著者
布田 博敏 平松 尚志 神 繁樹 神 繁樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

マガキ由来の新規の抗酸化物質(DHMBA)において、肝培養細胞を用いた抗酸化能の観察、及び非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルマウスを用いた肝病変の改善効果を検証した。肝培養細胞を用いた実験では、DHMBAは酸化剤に対する細胞保護作用や酸化誘導性のアポトーシスに対する抑制効果が観察された。NASHモデルマウスを用いた実験では、DHMBA を高濃度含むマガキ抽出物によりNASHの肝臓特有に見られる病理組織学的症状の改善、及び抗肥満、インスリン抵抗性の改善が見られた。これらのことから、DHMBAは酸化ストレスが発生原因と考えられているNASHの予防や治療に有効と考えられた。
著者
井上 勝生
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

昨年夏、家族が事故にあい、その介護などのため、現地調査が必要な本研究は滞った。昨年度は、そのようななかでも、研究誌(東学農民戦争特集号)に、論文と史料紹介発表を実現することが出来た。論文と史料紹介の2本で、京都大学人文科学研究所『人文学報 特集 日清戦争と東学農民戦争』111号に、巻頭論文「東学農民戦争、抗日蜂起と殲滅作戦の史実を探究して――韓国中央山岳地帯を中心に――」と史料紹介「東学党討伐隊兵士の従軍日誌――「日清交戦従軍日誌」徳島県阿波郡――」を発表した。史料紹介は、東学農民軍殲滅に従軍した四国出身、一日本兵士の「従軍日誌」復刻である。後備兵への応召、東学農民軍討滅のための渡韓。ソウルから三路に分かれ出軍。東路進撃。京畿道・忠清道での討伐。東の慶尚道を討伐しつつ南下。縦断する山岳を越え、西の全羅道へ転回。農民軍主力が集結していた南原から、長興、羅州へと東学農民軍を殲滅。公式記録に記されない現場の様相を兵士が記した「従軍日誌」を原文通りに復刻し、農民軍の拠点村々全部の焼き打ち。銃殺、焼き殺し、銃剣による刺殺、苛烈な戦闘状況など。忘れられていた戦場を韓国側研究者と共同の現地踏査と、文献資料にもとづいて検証した。その結果、討伐戦争が、これまでの想定をおおきく越える徹底したものであったこと、戦場も、知られていなかった利川、東幕里、城内里、文義・沃川、南原などを現地調査し、もっと広範なものであったことなどを検証した。この「従軍日誌」現地調査は、韓国の東学農民戦争第一線の研究者らと共同で行ったが、まだなかばを残している。
著者
三浦 恭子 坊農 秀雅 清水 厚志 大岩 祐基
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

ハダカデバネズミ(Naked mole rat, NMR)は、マウスと同等の大きさ(平均体重35 g)ながら異例の長寿動物(平均寿命28年)であり、これまで自発的な腫瘍形成が一切認められていないというがん化耐性の特徴をもつ。本研究では、NMR個体のがん化耐性を制御すると考えられる、「NMR特異的がん化抑制バリア ASIS(ARF抑制時細胞老化)」の形成機構・役割を詳細に明らかにすることを目的とした。mRNA-seqによる解析の結果、発現変動する遺伝子群、また、ASISにおけるNMR種特異的なシグナル伝達制御が明らかになった。
著者
河合 久仁子 中下 留美子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究はモモジロコウモリが根室海峡を飛翔しているという知見に対し、その生態を明らかにし、適応的意義を考察することを目的とした。このため、音声調査、標識捕獲調査、皮膜および体毛の採集による安定同位体比解析および集団遺伝学的解析を行った。その結果、海上を飛翔する個体が海で採餌している可能性は低く、海上飛翔は特定の気象条件の時のみ観察されること、およびモモジロコウモリ以外の種も海上を飛翔していることが明らかになった。標識再捕獲調査では国後島、知床半島および海上で捕獲された個体の直接的移動はこれまで確認されていないが、これらの地域に生息する個体の遺伝的分化はほとんどないことが明らかとなった。

1 0 0 0 OA 年表

出版者
北海道大学
雑誌
北大百年史
巻号頁・発行日
vol.通説, pp.1-128, 1982-07-25
著者
江田 真毅
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

家禽(ニワトリ、シナガチョウ、アヒル)の飼育は、新石器時代の中国北部で最初に始まったとされ、とくにニワトリの飼育は約10,000年前まで遡るとされてきた。本研究では、家禽化プロセスの解明のために、中国中部・北部の新石器時代と青銅器時代を中心に計23遺跡から出土した鳥類骨を調査した。その結果、新石器時代前期および中期の遺跡ではニワトリの可能性のある骨は皆無であり、また新石器時代後期や青銅器時代の遺跡でもニワトリの可能性のある骨の出土は稀だった。このことは、新石器時代前期や中期におけるニワトリの飼育を否定するとともに、青銅器時代においてもニワトリの利用は稀であったことを示唆すると考えられた。
著者
白浜 晴久
出版者
北海道大学
巻号頁・発行日
1962

博士論文
著者
FEDOROVA ANASTASIA
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

京都大学で執筆した博士論文 “Japan’s Quest for Cinematic Realism from the Perspective of Cultural Dialogue between Japan and Soviet Russia, 1925-1955”を単行本として纏めるにあたって、これまでの研究成果を再吟味した上で、新たな一次資料の調査・収集を行い、戦後の東アジアにおけるリアリズム映画の比較研究をさらに発展させた。2016年9月1日 ~ 2017年5月31日にかけては、イェール大学(アメリカ)のEast Asian Languages and Literatures学部に客員研究員として籍を置き、東アジア諸国における映画関係資料が豊富に所蔵されているコロンビア大学東アジア図書館(Makino Collection)や、左翼系の映画運動史に関する資料が集められたニューヨーク大学図書館(Tamiment Library & Robert F. Wagner Labor Archives)での資料収集を行った。このとき得られた研究成果は、英語でまとめた上で、世界最大規模のアジア研究学会であるAAS (Associatio for Asian Studies) で口頭発表を行った。去年から本年度にかけては、戦後の日本で刊行された唯一のソビエト映画専門誌である『ソヴェト映画』(1950年~1954年)の復刻版の作成にも携わってきた。雑誌『ソヴェト映画』の総目次や索引を作成し、『ソヴェト映画』の刊行と廃刊の裏にあった歴史的背景、戦後のソビエト連邦における映画制作事情、戦後の日本におけるソビエト文化の受容形態を考察した解説文を執筆した。これらの総目次と解説文を所収した『ソヴェト映画』の復刻版は2016年7月に不二出版から発行された。