- 著者
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團野 哲也
川口 順子
鳥居 隆司
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.58, pp.232, 2006
目的 巡航高度に達した旅客機の機内は,0.8気圧,相対湿度10%程度と,通常の生活環境からは大きく隔たっていることが知られている.このような外部環境の変化に伴って,衣服気候も相当の変化を伴うと予測されるが詳細については不明な点が多い.長時間のフライトにおいても健康で快適な衣環境が提供されることは,旅客にとって重要である.そこで本報告では旅客が機内へ搭乗開始してから目的地へ到着するまでの,外部環境と衣服気候を詳細に記録する方法とその問題点について述べる.また,得られたデータについての解析も一部行う.<BR>方法 データロガーとして,TANDD社製Thermo Recorder TR-72Uを2台用い,それぞれ機内環境,衣服気候測定用とした.温湿度ジャンプ方により求めた温湿度プローブ(TR- 3110)の時定数(63%)は,それぞれ180秒(温度),150秒(湿度)であった.測定は2005年7月30,31日ANA高知,東京間の往復にて行った.被験者は49歳男性で,衣服気候測定プローブを田村の方法1)により,みぞおちの皮膚に固定した.測定間隔は1分とした.測定時の服装には,内衣として半袖Tシャツ,上衣には半袖のカッターシャツを着用した.<BR>結果 機内温度は離陸直前から巡航高度にいたる約15分間に3.5℃低下し,その後は徐々に上昇した.機内湿度は離陸直後から下降直前までに約50%低下し,最低値は13%であった.衣服気候も機内環境の変化に伴い同様に下降上昇を示したが,温度は環境変化に良く追随したのに対し,湿度変化は環境変化よりも緩慢であった.環境変化が短時間で起こるので,レスポンスの早い測定プローブを使用する必要があると考えられる.<BR>文献 1) 田村,基礎被服衛生学,p78,文化出版局(1988)