著者
國友 宏渉 江上 いすず
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.139-145, 2001-04-01 (Released:2019-07-01)

健康な男女大学生を対象に,CXD (Computed X-ray absorptiometry)法および超音波(Ultrasound method: US法)法を用いて骨密度を測定し,異なる2つの測定法による評価値の比較・検討を行った.また,両評価値と身体属性や運動歴との関連についても分析を行った.その結果,CXD法およびUS法によって得られた骨密度指標ΣGS/DとStiffnessによる評価結果は必ずしも一致せず,両者の間に相関関係は認められなかった.その原因の一つとして,測定部位の特性が骨密度に反映されるということが考えられる.つまり,外的ストレスの影響を多く受けると考えられる踵骨骨密度(US法)と,影響が少ないと思われる,第2中手骨骨密度(CXD法)では,一定の条件下で比較することは困難であるといえる.また,体格や運動歴と骨密度との関係においても,体重荷重や運動による機械的ストレスが多く加わる踵骨との間にのみ相関関係が認められた.一方,第2中手骨骨密度に関しては,外的ストレスによる影響の個人差が小さいことから,今後食生活や遺伝との関連について分析していくことにしたい.
著者
髙橋 圭 関 豪
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.85-90, 2022-03-31 (Released:2023-06-01)

熱中症は暑熱環境に体が適応出来ずに体温が上がることで起きる疾患である.教育現場では毎年5000件程度発生している.また,毎年1000人以上の高齢者が亡くなっている.各省庁が熱中症予防のために指標やガイドラインを作成しているが,個々人の習慣によって予防することが重要だと考える.そこで今回,食事・栄養や運動に焦点を当てた熱中症予防の方法についてまとめた. 食事としての予防は,(1) 喉が渇いていなくても水分をこまめにとること,(2) 水分補給できる食材を食べること,(3) 塩分はとりすぎに注意して補給すること,(4) 朝ごはんもしっかり食べること,(5) 調理方法や食事内容を工夫することが考えられる.運動による予防は,暑熱順化が起きるよう汗をかく程度の運動を習慣づけて行うことが考えられる.
著者
石田 和夫
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.25-31, 1988-04-01 (Released:2019-07-01)
被引用文献数
2

B.cereus「嘔吐型」食中毒と,原因食のほとんどを占める米飯との因果関係を明らかにする基礎的な資料を得る目的で,生米における本菌の汚染実態調査と,米飯における増殖試験を行った.1)生米121検体のうち,76検体(62.8%)からB.cereusが検出され,生米が本菌によって広く汚染を受けているという結果となった.生米1gあたりのB.cereus菌数は101〜102であった.2)分離したB.cereus76株について生化学性状を調べ,生物型分類を行ったところ,食中毒原性の疑われる生物型6型と7型については,7型に分類されたものが1株のみで,6型はなかった.従って,生米を汚染しているB.cereusが食中毒を惹き起こす危険性は低いものと推察された.3)生物型の異なる3種(1型,2型,6型)のB.cereusの米飯での増殖試験を行ったが,食中毒原性の疑われる6型の増殖がやや低かった.これはデンプン水解性の有無による差と推察された.
著者
吉田 洋
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.153-157, 2013-03-31 (Released:2019-07-01)

資産除去債務の会計基準の影響により,企業が抱える潜在的な債務が明らかになった.本稿では外食産業を例にして資産除去債務の会計処理方法の問題点を明らかにする.資産除去債務は外食産業各社によって費用計上の考え方が大きく異なっている.企業間比較のため,外食産業における資産除去債務の会計処理の統一が課題として必要である.
著者
神谷 勝広
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.132-126, 1997-04-01 (Released:2019-07-01)

羅山の評判は,従来あまり良くない。封建制の維持に関わった御用学者というのが,大方の見方のようである。中には,「羅山の人格・品性が立派ではなく,魅力に乏しい点があるらしい」といったものまである。確かに,家康の命で剃髪するなどを,従俗の姿勢がある。しかし,より巨視的な視点に立てば,羅山には,もっと積極的に評価すべき面が存在する。羅山は,時代の変革期に当たる江戸初期に登場し,それまでの閉鎖的な学問世界に強く反発する。具体的には,今日の公開講座のごときものを催したり,自己の編書を出版機構に乗せたり,さらに学校を組織しようとする。これらからすれば,羅山の最も重要な特徴は,<知識を伝播することへの強い意欲>と考えられる。従来,日本文化史上,知識の公開を強く提唱した人物には,明治初期の福沢諭吉があげられる。文明開化の中で平等を唱えた諭吉に対し,羅山は,封建制度成立に荷担した人物として対立的に見なされがちだが,知識の公開の流れは,羅山を含めた江戸初期の啓蒙家達と,諭吉を含めた明治初期の啓蒙家達によって,二段階で大きく進展した。知識の公開へと進もうとした方向性において,羅山と諭吉は,むしろ近似するのではないだろうか。
著者
大野 知子 濱田 義和 中塚 静江 飛田 寿美子 三浦 英夫 長鶴 佳子 北井 夏子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.71-80, 1990-04-01 (Released:2019-07-01)

1)対象者の94.1%が昼食を「職場内食事」あるいは「外食」に依存していた.2)「職場内食事」は,各年代とも給食の利用が多く,取り寄せ物は50代が,手作り弁当は30代が他の年代に比べて多かったが,テイクアウト物はどの年代もほとんどみられなかった.3)外食店舗は,各年代ともうどん・そば店の利用率か高く,店舗の選択理由も「手軽・迅速」を挙げた点からも納得できる.4)昼食費は,週5〜6回以上では600円未満が,それ以外の頻度では600円以上の者が過半数を占め,月2〜3回程度の者には低額喫食者層と高額喫食者層の二極にわたってバラツキがあった.このことから,喫食頻度と昼食費は相互に関係していると推察できる5)料理の平均選択数は,低年齢層あるいは低頻度の者のほうが多くなる傾向にあった.6)年代・頻度別に選択した料理の種類では,低年齢層と高年齢層の2つのクラスターが形成された.7)サラリーマンの外食での昼食は,定食・うどん類・そば類・ラーメンなど選択の容易さで済まされている傾向にあった.
著者
江上 いすず
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.35-43, 2001
被引用文献数
1

わが国の高齢化の進行は世界一であり, それだけに高齢者対策は急務を要する.高齢社会においては, 第1に高齢者の疾病予防・健康増進対策, 第2には, 高齢者のライフスタイルとして, 自己の成長と子育てが終わり, 残りの人生をいかに楽しくすごすことができるかという余暇活動の充実があげられる.このような現在の高齢者が直面するさまざまな問題を踏まえ, 高齢者のQOL(生活の質)を高めるには, 高齢者にとってどんな要求課題が考えられるか, また, 必要課題は何なのか, これらを検討することを目的とする.第1章には高齢者の疾病予防, 第2章には高齢者の生きがいとして高齢者教室の事例報告などを記述し, これらを背景として第3章に高齢者における要求課題と必要課題を提言する.特に, 高齢者の要求課題としては, 地域社会での仲間作り, 老人会等の充実・活性化がある.また, 生涯教育の第一線となる各種高齢者対象の教室も, 現在の日本が直面するあらゆる問題について, 今後は世代を超えた教育の場が望まれる.高齢者の必要課題としては, 高齢者自身による疾病予防・健康増進の具体的な実践であろう.また, 余暇活動として中高年期からの早めの生涯教育を実施することで, 高齢期につなげた長期に及ぶ学習意欲の継続を図ることが必要である.21世紀のわが国は, 5人に1人が高齢者という超高齢社会をポジティブに受けとめ, 国, 地域, そして, 高齢者自身が一体となってQOLを高めることが重要であると考える.
著者
須藤 裕之 菱田 次孝
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.127-138, 2010-03-31 (Released:2019-07-01)

戦後の食生活の大きな変化とともに食の多様化・国際化が進み、わが国の食料消費量の相当な部分が海外からの輸入食料に依存している。その結果、わが国の食料自給率(カロリーベース)は先進国中、最低水準の40%にまで落ち込んでおり、将来の食料安全保障問題を懸念する声が大きくなりつつある。こうした事態に至った背景には、食の簡便化・外部化の進展に伴う調理済み食品への需要増加と栄養面における動物性タンパク質の過剰摂取があるといえる。本稿では、年間2200万tにも達する食品輸入と総量ベースでほぼ同量の食品廃棄物(食品ロス)の問題に焦点を当てて、わが国が現在抱えている「食」に関する諸問題に対して今後どのように対処していくべきかを検討している。
著者
芳本 信子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.141-149, 1996

近年, 日本の食文化は「飽食」「食の簡便化」「外食化」あるいは「食の外部化」などの流行語に左右されるような食生活の変容がみられる.この現象は, 1960年頃からの産業構造の高度化と家庭の幸せを重視したマイファミリー家族の誕生した時代に由来する.加工技術の進歩によって開発されたインスタント食品, また, 1985年秋から始まった肉類や乳製品の輸入枠の拡大による異食文化との接触やマス・メディアによる多彩な情報によって, 生活はますます豊かになった.そして, これらに深く関わっていると考えられるのが, 象徴的に増加を続ける動物性脂肪である.それは同時に潜在性疾患に続く, 慢性疾患(成人病)の増加を招き, 疫学的調査においても, それらは相関関係にあることが立証されるようになった.厚生省をはじめとする各省は危機感をもって, 日本国民全体の食生活の内容を指導する提言をまとめた.このような日本における食文化の変容の過程に介在する人間(特に母親)が環境と主体的にかかわる生活の中で, いかに食文化変容にかかわっているのかの検討を各種, 文献を用いて試みた.母親を通して, 好ましい食文化が, 各世代ごとに適切に認識されることは, 個人の健康のみならず, 社会全体の健康を約束することになるからである.
著者
内多 允
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-36, 2005-03-31 (Released:2019-07-01)

中南米各国は世界各地に,出稼ぎ労働者や移民を送り出している.その最大の受入国は,米国である.彼等の多くは母国の家族への送金を続けているが,その額は中南米における対外資金の流人源として無視できない規模に達している.本稿では,その実態と中南米への主要な送金元である米国におけるヒスパニック(中南米系)社会の経済規模を取り上げる.なお本稿では,出稼ぎ就労者や移民が母国へ送る行為を「送金」と記載している.
著者
下田 隆信
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.59-62, 2003

ポリウレタンを常圧下と加圧下の各種条件で熱分解を行い,有効成分の回収を目的とした場合の生成物に対する反応諸条件の影響について検討した.常圧および加圧熱分解において,ガス状生成物の主成分は二酸化炭素と,低級炭化水素はメタン,プロピレンの生成が各条件とも特に多く認められたが,反応温度400℃,常圧法では1,3-ブタジエンの生成は多くなるが,加圧法では温度上昇とともに消失した.液状生成物については,常圧法の主成分はテトラヒドロフラン(以下THFと略記),シクロペンタノン,アニリン,p-トルイジンおよび1,4-ブタンジオールであった.加圧法では,THF,アニリンおよびp-トルイジンで,シクロペンタノンの生成は微量であり,1,4-ブタンジオールの生成は認められなかった.
著者
栗林 芳彦
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.123-132, 2013

西尾市は抹茶の生産量が日本一であり,多くの加工食品に西尾抹茶が使われているが,残念ながらその事実はあまり知られていない.他方,宇治抹茶の評価は極めて高い.今回実施した調査では,西尾抹茶がこれに対抗する糸口を探るべく,宇治抹茶が加工食品の原材料として使われた際もその高いブランド力を維持するかをインターネット調査を通じて調べた.結果としては,宇治抹茶を使った製品は産地を特定しない抹茶を使用した製品に比べて高い評価を得ていた.ただし,宇治抹茶の評価は日常的な抹茶への接触経験の多寡と直接的に関係がないことも明らかになり,消費者の食品ブランドに対する態度の複雑さを浮き彫りにすることになった.
著者
長谷川 聡 安井 明代 山口 宗芳
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.51-58, 2013-03-31 (Released:2019-07-01)

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の教育利用の可能性とソーシャルラーニングシステムの教育効果について名古屋文理大学における実践を通して述べる.SNS は iPad を使った講義や講演で講師と学生間のコミュニケーションに利用した.また,ソーシャルラーニングシステムは,モバイルシステム開発の授業で利用したもので,パソコン上で電子教科書にコメントを書きこむものである.コメントは,ネットワークを介して,教員,SA(学生アシスタント),授業の受講者だけでなく卒業生などからも書き込まれて共有された.本論文では,SNS やソーシャルラーニングシステムが大学教育でどのように利用されたかを紹介する.
著者
関川 靖
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-61, 2006

消費者は,基本的には標準的な経済理論の前提条件である所得制約・時間制約に従った合理的な行動をとるが,日々の生活における経済行動を考えると必ずしも合理的な行動をとっていないケースもある.このような消費者の非合理的な行動を,標準的な経済学によって分析することは困難であった.この非合理的な行動の分析は,経済学に心理学を導入した研究によって行われるようになった.そして,この研究は1980年代に活発化し,理論の精緻化が進み「行動の経済学」と呼ばれるようになった.本論文では,この行動の経済学が消費者の現実の経済行動を説明できるかどうかを検証するとともに,マクロ統計上に非合理的な行動が現れにくい要因も考察する.
著者
石田 和夫 三浦 英雄
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.43-48, 2000

1997〜1999年の3年間にわたり, 本学学生399人を対象に水洗い, セッケン, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒間及び数秒間浸漬, 70%エタノール, 薬用Mセッケンの6通りの方法で手指を洗浄または殺菌消毒させ, 手洗い前と手洗い後の手指の生菌数の比較を行った.その結果, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒を除いては, 手洗い後に生菌数が増加する傾向が見られた.また殺菌消毒後にも残存検出された菌株について簡易同定を行ったところ, 皮膚常在菌と思われる<i>Staphylococcus</i>属の細菌が約80%を占めていた.またこれら残存した菌株について殺菌消毒剤に対する抵抗性を調べたところ, 一部<i>Bacillus</i>属を除いて, 抵抗性はなかった.以上の結果より, 殺菌消毒剤を使って手洗いを行った場合, 残存検出されるものは手指の皮膚において圧倒的多数を占める常在菌群であり, 一時的に付着した病原細菌等は殺菌除去できるものと示唆された.
著者
加藤 恵子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.81-88, 1990-04-01 (Released:2019-07-01)

精神作業の疲労回復に及ぼす運動の効果については18才女子12名を対象に実験を行った.休息の前後に精神作業として内田クレペリン精神作業検査を実施した.休息に,軽運動をとり入れた積極的休息群と消極的休息の統制群の2グループに分け,その検査成績を比較した.又,行動の区切り毎に産業労働研究会自覚症状調査用紙による疲労度の調査を合わせて実施した.その結果,次のことが明らかになった.①精神作業の正答数について,積極的休息群は休息後,明らかに成績は良くなっており逆に統制群は成績が悪くなっていた.正答数の変化量を比較したところ,0.1%の危険率で有意差が認められた.従って軽スポーツ実施による積極的休息は精神作業の疲労回復に有効であることがわかった.②誤答数については積極的休息群は休息後減少しており,統制群は逆に増加していた.この変化量について検定したところ,1%の危険率ではあるが有意差がみられた.ここでも積極的休息の効果が認められた.③疲労度の自覚症状検査結果から,全体的に統制群の疲労訴え率は高かった.特に統制群の消極的休息後の訴え率は高く,積極的休息群の訴え率との間に2%の危険率で有意差が認められた.又,積極的休息群の軽運動実施後の自覚症状の訴え率は非常に低く,自覚的に疲労状態はないという結果であった.
著者
國友 宏渉 江上 いすず 長谷川 昇 鈴木 真由子
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.75-79, 1999-03-31 (Released:2019-07-01)

日々の生活習慣が健康に与える影響は大きいといわれる.誤った生活習慣は年齢に関わらず, 生活習慣病と呼ばれる厄介な病気につながることがある.このことは大学生の学生生活, とりわけ不規則な生活スタイルに陥りやすい学生にとっては重大な問題である.そこで本研究は, 学生の生活習慣と健康状態との関係に着目し, どのような生活習慣が健康に対してどれだけの影響力をもつのか, また各生活習慣要因の相対的な影響力の位置関係がいかにあるのかについて明らかにしようとした.本調査によって得られたデータを分析した結果, 学生生活において日常的かつ基本的な生活習慣, 特に食生活に関わる習慣が健康状態を大きく左右する要因として浮かび上がった.中でも, 「食事の規則性」, 「睡眠時間」, 「欠食」などの要因が相対的に大きな規定力をもって現れた.また, 毎日の食品摂取の在り方においても, 「清涼飲料」, 「インスタント麺」, 「菓子類」等の過剰摂取が健康状態にマイナスの因子として働いていることが示唆された.
著者
長谷川 孝子 沼沢 忠祐 松谷 みゆき
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.17-24, 1988
被引用文献数
1

市販の食パン,フランスパンのレオメータ一による弾性率と水分量及び水分活性を測定し,パンの硬さと水分の関係を明らかにした1)パンの弾性率は保存につれて増大するとともに水分量は減少した.2)パンの水分減少につれて,水分活性の低下がみられた.特にフランスパンにその傾向が大であった.3)フランスパンではパンの弾性率の増加につれて水分活性の低下がみられたが,食パンにはその傾向はみられなかった.終わりに,本研究はエリザベス・アーノルド財団の研究費助成によった.また本研究に対し,ご好意を賜わったフジパン株式会社なちびに同財団及びご指導頂いた諸先生に深く感謝の意を表す.
著者
林 慶雲
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.25-36, 1999-03-31 (Released:2019-07-01)

香港は, 1997年7月1日, 約150年にわたるイギリスの植民地の歴史を終え, 中国に返還された.返還後の香港は, 社会主義の国に戻ったが, 確立している資本主義的な経済体制, 自由主義的な社会体制をそのまま維持することになっており, いわゆる「一国二制度」が実施されている.イギリスの植民地時代, 香港の会計制度ならびに会計制度の一部である財務報告制度は, イギリスのそれを範としたものと思われる.しかし, 中国への返還が確実となった1980年ごろからは, 多くの香港企業が返還という現実を見こんだ企業行動をとり始めた.そのなかの1つは, さらなる経営国際化である.企業経営国際化の進展にともない, 資本市場の国際化が一層促進され, そのため, 財務報告制度の国際調和化問題も問わされるようになった.本研究は, 香港における財務報告制度を, 香港の特別な社会状況との関連から考察し, その制度の特殊性や国際会計基準との調和化などについて検討するものである.