著者
高橋 良彰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学歴史・地理・人類学論集 (ISSN:13455435)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.56-89, 2007-03-20

キーワード:旧民法典, 法例, 人事編, 取得編(続), 第一草案, 「家」制度形成
著者
上林 美保子 綱島 不二雄
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 農學 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.465-470, 1997-01-31

【緒言】各種の半矮性遺伝子を有する短稈水稲品種を用いた多肥・密植栽培によって水稲の収量は,飛躍的に増加した.しかし,多肥・密植栽培は各種病害の多発を随伴し,また農薬多用による環境汚染が指摘されてきた.このような趨勢に対して,低投入・環境保全型農業(Low Input Sustainable Agriclulture=LISA)の生産体系の構築の必要性が指摘されている.しかし,このような観点からの農業生産体系の構築に関する実証的研究は極めて少ない.本研究では,LISAの観点からの農業生産体系の構築のための基礎資料を得るため,現在の良質品種の一つササニシキを用い,栽植密度と肥量水準を慣行よりも減少させることによって,水稲個体群の病気,倒伏に対する耐性を高め,しかも収量を慣行より減少させない栽培法の確立ができるかを検討した.
著者
鈴木 渉
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 教育科學 (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.123-140(295-312), 2008-02-15

Summary : This paper illustrates the actual situation and challenges faced by adult musical groups, particularly, amateur orchestras. The aim of this paper is to propose ways to improve and support their activities. The author researched on the H City Orchestra, a musical group the author is involved in, and discusses and summarizes this case study in the paper. In particular, the author focuses on the motivation behind members' musical performances and practice sessions. Furthermore, the author researches on the proper future course for orchestra activities and sheds light on the path its members wish to see taken. Moreover, by extending the scope of research to 44 bands in the westerm part on west area of Tokyo, in Tama district, and taking up concerns shared by each of these groups, especially particular articulating the challenges faced when recruiting members, this paper discusses the future and ways of assisting adult orchestra activities.
著者
梅津 和夫 湯浅 勲
出版者
山形大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本年度は,日本人・韓国人・中国人・パプアニュ-ギニア人・南米インディアンを中心として各種血清タンパク型を調査したところ,次のようなことが判明した。1.ORM1座の重複遺伝子であるORM1^※2・1はアジアの北から南にかけての勾配がみられた。またORM1^※5・2はモンゴロイドにのみ広く分布していることがわかった。2.ORM2座はいずれの集団も1型が優勢であるが,ORM2^※6は特に中国人を中心として高い分布を示した。3.南米インディアンは,AHSG^※2を持つ割合がどの集団よりも高率を示した。4.AHSG^※5は調べた多数のモンゴロイド集団の中で,日本人しか検出されず,その中でも奄美大島〜石垣島までの南西諸島でのみ,きわだった高い値を示した。このことは,この遺伝子は琉球で発生し,ここから,九州,四国,本州にもたらされたことが推定される。なお,アイヌには発見できなかった。5.IF型のIF^※Aは広範なモンゴロイドにみられたが,南米インディアンにはなかった。なお南米インディアンの一集団には多型的頻度で新しい変異型のIF^※A3がみつかった。6.ZAG型の各種変異型遺伝子はいずれの集団においても出現頻度は低いが,民族に特微的ないくつかの因子が明らかになった。以上のように,モンゴロイドに特異的な標識遺伝子を調べることにより,モンゴロイド集団の系統解析に役立つことが明らかになった。
著者
広田 信一 佐藤 純
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 教育科學 (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.13-27(371-385), 2009-02-15

要旨 本研究は、生きることや働くことをどのように捉えているかをキャリア観と名づけ、高校生がどのようなキャリア観を持つかを検討することを目的とした。149名の高校生を対象に、「何のために働くと思うか」を問うゴール次元と「どのように生きねばならないと思うか」を問うマスト次元から構成されるキャリア観測定尺度を用いて質問紙調査を実施した。ゴール次元尺度を因子分析した結果、9因子が抽出され、多様な価値観が存在することが明らかにされた。また、ゴール次元とマスト次元との聞には有意な正の相関が認められ、両者の平均値を比較すると5つの下位尺度においてマスト次元がゴール次元よりも平均値が有意に高いという結果が得られた。以上の結果から、高校生が働き生きることについて多様な価値観を抱き、特に「どのように生きなければならないか」という視点を比較的強く持っていることが示唆された。
著者
小野 光弘 塙 政利 平田 拓 下山 雄平
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

生体のin vivo(生きたままでの)電子常磁性共鳴(EPR)計測、とりわけラットのホールボディ計測の実現を目標として、350MHzパルスEPR装置の開発を行った。本研究で得られた成果をまとめると次の様になる。(1) 数値解析により、最適なパルス幅と共振器の共振尖鋭度Qは、緩和時定数T_2=10〜100nsの生体ラジカルに対して夫々10〜68ns、10〜60、T_2=100〜800nsの固体のラジカルに対して夫々68〜158ns、60〜280であることが分かった。(2) 試作した350MHzパルスEPR装置を用いて、γ線照射クオーツ粉末37.5gの電子スピンエコー(ESE)信号の受信に成功した。受信信号電圧はパルス間隔が1400〜1600nsにおいて3〜5mVであった。(3) 本研究で得たESE信号から、γ線照射クオーツの緩和時定数はT_2=778nsと推定される。これは我々の研究室で既に開発した1.3GHzパルスEPR装置による測定結果T_2=759nsに極めて近い値である。(4) 生体計測を行うために、今後共振器のQを更に下げる必要がある。
著者
馮 忠剛 中村 孝夫 梅津 光生 小沢田 正 北嶋 龍雄
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、ES/iPS 細胞の心筋症治療の早期実現における二つの重要な課題:心筋細胞への効率的分化誘導と体外での再生組織の構築、を取り組んで、幹細胞工学、タンパク質工学及び細胞組織工学の融合により、新たな細胞分化培養基質支持層を開発し、この支持層上にマウスES 細胞の分化促進と心筋組織単層の作成を行い、多数単層の積層によって心筋再生組織を構築した。上記の実験研究により、ES 細胞の心筋細胞への分化誘導、培養基質の力学特性およびそのES 細胞の分化に及ぼす影響、並びに体外心筋再生組織構築における新知見を得、課題の更なる進展に関する重要な方法を示した。
著者
松田 政子
出版者
山形大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、幼児が意欲的に取り組み表現する楽しさが味わえるような、造形遊びの教材とその提供方法について実践を通し考えていくことを目的とした。そこで、文献や先行事例、各種研修会による素材とその活用方法についての教材研究を積むと共に、3歳児の保育にこれらを取り入れ、その有効性について検証してきた。その結果、以下の1〜3の成果が得られた。1 粘土は、容易に形を作ることが出来、繰り返し楽しめる魅力的な素材である。また、安全な小麦粉粘土、造形のしやすい油粘土、着色できる紙粘土、ダイナミックに活動できる土粘土など色々な種類がある。手作りで楽しめる新聞紙粘土や、糊粘土、石けん粘土などもある。これらの中から、子ども達の育ちに合わせて粘土を選び準備していくことで、のびのびと活動する姿が見られた。素材の特性をよく知る、そして子ども達への願いに応じた提供をしていくことは、保育者の欠かせない役割であるといえる。2 3歳児は、クレヨンであれば、ぐるぐる点々ジグザグをリズム良く描くことに、絵の具であれば色水作りや塗りたくりに喜んで取り組んでいた。偶然の形や変わっていく形を見立て、お話しする様子も多く見られた。これまでは、自分の顔を描くなど保育者側に出来上がりのイメージがあり、描き方など誘導してしまうことが多かった。だがそれ以上に、子ども達が自由にかかわり、試しながら、素材の面白さを見つけていけるような活動が、幼児の興味を引き出すとわかった。3 市販の画材の他、石や木の枝、草花などの自然物、箱やロール芯などの廃材、ストローや毛糸など身のまわりのもの等、実に様々なものが造形の教材となる。また、紙ひとつの素材をとってみても、描く、切る、貼る、組み合わせる、並べるなど、多様な造形遊びが考えられる。幼児期の造形遊びでは、これらの教材との出会いを作り、子どもと共に「色」と「形」の面白さに心を動かしていく保育者の感性と姿勢が、幼児の興味と意欲を引き出すということが成果として得られた。
著者
永井 康雄 池上 重康 月舘 敏栄 角 哲 崎山 俊雄 狩野 勝重 川向 正人 三辻 和弥 砂本 文彦 玉田 浩之 小俣 友輝
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

国・都道府県・市区町村による指定・登録文化財及び未指定・未登録の歴史的建造物39456件の基礎データを作成した。更に位置情報及び画像情報システムを構築し、東北6県における当該建物の情報を入力した。2008年7月24日の岩手県沿岸北部を震源とする地震の災害調査によって、本データベースの有用性を確認することができた。2011年3月11日に発生した東日本大震災による歴史的建造物の被害調査では、本データベースが基本台帳として活用されている。調査は、日本建築学会建築歴史・意匠委員会、文化庁、地方公共団体、建築関連諸団体が連携して進めている。
著者
赤倉 泉
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

中国で1957年に起こった整風運動と反右派闘争について、以下の点を中心に全体像や含意を明らかにした。①一連の過程はどのように進められたか、②現在につながる民主化要求につながる論点の分析、③「右派」の分類、処分、名誉回復の実態、④1957年の事例を基に、その後の民主化運動と比較する事で一党支配下における民主化のメカニズムと限界を考察、⑤名誉回復された元「右派」たちが現在起こしている損害賠償請求の実態とその含意、⑥50年以上前の反右派闘争および「右派」は現在の中国政治にどのような影響を及ぼし続けているか。
著者
水沼 充
出版者
山形大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

1.研究目的映像ハードウエア発展や様々な映像コンテンツ普及が進む一方、映像の生体に及ぼす影響が社会問題となっている。本研究では、映像酔いに着目し、複数の光電容積脈波センサを活用して映像酔いが生体に及ぼす影響を常時・客観的かつ簡便に計測する手法について研究し、映像酔いの簡易計測方法及び警告システムを開発することを目的とした。2.研究方法映像酔い簡易計測方法評価実験システムを構築し、複数の光電容積脈波センサを活用した簡易計測方法について研究し、簡易計測・評価・警告システムを開発する。具体的には、(1)開発した指尖光電容積脈波センサ内蔵グローブを装着し動きの早い映像を大画面ディスプレイ装置で視聴し、主観的に映像酔いと評価した時の複数の指尖光電容積脈波データ、映像酔いと評価しない時、無視聴時のデータを計測し保存する。(2)得られたデータに離散フーリエ解析等を適用して、各々の脈拍数等の生体信号を抽出し、その変化から映像酔いが生体に及ぼす影響を客観的・定量的に評価する有効なパラメータについて検討する。(3)簡易計測方法を確立し、警告システムを構築する。3.研究成果以上の計画に従って指尖光電容積脈波センサ内蔵グローブを開発した。市販のデータ集録・解析システムLabVIEWを用いた映像酔い簡易計測方法評価用システムを構築した。市販DVD映画の動きの早い部分を評価対象映像として46インチ液晶テレビで視聴し、主観的に気分悪い、普通と感じた時及び無視聴時に得られたデータに離散フーリエ解析等を適用し脈拍数等の生体信号変化が得られた。提案システムの動作を確認し基盤技術を確立した。得られたデータと映像酔いとの関係解明には映像酔いの強い映像サンプル取得や映像酔いレベル表現の精度向上が求められる。今後は映像酔い簡易計測方法確立、警告システム実現が課題である。
著者
塩野 義人
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

未利用な微生物資源の一つに位置付けられる盤菌類(チャワンタケ類)に含まれる生理活性物質を探索した。ツバキ花腐菌核病を誘発する病原菌の完全世代であるツバキキンカクチャワンタケより、植物生長阻害活性物質としてアガリチック酸のモノメチルエステル体を明らかにした。ブナの殻斗に小さな子嚢盤を形成するシロヒナノチャワンタケより、抗菌活性物質としてノルコーレンソイック酸を明らかにした。
著者
本多 薫
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

学習内容をモデル化し,計算,読む,照合の課題を提示できる実験用の学習支援システムを構築した。そして,学習中の生体情報の計測と主観的評価を実施し,学習中の学習者の負担を分析した。その結果,心拍のパワースペクトル解析より,課題開始30分程度で負担が大きくなることなどを示した。また,学習支援システムを用いて30分間連続で学習(課題遂行)した場合には, 10分間以上の休憩を取ることで,学習者の負担や疲労感を抑えられる効果があることを明らかにした。
著者
西尾 太一 西岡 昭博 香田 智則 宮田 剣
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

経皮薬剤の分野においては、適量を持続的に一定期間投与できる製品が求められている。この要請に対し、本研究課題ではポリエチレン(PE)フィルム内に薬剤を供給するセルロース粉体を分散させた薬剤経皮貼付フィルムを創成するための研究を実施した。PEフィルム表面に供給される薬剤の濃度を表面拡散量と定義し、その影響をフィルム表面における結露実験と表面反射光の赤外吸収スペクトルで評価した。本研究課題を実施した結果、吸収母材となるセルロースの結晶化度を調整することで薬剤供給の速度が制御できることが分かった。また、PEの結晶化度を制御することで表面拡散量の定常化(0次放出)が実現できることが確認できた。
著者
鎌田 光宏 大谷 浩一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ドパミントランスポーター(DAT)の-67A/T gene polymorphismおよびIntron 8 VNTRの遺伝子多型、およびドパミンβ水酸化酵素(DBH)の-1021C/T遺伝子多型のそれぞれが健常人の人格特徴に与える影響を多人数の健常人の対象として、Temperament Character Inventory (TCI)を用いて評価して包括的に検討した。その結果、DATではIntron 8 VNTRはTCIのいずれの項目にも関与を示さなかったが、-67A/T多型において女性群においてのみA alleleを持たない対象が有意に低い自己指向性と低い協調性を有することが示された。また、DBHの-1021C/T多型においては、女性群においてのみTalleleを有する対象が有意に高い損害回避傾向と関与することが示された。これらの結果から、この二つの遺伝多型が日本人の性格傾向に関与することが示唆された。
著者
高橋 一広 倉智 博久 山谷 日鶴
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

閉経後の内臓脂肪で11beta-HSD1の発現が増加することが明らかになり、ヒトでもエストロゲンは11beta-HSD1の発現を抑制すると考えられた。BMIの増加に伴い脂肪組織内のaromatase発現は増加するが、生理活性の低いE1が優位になるため、局所内のグルココルチコイド活性化を抑制できない可能性が想定された。皮下脂肪では閉経前後で脂肪酸の代謝に差は認められなかったが、閉経群の内臓脂肪で、脂肪酸の代謝産物が有経群に比較して高濃度に存在することが、メタボローム解析で初めて明らかとなった。閉経後の内臓脂肪では、脂肪酸代謝に変化がおきていることが示唆された。
著者
大神 訓章 佐々木桂二 オオガ クニアキ ササキ ケイジ Oga Kuniaki Sasaki Keiji
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 教育科學 (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.13-22(263-272), 2005-02-15
被引用文献数
1

バスケットボール競技は,1チーム5人ずつのプレイヤーからなる対峙する2チーム間の得点の多寡により勝敗は決するが,実際のゲームでは,常時5人対5人の対等な人数比でゲームが展開されているとは限らない。そこで,2003年に開催された第4回日本バスケットボール女子リーグにおけるJE 対JL のファイナル3ゲームを対象に,各クォーターごとの得点経過から2チーム間におけるオフェンス,ディフェンスそれぞれの人数比を算出し,この数値を基に,プレイ展開上における人数比の増減傾向とその標準偏差にどの程度差異がみられるのか分析を試みた。即ち,ゲーム中の攻防におけるプレイヤー数比の増減を分析することにより,テンポ或いはペースで表現されるプレイの時系列推移(「流れ」)を捉えた。分析方法は,ゲームをVTR で再現し,ゲームスコア,クォーターごとのスコア,攻撃回数(総攻撃回数,基本攻撃回数)を調べ,このデータを基に,ディフェンス人数,オフェンス人数,巡回回数,回帰係数(回帰直線),標準偏差を算出した。その結果,2チーム間の攻防における人数比を利用して,ゲームにおけるチームの流れや安定性を捉えることは,ゲームごとの戦力を詳しく分析する有意な手段であり,練習内容や,作戦の決定などに客観的な資料を提供した。 This study was analyzed for JE and JL, the women's basketball championship final games in Japan, how many difference were seen about the changing ratio of the player in offense and defense between two teams to face by mathematically progress score. The results may be summarized as follows ; 1. In the number ratio of the player in the every quarter, it was 13.1 the difference the highest numerical value and the lowest numerical value in X, 8.6 in Y in JE, it was 5.4 and 3.2 in JL. JE had substitution many times in games, so it was showed substitution had effect on the changing ratio of the player. 2. It was showed that the tempo (Nagare) changed relative ratio on opponent ability, it seemed to show the offense was down tempo, the defense was up tempo in both teams. 3. It is understood that the grasping of tempo was an effectual measure for analysis of power of team, and this seemed to show an objective information in coaching and setting practice.