著者
鈴木 良介
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.659-665, 2012-12-01
参考文献数
2

2011年以降,情報・通信業界にとどまらぬ広範な事業者により「ビッグデータ」への注目が高まっている.これは,事業における付加価値の向上や,社会システムのより効率的な運用への活用が期待されるためである.ビッグデータとはどのようなものであり,なぜこのタイミングで注目されるに至ったのだろうか.国内外の先鋭的な事例を通じて,事業の革新に向けて,ビッグデータをどのように活用していくべきであるのか検討する
著者
垣村 尚徳
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.21-26, 2011-01-01
参考文献数
20

組合せ的行列理論とその数理計画への応用を紹介する.組合せ的行列理論とは,行列の要素が零か非零かなどの組合せ的な情報を利用して解析を行う理論である.このような理論は工学に現れる大規模疎行列を扱う際に有用である.本稿では行列要素の符号に着目する定性的行列理論に焦点を当て,その線形計画と線形相補性問題への応用を述べる.
著者
平岡 和幸 吉澤 修治
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.509-530, 1998-12

心理学において, 「慣れ」や「飽き」のように, 同じ選択を続けると効果が悪くなる現象を記述する, ロブ-パス問題と呼ばれるモデルがある. Abe and Takeuchiは, この問題をオンライン学習問題として定式化し, それがmulti-armed bandit問題の拡張とみなせる事を指摘した. 古典的なbandit問題との違いは, プレイヤーの選択が環境自体に影響を与え, 環境を変化させてしまうという点にある. 学習問題としてのロブ-パス問題に対してこれまでに提案された戦略は, すべて基本的に, 「未知環境からの反応をもとに, その環境に対する最適"定常"戦略を推定し, その戦略に従って選択肢を選ぶ」ということを繰り返すものである. また, 戦略の評価には, 環境が既知だった場合の最適"定常"戦略と比較して, 実際には環境が未知な事によるロスが, どの程度におさまるかを基準としている. このような方針が妥当かどうかを判断するためには, 環境が既知だった場合の(定常とは限らない)最適戦略を知っておく必要がある. 本論文はこれを導出する. その系として, 従来研究で仮定されていた「マッチング条件」が, 最適戦略が打ち切り時刻によらないための必要十分条件となっている事を指摘する. これにより, 目標として"定常"戦略のみを考えることの正当性が保証されることになる. マッチング条件自体の意味や妥当性に関する議論も行う. さらに, 漸近最適性を定義し, 忘却ありの相手なら定常戦略が漸近最適となるが, 忘却なしなら漸近最適戦略は存在しない事を示す.
著者
西原 理
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.288-293, 2008-05-01

R&Dのマネジメントにおいて,投資プロジェクトの価値評価や投資戦略の決定は,重要な問題である.近年,価値評価や意思決定を行う新しい手法として,金融オプションの価格付け理論から派生したリアルオプションアプローチが,注目を集めている.そこで,本稿では,リアルオプションアプローチを用いたR&D投資プロジェクトの評価と意思決定について説明する.特に, R&D投資の特徴である,「段階的な投資」,「技術的な不確実性」,「ライバル企業との競争」に着目したリアルオプションモデルを紹介する.さらに,リアルオプションアプローチを現実の問題に適用する際の手順や留意点についても述べる.
著者
矢島 安敏 矢田 佳久
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.689-695, 2006-11-01

近年,Kondor等[7]のdiffusionカーネルを始めとしたグラフラプラシアン行列から構成されるさまぎまなカーネル行列を用いたパターン認識法が,機械学習の分野で盛んに研究されるようになってきた.本稿では,このようなパターン認識法のひとつであるOne-Class SVM (1-SVM)をマーケティング分野へと応用し,顧客の好みに合致した商品やサービスの推薦,あるいは購買の見込みの高い顧客の抽出を試みる.ラプラシアン行列のスパースな構造を利用することで,データ数が数百万を超える場合でも,高速に処理できるスケーラビリティーの高い手法の構築が可能である.
著者
古関 聰 佐藤 直人
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.325-330, 2011-06-01

高速ネットワーク環境の普及にともない,現在,社会の様々な場面においてデータの大規模な収集・蓄積が進んでおり,これを解析することで有用な情報を抽出したいという機運が高まっている.このための計算基盤として,並列分散計算の仕組みであるHadoopが有望視されており,実際にHadoopを活用した事例もいくつか報告されている.しかし,Hadoopの提供するMapReduceフレームワークは比較的低レベルな仕組みであり,データ解析利用にはプログラムの特別な設計が必要であることから,Hadoopをデータ解析に活用するためのプログラミング・モデルやツールが求められている.本稿では,このようなHadoop上でのデータ解析をとりまく状況を概観し,Hadoopとデータ解析アプリケーションとの間のギャップがどのように埋められようとしているかについて解説を試みる.
著者
山口 勝業 小松原 宰明
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.694-700, 2005-10-01

年金で運用される資産とその運用益は, 受給者の将来の消費に充当されるものである.したがって, 将来の購買力を実質的に確保するためには, インフレ率を上回るリターンを達成することが運用目標となる.本稿では, この運用目標を達成できないダウンサイド・リスクがどの程度あるのか, またそのリスクを最小化するためには株式と債券の配分比率はどうあるべきかを, 日米の長期投資収益率データで検証する.