-二置換シクロペンタン骨格を有するポリマーが得られた.鉄錯体を用いた場合には五員環の立体構造はシス,コバルト錯体を用いた場合にはトランスに制御されている.<br>
著者
釜野 静雄
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.828-832, 1997-11-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
4

一般にアロイ型熱可塑性エラストマー(TPE)と呼ばれるものは未加硫ゴムとプラスチックの混合物を混練時に架橋する動的架橋物をいう.その性質は未架橋,部分架橋物に対して優れた物理的強さとゴム的特性を共有する.本稿では完全架橋型熱可塑性エラストマーの特性,物性について述べる.
著者
塚本 淳 黒田 浩介 深谷 幸信 大野 弘幸
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子学会予稿集 第59回高分子討論会
巻号頁・発行日
pp.4918, 2010 (Released:2012-03-28)

低粘性の極性イオン液体であるリン酸誘導体塩を用いてセルロース、あるいは難溶性ポリペプチド等を溶解させ、イオン液体を移動相とするHPLCを用いてこれらの分子量分布を直接評価した。
著者
筏 義人
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.258-259, 1979-04-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
1
著者
高橋 彰 若林 宏 本多 和彦 加藤 忠哉
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.269-274, 1978
被引用文献数
1

ABおよびABA型のスチレン-テトラヒドロフランブロック共重合体 (テトラヒドロフランプロックの分子量60,000~70,000) のぬれと表面のモルホロジーを検討した. シクロヘキサン溶液から製膜したフィルムへの水の接触角 (θ) 測定とオスミウム酸で染色したフィルムの電子顕微鏡観察を行った. cosθはブロック共重合体の組成に依存せず, テトラヒドロフランに富む共重合体のぬれはポリスチレンにほぼ同じであり, スチレンに富む共重合体はこの逆であった. 電子顕微鏡写真の解析からスチレン部の表面組成を求めた. スチレン部あるいはテトラヒドロフラン部の表面への蓄積はテトラヒドロフラン部の結晶化または界面活性によることが示された. cosθ, すなわち, ぬれは表面のモルホロジーに無関係に共重合体の表面組成の関数であることが分かった.
著者
上出 健二 河合 徹
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.20, no.220, pp.506-511, 1963
被引用文献数
4

固有粘度-分子量関係式 [η] =<I>K<SUB>m</SUB>M<SUP>a</SUP></I>の係数aをすぬけ効果の寄与と体積効果の寄与に分離定量する三つの方法を提案した。すでに前報で確立した二つの固有粘度-分子量関係式を利用する粘度式法, 固有粘度と分子量第2ビリアル係数についてのKrigbaumの関係にすぬけ効果を考慮した改良Krigbaum法, およびaとexpansion factor との間のVoeksの関係にすぬけ効果を考慮した改良Voeks法である。これらの方法を実験データに適用した。三つの方法で得られたすぬけ効果の寄与の程度を表わすパラメータは良く一致した。高分子のすぬけ効果の大きさは次の順序で大きくなる。<BR>ポリ酢酸ビニル=<アタクチックポリスチレン<イソタクチックポリスチレン<ポリビニルアルコール<ポリアクリロニトリル三硝酸セルロース