著者
内藤 欽一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.757-761, 1972-09-15 (Released:2011-11-04)

ブドウ酒の酒質は, 原料ブドウによってほとんど決定されるが, 国内の供給バランスは, 生食用が大部分である。最近諸外国から優良品種のブドウや濃縮果汁が輸入され, この結果国内, 外国産の価格品質におよぼす問題をのべている。
著者
山本 祥一朗
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.106-111, 2004-02-15 (Released:2011-09-20)

酒精強化ワインであるボルトとマディラの伝統的な酒造場の訪問・体験記である。これらは輸出される比率が高く, 現地で一般的に飲まれる酒としての蔭はうすい。それでも今なお人々の誇りであり, 堂々とした存在感がある。その様な現地から眺めた日本の酒類消費に対する提言も汲み取っていただきたい。
著者
萱島 須磨自
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.25-28, 1988-01-15 (Released:2011-09-20)

吟醸酒は, 低落傾向にあった清酒業界の救世主とも称すべき貴重な存在である。しかしながら, この吟醸酒が世に現われ人々にもてはやされるまでには, 長い苦難の道のりが必要であったことを知る人は少ない。筆者は四半世紀も前に吟醸酒の市販を決意し実施に踏切った。今日の吟醸酒時代を招来したパイオニアに25年間の苦心と創意工夫とを語っていただいたが, 吟醸酒をこよなく愛し育ててきた筆者は現在の吟醸酒ブームについて大きな危惧を抱いている。味読をお願いしたい。
著者
岩崎 功 山中 寿城
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.690-699, 2003-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
25

芋焼酎はその特徴的な風味が愛飲家に親しまれている。芋焼酎製造の麹原料にはおもに米麹が使われているが, 最近は品質の多様化の一環として麹も芋から造る純芋焼酎の開発が試みられてきている。筆者らは焙妙処理した芋を使って芋麹について検討し, 効率的な純芋焼酎の開発を行った。麹造りから実仕込みに至るまでの検討過程を紹介していただくとともに, 芋麹における焼酎白麹菌の興味深い酵素生産特性について詳細に記述していただいた。
著者
池見 元宏 斎藤 久一 小泉 武夫 野白 喜久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.831-834, 1981-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
21
被引用文献数
1

1. 秋田県産市販清酒特級酒5点 (本醸造酒3点, 純米酒1点, 吟醸酒1点), 1級酒7点 (本醸造酒3点, 純米酒1点, 純米吟醸酒1点, 普通1級2点), 2級酒6点 (いずれも普通酒) の合計18点を試料として各種タイプ別清酒の成分比較を行った。2. 一般成分の分析から純米酒, 本醸造酒は味の濃醇な清酒, 2級酒はアミノ酸度が少く, 糖分, 日本酒度が高い淡れい甘口型であることなどを知った。3. 微量成分としては3ーデオキシグルコソン値, アルデヒド量, フーゼル油, エステル, ケト酸, フェリシアナイド還元値を比較したところ, その含有量には清酒のタイプ別により特徴的差が見られた。4. 有機酸の組成では純米酒にコハク酸, リンゴ酸が多いこと, アミノ酸組成でも清酒のタイプ別でその構成比が異なることを知った。5. 香気成分では吟醸酒が高級アルコール類およびエステル類ともに多量で, 級別では特級<1級<2級酒の順位であり, 高級酒に香気成分が高い傾向にあることを知った。

1 0 0 0 OA 口噛酒とは (1)

著者
山下 勝
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.38-46, 1999-01-15 (Released:2011-09-20)

植物原料を噛んだものを溜めておき, アルコール発酵を誘発してつくられる, いわゆる口噛みの酒は, 酒の起源の一つであろう.中南米, 南太平洋諸島, 東南アジアと広い地域にわたって存在していることが報告されているが, 製法のルーツ, 関連する微生物や製法と製品成分の関係などについては不明の点が多かった。過去の文献データと合わせて, 実際の製造実験で得られた豊富なデータからの考察も含めた一連の研究の集大成から「口噛酒」の謎に迫っていただいた。
著者
鈴木 康司 飯島 和丸 坂本 幹太 佐見 学 山下 博
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.94-103, 2006-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

乳酸菌の中にビールを濁らせる菌と濁らせない菌が存在し, その形質がホップ耐性の有無と密接に関連することは以前から知られていたが, 筆者らは最新の遺伝子組替え手法を駆使してホップ耐性を司る遺伝子を特定した。これまで不明であったホップ耐性の機構解明のみならず, 現場的な微生物管理にも応用可能であり, 今後の展開が期待される研究である。
著者
木下 恵美子 山越 純 菊地 護
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.126-130, 1994-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2 9

筆者らは醤油のエタノール処理分画物から, 高血圧モデルラットに対し経口投与で顕著な血圧降下作用を示すことを見出し, これが大豆に含まれるニコチアナミンであることを推定した。しかし, この物質は大豆食品の加工方法によっては消滅し, 血圧降下機能も低下する。この種の生体関係の話の内容は難解なものになり勝ちであるが, 極めて平易に解説していただいた。
著者
菅野 道廣 高松 清治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.148-155, 2004-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

大豆は米と共に最も馴染み深い食品であり, 機能性の優れた食品でもある。このことは大豆を使った食品群の豊富なことからも経験的に感じてきたことである。その機能性の宝庫である大豆タンパク質の生理活性成分の効用について先端的な研究例を紹介していただいた.(ここで言う大豆タンパク質とは, 学術研究に汎用されている純度90%程度の分離大豆タンパク質標品で, タンパク質以外にイソフラボン, サポニンなどを含んでいる。)
著者
木村 武
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.775-780, 1986-11-15 (Released:2011-11-04)

飲酒と健康問題は古くから繰リ返し議論されている。本論文はカナダにおいて実施された健康意識と飲酒形態との調査結果を要約したものである。日本における実情と一致するか否かは別として, ここに紹介する。
著者
岩屋 あまね
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.11, pp.760-765, 2002-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
12

γ-アミノ酪酸 (GABA) は, 動植物など自然界に広く分布するアミノ酸の一種で, 哺乳動物の脳や脊髄に存在する抑制系の神経伝達物質であり, 血圧上昇抑制・抗更年期・脳代謝亢進作用等を有することで知られ, GABA高含有機能性食品開発を目的とした研究も数多くなされている。麹菌は, グルタミン酸を脱炭酸してGABAを生成する。味噌用米麹および米味噌のGABA含量, GABA高含量米味噌製造方法の検討もなされている。今回は, 筆者に, 鹿児島県の人々に好んで食べられる, 麹歩合のきわめて高い短期間熟成の, 独特の香味を持つ麦味噌 (多麹麦味噌) の機能性について, 麦麹由来のGABAを中心に, 抗酸化活性についても, 詳細に解説していただいた。
著者
小泉 淳一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.8-12, 1991-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
2

醸造分野のみでなく伝統産業全般に通じる技の伝承にコンピュータがどこまでサポートしてくれるかを解説していただいた。目新しい用語も多く出てくるが, その解説から, 現段階でコンピュータが代替できる機能とその内部構造, 人間との違いと将来機械がどのように進化しても限界のある点を明示し, コンピュータと共存繁栄できる新時代の匠をめざす人たちには役立つところが多い。
著者
小関 卓也 岩野 君夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.7, pp.510-517, 1998-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
29
被引用文献数
2 6

焼酎製造には様々な原料が使用されており, その原料の違いによる個性が備わっていると考えられる。しかしながら, 芋焼酎でその特徴香が甘藷から由来するモノテルペンアルコール類であることが明らかにされていることなど以外に, 原料由来の香味についての詳細な研究は多くはない。本解説では焼酎, 特に泡盛中のバニリンの由来を探求し, バニリンが植物細胞壁のリグニンから麹菌の酵素, 蒸留中の化学反応, さらには貯蔵中の化学反応を経て生成されることを明らかにし, さらには関与する酵素の遺伝子レベルでの研究も含めて, 一連の研究成果について紹介していただいた。このような研究の積み重ねにより, 焼酎をはじめとする酒類の香味に対する原料の意義や, 貯蔵も含めた製造工程の意義が明らかにされ, 酒類の多様化にも寄与していくことが期待される。