著者
村井 貞彰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 農学 = Bulletin of the Yamagata University. Agricultural science (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.319-322, 1960-03-30

【摘要】 両卵寄生蜂に関するこれまでの研究は,主として蜂の利用を目的として研究がおしすすめられたが,同時にScelio属すべてに未知だった問題についても解決されるところが少くなかった.この継続した研究の間,著者は両種の類縁関係に少なからぬ興味をいだき,主として生態学的立場から追求を試みたが,両種には多くの共通性が認められた.本報においては,遺伝学的立場から追求の手はじめとして試みた両種の交配結果が示された.即ちScelio muraii♀ x S.tsuruokensis ♂,S.tsuruokensis ♀ x S.muraii ♂ の場合においても,著者の実験ではその子孫は何れも母親の形質を表現した.これは正常遺伝とは異った型のものである.しかし寄生性膜趨目の性決定機構,遺伝方式は定まっていないので,両卵寄生蜂のそれらについても更に多くの交配実験と,細胞学的あるいは遺伝学的立場からの検討が必要と思われる.
著者
村井 貞彰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 農学 = Bulletin of the Yamagata University. Agricultural science (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.169-178, 1957-02-25

Introduction: The author carried on further investigations on the ecological differences of adults of both species,but on the diumal activity,the period of the appearance,etc.,as is recorded in the primary report,no remarkable differences were seen.As to the distribution area, except Shonai district,Yamagata Pref.,where both the species occur together, the only area newly known is the neighbourhood of the city of Takada, Niigata Pref.,where Scelio muraii alone occurs. In the present paper, the results of the ecological studies of adults of both species are shown. A special study was made on the emergence of adults, the seasonal prevalence,the rate of appearance and the sex ratio. The investigations have been done from 1953 to 1956. Before going further, the author wishes to express his sincere thanks to Prof.Dr. Noboru ABE for the kind guidance given to the author during the course of the present study, and to Dr. Chihisa WATANABE of Hokkaido University,Dr. Tei Ishii of Tokyo University of Agriculture and Technology, and Mr. Shizuo KATO of National Institute of Agricultural Sciences for the kindness given to the author in naming the species and the literature.
著者
村井 貞彰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 農学 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, 1958-03

両卵寄生蜂とも単為生殖を行ないうるが,このような場合には雄ばかりのprogenyを産出する(第1表及び第2表).しかし野外自然状態下ではかかる単為生殖は極めて稀な場合にしか起らず,野外で採集,あるいは目撃される雄のほとんどは交尾した雌の不授精卵が発育したものと考えられる.卵寄生蜂の分布地域として,両卵寄生蜂の棲息する山形県庄内地方,ムライクロタマゴバチだけ発見された新潟県高田市附近(第2報参照)のほか,新たに著者の調査により,両卯寄生蜂が山形県新庄市,秋田県鹿角郡花輪町附近に,またツルオカクロタマコバチが岩手県盛岡市附近にも分布することが確認された.なお,両卵寄生蜂とも第1令幼虫で越冬するが,生活環については詳しく後報する予定である.
著者
村井 貞彰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 農学 = Bulletin of the Yamagata University. Agricultural science (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.101-105, 1959-02-28

【摘要】 本誌の第1報から第9報まではムライクロクマゴバチとツルオカクログマゴバチの成熱,未成熟ステージの主として生態学的研究の結果を報告した.一方イナゴ仔虫及び両卵寄生蜂に対する農薬の影響,日本におけるイナゴの分布と発生状況,イナゴ卵塊の分布密書度,深度と大きさなどについては別誌(山形農林学会報)にそれらを報告しておいた.本報は上の基礎研究から両卵寄生蜂の利用価値を推論したものである.1) 日本の場合,両卵寄生蜂は寄主成虫の分布に伴い,各地の水田地帯に広く分布していたものと思われる(北海道は未確認).しかも両卵寄生蜂ともイナゴ(Genus Oxya)の卵のみを寄主選択し.大部分の個体が単寄生をするので,寄生峰の大量生産には大量の寄主卵を必要とし,これを集める労力と費用は莫大で,現在のところ満足な量を集めることは困難である.また,人工的寄主を他に求めることも今のところ不可能である.したがって,両卵寄生蜂に著しい成果を期待することはむつかしい.しかし,野外から採集した寄主卵,あるいは室内飼育の成虫から得た寄主卵に両卵寄生蜂を寄生させ,増補した蜂を野外出現期間の8~9月の間,それに正常出現期ではないが,話動可能な10月中の20℃以上の日時に野外に放飼い寄生率を現在より高めることは可能である.2)外国の場合,両卵寄生蜂の分布するか否かは将来の調査を必要とするが,熱帯及び亜熱帯地方では寄主の発生回数も日本におけるよりは多く,両卵寄生蜂の活動,繁殖にも一層好適だと思われるので,将来両卵寄生蜂が発見されない場合には利用価値は充分あるように思推される.
著者
村井 貞彰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 農学 = Bulletin of the Yamagata University. Agricultural science (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.179-187, 1957-02-25

In .the previous report,the author recorded on the emergence of adults of the egg parasites,the seasonal prevalence,the rate of the appearance and the sex ratio. In that paper, the author considered that, both species seem to indicate the possibility of the rare parthenogenesis because of the fact that the females have a great number of them,and the percentage of the parasitism may be also increased by that. In the present paper, the results of the ecological studies of adults of the egg parasites are shown. A special study was made on the activity of copulation,oviposition and the percentage of the parasitism.
著者
金井 雅之
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 社会科学 = Bulletin of Yamagata University. Social Science
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.107-128, 2008-02-15

We examine how two management policies of Japanese-style hotels in a spa resort, capital and hospitality, would contribute to improving achievement, using our social survey data. We show three findings. (1) The structure of the cause and effect between the management policy and the improved achievement differ greatly between low charged hotels and high charged hotels. (2) According to the high charged hotels, hospitality as the management concept contributes more to improving achievement than capital. (3) On the other hand, according to the high charged hotels, as the management effort, capital contributes to improving achievement rather than hospitality. Key words : social survey, cluster analysis, path analysis キーワード:社会調査,クラスター分析,パス解析
著者
苫名 孝
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 農学 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, 1956-03

【緒言】 大根のすいり現象については,従来多くの業績があり生態的,組織解剖的な面で得る所多大であるが,体内成分の点では定量的な成績を見出し難いうらみがあった.著者はさきに,根菜類に及ぼす肥料三要素の影響について報ずる所があったが,その一端として体内含量とす発現との関係を調査し,更に窒素含量の消長についてはようやく詳細に検討を試みた.なお,地上部茎葉との関係を明らかにする必要から,その手がかりとして浸透圧に就いても若干の測定を行った.
著者
苫名 孝
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 農学 = Bulletin of the Yamagata University. Agricultural science
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.73-81, 1956-03-30

【緒言】 大根のすいり現象については,従来多くの業績があり生態的,組織解剖的な面で得る所多大であるが,体内成分の点では定量的な成績を見出し難いうらみがあった.著者はさきに,根菜類に及ぼす肥料三要素の影響について報ずる所があったが,その一端として体内含量とす発現との関係を調査し,更に窒素含量の消長についてはようやく詳細に検討を試みた.なお,地上部茎葉との関係を明らかにする必要から,その手がかりとして浸透圧に就いても若干の測定を行った.
著者
内田 伏一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 自然科学 = Bulletin of Yamagata University. Natural Science
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.135-163, 2004-02-16

There is a special class of magic squares that are called pan-diagonal magic squares among general magic squares. In this paper, we shall consider a classification of a subclass of pan-diagonal 8×8 magic squares. Key clues for the present investigation are the 4-adic expansion of the entries of magic squares and the transformations of magic squares that are represented by the permutations of rows and columns of the magic squares.
著者
内田 伏一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 自然科学 (ISSN:05134692)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.135-163, 2004-02

There is a special class of magic squares that are called pan-diagonal magic squares among general magic squares. In this paper, we shall consider a classification of a subclass of pan-diagonal 8×8 magic squares. Key clues for the present investigation are the 4-adic expansion of the entries of magic squares and the transformations of magic squares that are represented by the permutations of rows and columns of the magic squares.
著者
大谷 浩一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

健常人を対象にし、幼少時期に受けた両親からの養育的要因が、人格特徴・対人関係敏感性に与える影響について検討した。健常日本人を対象に、幼少時期に受けた養育環境、人格特徴全般、対人関係敏感性をそれぞれParental Bonding Instrument(PBI)、Temperament Character Inventory (TCI)、Interpersonal Sensitivity Measure(IPSM)を用いて評価した。本研究より、幼少時期に両親から受けた非機能的な養育的要因は、性特異性を持って、うつ病と関連する人格特徴および対人関係敏感性に影響を与えることが示された。
著者
平 智 松本 大生 池田 和生
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ミツバアケビ果実生産に対する自家不和合性の影響を明らかにすることを目的として、一連の受粉試験を行った。受粉雌蕊の花粉管を観察したところ、自家花粉管は胚珠付近にまで到達していたことから、ミツバアケビは後発型自家不和合性を示すものと考えられた。ミツバアケビの6栽培系統間における交雑(不)和合性を調査したところ、いずれの系統も自家不和合であること、一部の交雑は不和合であることが明らかになった。交雑和合な系統の雄花を用いて人工受粉を行った際の結実率は30%以上であったが、開放受粉での結実率は1%以下であった。また、自家花粉を25%以上含む混合花粉を受粉すると、結実が阻害されることが明らかになった。
著者
前田 直己
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 農学 = Bulletin of Yamagata University. 山形大学農学部 編 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.365-372, 2017-02

本研究では,はじめにブロッケン現象のメカニズムについて紹介した後,日本の古典に記された「来迎」を時系列的に整理することで先人たちがこの自然現象をどのように把握していたのか明らかにすることとしたい。2016年10月時点で,Web of Scienceで、Brocken spectreを検索するとBeaton, A. et al.(1996),Houston, D(1999),Mitchell, S.(2007)の3件が選択されるのみであるが,ブロッケン現象を起こすMie散乱(Mie Scattering)(後術)に関する論文は5,000件を超える数がある。古典に記載された文章から,中世の人たちが自然現象をどのように把握していたのか明らかにしようとする研究事例はほとんどないので,本論ではこの点を明らかにすることを目的とした。
著者
池田 登顕
出版者
山形大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

筋骨格系疼痛(以下、疼痛)は最も有訴者率が高く、健康寿命の短縮に大きく寄与している症状の一つであり、疼痛有訴者率にも都道府県や市町村間の格差があると予想される。しかし、それを明らかにする研究はなされていない。また、疼痛の発症には、健康格差と密接に関わっている社会経済状況やうつ症状といった心理社会的要因が寄与している可能性が指摘されているが、メカニズムの解明には至っていない。本研究の目的は①疼痛の発症メカニズムを明らかにすること、②都道府県・市町村間における疼痛有訴者率の格差の有無およびその要因を明らかにすることである。