著者
藤本 博生
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.p902-929, 1976-11

個人情報保護のため削除部分ありパリ講和会議を控えて、日本と中国の進歩的知識人は、ウィルソン主義と自らの民主主義的運動とをオーバーラップさせ、これを賛美した。だが、日本の外務省は、中国に対する帝国主義的野心を満たすため、一方で外交部に対する圧迫を続けるとともに、他方で人種差別撤廃に名を借りて欧米先進帝国主義列強を牽制した。民本主義者は、このような「人種案」を批判したけれども、国家主義者やブルジョア新聞は、それぞれの立場からこれを「支持」した。国際聯盟規約から人種差別撤廃条項が除外された時、日本の世論における国際協調的傾向は影をひそめ、東亜モンロー主義が高らかに唱えられた。中国では、ウィルソン主義への期待から一時は楽観的な雰囲気が人々の心を覆っていたけれど、「五大国」のひとつである日本の相変らぬ外交姿勢、とくに小幡公使の恫喝に、戦後世界もまた権力政治の支配する場であることが認識された。この認識を通じて、中国の進歩的知識人は共産主義へより一層接近した。こうして日本と中国は、その歩む道を決定的に異にすることとなったのである。
著者
須藤 ありさ 片桐 誠一朗 赤羽 大悟 大月 俊輔 山田 晃子 勝呂 多光子 浅野 倫代 吉澤 成一郎 田中 裕子 古屋 奈穂子 岡部 聖一 藤本 博昭 後藤 守孝 後藤 明彦
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.83-88, 2022 (Released:2022-03-08)
参考文献数
15

剥離性食道炎は食道扁平上皮組織のシート状脱落を特徴とする稀な疾患である。抗凝固薬など薬剤性の報告があるが,造血幹細胞移植に合併した報告は少ない。今回,移植後早期に剥離性食道炎を発症した急性骨髄性白血病(AML)を経験した。症例は52歳,女性。FLT3-ITD変異陽性AML第一寛解期にFBM(fludarabine 180 mg/m2,busulfan 12.8 mg/m2,melphalan 80 mg/m2)による非血縁者間同種末梢血造血幹細胞移植を実施した。GVHD予防は,tacrolimusおよび短期methotrexateを実施した。前処置中よりCTCAE grade 3の嘔吐を認めていた。移植後5日目に嘔吐した際,長さ10 cm,幅1 cmの白色帯状物を口腔内より排出した。上部消化管内視鏡検査で食道全域の粘膜剥離を確認し剥離性食道炎と診断した。保存的加療で改善を認めた。前処置関連毒性を背景に,頻繁な嘔吐による食道への機械的圧力が粘膜剥離に寄与した可能性が考えられた。移植前処置として普及しているFBMにおいても剥離性食道炎に対し,十分な注意が必要である。
著者
友田 好文 藤本 博巳 松本 剛 河野 芳輝
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.293-301, 1982-06-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
16

R. G. A. (Residual Gravity Anomaly) was calculated along a section across the Hawaiian Ridge near Oahu Island by use of both the gravity data and the crustal velocity structure obtained by the explosion seismology. Anomalies of lithospheric thickness in this region were estimated from the result of the calculation of R. G. A. It is concluded that the thickness of lithosphere beneath the island is about 20k mthinner than that beneath the surrounding area as expected from the lithospheric thinning model.The values of R. G. A. in the Emperor Seamount Chain are smaller than those in the Hawaiian Region obtained in this work, so the thinner lithosphere beneath the seamount approaches the normal state with increasing the age of the seamount in the Hawaiian-Emperor Seamount Chain. This agrees with the lithospheric thickening model.
著者
前田 健太 藤本 博志 堀 洋一
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.259-265, 2014 (Released:2014-03-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

This paper presents the estimation method of the slip ratio limitation for electric vehicles that ensures traction, based on the tire brush model considering tire side slip. Also the estimated slip ratio limitation is applied to the driving force control, a traction control that has been proposed by the authors' research group. According to the proposed method, vehicle safety can be improved by preventing understeer when cornering with accelerating or decelerating on slippery roads. Effectiveness of the proposed method is verified by experiments using an experimental electric vehicle.
著者
堀江 祐範 杉野 紗貴子 藤本 博雄 山辺 啓三
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.71-77, 2017-03-15 (Released:2017-03-29)
参考文献数
26
被引用文献数
1

腸内環境の改善には,乳酸菌をはじめとしたプロバイオティクスの摂取が効果的である.一般に整腸作用や有害菌の増殖抑制には,摂取した菌が生存率を保った状態で腸内に到達することが重要であるが,乳酸菌が必ずしも胃での生残性が高いとは限らず,せっかくよい効果があっても,胃で死滅しては意味がなくなってしまう.一方,こんにゃくは多糖類の繊維からなる難消化性の食品で,強アルカリ性の食品であることから,乳酸菌をこんにゃくに付着させ,一緒に摂取することで生残性を向上させることができないかと考えた.製造時に発泡させることで表面積を大きくした球状のこんにゃくに,Lactobacillus crispatusおよびL.plantarumを取り込み,pH 1.2の人工胃液中で保持した.こんにゃくがない場合には,これらの乳酸菌は30分で死滅したが,こんにゃくと一緒に保持することで,60分及び120分後まで生存が認められた.本技術により,乳酸菌をこんにゃくと一緒に摂取することで,生存率を保ったまま腸管に届けられる可能性が示された.
著者
藤本 博文
出版者
広島大学教育学部光葉会
雑誌
国語教育研究 (ISSN:02873354)
巻号頁・発行日
no.31, pp.56-80, 1987-10-20

主題:高校学校における論説・評論の指導 ; 昭和61年8月12日(火) (一三・三〇~一六・〇〇)
著者
古田 俊夫 藤本 博巳 中西 正男 村上 英幸
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.233-241, 1990-06-24 (Released:2010-03-11)
参考文献数
5

Acoustic digital data telemetry makes it possible to retrieve the observed values on a surface ship at any time during long-term underwater measurement. Several sea trials have been carried out totest feasibility and reliability of the telemetry by means of acoustic pulses from an ocean bottom heat flow meter newly developed for long-term measurement. More than 90% of values retrieved by the acoustic telemetry is in good agreement with ones memorized in the bottom equipment and recovered later. Bit length of each acoustic pulse for this data telemetry can be selected from 100msec to 10msec in accordance with the ambient acoustic noiselevel. Under normal sea states, 20msec is sufficient length of a pulse for the data retrieval from a depth of 6, 000 meters.
著者
清水 修 永井 栄寿 藤田 稔之 藤本 博志 角谷 勇人 高橋 英介 山口 宜久 谷 恵亮 佐藤 正憲
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.1095-1100, 2021 (Released:2021-10-07)
参考文献数
10

電気自動車の性能的課題である航続距離の課題解決のために磁界結合方式の走行中給電が提案されている.磁界結合方式で用いる磁界中に導体が存在すると渦電流が発生し,電力損失となる.本研究では,アスファルト路面に埋設したコイルで電力伝送を行うことで,給電効率が道路構造による影響の検証を行った.
著者
坂口 雅宏 田伏 克惇 山本 誠己 下間 仲裕 南 浩二 長濱 実穂 有井 一雄 岡 正巳 藤本 博史
出版者
特定非営利活動法人 Microwave Surgery研究会
雑誌
Journal of Microwave Surgery (ISSN:09177728)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.67-78, 1992
被引用文献数
1

Recently we performed partial splenectomy and distal pancreatectomy using a new microwavescalpel (blade type electrode). A new microwave scalpel has merit of this high hemostaticperformance and cutting performance. In the 3 cases in which one was iatrogenic intraoperativesplenic injury and two were purpcse of preserving partial splenic function treated by this partialsplenectomy and in the 9 cases or gastric carcinoma teated by this distal pancreatectomy, theseoperations was accomplished safely and postoperative complication was free. These results suggestthat this apparatus, a new microwave scalpel, may well be recommended as a medical electronicsin the splenic and pancreatic surgery.
著者
藤本 博志 佐藤 基
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.136, no.10, pp.683-686, 2016

<p>1.はじめに 昨今,地球環境保護の問題が取り沙汰されるようになってきた。自動車はその利便性からまさに人類になくてはならない存在になったが,ガソリン資源は限りがあるといわれている。脱ガソリン,脱公害物質の観点から,低公害車が注目を浴びている。低公害車の中でも,電気自動車は内</p>
著者
藤本 博志 堀 洋一 河村 篤男
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.766-772, 2000-09-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
23
被引用文献数
26 35

In this paper, a novel perfect tracking control method based on the multirate sampling control is proposed, in which the concept of the two-degree-of-freedom preview control is employed. In the proposed method, it is assumed that the usual single-rate robust feedback controller such as the disturbance observer or the H∞ controller already exists, and only the feedforward controller is designed by using the multirate sampling control. The advantages of the proposed method are that 1) the controller can be designed without considering the unstable zeros of the discrete-time plant, 2) the states of the plant match the desired trajectories at every sampling point, 3) high robust performance is assured by the robust feedback controller.An illustrative example of position control using a servo motor is presented, and the advantages of this approach are demonstrated.
著者
廣田 峻 井尻 航太朗 藤本 博文
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.151-158, 2016

香川県丸亀市において、2001?2003年、2011年にミナミメダカの分布調査を行い、ミナミメダカの分布と土地利用の関係を検証した。2回の調査の間に、田から建物用地への転用が進んだものの、ミナミメダカの分布が確認された地点は増加した。土地利用と水系、ため池との距離、標高・傾斜を環境要因として、ミナミメダカの分布確率を推定する多変量解析を行った。その結果、調査地点から半径100 m土地利用がミナミメダカの分布確率を推定する上で最も当てはまりが良かった。土地利用のうち、河川・ため池面積が生息確率に負の、田と建物用地面積が正の影響を持つことが示された。この結果は、ため池とその周辺がミナミメダカの生息に不適当になっている一方で、田と住宅地の境界域が有用な生息地として機能している可能性を示唆するものである。
著者
藤本 博 福井 謙一
出版者
南江堂
雑誌
化学の領域 (ISSN:00222070)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.p71-80, 1979-02
著者
藤本 博 池本 卯典 佐藤 直史 阿部 徳之助 吉野 啓子 青野 修 手塚 統夫
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.105-108, 1985-02-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

1. 高校調査書内容を数値化し, 大学教員による諸人物考査との相関を求めた. 扱い方により調査書は評価の資料としてすぐれていることが判明した.2. 学生と接する期間が長い程, 寮務主事の評価と調査書との一致度が増加する.
著者
篠原 雅尚 村井 芳夫 藤本 博己 日野 亮太 佐藤 利典 平田 直 小原 一成 塩原 肇 飯尾 能久 植平 賢司 宮町 宏樹 金田 義行 小平 秀一 松澤 暢 岡田 知己 八木 勇治 纐纈 一起 山中 佳子 平原 和朗 谷岡 勇市郎 今村 文彦 佐竹 健治 田中 淳 高橋 智幸 岡村 眞 安田 進 壁谷澤 寿海 堀 宗朗 平田 賢治 都司 嘉宣 高橋 良和 後藤 浩之 盛川 仁
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2010

2011年3月11日、東北地方太平洋沖でM9.0の巨大地震が発生し、地震動・津波被害をもたらした。この地震の詳細を明らかにするために、各種観測研究を行った。海底地震観測と陸域地震観測により、余震活動の時空間変化を明らかにした。海底地殻変動観測及び地震波反射法構造調査から、震源断層の位置・形状を求めた。さらに、各種データを用いて、断層面滑り分布を明らかにした。現地調査により、津波の実態を明らかにし、津波発生様式を解明した。構造物被害や地盤災害の状況を明らかにするとともに、防災対策に資するデータを収集した。
著者
菅 英輝 初瀬 龍平 藤本 博 秋元 英一 土佐 弘之 松田 武 油井 大三郎
出版者
西南女学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、アメリカの戦争が秩序形成において占める位置、役割、およびその影響や帰結を体系的・包括的に検討することを通して、それが21世紀の世界秩序形成およぼす影響や問題点を分析・評価することを目指した。研究会は初年度3回、2年度4回、最終年度3回の他、総轄班の会合を2回開催した。初年度は全員の報告を義務付け、最終年度も全員に報告を義務付け、そのときの議論を踏まえて最終報告書用の原稿を提出してもらった。研究成果の公開を心がけ、分担者による学会報告の他、関西大学で海外研究協力者も招聘して国際ワークショップを実施した。ホームページでも研究活動を公開し、くわえて分担者相互の意思の疎通を図った。また、海外研究協力者や国内の知見提供者を招いての研究会開催は、知的交流を拡大するのに役立ち、人的ネットワークの確立という面でも成果を挙げた。この点は、平成19年度から開始することになった共同研究(基盤研究A)を組織するさいにも役立った。また、大型マイクロフィルム資料も購入し、資料面でも充実させることができた。代表者および研究分担者の3年間の研究業績としては、論文57(日本語)、論文8(英語)、編著10(日本語)、単著!(日本語)、単著1(英語)である。なお、現在、科研報告書用に提出された論文をもとに、書き直しをしてもらい、法政大学出版局より研究書として2冊刊行することが決定し、現在その作業を行っている。また、2冊のうち、1冊については、海外研究協力者ボブ・マクマン教授と代表者の菅が編者となって、英語での刊行を目指し、現在鋭意取り組んでいる。
著者
河村 篤男 藤本 博志 藤本 康孝 下野 誠通
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果の特徴は次の2点に集約される。(1)SAZZチョッパのトポロジーで、50kW出力、電力密度100kw/〓を実現した。(2)可変速駆動系システムに直列チョッパを導入する時の省エネ効果は、そのシステム構成によって幅がある。特に、電気自動車に限れば、25kw試験装置において直列チョッパの高電力密度化、軽量化により、JC08モード走行において3%以上の省エネ効果が確認された。さらに、チョッパの軽量化と直流電圧の選択によっては、10%程度の省エネの可能性が示された。