著者
森田 哲明
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.673-682, 2012-12-01

「ビッグデータ」の処理・分析技術の進化により,顧客のID^1に基づいたPOS(販売時点管理)システムのデータ分析(ID-POS分析)が一般的になってきた.ID-POS分析のみならず,IDが紐づく情報(ソーシャルメディアや乗車履歴などのデータ)の分析(ID情報分析)は,幅広く行われ始め,RFM,LTVなどの分析の結果,8割以上が売上拡大,7割以上が顧客数増加につながっている.ID情報分析により,変化の兆しを把握するKPIを設定することで,新たな事業機会を創出でき,ユーザーに魅力的な商品・サービスを開発することも視野に入れることができる.
著者
窪 康之 大野 勝久
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.230-232, 2006-04-01

先のアテネオリンピックでの日本競泳陣の活躍は目覚ましく,特に北島康介選手は金メダル2個を獲得するという偉業を成し遂げました.本連載の第4回目は,北島選手を陰でささえる"チーム北島"の一員である窪康之氏に,データによるサポートが北島選手の活躍にどのように貢献できたか記していただきました.
著者
高田 勝裕 小松 亮介
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.523-529, 2014-09-01

アドテクノロジーと呼ばれるインターネット広告の配信技術分野への注目が高まっている.特に近年のイノベーションであるリアルタイムビッディングと呼ばれる広告取引では,広告主側においては広告成果を追及するために,また,広告掲載側においては広告表示を高く販売することを追及するためにデータサイエンティストが活躍している.本稿では,アドテクノロジーの最前線であるリアルタイムビッディングに関わるデータサイエンティストたちの具体的な業務の事例を紹介する.
著者
武田 朗子
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.254-259, 2014-05-01

機械学習の分野では,データから規則性やパターンを発見するため,しばしば数理最適化手法が用いられている.本稿では,われわれの成果も含めた2つの研究を取り上げ,ロバスト最適化がどのように機械学習において使われたかを紹介する.この研究成果の紹介を通して,「数理最適化の研究者(私)が機械学習分野で何ができたか」をお伝えしたい.
著者
橋本 剛
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.5-9, 2007-01-01

コンピュータ将棋は予想を上回る勢いで進化を遂げ,プロレベルまであと一歩のところまで来た.本稿ではその強さを象徴する話題を取り上げ,次に最新技術の紹介を探索,評価関数,詰み探索の順に行う.実現確率探索は人間に近い思考を実現する画期的な方法でブレークスルーとなった.2006年コンピュータ将棋選手権で初出場初優勝を果たしたBonanzaは,これまでの常識を覆す全幅探索と評価関数の学習でこの世界に衝撃を走らせた.今後はさらに進歩が加速すると予想され,名人を超える日もそう遠い未来ではないのかもしれない.
著者
石井 博章
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.469-476, 1978-12

Kthバス問題は、バスとしてループを含むことを認める場合と認めない場合、さらに負の距離を考える場合と考えない場合などに、分類される。それらの解法も、最短路からなるツリーを利用する方法、最短路アルゴリズムを繰返し適用する方法、DPによる方法そして経路代数による方法など、いくつか存在する。しかしそのほとんどが、パスとしてループを含むことを認めるものであり、J、Yenの最短路アルゴリズムを繰返し利用する方法が現在唯一のループを含まないパスを求める方法と考えられる。ここでクラブ理論でよく知られている結果、P_1を始点_sから終点_tまでのループを含まないパスをするとき、s、t間のループを含まないパスの集合{P}は{P}=min{P_1[○!+]E;E∈{E}}によって表わされる(Eはオイラーグラフ)、を利用することにより、非負の距離を仮定したグラフ内の任意の2点間のループを含まないKthパスを求めるアルゴリズムを提案する。(ただしK番目パスの長さはK-1番目のパスの長さに等しくてもよいとしている)まず最短路アルゴリズムにより、最短路からなるツリーをつくり、そのツリーを利用してツリーに含まれない枝を正確に一本含むサーキット、C_1、C_2、…、C_<m-n+1>をつくる(m、nはそれぞれグラフ内の枝と点の数)。R_1={P_1}、Q_1=P_1として、一般にk〓2にたいしR_k=(R<k-1>-{Q<k-1>})∪{Q<k-1>[○!+]C_i}となる集合R_kをつくる。ここでC_iはQ<k-1>をつくるために使われていないものとする。次にR_kの中で最小の長さをもつサブグラフの1つをとり出しQ_kとする。このようにして順にQ_1、Q_2、…Q_k、…を求め、この中でパスとなるものを順次取出すことによりK番目のパスを求める。この方法はグラフの構造により効率が大きく変化するが、鉄道のネットワークなどには実用性が確かめられた。
著者
稲増 一憲
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.232-236, 2011-04-01

メディア報道を実証的データに基づいて分析する内容分析は古い歴史を持つ手法であるが,コンピューター技術の発展とともに新たな広がりを見せている.本稿では,メディア研究を概観した後,実際の内容分析手順に沿って,手法の概要・留意すべき点などについて解説を行う.
著者
毛利 裕昭 久保 幹雄 森 雅夫 矢島 安敏
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.372-388, 1996-09
被引用文献数
6

配送路問題(Vehicle Routing Problem -VRP-)は、「デポ(配送拠点)から配送先のノードに商品等を配送する最小コストのルートを求める」という問題である。この問題は古くから研究がさかんに行なわれており、標準的VRPの基本的な条件としては、以下のものが挙げられる。第1に1つのルートでの積載量が車両の容量を超えないこと、第2に車両数(ルートの数)が上限を超えないこと、第3に配達先のノードは1台の車両で1度だけ配送が行なわれること等である。本論文ではVRPの基本条件である第3の条件を緩和した「分割配送路問題」と呼ばれる複数の車両によるノードの配送を許す問題を考える。このような条件を考えることにより車両の積載効率が上り、必要な車両の数(固定費用)を減少させる可能性が高まる。この分割配送路問題に関する研究は少なく、本論文では新たな定式化を行ない、Fisher and Jaikumarのアイディアにしたがって問題を、車両が配送を行なうノードおよびその配送量を決定する問題と担当ノードが決定した段階で各車両の配送経路を決定する問題に分解することにより数理計画べースの新たな解法を与えている。