著者
谷崎 隆士
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.155-160, 2006-03-01

SCMは,サプライチェーン上の,素材供給元,製造メーカー,製品供給先を対象に生産進捗情報・在庫情報等を共有することで,ビジネス・プロセスを効率化する手法であリ,近年,精力的に取り組まれている.鉄鋼業では,主として顧客とのSCMの取り組みがなされており,実効をあげている.本稿では,鉄鋼業でのSCMの課題と対応策について,取り組み事例を用いて紹介する.
著者
中村 義人 田村 亮 関谷 和之
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.319-327, 2006-06-01

W杯の地域ブロックの割当出場枠を各国代表チームの強さのランキングに基づき,ランキングへの整合性と競争的(民主的)配分との観点から議論する.各国代表チームのランキングはFIFA公表のランキングを用いるとともに,独自に集計したデータからBradley-Terry modelに基づき最尤法と最小χ二乗法で導出したランキングを用いる.第18回W杯後,オーストラリアがアジア地域に加入することが決定している.オーストラリアのアジア加入で生じる地域ブロック再編にともなう出場枠に関して述べる.
著者
嵯峨山 茂樹 中妻 啓 深山 覚 酒向 慎司 西本 卓也
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.546-553, 2009-09-01
被引用文献数
3

本稿では,任意の日本語テキストの持つ韻律に基づき,歌唱曲を自動作曲する手法について解説する.文学作品や自作の詩,ニュースやメールなど,あらゆる日本語テキストをそのまま歌詞として旋律を生成し,歌唱曲として出力する自動作曲システムは,手軽な作曲のツール,音楽の専門知識を持たない人のための作曲補助ツールとして有用であろう.さらに著作権問題の回避としても用途があろう.歌唱曲は歌詞との関連性が求められる.特に高低アクセントを持つ日本語では,発話音声にピッチの高低が付くため,歌詞を朗読する際の韻律と旋律が一致することが重要とされる.筆者らはこの点に着目し,ユーザが選択した和声,リズム,伴奏音形を拘束条件として,旋律を音高間を遷移する経路とし,韻律の上下動の制限の下で最適経路となる旋律を動的計画法により探索する問題として旋律設計を捉えた.このモデルに基づき,任意の日本語歌詞に,その韻律に一致した旋律を付ける自動作曲手法により自動作曲システムOrpheusを作成したので紹介する.
著者
市古 太郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.640-645, 2006-10-01

大都市は地震に対して脆弱である.この脆弱性は帰宅困難者問題のような直後期だけでなく,影響が長期間にわたる問題もある.その1つが本稿で論じる都市復興である.本稿では「事前に復興に備える」という視点で阪神淡路大震災以降,主に東京で取り組まれてきた「事前復興」の考え方を示し,その考え方に基づいて実施されている2つの訓練プログラムを紹介する.この訓練はこれまでの防災まちづくりに新たな可能性を付与するものであり,紹介と同時にその論点を提示したい.
著者
加藤 直樹 安達 彰裕
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.390-406, 1989-09
被引用文献数
1

本論文ではスポーツの団体戦における勝敗決定方法として採用されている勝ち抜き戦及ぴせんめつ戦においてチームの勝利確率が選手の出場順序に依存しないための必要十分条件をある種の確率モデルの下で導く。本論文では選手1と選手2が引き分けの無い試合を行うとき、1と2それぞれが固有の「強さ」を表す非負の実数aとb(少なくとも一方は零でない)を持ち、1が2に勝つ確率がp(a、b)で与えられるものとする。この仮定の下でAチームとBチームが勝ち抜き戦またはせんめつ戦によって団体戦を行うとき、AチームがBチームに勝つ確率が、Aチーム及びBチームの選手の出場順序によらず一定であるための必要十分条件を示す。そして、その必要十分条件の下では、勝ち抜き戦で勝つ確率はせんめつ戦で勝つ確率と等しいことを示す。さらに、従来スポーツの勝敗の確率モデルとしてよく用いられてきたBradley-Terryモデル(すなわちp(a、b)=a/(a+b))はこの必要十分条件を満たすことを示す。最後に、関数p(a、b)に関するゆるい仮定の下で、その必要十分条件を満たすのは、p(a、b)=f(a)/(f(a)+f(b))に限ることを示す。ここでf(a)はf(0)=0を満たす任意の単調増加関数である。
著者
今野 浩
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.17-21, 2015-01

今から10年ほど前に,本誌上で20回にわたって,「OR40年」という随想を連載する機会があった.学生時代以来40年に及ぶ,ORと筆者とのかかわりのほぼすべてについて記したものである.今回はその続編として,その後10年の間に,筆者がどのようなことを考え,どのようなことをやってきたかについて記すことにする.
著者
黒川 泰亨 中村 健二郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.259-272, 1977-12

The forest production greatly relies on nature and variations of the natural conditions related to the production are not small. Then, because of the long production time span, it is necessary to concider the forest management planning as a planning under uncertainty. The purpose of this paper is to present a forest management planning by coordinating the uncertainty and the efficiency of forest production. The theory of stochastic programming is applied. The forest management planning consists of two phases: One is long term and the other is short term. This paper is concerned with the long term planning such as from 60 to 80 years. This planning is how to derive the present forest condition to the objective forest condition and this is one of the most basic requirements in forest management planning. In this paper, the objective forest stand condition is the normal age-class arrangement. A planning method applied here is to minimize the variance of forest yield volume under the condition of keeping its expectation arbitrarily fixed, and the other planning method adopts one of the von Neumann-Morgenstern utility functions. They are formulated as a quadratic programming problem. The methods are applied to a real forest management planning and the unique optimal plan is provided for this case. Our models will be significant in the planning at the divisional forest-office in the national forest.
著者
石川 真 中村 健二郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.225-232, 1979-09

Nは任意のプレィヤーの集合、Ωは任意の選択対象の集合、各プレィヤーiはΩ上の選択対象に好ましさの順位(序数的選好順序)P^iをもつと仮定し、かかるP^i全体をDとがき、NからDへの関数をP^Nとかく。なお、本論文では選出公理を仮定する。いま、Nの部分集合(提携)からなる族Wを与え、Wに一属す提携を勝利提携という。勝利提携はΩの任意の選択対象を決定するパワーをもち、それゆえこのゲームは一般化された多数決ゲームとみなされる。かかるゲームを(序数的選好順序を前提とする)単純ゲームとよび、コア等の解の概念が定義される。中村は、この単純ゲームにおいて、PNがあらゆるパターンをとる時、コアが存在する必要条件は拒否権をもつプレィヤー存在するか、または、このゲームに固有に定まる濃度がΩの濃度より大きいことを証明した。なお、Ωが有限の時、この条件は十分でもある。この定理により、社会選択論における一般可能性定理および種々の拡張等が統一的に尊びかれる。本論文では。上記定理の証明が実質的には単純ゲームだけでなく、一般の特性関数ゲームについても同様の結果を尊びくことが明らかにされる。すなわち、vを提携Sに対し、Ωの部分集合を対応させる特性関数とし、特性関数ゲームG=(N、Ω、v)を考える。選択対象xがv(S)に属す時、提携Sはxに対して有効といい、かかるS全体をE(x)とかく。いま、各xに対して、E(x)の中から任意に提携S(x)を選び、これらS(x)の共通部分がつねに空でない時、この性質を仮に完全交叉性とよぶ。この論文の主要定理は特性関数ゲームGが、PNがあらゆるバターンをとる時、コアをもつならば、Gは完全交叉性をみたすということで、Ωが有限ならば逆も成り立つということを述べている。この性質を単純ゲームにおいて述べれば、既に上述した結果が得られる。また、Nを有限とし、単調・対称ゲームについて述べればPolishchukの結果が得られる。