著者
高村 昭輝 伴 信太郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.255-258, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
5

1) オーストラリアではここ数年で多くの医学部が医学生に対して全学年を通して地域医療と地域社会そのものを認知・意識できるカリキュラムを採用している.2) フリンダース大学では医学生に対してオーストラリアで初めて,遠隔地での長期間にわたる地域小病院・診療所での総合診療実習に着目してプログラムを作成,実践し,大きな成果を上げている.3) 地域立脚型医学教育には様々な形態が考えられるが,どのような地域医療教育が日本の文化,歴史,医療制度に適合し,将来的な地域医療の充実につながるのか考察する必要がある.
著者
服部 良信 水野 美穂子 野々垣 浩二 小鹿 幸生 西尾 昌之 藤中 憲二 小西 靖彦 村岡 亮
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.298-299, 2014

優れた臨床研修指導医の養成が必要で,指導医は臨床研修指導医講習会(講習会)の受講が必須である.平成25年6月の臨床研修運営委員会(委員会)で開催提案し,7月の委員会で否定された.理事長・病院長の指示で,9月の委員会で指導医のレベルの向上等を目的とした大同病院のスタッフ単独での開催を決定した.タスクホースは,チーフと院外講師を除き院内から選出し,予行会を3回,総合リハーサルを1回施行した.他の事務の協力を得て,平成26年2月に大同病院の第1回講習会を実施した. 単独開催により,臨床研修に対する意識改革ができ,受講者・タスク・事務方のレベルアップおよび良い人間関係の構築ができ,一体感が得られた.
著者
根路銘 安仁 大脇 哲洋 桑原 和代 新村 英士 嶽崎 俊郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.461-465, 2013-12-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
7
被引用文献数
2

医学部入学定員は平成19年より急速に増加しており多くを地域枠学生が占めている.過去の調査で「医師不足地域での従事」において,専門医取得は大きな要素であった.鹿児島県の地域枠は全国よりも3年間早く開始され来年度から後期研修が開始される.彼らが専門医も取得可能なキャリア計画を提示することは喫緊の課題であり現在の制度情報を元に検討した結果,専門医の取得が困難であった.本問題は鹿児島県だけの問題でなく,数年後全国の医学部の卒業生の約2割が地域枠学生であることを考えると全国的な問題であり,彼らが専門医取得困難である現状は改善しなければならない.そのためには,各方面からの取り組みが必要である.
著者
錦織 宏 西城 卓也 田川 まさみ
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.79-86, 2014-04-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
15

カリキュラム/プログラム評価とは,「学生や研修医を対象にした事後アンケート」に留まるものではなく,一定の目的をもって,計画された教育活動を多角的に評価する営みである. 以下の問いについて考えながら,評価を計画する. ・ なぜ評価を行うのか? ・ 誰に向けての評価なのか? ・ 何を評価するのか? ・ どのように評価するのか? ・ 誰が評価するのか? ・ 誰から情報を得るのか? ・ いつ評価するのか? ・ 評価結果をどのように用いるのか? カリキュラム/プログラム評価の目的は教育活動の改革にある.
著者
渡部 健二 和佐 勝史 濱崎 俊光 樂木 宏実 土岐 祐一郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.63-68, 2014-04-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
5

背景 : 大阪大学で新しく導入した臨床実習総括試験の特性を明らかにするため,当試験の成績を他の試験と比較検討した.方法 : 比較対象は,基礎医学,臨床医学,共用試験CBT,共用試験OSCE,クリニカル・クラークシップとした.結果 : 当試験との相関を示すPearson相関係数は全般的に低値を示した(基礎医学 0.32,臨床医学 0.36,共用試験CBT 0.44,共用試験OSCE 0.39,クリニカル・クラークシップ 0.24).主成分分析の結果,当試験,共用試験OSCE,クリニカル・クラークシップは1つの組を形成し,基礎医学,臨床医学,共用試験CBTは別の組を形成した.結語 : 当試験は既存の試験とは異なる観点の試験であり,技能,態度,コミュニケーション,臨床推論などが包括的に求められる臨床的課題解決能力の指標となる可能性が示唆された.
著者
植村 研一
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.380-383, 1986-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10
著者
坂崎 貴彦 久保田 正和 押田 芳治
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.321-324, 2007-10-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
6

1) 保健師・看護師と, 助産師・看護師のそれぞれの統合カリキュラムは, 1997年4月に同時に制定された. 2006年4月現在, 前者は10校開設されているが, 後者は1校も開設されていない.2) 助産師・看護師統合カリキュラムについては, 地域看護の単位数が少なく, 病気や高齢を伴うことが少ない助産師教育を統合させること自体に無理があったのではないだろうか.3) 助産師・看護師統合カリキュラムは, 実用性の検証が不十分なままに制定されたと考えることも可能であるが, 助産師不足が叫ばれている昨今, 制度を活用する学校が現れることを望みたい.

1 0 0 0 OA 序 文

著者
錦織 宏 道信 良子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.273-273, 2013-10-25 (Released:2015-07-06)
著者
小田原 悦子
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.286-291, 2013-10-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
15

作業療法は1917年に設立され,作業を使って障害,病気の人が社会に復帰するように援助する専門職としてアメリカで教育が始まった.作業療法の設立者が専門職を人間の健康は日常の作業によって形成されるという包括的な見方に基礎づけたことを反映し,学生教育は幅広いものであった.その始まりから,臨床家の教育に影響する健康の概念に関する2度の大きな転機があった.1.リハビリテーション医療との密接な連携によって保護されたが,伝統的な医学モデルに影響を受け,医療診断に基づいた臨床を発展させた.2.健康のより広い概念,参加モデルへ再度移行した.作業療法研究者,教育者の視点から,第2の転機における文化人類学の貢献を述べる.
著者
内田 満夫 津田 洋子 塚原 照臣 多田 剛 櫻井 晃洋 福嶋 義光 野見山 哲生
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.181-187, 2012-06-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
20

信州大学医学部3年生を対象に,衛生学公衆衛生学の講義の際にプレテストとポストテストを実施した.本研究は,どちらのテスト結果が期末試験結果と強く関連するか検証することを目的とした.1)2010年の前期に,医学部3年生112名を対象としてプレテストとポストテストをそれぞれ合計7回行い,また前期末に期末試験を実施した.2)プレテスト,ポストテスト,プレ–ポストテストの差分,期末試験の得点の関連を調べた.またプレテストの結果別に学生を4分位に分け,群間のポストテストと期末試験の得点を比較した.3)プレテスト得点は,ポストテスト,期末試験の得点と有意に関連した.また4分位において,第4群(プレ高得点群)は第1群(プレ低得点群)より,ポストテストと期末試験得点が有意に高かった.4)ポストテスト得点は期末試験の得点と有意に相関しなかった.5)以上より,プレテスト得点はポストテスト得点より期末試験結果を予測するための指標として有用であると考えられた.
著者
菰田 孝行 阿部 幸恵 大滝 純司
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.259-263, 2009 (Released:2010-09-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

1) インターネット検索エンジンGoogleを用いて,「GIO」と「SBO」,「一般目標」と「行動目標」を,それぞれ検索語として入力し「and検索」を行った.2) 「GIO」と「SBO」を検索語として用いた場合に得られた上位100位までのサイトのほとんどが,日本の医学教育に関わるサイトであった.3) 「一般目標」と「行動目標」を検索語として用いた場合に得られた上位100位までのサイトのほとんどが,医学教育に関わるサイトであった.
著者
辻 琢己 吉田 侑矢 河野 武幸
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.121-131, 2013-06-25 (Released:2015-07-06)
参考文献数
13
被引用文献数
3

背景 : 薬剤師養成を目的とした6年制薬学部の多くでフィジカルアセスメント実習が行われている.方法 : 薬剤師の職能創成や学びのモチベーションの向上に対する本実習の有用性を明らかとするため,実習前後で生じた学生の意識変化をアンケート形式で調査し,自由記述内容をテキストマイニングで解析した.結果 : フィジカルアセスメントに関する技能を持たない学生に本実習を実施した結果,本実習で修得した知識や技能が薬剤師に必要であると考える学生が有意に増加し,学びのモチベーションも向上した.考察 : 本実習は,積極的に薬物治療に貢献することの重要性を認識させるだけでなく,学びのモチベーションの向上にも繋がると考えられた.
著者
藤本 博 池本 卯典 佐藤 直史 阿部 徳之助 吉野 啓子 青野 修 手塚 統夫
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.105-108, 1985-02-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

1. 高校調査書内容を数値化し, 大学教員による諸人物考査との相関を求めた. 扱い方により調査書は評価の資料としてすぐれていることが判明した.2. 学生と接する期間が長い程, 寮務主事の評価と調査書との一致度が増加する.
著者
依田 紀彦 川本 進也
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.281-284, 1988-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6
著者
松村 真司 大野 毎子 福原 俊一 加我 君孝
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.173-178, 2001-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
13

全国大学医学部・医科大学における卒前教育に関し, 1) EBM教育の必要性の認識, 2) EBM教育の導入状況, 3) EBM教育の施行時期および担当科, についてアンケート調査を行い, 64校 (有効回答率80%) から回答を得た. 回答校のほぼすべて (63校) がEBM教育は必要であると回答し, また多くが卒前・卒後ともEBM教育は重要であり, すべての科が担当すべきであると回答した. 調査時, 22校 (34%) にEBM教育が導入されており, 28校 (45%) が導入を検討中であった. すでに導入されているものは, 主として4年生が対象であり, その担当科は多様であった. 今後は, 教育効果に関する評価が必要であると考えられた.
著者
池崎 澄江
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.223-228, 2003-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
31
被引用文献数
1

慢性疾患の増加と患者の消費者としての主張により, 最近は相互参加型医療 (mutual participation model) が唱えられるようになってきた. これまでのパターナリスティックな医師と患者の関係から, 両者が相互に情報を共有し, 患者も治療に主体的に取り組む関係に転換しつつある. 相互参加のためには医師と患者の視点の違いをコミュニケーションによって緩和し, さらに患者の参加を促進するような情報提供を行う必要がある. コミュニケーションがもたらす影響を医師と患者の両者を対象にした実証研究で明らかにし, コミュニケーションスキルの医学教育に役立てていくべきである.
著者
安井 浩樹 網岡 克雄 青松 棟吉 阿部 恵子 平川 仁尚 倉田 洋子 野田 雄二 植村 和正
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.289-293, 2011-10-25 (Released:2013-03-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

1)地域の医療・介護現場における医師,薬剤師,看護師,介護士などの多職種連携推進を考えるワークショップを行った.2)「地域における多職種連携に必要なものとは?」,「地域における多職種連携を妨げている要因とは?」,「地域における多職種連携を妨げている要因への対策」についてディスカッションを行った.3)重要な課題として,コミュニケーション,情報共有,リーダーシップ,その他が抽出され,その他には,医療・介護の制度面の改善の他,多職種連携の意義の明確と共有が挙げられた.