著者
藤本 博生
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.p902-929, 1976-11

個人情報保護のため削除部分ありパリ講和会議を控えて、日本と中国の進歩的知識人は、ウィルソン主義と自らの民主主義的運動とをオーバーラップさせ、これを賛美した。だが、日本の外務省は、中国に対する帝国主義的野心を満たすため、一方で外交部に対する圧迫を続けるとともに、他方で人種差別撤廃に名を借りて欧米先進帝国主義列強を牽制した。民本主義者は、このような「人種案」を批判したけれども、国家主義者やブルジョア新聞は、それぞれの立場からこれを「支持」した。国際聯盟規約から人種差別撤廃条項が除外された時、日本の世論における国際協調的傾向は影をひそめ、東亜モンロー主義が高らかに唱えられた。中国では、ウィルソン主義への期待から一時は楽観的な雰囲気が人々の心を覆っていたけれど、「五大国」のひとつである日本の相変らぬ外交姿勢、とくに小幡公使の恫喝に、戦後世界もまた権力政治の支配する場であることが認識された。この認識を通じて、中国の進歩的知識人は共産主義へより一層接近した。こうして日本と中国は、その歩む道を決定的に異にすることとなったのである。
著者
堀江 祐範 杉野 紗貴子 藤本 博雄 山辺 啓三
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.71-77, 2017-03-15 (Released:2017-03-29)
参考文献数
26

腸内環境の改善には,乳酸菌をはじめとしたプロバイオティクスの摂取が効果的である.一般に整腸作用や有害菌の増殖抑制には,摂取した菌が生存率を保った状態で腸内に到達することが重要であるが,乳酸菌が必ずしも胃での生残性が高いとは限らず,せっかくよい効果があっても,胃で死滅しては意味がなくなってしまう.一方,こんにゃくは多糖類の繊維からなる難消化性の食品で,強アルカリ性の食品であることから,乳酸菌をこんにゃくに付着させ,一緒に摂取することで生残性を向上させることができないかと考えた.製造時に発泡させることで表面積を大きくした球状のこんにゃくに,Lactobacillus crispatusおよびL.plantarumを取り込み,pH 1.2の人工胃液中で保持した.こんにゃくがない場合には,これらの乳酸菌は30分で死滅したが,こんにゃくと一緒に保持することで,60分及び120分後まで生存が認められた.本技術により,乳酸菌をこんにゃくと一緒に摂取することで,生存率を保ったまま腸管に届けられる可能性が示された.
著者
藤本 博文
出版者
広島大学教育学部光葉会
雑誌
国語教育研究 (ISSN:02873354)
巻号頁・発行日
no.31, pp.56-80, 1987-10-20

主題:高校学校における論説・評論の指導 ; 昭和61年8月12日(火) (一三・三〇~一六・〇〇)
著者
藤本 博志 堀 洋一 河村 篤男
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.766-772, 2000-09-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
23
被引用文献数
26 33

In this paper, a novel perfect tracking control method based on the multirate sampling control is proposed, in which the concept of the two-degree-of-freedom preview control is employed. In the proposed method, it is assumed that the usual single-rate robust feedback controller such as the disturbance observer or the H∞ controller already exists, and only the feedforward controller is designed by using the multirate sampling control. The advantages of the proposed method are that 1) the controller can be designed without considering the unstable zeros of the discrete-time plant, 2) the states of the plant match the desired trajectories at every sampling point, 3) high robust performance is assured by the robust feedback controller.An illustrative example of position control using a servo motor is presented, and the advantages of this approach are demonstrated.
著者
廣田 峻 井尻 航太朗 藤本 博文
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.151-158, 2016

香川県丸亀市において、2001?2003年、2011年にミナミメダカの分布調査を行い、ミナミメダカの分布と土地利用の関係を検証した。2回の調査の間に、田から建物用地への転用が進んだものの、ミナミメダカの分布が確認された地点は増加した。土地利用と水系、ため池との距離、標高・傾斜を環境要因として、ミナミメダカの分布確率を推定する多変量解析を行った。その結果、調査地点から半径100 m土地利用がミナミメダカの分布確率を推定する上で最も当てはまりが良かった。土地利用のうち、河川・ため池面積が生息確率に負の、田と建物用地面積が正の影響を持つことが示された。この結果は、ため池とその周辺がミナミメダカの生息に不適当になっている一方で、田と住宅地の境界域が有用な生息地として機能している可能性を示唆するものである。
著者
藤本 博 福井 謙一
出版者
南江堂
雑誌
化学の領域 (ISSN:00222070)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.p71-80, 1979-02
著者
藤本 博 池本 卯典 佐藤 直史 阿部 徳之助 吉野 啓子 青野 修 手塚 統夫
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.105-108, 1985-02-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

1. 高校調査書内容を数値化し, 大学教員による諸人物考査との相関を求めた. 扱い方により調査書は評価の資料としてすぐれていることが判明した.2. 学生と接する期間が長い程, 寮務主事の評価と調査書との一致度が増加する.
著者
篠原 雅尚 村井 芳夫 藤本 博己 日野 亮太 佐藤 利典 平田 直 小原 一成 塩原 肇 飯尾 能久 植平 賢司 宮町 宏樹 金田 義行 小平 秀一 松澤 暢 岡田 知己 八木 勇治 纐纈 一起 山中 佳子 平原 和朗 谷岡 勇市郎 今村 文彦 佐竹 健治 田中 淳 高橋 智幸 岡村 眞 安田 進 壁谷澤 寿海 堀 宗朗 平田 賢治 都司 嘉宣 高橋 良和 後藤 浩之 盛川 仁
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2010

2011年3月11日、東北地方太平洋沖でM9.0の巨大地震が発生し、地震動・津波被害をもたらした。この地震の詳細を明らかにするために、各種観測研究を行った。海底地震観測と陸域地震観測により、余震活動の時空間変化を明らかにした。海底地殻変動観測及び地震波反射法構造調査から、震源断層の位置・形状を求めた。さらに、各種データを用いて、断層面滑り分布を明らかにした。現地調査により、津波の実態を明らかにし、津波発生様式を解明した。構造物被害や地盤災害の状況を明らかにするとともに、防災対策に資するデータを収集した。
著者
菅 英輝 初瀬 龍平 藤本 博 秋元 英一 土佐 弘之 松田 武 油井 大三郎
出版者
西南女学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、アメリカの戦争が秩序形成において占める位置、役割、およびその影響や帰結を体系的・包括的に検討することを通して、それが21世紀の世界秩序形成およぼす影響や問題点を分析・評価することを目指した。研究会は初年度3回、2年度4回、最終年度3回の他、総轄班の会合を2回開催した。初年度は全員の報告を義務付け、最終年度も全員に報告を義務付け、そのときの議論を踏まえて最終報告書用の原稿を提出してもらった。研究成果の公開を心がけ、分担者による学会報告の他、関西大学で海外研究協力者も招聘して国際ワークショップを実施した。ホームページでも研究活動を公開し、くわえて分担者相互の意思の疎通を図った。また、海外研究協力者や国内の知見提供者を招いての研究会開催は、知的交流を拡大するのに役立ち、人的ネットワークの確立という面でも成果を挙げた。この点は、平成19年度から開始することになった共同研究(基盤研究A)を組織するさいにも役立った。また、大型マイクロフィルム資料も購入し、資料面でも充実させることができた。代表者および研究分担者の3年間の研究業績としては、論文57(日本語)、論文8(英語)、編著10(日本語)、単著!(日本語)、単著1(英語)である。なお、現在、科研報告書用に提出された論文をもとに、書き直しをしてもらい、法政大学出版局より研究書として2冊刊行することが決定し、現在その作業を行っている。また、2冊のうち、1冊については、海外研究協力者ボブ・マクマン教授と代表者の菅が編者となって、英語での刊行を目指し、現在鋭意取り組んでいる。
著者
河村 篤男 藤本 博志 藤本 康孝 下野 誠通
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果の特徴は次の2点に集約される。(1)SAZZチョッパのトポロジーで、50kW出力、電力密度100kw/〓を実現した。(2)可変速駆動系システムに直列チョッパを導入する時の省エネ効果は、そのシステム構成によって幅がある。特に、電気自動車に限れば、25kw試験装置において直列チョッパの高電力密度化、軽量化により、JC08モード走行において3%以上の省エネ効果が確認された。さらに、チョッパの軽量化と直流電圧の選択によっては、10%程度の省エネの可能性が示された。
著者
油井 大三郎 藤永 康政 梅崎 透 内田 綾子 藤本 博 小塩 和人 豊田 真穂 井関 正久 八十田 博人 土屋 和代 栗原 涼子 中村 督 ディビット ファーバー ベス ベイリー ケビン ゲインズ ヨアヒム シャルロート
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

1)1960年代の米国における社会運動に関する1次史料の系統的な収集がほぼ予定通り実現した。また、収集した史料の解題付き目録を作成し、史料自体も近く公開されるので、日本においても1960年代米国の社会運動に関する実証研究が大いに進展することが期待される。2)米国の社会運動グループ毎の比較を通じて諸グループ間の思想的・組織的連関の解明が進んだ。3)西欧や日本の1960年代社会運動研究と米国のそれとの国際的な比較研究によって、ニューレフトなど重要な概念における相違と相関が明らかになった。
著者
近藤 正行 染岡 慎一 大渡 伸 山口 和正 藤本 博一 小坂 光男
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.p111-118, 1981-06

常温環境下にて6名の健常被験者の上腕二頭筋(M. Biceps brachii)に随意・等尺性筋収縮を誘起し,その経過中に出現する筋疲労のEMG波形をデータ処理システム(ATAC450及びPC-8001)を用いて解析し以下の結果を得た.(1)等尺性筋収縮による筋疲労時のEMG波形には寒冷ふるえ時のEMGと同様に群化放電(grouping discharge: G.D.)が観察された.(2)G.D.の形成機序を解明するために,G.D.の構成成分である連続する2個の筋放電パルスのインターバルについて相関行列を求め,更にP-mode Cluster分析を行った.その結果得られたdendrogramは,2個のパルスのインターバルが1~19 msecと20~50msecの2群に分かれ,かつ,両群のヒストグラムは筋疲労の進行過程において相反的な動態を呈した.(3)(2)で示したCluster分析のdendrogramで,インターバルが2群に区分できなかった例に関して,相関行列を求めた後にDirect Varimax法による因子分析を行い因子行列を作成した.因子分析の結果から,G.D.形成のインターバルは19msec~21msecが適当値と判明し,この事は従来の研究結果が妥当である事を立証した事になる.(4)即ち,従来の研究ではG.D.の条件設定に主観的要素が混入する可能性を残していたが,本研究(上述(2)(3))の結果は,多変量解析の駆使によってG.D.の条件設定がより客観的となった点が進歩である.(5)体熱産生の寒冷ふるえと随意・等尺性筋収縮の誘発法や,そのEMG波形分析,特に,Cluster分析や因子分析の統計学上の意義について二・三の検討が加えられた.In a neutral temperature environment, six healthy human volunteers aged 22-33 years were examined by computer analysis of EMG patterns of dominant biceps brachii muscle throughout its isometric contraction against a constant load. The isometric contraction was performed from a seated position with the elbow resting on a flat surface and 45°angle to the table (90°flexion). Fatigue EMG of unilateral biceps brachii was recorded during 40% maximum contraction value (MCV) isometric contraction, using both surface and fine needle electrodes. Properties of grouping discharge in EMG patterns of cold shivering and muscular fatigue were investigated. The interval of consecutive two pulses, mean frequency and mean duration of grouping discharge were analyzed by Cluster analysis as well as by Factor analysis using an analogue computer ATAC 450 and a personal computer PC-8001. Two different modes of interval of grouping discharge were found from a dendrogram of P-mode Cluster analysis. One had an interval time of 1-19 msec and the other had 20-50 msec of consecutive two pulses of grouping discharge. The data of Factor analysis using a Direct Varimax method also revealed a significant difference between the two modes interval, namely in the one, less than 19 msec and in the other, more than 21 msec, respectively. These results indicate that the range of interval of consecutive two pulses of grouping discharge in EMG of cold shivering and isometric muscular contraction is conclusively 20 msec and that the range is identical with the result of previous studies. The difference between Cluster analysis and Factor analysis was further discussed to evaluate the purposes and nature of the statistical analysis.
著者
平 啓介 根本 敬久 (1989) MULLIN M. EPPLEY R. SPIESS F. 中田 英昭 藤本 博巳 大和田 紘一 小池 勲夫 杉本 隆成 川口 弘一 沖山 宗雄 瀬川 爾郎 SPIES F. 清水 潮
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

大気中の二酸化炭素の増大やオゾン層の破壊などグロ-バルな地球環境の変動の可能性が広く注目を集めるようになり、大気中に放出された二酸化炭素の50%を吸収することに示される海洋の役割とその変動を解明するために、東京大学海洋研究所は太平洋の対岸に位置する米国スクリップス海洋研究所と平成1ー3年度にわたって共同研究を行った。これに先だって1968年5月に東京大学(海洋研究所)とリフォルニア大学サンディゴ分校(スクリップス海洋研究所)は学術研究協力協定を締結して、太平洋における地球圏変動(グロ-バルチェンジ)にともなう海洋の生産力、生物資源および海底の動態に関する協力研究に着手することに合意していた。平成1年、本研究の発足に当たって、根本敬久(当時、研究代表者)と小池勲夫がスクリップス海洋研究所を訪問して、全体の研究計画ならびに海洋上層における炭素・窒素の生物的循環を対象として研究する方法について討議した。同年11月に新造された白鳳丸がスクリップス海洋研究所に寄港して、海洋物理学、海洋化学、海底物理学、海洋生物学そして水産学の全分野について研究計画の打ち合わせを行った。また、スクリップス海洋研究所のヘイワ-ド博士を東京大学海洋研究所に招き、杉本隆成が渡米して地球規模の生物環境問題、特にイワシ類の資源変動の機構解明の方策が話し合われた。瀬川爾朗がスピ-ス教授を訪問して、東太平洋海膨の海底活動荷ついて電磁気学的特性について討論し、それぞれの海域で観測研究を実施することを打ち合わせた。平成2、3年度は上記の方針に沿って、カタクチイワシ、マイワシ類の稚仔魚の変動については、平成2年、3年の冬季に薩南海域で実施したマイワシの資源調査の結果ならびに既存資料とスクリップス海洋研究所がカルフォルニア沖で40年以上継続している調査結果と比べて大規模な地球的変動であるエルニ-ニョに対する応答を明かにした。物理的(温度、塩分、雲量、光量、海流)、化学的(栄養塩量、溶存酸素)パラメ-タ-によって資源変動を予測するための海洋環境変動モデルをそれぞれの海域について構築することができた。これらの資源環境学的研究は英文モノグラフとして刊行することになった。海洋における栄養塩の量的変動と微生物食物連鎖の研究も実施された。海洋物理学では、CTD観測に基づく海洋構造の観測と中立フロ-トの追跡によって太平洋の深層循環の研究を実施した。スクリップス海洋研究所は1987年2北緯24度と47度の太平洋横断観測を実施し、東太平洋の南北測線の観測を1990ー91年に実施した。後者についてはスクリップス海洋研究所のデ-ビス教授が南極環海と熱帯海域においてアリスフロ-トの追跡実験を、東京大学海洋研究所では平啓介が中心になって四国海盆ならびに黒潮続流域でソ-ファ-フロ-ト追跡実験を実施しており、デ-タ交換を深層流の統計学的特性を明らかにした。海底磁力計と電位差計による海底観測は東京大学海洋研究所では瀬川爾朗が中心に、スクリップス海洋研究所ではスピ-ス教授のグル-プが実施しており、相互のデ-タ交換を行い、海底ステ-ションによる長期観測法を確立した。海洋の炭素循環について、国際共同研究の一環として白鳳丸による北西太平洋における観測を平成3年5月に実施した。また、太平洋熱帯域ではスクリップス海洋研究所が8月に観測を実施した。これらのデ-タ解析により、溶存炭素の循環に関する研究をとりまとめた。
著者
大渡 伸 染岡 慎一 近藤 正行 藤本 博一 土屋 勝彦 小坂 光男
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.p169-176, 1981-09

正常ウサギの寒冷ふるえ(cold shivering)筋電図にみられる群化放電(GD)の解析に用いたGDの条件設定値の妥当性を検索するためにヒトの随意・等尺性筋収縮時の筋電図波形にみるGDをデータ処理システム(ATAC450及びPC-8001)にて解析,かつGDの詳細な分析を目的として下記の研究を実施した.(1)室温25℃・湿度65%の常温環境下にて先の論文に記載したと同一の被験者(6名・年令22~33才・体重54~72kg)の上腕二頭筋(M. Biceps branchi)に誘発させた等尺性筋収縮筋電図波形の中にあるGDの構成成分である筋放電を本研究の解析資料とした.(2)上記(1)の方法にて得られた筋電図波形に関して,Cluster分析および因子分析を用い,GDの条件設定値を検索し,連続する2個の筋放電パルス間隔およそ20msec以下を条件設定値と決定した.(3)等尺性収縮負荷による筋疲労の進行過程で記録された筋電図波形を経時的に分画し,GDの周波数,GDを構成する筋放電パルスの数,GDの持続時間及び一定時間内に出現するGDの発生率の4項目について解析し下記の結果を得た.(4)GDの平均周波数は等尺性収縮による筋疲労の初期(25, 40%MVC負荷開始2分目まで)には12~13c/sと比較的高い値を示すが疲労の中期(2分目以後)には10.0c/sとほぼ一定値に収束する.この結果からGDは疲労中期に形成されかつヒトの寒冷ふるえや筋疲労時にみるGDの周波数は10.0c/sである事が判明した.(5)筋疲労中期から極期(2分目~5分目)においてGD構成に参加する筋放電パルスの平均値は負荷開始より次第に増加し,36~38パルスでほぼ一定値を示し,GDの持続時間及び発生率もパルス数の変化とほぼ平行推移した.(6)これらの結果はGDの形成機序およびGDの体温調節上の意義を検索するため重要な資料であり,この点について幾らかの検討が加えられた.In an environmental control chamber (temperature: 25℃ and humidity: 65%), six healthy human volunteers aged 22-33 years were examined by computer analysis of EMG patterns of dominant biceps brachii muscle during fatiguing voluntray isometric contraction against a constant load. Fatiguing EMG activites of unilateral biceps brachii were recorded during 25 and 40% maximum contraction value (25 and 40% MCV) using fine needle electrodes. Grouping discharge in EMG patterns evoked by cold shivering was identically observed in electrical activity during fatiguing voluntary isometric contraction of human muscles. Following properties such as the interval of consecutive two pulses, mean frequency, mean duration, mean occurrence rate, and pulse numbers of grouping discharge in fatiguing EMG patterns were analyzed by Cluster analysis and Factor analysis using an analogue computer ATAC 450 and personal computer PC-8001. The range of interval of consecutive two pulses of grouping discharge in EMG of cold shivering as well as of isometric muscular contrac ion was conclusively less than about 20 msec. Mean frequency, duration, and occurrence rate of grouping discharge in EMG patterns during middle stage of muscular fatigue were about 10.0c/s, 140.0msec, and 85.5%, respectively. Pulse numbers participated in a certain group of consecutive grouping discharge increased in progress of mscular fatigue and eventually approximated to 36.0 in middle stage of muscular fatigue. These results indicate that various properties observed in grouping discharge of EMG activities evoked by cold shivering and isometric muscular contraction are identical and that rhythm of grouping discharge in their EMG patterns originate in the areas of the motoneuron pools of the spinal cord. Further thermoregulatory significance of grouping discharge during cold shivering and muscular fatigue was discussed in this paper.
著者
小林 和男 飯山 敏道 藤本 博巳 酒井 均 平 朝彦 瀬川 爾朗 古田 俊夫
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1988

本補助金による2年度にわたる集中的な研究によって西南日本沖(南海トラフ陸側斜面)の海底湧水帯の位置が精密に同定され、その実態がはじめて詳しく解明された。シロウリ貝群集が湧水帯上に集中して生息することは1985年のKAIKO計画においてすでに推定され、世界の他海域(バルバドスやオレゴン沖)でも証拠が挙がっていたが、今回現場での海底下鉛直温度勾配測定によって1年数mに及ぶ湧出水がシロウリ貝群集直下の径1m程度の範囲に集中して存在することが明瞭に示された。この湧出水はやや、深部からもたらされたメタン、硫黄等を含み貝の生育を助ける共生バクテリアの餌となると共に、酸素に富んだ表層間隙水により酸化されて炭酸カルシウムをつくり、周囲の堆積物の間隙を埋めて堆積物を固結させる働きをすることがわかった。湧水帯が集中する海溝付加帯の変動前面(水深3800〜3600m)でも1m弱の軟い堆積物の下に固化した砂泥の存在が推定され、海底にもいくつかの堆積物チムニ-が顔を出していることが曳航テレビと潜水船で観察されて試料採取にも成功した。この地点では3ケ月にわたる地殻熱流量と海底電位差の連続測定が行われ、有意な時間変動を検出している。一方、変動前面の上方に当るバックスラスト域(水深2000m)では小さなシロウリ貝群集が発見されスラストに沿う小規模の湧水が推定されるが、それ以外の海底には貝殻を含む固結した堆積物が露出し侵食を受けていることが判った。前面域で堆積し固化したものがしだいに上方に押し上げられて一部が露出するがほとんど地層内にとり込まれて行く一連の過程が1地域で観察されたことになり、プレ-ト沈み込みに伴う海溝付加帯の生成と成長についてこれまで古い地質時代の地層について推定されていたできごとが、現に海底で起こっているようすをありのまゝにとらえることができた点で日仏協力KAIKO-NANKAI計画の一環としても価値の高い成果である。