著者
Peter KOLLOCK
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.3-18, 1993-04-01 (Released:2009-03-31)
参考文献数
30
被引用文献数
1 6

The purpose of this study is to investigate how cooperation might emerge given the following circumstances: the presence of social dilemmas (in which individually rational behavior leads to collectively irrational outcomes), the absence of perfect information, and the possibility of degrees of cooperation. This investigation includes an analysis of accounting systems in exchange relations and argues for the benefits of a relaxed accounting system under the conditions enumerated above. The problem is examined in an experimental study in which subjects interacted with a variety of simulated actors. The highest levels of cooperation and the greatest earnings resulted when subjects interacted with simulated actors using a strategy that involved some form of relaxed accounting system. In addition, simulated actors using a relaxed accounting system did as well or better for themselves than simulated actors using more restrictive strategies.
著者
武藤 正義
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-16, 2007 (Released:2007-08-03)
参考文献数
27
被引用文献数
1

社会学的研究における数理モデルには「現象説明」型と「制度理解」型の2つがある。現象説明モデルは特定の社会現象をメカニズムとして記述し、現象のデータを説明することを目指す。制度理解モデルはもうすこし抽象度が高く広汎で持続的な社会現象、すなわち制度をメカニズムとして理解することを目指す。両者の関係は相互補完的であるが、今日では制度理解モデルは地に足のつかないものとして敬遠される向きもある。しかし、制度理解モデルは、第1に、社会の見えざる制度を明らかにする発見的価値を有することで社会への理解を深め、第2に、それによって社会をより望ましい方向へと構築していく倫理的価値を有することで社会に貢献する。なお、この理解の経験的な正しさは、制度理解モデルが産出する規範的命題が当為を突きつけることによって支えられている。規範的命題によって制度理解モデルは机上の空論を免れる。制度理解モデルは、特定の現象の説明を超えてより普遍的な制度のメカニズムを明らかにする点で広汎な興味と利用の可能性に開かれているため、共通言語性をもつ。また、数学は諸学問分野の橋渡しとなるおそらく唯一の共通言語である。この二重の共通言語性において、制度理解型の数理モデルが探究される意義がある。
著者
塚崎 崇史 亀田 達也
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.37-51, 2004-03-31 (Released:2008-12-22)
参考文献数
51

社会心理学において、エージェント・ベースト・モデルは、社会的影響過程や社会的交換などの対人・集合現象に関する研究で展開されてきた。これらの先行研究におけるモデルでは、集団極化や住み分けが発生する社会的メカニズムを明らかにしたり、また、利他行動が集団内で合理的となる状況の範囲を同定することに成功している。本稿では、これらの展開について議論した後、不確実環境下での社会的学習方略の進化可能性や、集団意思決定における多数決規則の適応価について、エージェント・ベースト・モデルを用いて検討を行った最近の研究を紹介した。そして、エージェント・ベーストの進化シミュレーションを用いた研究を行うことで、様々な社会心理学的現象に関する理論的仮説を組織的に導き出せること、また、生物学や経済学など異なった分野との交流を促進できることを議論した。
著者
七條 達弘
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.87-103, 2007 (Released:2007-08-03)
参考文献数
9
被引用文献数
1

囚人のジレンマゲームは、社会的ジレンマ状況を説明する単純化されたモデルとして、多くの研究がなされてきた。長期的な付き合い関係などで、協力が発生することが知れている。しかし、この結論を導くためには、強制的に同じ相手とゲームを継続するという仮定が必要である。現実には、パートナーの変更が可能であり、これにより協力の発生が阻害される可能性がある。そこで、本研究では、パートナー変更がある場合でも、協力が発生する事が可能であることを示す理論モデルを構築する。さらに、パートナーの分布変化がある場合を考慮すると、非協力の集団からの協力の発生という、協力の初期進化を説明することができることを示す。
著者
小林 盾
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.183-194, 2002-10-31 (Released:2009-02-10)
参考文献数
57
被引用文献数
2

数理社会学は,社会規範の発生メカニズムを扱うことができるし,むしろ積極的に扱っていくことが期待されている.社会規範は社会のセメントとして役立っているが,これまで社会学は「すでにあるもの」と仮定することが多かった.しかし,もし社会規範がどう生まれて変化していくのかをあきらかにできないと,ひとびとの行動や社会現象を理解するときに誤解する危険がある.いっぽうもし解明すれば,秩序問題という社会学の根本問題を解決できるであろう.そこで,1つの有望な戦略として,社会規範の発生を「選好形成」と捉えて,社会規範の内面化をモデル化することを提案する.そうすることで,理論的には合理的選択理論やゲーム理論の成果を継承できるし,方法論的にはマイクロな行動をマクロな構造へと架橋できる.そのとき,「ピンポイントの数理モデル」を立てて,研究対象を狭く深く限定することがふさわしい.こうした検討をとおして,「望ましい社会とはなにか」という問いにも,貢献できる可能性がある.
著者
内藤 準
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.211-226, 2005 (Released:2007-07-06)
参考文献数
31

本稿の目的は, 「パレート派リベラルの不可能性」を解消させうる「リベラルな」社会的仕組みを明らかにし, さらにその問題点を示すことである. 具体的には, 選択の自由を保証するリベラリズムの自然な含意として認められてきた「高階の判断」および「選択の責任」という考え方を組み込んで「契約の自由」を適切に再定式化すれば, 従来の解決法にはない制度としての強さを持った解決が可能なことを示す. 最後に, この「自由と責任の制度」の仕組みを社会学的に簡潔に説明し, その現実的問題点も指摘する.
著者
毛塚 和宏
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.3-12, 2017 (Released:2017-07-19)
参考文献数
34

受賞論文は教育達成に関する階層間格差を説明するBreenとGoldthorpeの相対リスク回避仮説に修正を加え,日本において適合的かどうか検討した.数理モデルと計量分析による検討の結果,下降回避的なメカニズムを含まない単純進学モデルが最も説明力があった.本稿の後半では,社会学内における数理社会学のプレゼンスの低さという数理社会学を巡る問題を取り上げた.最後に,さまざまな実証研究との協働によって解決される可能性を提示した.
著者
浜田 宏
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.2_3-2_17, 1999-09-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
16

ジブラ法則に従うことが経験的に知られている所得分布が、個人の合理的選択の集積によって生成される過程を単純なモデルによって定式化することを試みる。ベースライン・モデルとして「成功すれば高利得を得るが不確実な投資」と「低利得しか得られないが確実な安全策」のどちらかを行為者が合理的に選択する反復ゲームを用いた。モデルの利得構造を決定する所与のパラメータは投資成功確率(報奨密度)&gと投資に対する利益率Rである。分析は数値計算によるシミュレーションでおこなった。ゲーム回数を5または10とし、R={0.5,1,2,3}、0≦γ≦1の範囲でパラメータを変化させ、それに伴う総獲得純益分布の歪度およびジニ係数の変化を調べた。分析の結果、ジニ係数の増減には臨界点が存在するという予想が得られた。 また、ゲームの勝者がより多く投資してより多くを得る累積効果を考慮した場合、反復投資ゲームが生成する総獲得純益分布はγ›1/(R+1)のとき対数正規分布に従うことがわかった。
著者
原田 豊
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.71-74, 2023 (Released:2023-09-01)
著者
金澤 悠介
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.221-224, 2022 (Released:2023-03-24)
著者
稲葉 昭英
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.51-64, 1999-03-31 (Released:2016-09-30)
参考文献数
15

人が生涯にわたって経験するストレスには大きな性差が見られる。本研究は平成7年度国民生活基礎調査の集計結果を用いて女性に一貫してストレス経験率が高いことを示し、このパターンを説明するいくつかの仮説を検討する。最終的には、自分、家族、家族以外の他者、いずれに成立する出来事に対しても、女性の方がほぼ一貫してストレス経験が高いことが示される。これは女性が他者に対するケアのみではなく、自分に対するケアもより多く行うというケアの性別非対称的構造を想定することで説明が可能となる。最後に、女性によるケアの提供という視点から性別役割分業を捉える可能性が議論される。