著者
篠原 章宏 山下 英明
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.82-102, 2009-12

本稿は,各工程のカンバン枚数と基礎在庫量を決定する生産計画と,この生産計画に必要な資金を除いた余剰の資金を運用する運用計画を同時に策定し,運用で得られた利益を組み込んだ次期の資金をもとに,次期の生産計画と運用計画を同時に策定する多期間計画問題を考える.一般にこの問題の実行可能解の数は膨大で,最適解を求めることが難しい.一方,生産計画問題と資金運用計画問題を分離して,独立に解こうとすると,問題間のトレードオフによって,精度の良い近似最適解を得られない可能性が高い.そこで,本稿では共進化GAの考え方を用い,比較的精度の良い近似最適解が得られる解法を提案する.
著者
Washburn Alan R.
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.561-564, 2008-10-01
被引用文献数
1

米国におけるオペレーションズ・リサーチ(OR)の歴史を簡単に振り返った後,軍事ORに特有の3つのテーマ,損耗モデル,ゲーム理論および捜索理論について簡単に解説する.
著者
佐々木 康朗
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.591-597, 2011-10-01

本稿では,相互意思決定状況を主観的に認識する主体を想定したハイパーゲーム理論を紹介する.通常のゲーム理論は,ゲームのルールが主体間で共有されている際の合理的な意思決定を追求するのに対し,ハイパーゲーム理論では,そもそもゲームの構造に関する認識に主体間で差異があるような状況を考え,そのことが主体の意思決定やゲームの結果に及ぼす影響について分析する.さらにゲームの結果の認識のあり方へのフィードバックについても扱い,認識と意思決定の相互関係を論じるものである.具体的な事例をもとにいくつかのハイパーゲームモデルを紹介しながら,その独自の問題意識について解説する.
著者
田口 東
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.720-723, 2011-12-01

東日本大震災後の電力節減に対応するために,首都圏鉄道では運転本数が削減され激しい混雑が生じた.公共交通機関というだけあって,利用者はストレスなく路線を乗り継いでいる.一方,乗客の流れとそれを運んでいる電車の運行を,事業者単位では把握しているが,ネットワーク全体でみるという視点が平常時から欠けている.混雑を和らげる決め手は分散乗車である.ここでは,ネットワーク全体を対象として,分散乗車の詳細なシミュレーションを行い,その効果が実現目標として提示できることを示す.これは,各事業者が閉じた計画を立てたのでは,利用状況への影響が十分把握できず,偏った利用者負担による不公平感が生ずる可能性があること,事業者ごとの電力削減目標を基にした運転計画を総合してネットワーク全体の混雑を計算し,削減目標を調整するというプロセスが必要であると考えるからである.