著者
北村 利夫 板村 裕之 福嶋 忠昭
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 農學 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.201-204, 1990-01-20
被引用文献数
1

【緒言】メロン(Cucumis melo L.)は非常に多形態な種で,多くの変種(variety)に分化しているが,主なものとして次の4種類がある. ①var.reticulatus ②var. cantalupensis ③var. inodorus ④var. makuwa また,① var.reticulatusはいわゆる温室メロンと称するイギリス系ガラス室栽培アミメロンとアメリカ及び中近東系露地栽培のcantaloupeに分けられる.近年メロンの消費の増加,高級品種志向に伴い,これらの変種, 系統間の交雑によるF1品種が続々と誕生しており,現在メロン果実の外観,風味,成熟の進展の様相が品種間で著しく異なるゆえんとなっている.既報において4品種のメロン果実の採取後の成熟・追熟生理を検討し,おのおの特徴のある3つのタイプを示すことを明らかにした.すなわち,'ライフ'では呼吸量及びエチレン発生量の急激な増大(クライマクテリック・ライズ)がみられた.一方,'アールス・フェボリット'系の'ハニーキング'ではクライマクテリック・ライズが起こることなく追熟を完了した.'プリンス'および'エリザベス'では'ライフ'のような明確なクライマクテリック・ライズは起こらないが,呼吸量及びエチレン発生量の多少の増大がみられた.本報では,'クリネット','マドンナ'及び'サンジュエル'の3品種のメロン果実について,収穫後の呼吸量及びエチレン発生量の変化を調査した結果を述べる.
著者
田川 伸一 森田 昌孝 堀口 健一 吉田 宣夫 高橋 敏能
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 農學 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-7, 2014-02

2番草リードカナリーグラス(Phalaris arundinacea L., RCG)を材料とした発酵TMR(Total mixed ration)の発酵品質に及ぼす豆腐粕と製造元の異なる2種類のトウモロコシジスチラーズグレインソリュブルの利用,並びに酵素(商品名:プロセラーゼ10)0.2%添加効果をRCGの混合割合(原物)を45%と65%でパウチ法により検討した。先の報告の1番草RCGを供試したときより2番草RCG発酵TMRの発酵品質のうち,pHは高く乳酸含量は低かった。しかし,酪酸が殆ど検出されなかったためV-スコアとフリーク評点は高かった。また,何れのRCGの混合割合の場合も,酵素添加による発酵品質の改善効果は弱かった。2番草RCGを利用した時の発酵品質の評価が高かった原因に1番草より水分含量が低かったことが考えられた。
著者
米地 文夫
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 自然科学 (ISSN:05134692)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.901-912, 1963-03
著者
米地 文夫
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 自然科学 (ISSN:05134692)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.89-100, 1960-03
著者
岩鼻 通明
出版者
山形大学
雑誌
山形大学高等教育研究年報 : 山形大学高等教育研究企画センター紀要
巻号頁・発行日
vol.3, pp.6-7, 2009-03-31

はじめに 1996年度の教養部改組以前から,一般教育を主として担当する者として,授業改善の試みを今日まで続けてきた。1983年の教養部赴任以来,10年近くは地理学概論的な講義を続けてきたが,一般教育科目が自由選択へ移行した前年の1992年度から,多様な内容を提供できるように変えはじめた。1994年から年に数回の訪韓を重ねてきたが,講義で韓国に関する話題を提供できるようになったのは,1995年度から総合領域で有志と始めた「平和と人権」の中でのことだった。この講義は,2002年度まで断続的に行ったが,1998年夏に日本学術振興会の韓国短期派遣の機会が得られ,それを契機に1999年度以降は「韓国の文化と民俗」などと題した授業を続けてきている。この間に,南北および日朝首脳会談やW杯サッカーの日韓共同開催,さらには「冬ソナ」ブームなどが相次ぎ,韓国への関心は,過去にないほどの高まりをみせ,韓流と呼ばれるまでに至っている。それを受けて学生に基礎的かつ最新の情報を提供するべく工夫を続けてきたが,たとえば,授業で「ペパーミント・キャンディー」という光州事件を題材にした韓国映画を鑑賞したところ,毎回集めるコメントで,受講生の誰一人として,光州事件に触れた者はいなかった。このように,韓国人にとっては常識的なことでも,日本人には欠けている基礎知識は少なくない。21世紀の未来を担う若者たちに,世界平和の前提となる国際的な相互理解の芽を育てることた,我々大学教員の任務のひとつといえよう。
著者
鈴木 庸夫 梅津 和夫
出版者
山形大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1993

兎で、右大腿上部を乳児用駆血帯で8時間緊縛した後、解除することによって外傷性ショックのモデルを作成した。緊縛解除後、兎は早いもので半日後、最も遅いものでも3日後に呼吸速迫、乏尿、体温降下などの典型的なショック症状を呈して死亡した。これらの例について、死亡後、各臓器の肉眼的並びに組織学的所見を検索した。肉眼的所見では、緊縛解除後死亡までの時間が長い例では肺水腫や胃粘膜下出血がみられるようになったが、しずれにもショック腎の所見や心内膜下出血は認められなかった。組織学的所見では、肺の骨髄細胞塞栓は死亡まで半日のものから見られ、死亡までの時間の長いもので著明になった。肝細胞壊死は死亡まで1日以上のもの、肺脂肪塞栓および腎臓の糸球体のボ-マン氏嚢の膨化や尿管の拡張は死亡まで30時間以上のもの、心筋の帯状変性は最も遅く緊縛解除後2日以上のもので初めて認められた。以上のことから、外傷性ショックの原因が作用した後、死亡までの時間が組織所見から類型化されることが判明した。これらの結果を外傷性ショック死の剖検例と比較すると、肉眼所見、組織学的所見共ほぼ共通して認められ、また、緊縛解除後の死亡時間によって見られる所見もほぼ共通していた。ただ兎での外傷性ショックモデルでは、ショック腎と心内膜下出血のみられたのがなかったのは緊縛解除後死亡までの時間が12時間以内に死亡するものがなかったためと考えられる。また、肝細胞壊死などの修復過程が見られなかったのは緊縛解除死亡までの時間が最高でも3日にすぎなかったためと思われる。以上のことから、外傷性ショック死の法医病理学的所見は類型化され、これをもとにすれば外傷性ショック死の診断はもとより、外傷から死亡までの時間も推定されると考えられる。
著者
関口 武彦
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 社会科学 (ISSN:05134684)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.p157-192, 1987-07
著者
高樹 英明
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 農学 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.p215-307, 1979-02
被引用文献数
1

【緒言(抄)】ニンニクの栽培は南は沖縄から北は北海道に至るまで広く行われているが,たいてい秋植え初夏~夏どりの普通栽培で行われている.他の作型としては,暖地の一部で冷蔵種球を秋植えして早春~春どりする種球冷蔵早出し栽培と,極早生の品種を秋植えして1月中旬からトンネルをかけて春どりするトンネル早熟栽培とが行われている.種球冷蔵早出し栽培はニンニクの球形成が冬の低温経過によって誘起されるという性質を利用したもので,島田・庄崎(1954)がこの作型の成立可能性を明らかにし,山田(1959a,1959b,1963),幸地・松江(1959)およびその他の研究により実用化されたものである.(中略)ところで,ニンニクは以上の作型により,初夏から夏にかけては新鮮な球が多く供給されるが,秋から早春までの聞は収穫がない.(中略)冬から早春の端境期に新鮮な球を多量に供給するためには,現在はまだ問題がある種球冷蔵早出し栽培法の技術的改善をはかり,栽培面積の拡大をうながすことや,この作型の前進化を進めることがまず考えられるが,その他に収穫球の良品質を長く維持する貯蔵法の開発や新たな作型の開発,例えばタマネギで行われている春纏え秋どり栽培のような作型の開発を行うことも考えるべきであろう.しかしこれらの作型開発を進めるにあたっての基礎となるニンニク球の休眠の生理生態や球形成の生理生態はまだ十分明らかにされていない.本研究は上記の作型開発および球の貯蔵の基礎となる理論を明らかにする目的で行ったもので,ニンニクの発育(球形成・休眠)を進める最適および限界の外的条件を明らかにしニンニクの生活環の展開と外的および内的条件との関係を解明しようとした.さらに,温度,日長操作による球形成・休眠の人為的制御法を探求した.そして,これらの実験結果と本研究以外の筆者の研究成果とに基づいて種球冷蔵早出し栽培等の栽培改善の処方を考察するとともに収穫時の球の良品質性を長期間維持する貯蔵法や春植え秋どり栽培の可能性について検討した.
著者
高木 紘一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 社会科学 (ISSN:05134684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.1-8, 2008-02

本稿は、筆者が1979年8月から1980年7月にかけて米国ミシガン大学ロースクールに客員研究員として留学した際に、当時同大学に留学中の伊藤真氏(現東京大学教授・民事訴訟法、当時は名古屋大学助教授)の発案による日米比較法研究会で、筆者が報告したディスカッション・ペーパーを掲載したものである。当時、ミシガン大学ロースクールには、岸田雅雄氏(現早稲田大学法科大学院教授・商事法、当時は神戸大学助教授)、丸田隆氏(現関西学院大学法科大学院教授、当時は甲南大学助手。陪審制度の研究で著名)、巽 高英氏(現警察庁長官官房審議官)をはじめ、各界から新進気鋭の日本人留学生が学んでおり、お互いに切磋琢磨しうる環境が整っていたこともあり、単に向こうから学ぶだけでなく、こちらから貢献できることはないかということで、ロースクールの教員、大学院生に参加を呼びかけてこの研究会が立ち上がったものである。ロースクールの錚々たるプロフェッサーも交えてのコロキュアムでは、自分の決定的な語学力不足もあり、終始借りてきた猫を決めこんだわけであるが、参加者は、いずれも日本法に関心が高く研究会立ち上げは成功したとの印象を持った。 コロキュアムは計5回開催され、日本側から私を含めて5名の者がそれぞれの専門分野からの報告を行なった(報告タイトルは、伊藤 真"Comparative Analysis of Out-of-Court Insolvency Procedures in the U.S. and in Japan",岸田雅雄"Enforcement of Japanese Securities Regulation",丸田隆司"One Aspect of Products Liability Doctorine in Japan : The Establishment of Strict Duty of Care in Food Manufacturing",巽 高英"Police System and the Control of Organized Crime in Japan")。 筆者は、当時の日本で新しい労働法上の理論課題として浮上してきた親子会社や企業集団における使用者概念の拡張問題を取り上げたのであったが、予想以上に反響があった。研究会に参加した労働法のSt. ANTOINE教授が、アメリカでもこのような問題は、Double-BreastedOperation(親子会社方式の経営形態を「ダブルの背広」にもじった用語)として論議されていると教えてくれたのには感激した。国と場所は違っても、利益追求という資本の論理は同じということである。帰国後、労働契約における使用者概念及び労働者概念は筆者の主要な研究テーマの一つになったが、懐かしい思い出の一コマである。
著者
富樫 二郎 生井 恒雄
出版者
山形大学
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.307-311, 2001 (Released:2011-12-19)

1999年7月山形県鶴岡市で鉢植しているベンケイソウ科の多肉植物Graptopetalum paraguayense(N.E.Br.)E.Walth,園芸名「おぼろづき」の葉身に軟腐症状が発生した.その後葉身全体が軟化腐敗して落下し,隣接葉,茎にも拡大,進展して株全体が倒伏した.本症状の病原学的調査の結果,本症は野菜類軟腐病菌と同種のErwinia carotovora subsp. carotovoraによるこれまで未記載の新病害であることが判明し,多肉植物G.paraguayense,「おぼろづき」の軟腐病(Bacterial Soft Rot)と命名した.
著者
大村 一史
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

定型発達と非定型発達を隔てうる分水嶺を探るための手がかりを、情動的実行機能(情動処理機能)と認知的実行機能(抑制機能)の両面から捉え、課題遂行時の課題成績・脳活動に及ぼす性差および障害特性傾向の影響を調べた。情動処理機能および抑制機能ともに、課題成績・脳活動に及ぼす性差および障害特性傾向の影響を明らかにするまでには至らなかった。情動処理機能の解析は今後も継続し、更なる検討を進めていく予定である。
著者
大神 訓章 佐々木 桂二 児玉 善廣 吉田 健司
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 教育科學 (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.35-47, 2006-02-15
被引用文献数
1

バスケットボールゲームは,対峙する2チーム間で,一定時間プレイし,得点の多寡を競う競技である。ゲームの勝敗を決定する要素として,シュート力,ボールキープ力,リバウンド力等の技術的要素と共に,プレイヤーの身長差等の体格的要素と多岐に亘る。そこで,本研究は,2004年に開催されたアテネオリンピックにおけるアメリカ男子バスケットボールチームの計8ゲームを分析対象とし,高さ(身長)とうまさを数量化し,チーム戦力の分析を試みた。分析方法は,ボックススコアを基に,キープ力,シュート力,リバウンド力を求め,オフェンス力とディフェンス力を算出した。次に,期待値として捉えた核とその変動の幅(ブレ),身長とリバウンド比による大きさ,それぞれの項目のうまさを数量化した。その結果,キープ力・シュート力・リバウンド力において,身長差をうまさで補うことは可能であり,また,身長とリバウンド比による大きさを基に,高さとうまさを分離することは,チーム戦力を高さ抜きで平等に評価するうえで,有効であると思われる。更に,ブレの数値を比較することで,そのチームがどのようなゲーム展開をしているかを推測でき,また,ブレの有無やその大きさによって,チームにおける戦力等の課題把握に客観的な資料を提供した。 This study was analyzed for USA men's team on the hight and skillfulness, about 8 games of the basketball championship on Athens Olympic in 2004. The results may be summarized as follows; 1. In the V score on the hight and rebound rate in USA team, it was 1.12 against PUE,1.19 against ANG, 1.09 against LIT, it was showed USA team was a high numerical value, so it was strong rebound. 2. In the skillfulness of keep, it was showed that ANG was 1.04 in the highest score as compared with the other team. In the skillfulness of shot, LIT was 0.73, so it seemed to show high the shot ability, and in the skillfulness of rebound, USA was the highest score. 3. It was showed that it is possible to the skillfulness cover a hight difference, and it was available to separate skillfulness from hight on equally estimation the value.
著者
堀井 俊章
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.85(453)-100(468), 2001-02-15

要旨 : 本研究は青年期における自己意識(感覚,感情など, 自己の内的側面に注意を向ける傾向である私的自己意識と,自己の容貌,言動など,自己の外的側面に注意を向ける傾向である公的自己意識から成る性格要因)と対人恐怖心性との関係を数量的に検討することを目的とした。高校生256名(男子103名,女子153名),大学生271名(男子108名,女子163名)を対象に両概念を測定する質問紙尺度を実施した。統計分析の結果,高校生男子は公的自己意識が概ね対人恐怖心性と無相関であった。すなわち,高校生男子では公的自己意識が必ずしも対人恐怖心性(特に対人恐怖的行動)と関連をもたないことが明らかにされた。しかし,高校生女子と大学生では公的自己意識が対人恐怖心性と有意な正の相関を示し両者の密接な関連性が示唆された。また,大学生では認められなかったが,高校生の私的自己意識は対人恐怖の自意識過剰性と有意な正の相関を示した。両者の関連については,私的自己意識の一側面である,心身の内的感覚や存在感覚に注意を向ける傾向と対人恐怖心性との関連という観点から考察された。 Summary : The purpose of this study was to investigate the relationship between self-consciousness (public and private consciousness) and anthrophobic tendency in adolescents. "The self-consciousness scale" measuring public and private consciousness and "The inventory of negative self-awareness in interpersonal relationships" measuring anthrophobic tendency were administered to 256 senior high school students and 271 college students. The results showed that for female senior high school students and college students, public consciousness and anthrophobic tendency correlated positively, while there was an uncorrelativeness for male senior high school students, and for high school students, private consciousness and part of anthrophobic tendency correlated positively, while there was an uncorrelativeness for college students. These results suggested self-consciousness was partial1y related to anthrophobic tendency.