著者
矢野 環 福田 智子 ヤノ タマキ フクダ トモコ Yano Tamaki Fukuda Tomoko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1-26, 2018-11-30

資料(Material)本稿は、「《資料》 竹幽文庫蔵『香道籬之菊』の紹介」(『社会科学』第46巻第2号、2016年8月)を受け、「同―同(三)―」(『社会科学』第47巻第1号、2017年5月)、「同―同(四)―」(『社会科学』第47巻第2号、二〇一七年八月)、「同―同(五)―」(『社会科学』第47巻第3号、二〇一七年十一月)、「同―同(六)―」(『社会科学』第47巻第4号、二〇一八年二月)、「同―同(七)―」(『社会科学』第48巻第1号、二〇一八年五月)、「同―同(八)―」(『社会科学』第48巻第2号、二〇一八年八月)に引き続き、竹幽文庫蔵『香道籬之菊』所載の組香について、とくに和歌を主題とする組香の翻刻と考察をおこなうものである。本書は、礼・楽・射・御・書・数の6巻6冊から成り、177の組香が掲載されているが、その半数近くは、和歌および歌集の序文など、特定の作品を素材として組み立てられている。そこで、本稿では、御の巻から、小男鹿香、高砂香、待乳山香、月宴香、花野香、白梅香、隅田川香の、計七つの組香を取り上げた。
著者
根津 朝彦 ネズ トモヒコ Nezu Tomohiko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.113-136, 2013-02

論説(Article)これまで看過されてきた1950年代の多田道太郎の仕事のもつ意味に注目し、彼に有する「非・反アカデミズムの視座」の特徴と変容を明らかにした。多田がこの視座を培ったのは、京大人文研と『思想の科学』、桑原武夫と鶴見俊輔との出会いが大きい。そして多田は学問に発想を重んじていくが、60年安保以降、アカデミズムへの志向はかげりを見せ、50年代に多田が目指していた研究者と実作者を橋渡しする学問の模索を断ちきってしまった。
著者
福田 智子 フクダ トモコ Fukuda Tomoko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.1-26, 2018-08-31

研究ノート(Note)『古今和歌六帖』は、約四千五百首の歌を、二十五項目、五百十七題に分類した類題和歌集である。収載歌には、『万葉集』『古今集』『後撰集』など、出典の明らかな歌もある一方、現在では出典未詳と言わざるを得ない歌もある。本稿では、「椎」から「山萵苣」までの題に配されている出典未詳歌、十首について注釈を施す。
著者
矢野 環 福田 智子 ヤノ タマキ フクダ トモコ Yano Tamaki Fukuda Tomoko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-25, 2018-05-31

資料(material)本稿は、「《資料》 竹幽文庫蔵『香道籬之菊』の紹介」(『社会科学』第46巻第2号、2016年8月)を受け、「同―同(三)―」(『社会科学』第47巻第1号、2017年5月)、「同―同(四)―」(『社会科学』第47巻第2号、二〇一七年八月)、「同―同(五)―」(『社会科学』第47巻第3号、二〇一七年十一月)、「同―同(六)―」(『社会科学』第47巻第4号、二〇一八年二月)に引き続き、竹幽文庫蔵『香道籬之菊』所載の組香について、とくに和歌を主題とする組香の翻刻と考察をおこなうものである。本書は、礼・楽・射・御・書・数の6巻6冊から成り、177の組香が掲載されているが、その半数近くは、和歌および歌集の序文など、特定の作品を素材として組み立てられている。そこで、本稿では、射の巻から、新時鳥香、蛙香、妻乞香、また御の巻から、重陽香、枝折香、八幡山香の、計六つの組香を取り上げた。
著者
米原 謙 ヨネハラ ケン Yonehara Ken
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.107-136, 2017-05

研究ノート(Note)日本型社会民主主義とは、英国労働党やドイツ社会民主党のような西欧社会民主主義、ボルシェヴィキのような前衛党を否定し、マルクス主義を堅持しながら民主主義の拡充を通じて社会主義革命を実現しようとする考えかたである。それは1920年代の山川均が試行錯誤の末にたどり着いた結論だった。山川は1920年代初めにはロシア革命とレーニンを支持し、第一次日本共産党の理論的中心だったが、20年代半ばから徐々に小ブルジョアを含む「協同戦線」を主張し、前衛党という考えかたを批判するようになる。
著者
渡辺 恭彦 ワタナベ ヤスヒコ Watanabe Yasuhiko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.239-258, 2016-05-30

論説(Article) 本論では、戦後日本の哲学者廣松渉の著作『生態史観と唯物史観』(1986)を扱った。同書は、1957年に梅棹忠夫が発表した「文明の生態史観」を批判的に検討したうえで、廣松渉自身の歴史観を打ち出したものである。生態学の遷移(サクセッション)理論を文明論的な歴史の展開に援用した梅棹の生態史観を、廣松は人間社会と自然環境との相互作用を対象化していないとみている。廣松は、両者を媒介するのは人間の歴史的営為であるという。 We are concerned with "The ecological view of the history and the historical materialism" (1986) by Japanese philosopher Hiromatsu Wataru. This writing describes his perspective of history, examining " an ecological vie of the history" (1957) by Umesao Tadao. Umesao applies the ecological succession theory to development of the history. However, Hiromatsu points out that Umesao's theory doesn't explain how the human society and the environment interact each other. Hiromatsu claims that what mediate both of them is historical action of human kinds.
著者
梅木 真寿郎 ウメキ マスオ Umeki Masuo
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
キリスト教社会問題研究 = The Study of Christianity and Social Problems (ISSN:04503139)
巻号頁・発行日
no.66, pp.73-106, 2017-12-22

論説(Article)本研究は、竹中勝男のキリスト教観における社会観や思想的な内実、変遷の過程について考察し、竹中のキリスト教社会事業における概念構成や基準とはいかなるものであったのかを明らかにすることを目的とするものである。①竹中とラウシェンブッシュの社会的福音の関係、そして②単著『基督教社会思想史』と訳書『キリスト教社会愛史』の分析から、③竹中の基督教社会事業におけるキリスト教の社会思想について検討した。竹中の基督教社会事業は、キリストの愛(Caritas)を起点に、任意主導性による社会化を経た個人・集団・共同社会における要救護性に対しての社会的活動であることが明らかになった。The purpose of this study is to clarify the construciton of a framework and criteria for the Christian Social Work of Katsuo Takenaka in additon to the changes of his view on Christianity, Society and the Thought. As a method of research : (1) to examine the influence of Walter Rauschenbusch's view of Social Gospel on Takenaka's view of Christianity : (2) to analyze the relation between History of Christian Social Thought and Stories of Social Christianity : (3) to examine the Christian Social Work of Takenaka focusing on Christian Social Thought. The results show that his Christian Social Work is social activity for the need of relief of the vulnerable people, groups and community. That is to say, it's socialization of human security with voluntary action based on Caritas.
著者
矢野 環 福田 智子 ヤノ タマキ フクダ トモコ Yano Tamaki Fukuda Tomoko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.47-72, 2017-09-11

資料(Material)本稿は、「《資料》 竹幽文庫蔵『香道籬之菊』の紹介」(『社会科学』第46巻第2号、2016年8月)を受け、「同 : 同(三)」(『社会科学』第47巻第1号、2017年5月)に引き続き、竹幽文庫蔵『香道籬之菊』所載の組香について、とくに和歌を主題とする組香の翻刻と考察をおこなうものである。本書は、礼・楽・射・御・書・数の6巻6冊から成り、177の組香が掲載されているが、その半数近くは、和歌および歌集の序文など、特定の作品を素材として組み立てられている。そこで、本稿では、楽の巻から、皐月香・大井川香・外山路香・新六歌仙香、また、射の巻から、深山香・宇治拾遺香の、計6つの組香を取り上げた。
著者
福田 智子 フクダ トモコ Fukuda Tomoko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.27-46, 2017-09-11

研究ノート(Note)『古今和歌六帖』は、約四千五百首の歌を、二十五項目、五百十七題に分類した類題和歌集である。収載歌には、『万葉集』『古今集』『後撰集』など、出典の明らかな歌もある一方、現在では出典未詳と言わざるを得ない歌もある。本稿では、「檀」から「紅梅」までの題に配されている出典未詳歌、九首について注釈を施す。
著者
戸田山 祐 トダヤマ タスク Todayama Tasuku
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.33-64, 2016-05

論説(Article)本稿は,1940年代末から50年代にかけての米墨両国政府の移民・国境警備政策およびテキサスからの反応について論じた。メキシコ人非合法移民の流入を抑えるため,米墨両国はメキシコ人短期移民労働者の雇用を同州の農場経営者に促す一方で,米国移民帰化局は1954年に大規模な非合法移民の送還を実施した。1950年代後半には,短期移民労働者プログラムの拡充と国境警備の強化を両輪とする両国合同の政策枠組みにテキサスは完全に組み込まれたのである。This paper examines immigration and border control policies of Mexico and the United States from the late 1940s to the 1950s as well as reactions from Texas to such policies. While the United States and Mexico encouraged Texan growers to employ temporary workers from Mexico instead of undocumented workers, the U.S. Immigration and Naturalization Service initiated mass deportations of undocumented immigrants in the mid-50s. By the late 1950s, Texas was fully incorporated into the binational policy framework, which was comprised of expansion of the temporary worker program and stricter control of the U.S.-Mexico border.特集 ラテンアメリカにおける国際労働移動の比較研究(Special issue: Comparative study of international labor migration in Latin America)
著者
佐藤 夏樹 サトウ ナツキ Sato Natsuki
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.121-146, 2016-05

研究ノート(Note)1980年代に「ヒスパニック組織」となったLULACの視野はラテンアメリカ全域へと広がった。LULACは外交分野、特にエルサルバドル問題で合衆国政府を痛烈に批判し、そうした姿勢はラテンアメリカとの関係改善を望むイスラエル政府からの接触へとつながった。一方、LULACはイスラエル政府との関係を利用して合衆国内のユダヤ系コミュニティとの関係構築を目論んだ。「ヒスパニック組織」となったことで、LULACは新たな活動を展開していくこととなった。In 1980s, League of United Latin American Citizens (LULAC), the oldest and largest Mexican American Civil Rights Organization, expanded the scope of their activities to Latin America because they became "Hispanic" organization. LULAC criticized Reagan Administration's Foreign Policy in Latin America. LULAC's critical attitude to the U.S. policy in El Salvador attracted Israeli government's attention because they wanted to improve relations with Latin American Countries. Hispanic leaders including president of LULAC, Tony Bonilla, were invited by Israeli government and they planned to utilize this opportunity to build relations with Jewish community in the United States.特集 ラテンアメリカにおける国際労働移動の比較研究(Special issue: Comparative study of international labor migration in Latin America)
著者
小田切 明徳 オタギリ アキノリ Otagiri Akinori
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
キリスト教社会問題研究 (ISSN:04503139)
巻号頁・発行日
no.65, pp.165-171, 2016-12

エッセイ(Essay)この物語は宇治と祇園の二つの地が舞台です。宇治は山宣(山本宣治;1882-1929 性科学者、産児調節運動のリーダー)の父(亀松)と母(タネ)の生家です。祇園はタネの友人のタカがいました。ここはタカの関係者が東京からやってきました。夏目漱石、松井須磨子、島村抱月一座などです。『祇園夜話』で有名な吉井勇や長田幹彦が接待しましたが、今でも晩秋になると白川では「かにかくに祭」が行われ、芸者舞子らがつどい当時を偲びます。This story will be performed in Uji and Gion. Uji was the place where Kamematsu and Tane, the parents of Yamasen were born (Yamamoto Senji; 1882~1920, a sexologist and expert of birth control pragmatist), and Gion was a the area Tane's friend Taka lived. In the Taisho era, Natsume Soseki, Matsui Sumako and Shimamura Hogetsu often visited Gion, and there was a big boom of light novels (famous writers where Hasegawa Shigure and Nagata Mikihiko, and Yoshii Isamu who published Gion Yawa) Still now, a party called "Kanikakuni festival" is annually held in the late autumn: many Maiko and Geisha get together at Shirakawa riverside in memory of that time.
著者
三原 芳秋
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
no.90, pp.1-42, 2011

論説(Article)本論考は,T.S.エリオットの「伝統と個人の才能」(1919年)が,帝国日本の思想家・西田幾多郎および植民地朝鮮の「親日派」・崔載瑞というふたりの知識人によって「誤読」された事例をめぐって,そもそもエリオットのmetoikos(居留外国人)的主体性に潜在していたイデオロギー素の解析から,この不気味な「誤読」を生んだ政治的・理論的ドラマの絡まり合いを解きほぐし,その過程で生産され抑圧された「問題」を明るみに出すThis article deals with the two uncanny "misreadings" of T. S. Eliot's "Tradition and the Individual Talent" (1919) by Nishida Kitaro, leading philosopher of the Japanese Empire, and Choe Chaeso, "pro-Japanese" intellectual of Colonial Korea. Analyzing the ideologemes inherent in Eliot's metic [i.e., metoikos] "Tradition", the author attempts to unweave the intertwined political and theoretical dramas involved in these unpredictable disseminations, and to uncover the unique "problems," or "problematics," produced and suppressed through the process.
著者
渡辺 恭彦 ワタナベ ヤスヒコ Watanabe Yasuhiko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.239-258, 2016-05

論説(Article)本論では、戦後日本の哲学者廣松渉の著作『生態史観と唯物史観』(1986)を扱った。同書は、1957年に梅棹忠夫が発表した「文明の生態史観」を批判的に検討したうえで、廣松渉自身の歴史観を打ち出したものである。生態学の遷移(サクセッション)理論を文明論的な歴史の展開に援用した梅棹の生態史観を、廣松は人間社会と自然環境との相互作用を対象化していないとみている。廣松は、両者を媒介するのは人間の歴史的営為であるという。We are concerned with "The ecological view of the history and the historical materialism" (1986) by Japanese philosopher Hiromatsu Wataru. This writing describes his perspective of history, examining " an ecological vie of the history" (1957) by Umesao Tadao. Umesao applies the ecological succession theory to development of the history. However, Hiromatsu points out that Umesao's theory doesn't explain how the human society and the environment interact each other. Hiromatsu claims that what mediate both of them is historical action of human kinds.
著者
岡本 真希子 オカモト マキコ Okamoto Makiko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.73-111, 2013-02

論説(Article)本稿の課題は,日本統治期台湾の官僚組織における通訳育成について,台湾語学習の教材を提供した月刊誌『語苑』を主な対象としながら,1930-40年代を中心に検討することである。1930年代前半は、台湾総督府が「国語」普及政策を推進するなかで,台湾語通訳育成問題は政策と矛盾し複雑な様相を帯びていった。また,1930年代後半以後の「皇民化」政策期には,『語苑』は「同化」・「教化」のための台湾語通訳育成を主張するなど,いっそう複雑で矛盾した状況が生じていった。本稿では,戦時期植民地統治下における台湾語通訳育成という検討課題を通して,植民地主義と密接な関係を持つ通訳育成問題の諸相を明らかにするものである。本研究主要透過日治時期發行於台灣的語學(台語)雜誌《語苑》,探討台灣總督府官僚組織內部的培養通譯問題,以1930-1940年代為中心。1930年代前半臺灣總督府推動<國語>(日本語)普及政策下,其政策和培養臺灣語通譯問題發生矛盾和複雜的樣貌。然後1930年代後半<皇民化>政策期後,《語苑》主張為了<同化>、<教化>的培養台灣語通譯,出現更複雜和矛盾的狀況。本研究透過戰爭時期殖民地統治下培養台灣語通譯的課題,探討和殖民主義有密切關係的培養通譯問題樣貌。