著者
宇井 徹雄
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.243-248, 2009-05-01
被引用文献数
1

大学生の学力低下問題は,大学入学時の学力低下問題と大学卒業時の学力低下問題に分けられる.入学時の学力低下問題は,義務教育段階と高校生の学力問題にも関係している.日本の生徒の学力は国際的に見て高いといえるが,数学や理科に対する関心や態度のレベルは低い.大学過多による入学生の学力低下は当然,大学生の量的拡大は質的変化を伴い,学力低下のみならず,意欲低下,モラル低下も顕在化している.この問題の解決のためには,大学自身のさまざまな努力や改革のみならず,国の教育行政,中学・高校からの教育,国民の意識,産業界の意識にも関係していて,その変革が求められていることを示す.
著者
佐藤 敏彦 清水 宏昭
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.159-162, 2005-03-01

弊社ではサプライチェーンマネジメント改革の推進により, 旧来の押出し(プッシュ)型の生産方式を需要の変動に即応できる引っ張り型(プル)型の生産方式に革新し, 主力製品の市場競争優位性の維持と基盤強化を達成することができた.また, この改革の推進により製品の納入リードタイムの短縮, および仕掛りの圧縮と継続的な適正維持による棚卸し資産の回転率向上を実現し, キャッシュフローの改善に貢献できた.
著者
池田 俊也
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.353-358, 2003-05-01
参考文献数
6

複数の医療技術について,その費用と効果の比較を行う医療経済評価では,モデル分析が必要となる場合が多い.なぜなら,対象としている医療技術が健康結果や資源消費に影響を及ぼす期間が長期にわたる場合には,期間全体でかかる費用とその効果を実際に測定することが困難であり,シミュレーションなどによる分析が必要とされるからである.本稿では,医療経済評価におけるモデル分析の必要性とその種類について概説し,さらに糖尿病を例に医療経済評価のためのリスクシミュレーションモデルを取り上げる.
著者
大山 達雄 三和 雅史
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.569-575, 2008-10-01
参考文献数
5

鉄道は他の輸送手段に比べて安全性において優れているとされているが,まれに発生する大事故が与える社会的不安,損失は極めて大きいことから,安全な輸送を安定して確保するための安全性向上戦略を科学的に検証し,効率的な安全性向上策を検討することは重要である,一方,多くの死傷者をもたらす自然災害についても,その発生および被害データを統計的な観点から眺め,科学的に考察した上で安全性の向上に結びつけることも重要である.本稿では,わが国において発生した鉄道重大事故と自然災害に関する統計データ解析を実施し,発生傾向,原因,被害状況を把握した上で,有効な安全性向上策を検討する.
著者
大沢 義明 鈴木 敦夫
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.368-395, 1987-09
被引用文献数
2

本研究では、最近研究されてきた計算幾何学の一分野である地理的最適化問題の手法を用い、グループ利用施設の最適配置問題について、都市施設計画という見地から考察を加える。グループ利用施設とは、会議室、結婚式場、テニスコートのように、"複数地点の利用者から成るグループ"と"施設"とが対応するような施設で、その配置問題は、"一地点の利用者"と"施設"との対応に注目した既存の配置問題とは、根本的に異なる。本研究では、まず第一に、グループの移動費用が距離の二乗和に比例する場合、グループ利用施設の最適配置問題が地理的最適化問題に帰着することを示す。第二に、グループ利用施設の最適配置の特徴とその頑健性について論じる。具体的には、単位正方形上での一様な人口分布と、現実の都市地域での人口分布(宇都宮市、日立市、諏訪地区)とを考え、地理的最適化問題の解法プログラムを用いて、最適配置などの計算を行う。そして、数値結果から、グループ利用施設の最適配置では、施設が中央に集中するという事実を例証する。さらに、"アクセシビリティ"、"施設容量"という二つの観点から、グループ利用施設の最適配置のグループ構成人数に関する頑健性について考察を加える。