著者
内田 希 香西 博明
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.76-81, 2015-02-25 (Released:2015-02-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

2-アクリロイルオキシエチルイソシアナートとヒマシ油を開始剤とした分枝ポリ乳酸を用いて新規なUV硬化性樹脂を合成した.UV硬化性樹脂は比較的高い収率(90%)で得られた.さらに,UV硬化性樹脂を30分間UV照射により硬化させた.得られた硬化フィルムのガラス転移温度は-5°Cであり,ゴム状平坦領域が動的粘弾性測定において約20°Cの測定値から開始していたことから,エラストマー特性を有していることがわかった.硬化フィルムの熱安定性をTGAにより測定したところ,重量減少は210°Cで開始した.機械的特性として,ヤング率は応力–ひずみ曲線で317.9 MPaであった.硬化フィルムは,ブタ膵臓由来リパーゼにより酵素分解性(最大8.4%,30日間)を示した.分解した硬化フィルムのSEM顕微鏡写真では,フィルム表面に多数の穴を示した.
著者
土肥 美里 遊佐 真一 島田 善彦 上坂 昌大
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.341-349, 2010 (Released:2010-06-25)
参考文献数
28

pH に応答した会合状態の変化を多段階に制御可能な水溶性ポリマーの合成を目指し,塩基性で側鎖フェノール基のイオン化により親水性を示すポリヒドロキシスチレン(PHS)と,幅広い pH 領域で水溶性を示すポリスチレンスルホネート(PSS),弱酸性の pKa をもつ安息香酸を側鎖結合したポリビニル安息香酸(PVB)からなる ABC 型トリブロック共重合体(PHS18-b-PSS78-b-PVB18)を可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)型制御ラジカル重合で合成した.水中での pH に応答した会合挙動の変化を動的光散乱,静的光散乱,蛍光プローブを用いた実験により調べた.その結果 pH>13 の水中でトリブロック共重合体はユニマー状態で,pH が 13~6 付近で PHS18 ブロックを疎水性のコア,PSS78-b-PVB18 ブロックを親水性のシェルにもつ高分子ミセルを形成した.pH<6 ではミセル間の会合により水溶性の凝集体を形成した.
著者
明石 満
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.148-152, 1999-03-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
37
被引用文献数
1
著者
今村 貴浩 遊佐 真一 森島 洋太郎 藤井 秀司 中村 吉伸
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子学会予稿集 第58回高分子討論会
巻号頁・発行日
pp.3335, 2009 (Released:2011-09-01)

親水性のポリエチレングリコール(PEG)と疎水性のポリスチレン(PSt)、pH応答性の親水性ポリマー(PDEA)とPStから成る2種類の両親媒性ブロック共重合体をRAFT重合で合成し、水中で両者を混合してPStから成るコアとPEGとPDEAの2種類のコロナ鎖から成る微粒子を合成した。
著者
増田 俊夫
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.336-337, 1998-05-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2
著者
西峯 准 末永 勇作
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.272-278, 2014-06-25 (Released:2014-06-25)
参考文献数
11

Styrene (St),Glycidyl methacrylate (GMA),Divinylbenzene (DVB)を原料に無乳化剤乳化重合法にて,粒子径250 nmの単分散型高分子微粒子Particle Aを調製した.続いてParticle Aのエポキシ基と両末端アミノ基をもつEthylene glycol bis(3-aminopropyl) ether (EGAE)や片末端アミノ基をもつN,N-diethyl ethylene diamine (DEEN)と反応させることにより粒子表面近傍にアミノ基をもつリンカー粒子Particle Bとジエチルアミノ基をもつParticle Cをそれぞれ,調製した.Particle Dは,光ラジカル開始点となるジエチルアミノ基を有するParticle C存在下,4-aminostyreneを表面重合し調製した.一方,末端がアルデヒド基のポリチオフェンを文献に従って合成した.このポリチオフェンとリンカー粒子Particle BやParticle DをTHF中室温で24時間反応させることで,暗赤色微粒子を得た.エタノールに再分散させ,ヨウ素ドーピングを行った結果,黒紫色に変色し,電気伝導率は1.07×10-7 S/cmの値を得た.
著者
有田 直史 末永 勇作 岩森 正男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.759-765, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

末端にカルボキシル基をもつ可逆付加開裂型連鎖移動(RAFT-A)剤にスペーサーとして,分子量の異なるオリゴエチレングリコール(PEG-100, PEG-200, PEG-400)鎖とジニトロフェニル(DNP)基をエステル結合にて導入した 6 種類の RAFT-D~I を合成した.スチレン(St)の分散重合にこれらの RAFT 剤を用いることにより,ポリスチレン(PS)粒子表面を DNP-PEG で修飾した粒子径 2.1~2.3 µm の単分散型高分子微粒子を合成した.抗 DNP 抗体との免疫反応を試みた結果,牛血清アルブミンリン酸緩衝食塩水溶液中で 2,4-DNP 含有 PS(2,4-DNP-PS)微粒子と反応し,微粒子の免疫凝集反応を確認した.3,5-DNP 含有 PS(3,5-DNP-PS)微粒子や PS 微粒子では,同じ条件下で免疫凝集反応を示さず,均一分散を保持していたことから,抗 DNP 抗体は 2,4-DNP に対して特異的に反応することが明らかになった.
著者
末永 勇作 有田 直史
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.530-536, 2010 (Released:2010-09-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

末端にカルボキシル基をもつ可逆付加開裂型連鎖移動(RAFT-A)剤に赤色色素(N-ethyl-N-(2-hydroxyethyl)-4-(4-nitrophenylazo)aniline)をエステル結合にて導入した RAFT-R を合成した.スチレンの分散重合に RAFT-R を用いることにより,ポリスチレン(PS)粒子表面を色素で被覆した粒子径 1.6 μm の単分散型高分子微粒子を合成した.色素含有量を 470 nm における吸光度から定量した結果,5.5 wt%含まれていることがわかった.色素で被覆された微粒子は,水には分散できず,エタノールにはよく分散した.ポリオキシエチレン(PEG)鎖をもつ RAFT(RAFT-C)から,合成した PS 粒子の PEG 含有量(6.5 wt%)と比較すると,分子量を考慮し,約 7 倍,色素のほうが,PS 粒子に多く,導入できることがわかった.これは,RAFT 剤から脱離生成したラジカル種の分子量とエタノール媒体への親和性が影響したものと考えられる.
著者
飯沼 篤 橋本 保 漆﨑 美智遠 阪口 壽一
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.7-15, 2015-01-25 (Released:2015-01-23)
参考文献数
10

酸の作用により室温で容易に分解するアセタール結合を導入した三官能性ポリアセタールポリオールを,ヒドロキシ基を有する種々のビニルエーテル[4-ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE),2-ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE),ジエチレングリコールモノビニルエーテル(DEGV),シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CHMVE)]をグリセリン存在下で重付加反応させることでそれぞれ合成した.そして,得られた各ポリオールを,2,4-トリレンジイソシアナート(TDI)と120°Cで15時間反応させ,フィルム状に成形された各架橋ポリウレタン(PHBVE-PU,PHEVE-PU,PDEGV-PU,PCHMVE-PUとそれぞれ表記する)をそれぞれ合成した.各ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)は,主鎖構造に依存して,PHBVE-PUが-58°C,PHEVE-PUが-41°C,PDEGV-PUが-50°C,PCHMVE-PUが10°Cであった.熱分解温度(Td)は,PHBVE-PUが290°C,PHEVE-PUが274°C,PDEGV-PUが293°C,PCHMVE-PUが312°Cであり,熱的に安定であった.各ポリウレタンの動的粘弾性試験(DMA)においてゴム状平坦領域は,およそ0°C∼150°C付近で観測された.また,HEVEから得られた親水性のポリオールとPHEVE-PUは温度応答性を有していた.各ポリアセタールポリウレタンは,THF/H2O(9/1 v/v)混合溶媒中で塩酸を作用させると,室温にて24時間でアセタール結合が加水分解し,各ポリオールの構造に対応したジオールを生成した.
著者
河原 一男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.598, 1975-09-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
20
著者
横山 憲文 金澤 有紘 青島 貞人
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.360-364, 2017-07-25 (Released:2017-07-25)
参考文献数
16

Graft copolymers were synthesized via grafting-through method by the quantitative synthesis of macromonomers via living cationic polymerization using vinyloxy group-containing alcohols as quenchers and subsequent cationic copolymerization of these macromonomers and an alkyl vinyl ether. The quenching of living cationic polymerization of isobutyl vinyl ether (IBVE) using methanol, ethanol, 2-propanol, and tert-butyl alcohol indicate that the primary alcohols are suitable for end functionalization due to the stability of the acetal ω-ends. Thus, macromonomers were prepared by the end-capping method using vinyloxy-containing primary alcohols as quenchers for the living cationic polymerization of IBVE under appropriate conditions. The spacer structure adjacent to the vinyloxy group of the macromonomer is highly important for the efficient cationic copolymerization that proceeded without side reactions. A macromonomer prepared from 1,4-butanediol monovinyl ether was successfully copolymerized with IBVE using an appropriate catalyst, yielding graft copolymers in high yields.
著者
杉原 伸治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.567-579, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
75
被引用文献数
4 6

新規重合系として,HCl·Et2Oを用いたメタルフリーリビングカチオン重合を開発した.これにより,新規生体適合/生分解性ブロック共重合体の合成も可能となった.さらにこの重合系だけに留まらず,可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合や他の重合系を組合せた極性変換へと展開し,それら重合系の特徴を利用したワンポット自己組織体の分子設計も検討した.刺激応答ゲル,球状ナノラテックス,シェル架橋型ミセル,ナノケージ,ウォーム,ベシクル,ランピーロッドがその分子設計例である.その際,RAFT水系分散重合を用いると,両親媒性ジブロックコポリマーとその自己組織化をin situで達成できた.とくに,これまでと同様に,得られるポリマーの親水/疎水ブロック占有体積比を変化させ,得られるナノ組織構造を制御しただけでなく,重合の固形分濃度を変化させることでも,その組織体構造制御を可能とした.
著者
Bruce S. XIN 佐藤 直正 丹那 晃央 大石 泰生 小西 洋平 清水 史彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.515-526, 2018-11-25 (Released:2018-11-22)
参考文献数
29

筆者らは,エチレンと極性モノマーの共重合について研究を行ってきた.G. C. Bazanらとの共同研究から,α-iminocarboxamideをリガンドとする中性のNi錯体が,共触媒を必要としないsingle-site触媒として,エチレンとアクリル酸エステルの共重合を進行させることを見いだした.ただし,この触媒系は耐熱性が低く,40°C程度の低温重合が必要であったことから,さらに別の触媒系について探索を行った.その結果,ホスフィノフェノールをリガンドとする中性Ni錯体が,エチレンとアクリル酸エステルの共重合をより高温で触媒し,高度に直鎖状の共重合体を生成することを見いだした.そして,このリガンドにメトキシ基による効果を組み込むことにより,共重合活性,分子量,アクリル酸エステル含量の点で,性能を大きく向上させることに成功した.
著者
松野 皓斗 香西 博明
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.257-260, 2019-05-25 (Released:2019-05-24)
参考文献数
13

A urethane acrylate derived from castor oil was synthesized using castor oil with 2-acryloyloxyethyl isocyanate and obtained in high yield. Furthermore, the obtained urethane acrylate was subjected to a UV cure reaction with polybutadiene. The UV cured film was characterized by thermal and mechanical measurements. The thermal stability of the obtained film was measured by TGA, and 20% thermal weight loss temperature at 425°C was observed. The glass transition temperature of the product was −60°C as revealed by DMA. The Young’s modulus of the product was 2.00 MPa, taken from the stress-strain curve.
著者
平川 学
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.476-479, 1997-07-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
26

ポリプロピレン(PP)の現状と将来展望について,固体触媒PPとメタロセン触媒PPの比較を中心に行った.ポリエチレンに比べメタロセン触媒PPの実用化は遅れているが,既存の固体触媒PPの市場と競合していくためには,(1)触媒自身の改良,(2)触媒担持技術の開発,(3)加工性の改良などが課題として残されている.
著者
飯島 道弘 河田 麻衣子 佐藤 憂菜 プア ミンリー 亀山 雅之
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.276-287, 2019-07-25 (Released:2019-07-25)
参考文献数
36
被引用文献数
1

カルボキシル基をα末端に有するヘテロテレケリックポリエチレングリコール(ヘテロPEG)の精密合成法を検討した.カルボキシル基とヒドロキシ基を分子内に有するヒドロキシピバル酸を出発物質として用いた.カリウムナフタレン溶液にヒドロキシピバル酸溶液を滴下することで生成するカルボン酸塩を微分散させ.エチレンオキシドをアニオン開環重合することにより,定量的にヘテロPEGを合成できることを明らかにした.また,ω末端に重合基を導入したマクロモノマーの定量的な合成にも成功した.さらに,この合成法を利用し,α末端に一つのカルボキシル基を有し,二つのPEG鎖有する分岐型ヘテロPEGの合成方法も確立した.このようなα末端にカルボキシル基を有するヘテロPEGの定量的合成法の確立は,高機能性材料を創製するためにも有用である.
著者
中村 泰之
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.444-455, 2018-09-25 (Released:2018-09-25)
参考文献数
56
被引用文献数
1

ラジカル重合の停止反応機構の解明は高分子合成において重要であるが,いまだ結論が出ていない課題でもある.さらに,停止反応機構の制御は新しい高分子合成法・制御法へ発展する期待があるが,その試みは非常に限られていた.本報ではリビングラジカル重合法を利用し,構造制御されたポリマー末端ラジカルの精密な反応を行うことによる停止反応の機構解明と,停止反応の制御による合成利用に関する筆者らの研究をまとめた.停止反応の機構解明においては明確な不均化・結合選択性の決定方法の開発を行い,代表的なモノマー種の選択性や,温度・分子量・粘度が選択性に与える影響を定量的に明らかにした.さらに,選択的な結合反応(ラジカルカップリング反応)による高分子合成法の開発を行った.
著者
島崎 昭夫 元起 巌
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.28, no.319, pp.884-887,940, 1971-11-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
5
被引用文献数
5 6

エポキシ樹脂は力学的特性がすぐれているので, 構造用成型品として広く用いられている。しかしその硬化過程における硬化反応と冷却時での樹脂の収縮変化を拘束するような成型品構造とした場合には, 成型品中に大きな内部応力を発生しき裂の発生要因ともなる。これらの基礎となる問題を解くために硬化過程での体積変化, 発生応力に関し, 一つの関係式が得られた。エポキシ樹脂の硬化過程における物理量の変化は, 反応論的には見かけ上1次反応で取り扱うことができ, その主なものは体積収縮率, Tgの変化, Tg以上の熱膨張係数, 弾性率である。
著者
中西 和樹 宮脇 靖享 曽我 直弘
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.396-401, 2000-06-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1 3

メチルトリメトキシシランの加水分解・重縮合に基づく, 相分離とゾルーゲル転移による多相構造形成において, 親水鎖長の異なる非イオン性界面活性剤の影響について調べた. オキシエチレン単位を10含む界面活性剤は, 相分離傾向を抑制し, ゲル相と流動相に比較的均等に分配されることによって, 溶媒濃度がほぼ一定の組成領域で共連続構造が得られやすくなった. 他方オキシエチレン単位を70含む界面活性剤は, 相分離傾向を助長し, また高濃度領域では流動相に優先的に分配されることによって, ゲル相が少量相となるモルホロジーを与えた.
著者
荒田 聡恵 梶原 篤
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.312-318, 2019-07-25 (Released:2019-07-25)
参考文献数
18

アクリル酸エステル類の成長ラジカルを通常のラジカル重合の条件で60°Cから80°Cくらいの温度にしてESRで測定すると成長ラジカルによるものとは考えられない不思議なスペクトルが観測された.アクリル酸エステルのラジカル重合系ではミッドチェインラジカルが形成することが古くから考察されてきた.本研究では30°C以上の高温で観測されるESRスペクトルがミッドチェインラジカルに基づくものであることの状況証拠を積み上げ,ラジカルの動的挙動を考慮したスペクトルシミュレーションで解析して,アクリル酸エステルのラジカル重合中に存在するラジカル種の同定を行った.