著者
秋田 修
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.739-745, 1989-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
36
被引用文献数
1

近年の吟醸酒ブームにともない, 香気生成能の高い酵母を造成しようとする試みが数多くなされている。本稿では酵母の香気生成の機構とそれを利用した香気生成能の高い酵母の分離について, 著者のこれまでの研究を中心に幅広く解説していただいた。
著者
宮坂 正昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.12, pp.960-965, 1980

人間の血液中に含まれている食塩は, 重要な成分である。しかし, 最近の新聞, 雑誌等をみると, 食塩のとり過ぎによる幣害についてのみ, 一方的に, いささか誇大気味に報道されているように思われる。<BR>そこで, 収集資料の分析結果をもとに, 食塩と味噌の関係について詳述していただいた。
著者
李 大勇
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.124-129, 1992

本誌86巻9号に, 第1回国際酒文化学術討論会の様子を報告した。今回は同討論会の通訳を勤め, 坂口先生の「日本の酒」を中国語に翻訳紹介された筆者に, 歴史, 自然, 文化に恵まれた中国四川省の酒周辺について解説していただいた。本稿は筆者が, 自から日本語で書かれた文章なので, その実際と雰囲気を直に味わうのに充分である。
著者
山下 勝 金藏 満次 津田 達志 丹下 達也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.11, pp.874-879, 1991
被引用文献数
1 2

発酵調味料貯蔵タンクの底に, 冬期白色沈澱物が多量に析出した。これを分離し, 調べたところ, キサントプロテイン反応+, フォリン反応+であり, 薄層クロマトグラフィーのRfがチロシンと一致し, かつ赤外吸収スペクトルからもチロシンであることが確認された。<BR>析出が認められた発酵調味料は, アミノ酸度が7m1以上と高くかつチロシンも400-500ppm含まれていた。この高濃度チロシンが冬期の低温で溶解度が減少し, 沈澱物として析出したものと考えられた。<BR>発酵調味料を活性炭処理すると, チロシンが析出しやすくなった。活性炭処理をした発酵調味料は, チロシン溶解度が減少しており, 活性炭吸着物はチロシン溶解度を向上させた。活性炭に吸着されたアミノ酸を調べたところ, トリプトファン, フェニールアラニン, メチオニン, パリン, プロリン, シスチン, リジン, グルタミン酸, セリン等が多く認められた。これらのアミノ酸のチロシン溶解度向上力を調べたところ, チロシン溶解度を向上させるものが多く, 特に, トリプトファン, リジン, シスチン, グルタミン酸等は溶解度向上が著しかった。これらの結果から, 活性炭処理は, 各種アミノ酸を吸着除去するため, チロシンの溶解度が減少し, その結果, チロシンが析出することがわかった。<BR>アミノ酸以外にチロシンの溶解に関係する成分はないか調べたところ, エチルアルコール濃度が大きくなるとチロシン溶解度が減少することが認められたが, その他のグルコース濃度, 食塩濃度, 乳酸濃度, pH等はチロシン溶解度にはあまり大きく関与しなかった。<BR>チロシン析出防止法としては, チロシン含量を400ppm以下にすること, アミノ酸度を7m1以下にすること (アミノ酸度に比例してチロシン含量が減少するため), あるいはチロシンの溶解度を向上させるようなアミノ酸類 (カザミノ酸, 清酒古粕水抽出液等) を添加することが考えられる。一番簡単なのは, チロシン含量の少ない他の発酵調味料を添加することであるが, あるいは糖液を加えて火入れすることにより, メーラード反応を進行させチロシン含量を減少させるのも現場サイドでの実用的なチロシン析出防止法となり得ると思われる。
著者
野村 佳司 高橋 利郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.372-377, 2005-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

清酒には固有の色があり, 品質の4部であるともに風味のバロメータ4になっている。流通段階で清酒が過度に着色するとクレーム対象となるため, 日光着色については万全の対策が講じられている。一方, 着色は日光ばかりではなく蛍光灯によっても起こることはしばしば経験される。筆者らは蛍光灯による清酒の着色現象を詳細に調べている。本稿は着色の実態とその防止策について貴重な情報を提供している。
著者
柏 伸典
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.213-218, 1990-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

平成元年4月の酒税法改訂を機に, 日本の酒類市場は一気に国際化に向けて走り出したといえる。特に, ウイスキー市場は世界的な酒類資本のM &Aと絡み, 他の酒類以上に大きな変化を迫まられた。今後の市場展開には, 海外情報の適確な把握が必要といえる。
著者
布川 彌太郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.555-560, 1971-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1

ビール醸造家は, 昔から酵母の細胞壁の性質に多大の感心を示してきた。それは, 酵母の細胞壁がyeast-head formation, sedimentationあるいはattenuationといったビール醸造上の重要な諸現象に関連し, ひいては, 製品の品質そのものを左右しているからである。近年, 清酒醸造においても, もろみにおける高泡形成やもろみ末期の状貌が, 酵母細胞壁の性質によって支配されていることが明らかにされ, ようやく関心が高まりつつある。この時機をとらえ, 酵母の細胞壁に関する総説を著者にお願いした。本稿には, 酵母細胞壁の構造, その生理的な意義および醸造との関連等が述べられており, 読者は, 綱胞壁というものが, 単なる “タイヤ” 的存在ではないことがおわかりいただけることと思う。
著者
小山 淳
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.746-755, 1997-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

昭和52年に全国的規模の市販清酒調査が国税庁鑑定企画官室と各国税局鑑定官室によって開始されてから平成8年で20年を経過した。調査結果はその都度発表され, 消費者が購入する時点での酒質を知る貴重なデータとして活用されてきた。今回は, 級別制度が廃止された平成4-7年度のデータを中心に, 主力製品, 吟醸酒, 純米酒, 本醸造酒ごとに紹介していただいた。今後の清酒の商品設計を考えるうえで, 貴重な基礎デ地タであり大いに活用できる内容と思われる。
著者
平田 大六 岡崎 直人
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.905-911, 1999-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14

最近, また酒の歴史を感じさせる出来事があった。新潟県関川村渡邉邸の土蔵から, 宝暦の古酒が発見されたと言うことである。本稿では, 歴史的な背景を踏まえ, 本古酒の成分値から見る, 造られた当時の酒について推論していただいた。

1 0 0 0 OA 信州の純米酒

著者
今井 謹也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.15-18, 1979-01-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
6

日本酒を飲まない階層が目立っている。その責任を食習慣の変遷のせいにして放置することはできない。油料理でも肉料理でも物ともせず, 軽くのどを下る酒にしなければならない。者著は純米酒の旗印の下にそれを達成しょうと説いている。
著者
高野 博幸
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.88-94, 1989-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

朝食のパンの香りと風味は, 人生の幸せを感じさせる。このパンの香りと風味は, パン屋の深夜作業からもたらさせる。パン製造業の従業員数別工場数をみると, 従業員5人未満が全体の53%, 従業員10人までの工場が全体の74%で圧倒的多数が中小企業である。パン屋の作業形態改良法として冷凍生地製パン法が工夫されているが, 通常のパン酵母は冷凍障害を起こし発酵力が下がる。これを克服したバイオテクノロジーとして, 冷凍耐性酵母が1970年代に日本で発見された。冷凍耐性のしくみも次第に明かにされつつあり, 工場生産への応用もはじまっている。凍耐性のしくみも次第に明かにされつつあり, 工場生産への応用もはじまっている。バイオテクノロジーが工業生産システムの改変をもたらしたよい例として, やさしく解説していただいた。
著者
宇都宮 仁 磯谷 敦子 岩田 博
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.12, pp.882-889, 2004-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
3

消費者に有用な情報を提供することを目的に, 専門家パネルの官能評価結果と分析値を基に重回帰を行い, さらにこの回帰式を単純化して甘辛区分判別式を定義した。AV=G-AAV: 新甘辛度, G: グルコース (g/dl), A: 酸度 (ml)(AV: 0.2以下を辛口, 0.3から1.0をやや辛口, 1.1から1.8をやや甘口, 1.9以上を甘口)清酒の飲用経験が豊富なパネル及び飲用経験が少ないパネルにより市販清酒の官能評価を行い, 甘辛表示と甘辛評価が異ならないことを確認した。
著者
岩野 君夫 三上 重明
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.791-796, 1988-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
35
被引用文献数
4 5

麹造りにおいては, 清酒では黄麹菌が, 焼酎では白麹菌が, また泡盛では黒麹菌が使用されるが, 各麹菌は酵素力価やpH安定性など, それぞれ異なった特徴を有している。本稿では, 本格焼酎の製麹に用いられる「白麹菌」にスポットをあて, あらゆる角度から他の麹菌と比較検討した結果について解説していただいた。各麹菌の持つ特徴が, 詳細なデータで示されており興味深い。