著者
作田 誠
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.27-34, 2007-01-01
被引用文献数
1

不完全情報ゲーム研究の動向を以下の内容でレビューする.まず不完全情報ゲームがどういうものかを説明した後,研究の意義と重要性について触れる.次に研究手法として,ゲーム理論によるもの,相手モデル化によるもの,論理プログラミング,シミュレーションや探索を主体とした手法,完全情報問題として解く手法などを紹介する.最後に,スクラブル,ポーカーやブリッジ,麻雀,衝立将棋を始めとする主要な問題領域における現状と展望を示す.また新しいゲームであるDI将棋についても言及する.
著者
水山 元
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.215-220, 2010-04-01

予測市場とは,市場メカニズムの持つ情報集約機能を予測のためのツールとして利用する技術であり,「集合知に基づく予測」を実現し得る手段の一つとして注目されている.需要予測への応用を考えると,新製品の需要を予測したい場合や,需要パターンに構造変化が生じやすい場合など,過去の需要実績に頼った予測が難しい場合に特に有効になると考えられる.本稿では,まず,予測市場技術の概要を述べた上で,それを需要予測に応用した事例を紹介する.また,予測市場を用いた需要予測の従来法をさらに発展・洗練させていくための研究開発の現状についても触れる.
著者
平井 力
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.446-452, 2008-08-01
被引用文献数
2

列車ダイヤに乱れが生ずると,たいへん多くのお客さまに影響が生ずる.列車の運行を管理する指令室では,運休や,到着番線の変更など,列車ダイヤに対して一連の変更を加えることで,その影響を最小限にする努力がなされる.運転整理と呼ばれるこの業務を支援するため,各鉄道会社では専用のコンピュータシステムが導入されつつあるが,ダイヤ変更の内容を決定しているのは,実は,指令員と呼ばれる人間である.運転整理の根幹であるこの判断を,コンピュータが自動的に提案することはできるのであろうか.本稿では,この運転整理案の自動作成に関する研究動向と,筆者らの取組みを紹介する.
著者
氏田 博士
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.646-654, 2006-10-01

まず最近多発する組織事故や不祥事とは何かを考察する.次に安全を担保するための深層防護やりスク概念などの方法論を整理しさらにその基本となるリスク論の問題点を摘出する.リスク論が安全・安心の考え方の基本として認められるためには,人間信頼性評価や組織の信頼性評価の方法論としての十分な検証が必要である.さらに,安全性向上のためには,組織として技術的に考慮すべき安全文化や技術者倫理やりスタリテラシーなど,また社会側から組織や技術システムへ働きかける仕組みも不可欠である.最後に,安全性を向上するための安全ファンドなどの積極的な枠組みの動向についても述べる.
著者
小田 一博
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.681-687, 2005-10-01

わが国の年金制度は「社会的扶養」を基本とし, 全国民に共通した「国民年金(基礎年金)」をベースに「被用者年金」および「企業年金」の3階建ての体系となっている.この「国民年金」と「被用者年金」は公的年金, 「企業年金」は私的年金と位置づけられている.公的年金においては, 今後少子高齢化が進行するため, 制度の支え手である現役世代が減り保険料収入が減少する一方, 高齢者の増加や平均寿命の伸びで給付費が増大することが見込まれており, 平成16年において, 将来にわたり安心できる持続可能な年金制度の構築を目指し, 給付と負担のあり方を見直す等の制度改正が行われた.
著者
牛田 貢平
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.407-413, 2012-08-01

運行管理システムに記録された運行実績データから,日々の列車の運行状況や遅延量を秒単位で把握することが可能になった.遅れに強い安定した列車運行を実現するには,このデータを活用し,遅延によって生じる個々の列車間の影響を詳細に分析することが不可欠である.ところが,従来のように遅延量に基づく分析手法では限界があり,これに代わる新たな遅延の評価指標が必要であった.そこで,東京地下鉄(以下「東京メトロ」という)ではバッファインデックス(Buffer Index)を考案し,列車遅延の評価・分析および列車ダイヤの頑健性向上の手掛かりとしての有効性を示した.
著者
福田 恵美子 脇田 祐一朗
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.38-55, 2009-12
被引用文献数
2

本論文では,2008年現在形成されている自公連立政権の振る舞いを,提携構造を考慮した投票力指数(CS値)(G.Owen,1977)とそれを指標とした提携形成ゲーム(Hart-Kurz,1983)を用いて考察する.本研究では,二院制における衆議院の優越を考慮し,再審議での投票力指数に対する割引因子が0.3167以上であれば自公連立が提携形成ゲームにおいて安定であることを示した.また,他の安定な連立の考察を通じて,公明党が自公連立を堅持する誘因があるという知見を得た.さらに,2005年の郵政民営化法案を巡る衆議院解散についても同様の分析を行い,当時,特定の法案の成立を目指しており,かつ再審議での投票力指数が大きくなかったことが,解散に踏み切った要因である可能性を示した.
著者
松井 彰彦
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.576-582, 2011-10-01
参考文献数
9

本稿では,筑波大学の金子守氏と筆者が創始した帰納論的ゲーム理論の枠組みを紹介し,その応用を考察する.まず第1節でゲーム理論のメタレベルでのアプローチ法について3類型を示したうえで,第2節では,具体的な社会問題に入る前に帰納論的ゲーム理論のエッセンスを「協調ゲーム」を用いてみる.第3節は障害者等の隔離と烙印の問題に帰納論的ゲーム理論を用いて切りこむ.第4節はいわれのないいじめの問題への応用を考える.第5節は帰納論の起源としてプラトンと仏陀に触れる.
著者
吉仲 亮 岩下 洋哲 川原 純 斎藤 寿樹 鶴間 浩二 湊 真一
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.616-622, 2012-11-01

本稿では,フロンティア法による,与えられたグラフ上の特定の制約を満たす部分グラフ抽出の具体的応用例として,ナンバーリンクとスリザーリンクと呼ばれるパズルそれぞれのための解答器と問題生成器のアルゴリズムを提案し,実験結果を報告する.また,この技術を用いたスリザーリンクの問題作成支援についても議論する.
著者
出口 弘
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.598-604, 2011-10-01

本稿では,エージェントベースのモデリング&シミュレーションに関する認識論的課題を扱う.そこでは方法論的なモデルの展開(Unfolding)と畳込み(Folding)という概念を鍵に,エージェントベースのモデル作法について論じる.従来のマクロな微分方程式モデルを中心としたモデル化技法は,マクロな変数の増減を定める動的プロセスを定式化するものである.しかしそのマクロ変数がマイクロなエージェントの状態変数から得られるシステムでは,個々のエージェントの状態変数からなるモデルへとモデルを展開することで,より微細な境界条件をモデルに組込むことが可能となる.本稿ではこうした異なる粒度や視点を持ったモデル間の相互関係をモデル化の認識論として分析する.