著者
高橋 優三 長野 功 呉 志良
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.355-359, 2009 (Released:2010-09-01)
参考文献数
2
被引用文献数
1

1) プレゼンテーション技術は重要であるが,この技術付与のための時間を正規の医学部カリキュラムに盛り込む余裕は少ない.学生が発表を上手に行うことの重要性に気がつき,かつそのコツを学ぶ事を目的に,自己評価(学生が自分の発表を)および同僚評価(学生が同僚の発表を)する評価シートを作成した.2) この評価シートには,プレゼンテーションの技術についてチェック項目が網羅されている.このチェック項目の近辺には,それに関連した発表技術のコツが併記され,チェックの作業をしているうちに,その技術を学べるように工夫されている.3)この評価シートは,学生と教員両者に役立つ.学生は発表の仕方を自から学び,教員は発表内容の指導に専念できる.
著者
福島 統
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.555-563, 2023-12-25 (Released:2024-02-08)
参考文献数
31

国内では, 大学設置基準が2022年9月に改正された. COVID-19パンデミックを乗り越えてきた大学の経験を活かし, 現行のルールでは認められていない教育方法, 単位認定を「特例制度」として実施できる道が開かれている. 「特例制度」という社会実験の成果を今後の大学設置基準の改定に活かしていく必要がある. 海外では, このパンデミックを通じ, 医学生は守られるべき学習者かそれともエッセンシャルワーカーかという議論や, 今回のパンデミックのように医学教育の順次性が中断された時, 進級, 卒業, 臨床研修への移行にあたり, 教育時間ではなく学習者がどのような能力を獲得しているかに重点を置いたCompetency-based, Time-variable (CBTV) Educationなどの議論が行われている.
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 G. S. Wagner 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984-06-25 (Released:2011-08-11)
著者
向所 賢一
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.179-183, 2016-06-25 (Released:2017-08-10)
参考文献数
16
被引用文献数
3

本誌でのプロフェッショナリズム特集において, 武士道が日本人医師のプロフェッショナリズムのモデルとなり得るか否かの論文が掲載され, その後, 岩田論文でこの問題が検討された. 私見では, 日本人医師のプロフェッショナリズムは錦織論文が推奨する武士道そのものではなく, 武士道の基礎となる儒学, 特に孔子の教えにあると考える. 一方, 野村論文にて商人道として紹介された三方よしは, 家族利益主義を基本とするものであり, "利" を追及しない日本人医師のプロフェッショナリズムとは相異なる. "医は仁術" の "仁" について論語を用いて学ぶ事が, 本邦におけるプロフェッショナリズム教育の基盤となると思われる.
著者
柿坂 庸介
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.209-215, 2023-04-25 (Released:2023-09-07)
参考文献数
21

筆者は医学科生に対し2013年より「症例報告の書き方」講義と執筆指導を開始した. 講義では, まず症例報告の教育的意義 (疾患理解, 論理的思考, 発信力ならびに臨床推論力の向上) を強調する. ついで新規点ならびに臨床的意義を明確にする重要性を示す. 次に執筆過程を4分割しそれぞれに目的と具体的行動を設定し, 実症例を提示しながら解説する. 執筆指導では症例報告における「要修正部位に対し資料を示しながら, 具体的な訂正法を提示する」介入により, 医学領域の作文学修における転移を促す教育法を模索している. 講義のアーカイブ化と学生の自律的成長を促す環境構築により, 本教育は持続可能な医学教育文化となりうる.
著者
織田 順 三苫 博
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.253-258, 2021-06-25 (Released:2021-07-22)
参考文献数
6

救急医学の見学型実習で, 全天球カメラを用いて救急初療の様子を記録し, 学習の助けとなる字幕や診療情報を加える編集を行い, VR/AR技術を用いてVRヘッドセットで視聴する動画教材を開発した. 学習者は対象の診療場面の基本知識を予習した上で視聴した. 指導医はミラーリング画像による視線の動きから学習者の理解度を把握し, リアルタイムにフィードバックを行った. VR/AR技術に, 予習動画教材と視聴中の理解度の計測を組み合わせることにより, 見学型実習に能動的な要素を取り入れることができた. また本システムは安価に活用することが可能で, 教育施設を越えたプラットフォームを構築することも期待される.
著者
山口 直比古 阿部 信一 雨宮 正恵 大村 伸栄 多胡 英樹 廣田 住友
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.387-394, 1990-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

In Japan, more than 1, 200 medically-oriented meetings are held each year, with the number of presentations given at those meetings estimated at over 100, 000.A questionnaire was sent to the member societies of the Japanese Association of Medical Sciences in order to obtain information about the character and the role of the meeting abstract. Moreover, Another questionnaire was sent to individual doctors and researchers regarding their views of the abstract selection process. It was found that 65 percent of the meetings held by the member societies, especially large-scale and clinicallyoriented societies, have a referee system. However, submitted abstracts are rarely rejected (average 9 percent), and only the subject matter is supposed to be checked. Moreover, it was clear that most doctors and researchers recognize the necessity of a refereeusystem for national meetings of general interest where they present their research achievements, and think research meetings where a small group of specialists gather to discuss a certain subject have less need for a referee system.Through the use of these two questionnaires, two main concepts were obtained:(1) a referee system is necessary to maintain high-level meetings, and (2) all applicants should be given an opportunity to present thier papers.
著者
中谷 晴昭
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.14-17, 2015-02-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
5
被引用文献数
1

日本の医学教育では, 欧米に比して, 学生の医学知識の面では決して劣ることはないものの, 臨床実習の時間と内容という面で不十分であることが指摘されている. 全国医学部長病院長会議では, CBTとOSCEからなる共用試験の資格化に取り組み, 全国統一基準でスチューデント・ドクターの認定を行おうとしている. これにより臨床実習に進む学生の質保証が行われ, 国民の理解を得たうえで, より充実した診療参加型臨床実習に実施することが可能となる. 日本の医師国家試験は問題数が多く, 受験生の負担も大きい. 今後, 医師国家試験が臨床実習の成果を判断するものになると共に, 将来的には各大学での客観性, 公平性の担保された卒業時OSCEの実施を条件として医師国家試験の軽減化も考慮されるべきであろう.
著者
三好 智子 大戸 敬之 岡崎 史子 舩越 拓 吉田 暁 芳野 純 今福 輪太郎 川上 ちひろ 早川 佳穂 西城 卓也
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.77-82, 2022-02-25 (Released:2022-06-19)
参考文献数
11

臨床現場での研修医/専攻医 (レジデント) のパフォーマンスを改善するため, 指導医が振り返りを促す際の面談に活用できるR2C2モデルが開発された. 信頼と関係を構築する (R), 評価結果に対する反応や認識を探る (R), レジデントが結果/評価内容をどう理解しているか探索する (C), パフォーマンスを改善させるためのコーチング (C) の4段階で構成される. R2C2モデルには, レジデントが省察的かつ目標志向の話し合いに関わることができ, 指導医と共に学習/改善計画を検討できるという効果が認められている. 本稿では, R2C2モデルの日本語版とその知見を紹介する.
著者
三原 弘 廣川 慎一郎 伊井 みず穂 若杉 雅浩 帯田 孝之 石木 学 岸 裕幸 北 啓一朗 関根 道和 足立 雄一
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.187-192, 2021-06-25 (Released:2021-07-22)
参考文献数
10

コロナ禍で集合型の医行為訓練が困難となり, 新入生蘇生講習会と基本的診療技能実習をビデオ学修・評価とICTを利用して対面指導なしで実施した. 蘇生講習会は自宅でビデオ学修後に, マネキンを用いて自身の実施を撮影し, 後日Zoomでグループ・ピア評価を行ったところ, 自己評価の有意な上昇が観察された. 基本的診療技能実習もビデオ学修をしながら自身のペースに合わせて実施を撮影し, 後日教員がビデオ評価, フィードバックを行った. 例年四肢脊柱実習は実施できていなかったが, 対面指導がないために, 逆に可能となった. 今後, 学生による動画登録と教員による動画評価のタイミングのずれの調整や更なるシステム構築が必要である.
著者
西岡 和昭 伊藤 正裕 林 省吾 平井 宗一 福沢 嘉孝 大滝 純司
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.199-204, 2012-06-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
8

献体標本を用いて各部位の名称や機能を問う実習試験と一般的な解剖学的知識を問う筆記試験の正答率を比較して解析した.1)実習試験の正答率と筆記試験の正答率との相関は弱かった.2)実習試験では,通常の筆記試験では測れない能力を評価している可能性が示唆された.3)人体の構造の多様性・個体差の要素が含まれる献体を用いた実習試験と解剖学知識を問う筆記試験の併用は,学生を評価する上で有用であることが推測された.
著者
一條 裕之 中村 友也 竹内 勇一 川口 将史
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.343-351, 2016-12-25 (Released:2017-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
3

本研究は肉眼解剖学実習を活用して, 能動的学修 (active learning: AL) を行うことができることを示す. 実習の全ての内容を問題探求の題材としたAL (解剖学セミナー) を実習後に行った. 解剖学セミナーは講義, グループ討議, リソースアワーと発表会から構成されている. 学生の75.1%が解剖学実習を活用したALを「非常に学修を進めやすい」または「学修を進めやすい」と評価し, 実習を活用したALが有用であることを示した. 解剖学実習を活用したALは解剖学教育を補うばかりでなく, 他の基礎医学科目や臓器別の臨床医学教育科目に向けた導入となり, 水平型および垂直型の統合教育の機会を提供する.
著者
服部 良信 水野 美穂子 野々垣 浩二 小鹿 幸生 西尾 昌之 藤中 憲二 小西 靖彦 村岡 亮
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.298-299, 2014-08-25 (Released:2016-05-16)

優れた臨床研修指導医の養成が必要で,指導医は臨床研修指導医講習会(講習会)の受講が必須である.平成25年6月の臨床研修運営委員会(委員会)で開催提案し,7月の委員会で否定された.理事長・病院長の指示で,9月の委員会で指導医のレベルの向上等を目的とした大同病院のスタッフ単独での開催を決定した.タスクホースは,チーフと院外講師を除き院内から選出し,予行会を3回,総合リハーサルを1回施行した.他の事務の協力を得て,平成26年2月に大同病院の第1回講習会を実施した. 単独開催により,臨床研修に対する意識改革ができ,受講者・タスク・事務方のレベルアップおよび良い人間関係の構築ができ,一体感が得られた.
著者
久保 沙織
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.215-220, 2022-06-25 (Released:2022-11-04)
参考文献数
9

教育測定学の専門家としての立場から, 現状の医師国家試験の問題点を明確にした上で, item response theory (IRT) に基づくcomputer-based testing (CBT) 導入の利点と課題について検討した. CBTにより, 多様な問題形式を利用することで, 構成概念の代表性という側面から測定の妥当性向上に貢献することが期待できる. さらに, IRTの枠組みで等化された項目プールを用いてテストを運用することにより, 難易度や測定精度を制御して一定の質を満たす問題セットを継続的に作成し, 実施日程や会場, 受験者集団が異なる場合でも, 共通尺度上のスコアとして表現することが可能となる. 一方で, 事前の綿密なテスト計画と, 大規模な項目プールの構築・維持が最大の課題となる.
著者
西城 卓也 堀田 亮 藤江 里衣子 下井 俊典 清水 郁夫 川上 ちひろ
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.23-28, 2022-02-25 (Released:2022-06-19)
参考文献数
20
被引用文献数
1

困難な状況にある学習者の支援は難しい. 効果的に支援することは病院・大学等の医育機関の責務の1つである. 従来は, とかく学習者に焦点が当たるバイアスがあり精神論で説得されがちであった. しかし教育現場で困難な状況にある学習者が生まれる要因には, 実は学習者の他, 教育者, 環境も挙げられる. さらに各要素を分析する際にも, 教育学・心理学・文化等からのアプローチがある. 今後は, まず, 支援者一人で複数の視点を持つことを提案したい. しかし支援者にはおかれた文脈があり, 多面的に見ることには限界がある. したがって複数の立場の, 複数の支援者が, 複数の視点をもちより, 大局的視座が担保された支援体制が医育機関には期待される.