著者
千葉 達朗 林 信太郎 小野田 敏 栗原 和弘 藤田 浩司 星野 実 浅井 健一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.XXI-XXII, 1997-06-15
被引用文献数
4 1

5月11日午前8時, 秋田県鹿角市の澄川温泉で, 地すべりと石流が発生, 澄川温泉と赤川温泉の16棟が全壊, 国道341号も寸断された. 5月4日頃から水の濁りや道路の変状等が察知され, 適切な警戒避難が行われたため, この災害による死者・負傷者はなかった. なお, 地すべりの最中に末端付近で水蒸気爆発が発生した. ここでは, 5月12日にアジア航測(株)が撮影した空中写真, その後の現地の他, 秋田航空(株)が撮影した水蒸気爆発の瞬間の写真を紹介する.
著者
鈴木 舜一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.869-879, 1997-09-15
参考文献数
62
被引用文献数
3
著者
木村,学
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集
巻号頁・発行日
no.47, 1997-04-24

北海道は千島弧と東北日本弧の会合部にあり, 白亜紀以降の日高造山運動によって形成されてきた。白亜紀はじめから始新世にかけてアジア人陸の北東縁に平行な古海溝に沿って, 沈み込みに伴う付加が起こった。オホーツクプレートの南縁に位置した古千島弧が暁新世にアジア人陸縁と衝突し, サハリンや北海道北部における沈み込みが終了した。その後, サハリンと北海道地域は右横ずれ断層帯(日高剪断帯)へと変化した。北海道の東半分はその右横ずれ断層帯に沿って南へ動き, 断層帯に沿っては中期中新世のプルアパートベーズンが形成された。その右ずれ断層は日本海盆と十島海盆の拡大と, そして日高変成帯の変成・火成作用と同時に起こった。これらの事件はお互い密接に関連していたようである。日本海盆と十島海盆におけるアセノスフェアの上昇は, 右ずれ収束している日高剪断帯の下におよび, それによって同時に火成・変成作用が右ずれ変形とともに起こった。こうした出来事を通して, 北海道では厚い大陸地殻が成長した。中新世後期から太平洋プレートが千島海溝に沿って斜めに沈み込み, 千島前弧スリバーを南西へ移動させた。北海道の島弧会合部で前弧スリバーが衝突し, その結果日高変成岩が上昇・露出したが, これは上述した造構過程を通して形成された下部地殻である。北海道におけるこの大陸形成過程が新しく定義される「日高造山運動」である。日本列島同様, 島弧会合部における衝突は環太平洋造山帯のほとんどの島弧会合部で進行しており, それは沈み込み帯において新しい大陸地殻を急速に造るための重要なプロセスである。
著者
栗原 敏之
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.620-639, 2004-10-15
参考文献数
65
被引用文献数
3 21

飛騨外縁帯の福地-一重ヶ根地域と九頭竜湖-伊勢川上流地域に露出する凝灰質砕屑岩相のシルル系・デボン系において放散虫生層序の検討を行った.7つの主要なセクションで認められた放散虫化石群集に基づき,下部シルル系ランドベリー統から下部デボン系エムス階に対比される計8つの群集帯を設定し,飛騨外縁帯のシルル系・デボン系凝灰質砕屑岩層の時代を詳細に議論した.従来,飛騨外縁帯と黒瀬川帯・南部北上帯のシルル系・デボン系は,凝灰質砕屑岩層の堆積年代やシルル系石灰岩層の有無等,相違点が強調されてきた.しかし,放散虫化石帯に基づく対比から,後期シルル紀ラドロウ世から前期デボン紀エムス期の凝灰質砕屑岩層は,その発達状況において高い類似性があることが明らかになった.この類似性は,3地帯のシルル系・デボン系が形成時において深く関連していたことを示す.
著者
栗原 敏之
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.635-647, 2003-11-15
参考文献数
55
被引用文献数
4 16

飛騨外縁帯福地地域に分布する吉城層は,その時代についてオルドビス紀,シルル紀および前期デボン紀と諸説が存在した.また,不整合とされたデボン系福地層との関係も,福地層の層序から問題点が指摘されていた.今回,吉城層の模式均一の谷の西方に位置するカナシロザコの枝沢において,新たに吉城層と考えられる地層の露出を確認した.露頭から採取した凝灰質な砂岩泥岩互層の泥岩部および露頭付近の転石として得られた珪長質な凝灰質泥岩から前期デボン紀Emsianを示す放散虫化石が得られた.従来報告されている吉城層の放散虫化石群集(Zadrappolus yoshikiensis群集)と今回発見された群集から,吉城層の時代は後期シルル紀Pridoliから前期デボン紀Emsianの前期である可能性が高い.この時代論は古城層と福地層がほぼ同時代の地層であることを示す.したがって,両側の接触関係が不整合である可能性は極めて低い.
著者
清川 昌一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.12, pp.730-748, 2006-12-15

ベリース国北部からメキシコ国境付近に分布するアルビオン層は,チチュルブクレータから330〜470kmの距離にあり,クレータから最も近い陸上に露出するイジェクタ層である.地層は下位のスフェロイド単層と上位のダイアミクタイト単層からなり,全層厚は7〜30mで側方に薄くなる.スフェロイド単層は直径0.5〜3cmの変質粘土のスフェロイドと変質したガラス質粘土岩片で構成される.古流向はチチュルブクレータ方向を示し,高速の流れを示すシュート・プール流の特徴を持つ.ダイアミクタイト単層は最大直径10mの巨大ブロック・衝撃変成石英を含む淘汰の悪い炭酸塩磯岩層である.ブロックは厚い炭酸塩付加物で覆われる付加岩塊を形成し,その粒径頻度分布と岩石類似性からすべて同一起源の岩塊と判断される.アルビオン層の特徴は,隕石衝突で形成したイジェクタ堆積物が2段階の異なる様式で堆積することを示しており,イジェクタ形成モデルに大きな制約を与える.
著者
渡瀬 正三郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.22, no.266, pp.422-424, 1915-11-20
著者
佐藤 時幸 高山 俊昭
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.30, pp.205-217, 1988-04-25
被引用文献数
16

Twelve calcareous nannofossil biohorizons were recognized in the Quaternary sequences at six sites drilled in the Northeast Atlantic Oeean during DSDP-IPOD Leg 94. Correlation of these biohorizons with the magnetostratigraphy was also established for the same cores, and ages of all these biohorizons were estimated by interpolation between magnetic reversals (TAKAYAMA and SATO, 1987). The calcareous nannofossil assemblages of the Quaternary sequences distributed in the Oga Peninsula, Akita and Niigata 0il fields, Kanazawa area and the Boso Peninsula were studied. The most of these calcareous nannofossil biohorizons abovementioned were detected in these sequences. We clarified the relationships of coc-colith bio- and magnetostratigraphy and radiometric age assignments of the sediments in these areas and demonstrated the usefulness of nannofossils as biostratigraphic indicators.
著者
山野井 徹
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.526-544, 1996-06-15
参考文献数
51
被引用文献数
21 16 20
著者
山縣 毅
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.98, no.7, pp.665-668, 1992-07-15
参考文献数
13
被引用文献数
3 3
著者
飯島 静男 大河原 恵子 大崎 小夜子 神沢 憲治 木崎 喜雄 久保 誠二 黒岩 繁 篠原 婦美江 関口 孝 高橋 武夫 田島 順子 玉田 淳子 角田 寛子 中村 庄八 服部 幸雄 武藤 斉 村山 昭夫 矢島 博 高島 和美 田中 淳子 萩原 哲 堀沢 勝
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.13, pp.251-260, 1976-12-30
被引用文献数
1

The Green tuff formations are widely distributed in the southern Joetsu district, and are divided into two groups, namely the Sarugakyo group and the Minakami group. The former overlies the latter unconformably. The area studied is surrounded by the River Akaya-gawa, the River Sukawa-gawa and the River Nishi-kawa, of which the latter two are the tributaries of the former. In this area the Sarugakyo group and the welded tuff formation with some related intrusive bodies are extensive. The Sarugakyo group is overlain unconformably by the welded tuff formation, and is divided, in descending order, into the following formations: Daido formation, Kassezawa formation, Hara formation, Akaya formation. The relation between each formation of the Sarugakyo group, generally, is conformable, but partial unconformity can be observed between the Hara formation and the Kassezawa formation. The structure of the Sarugakyo group is generally monoclinic with a NWW-SEE strike and low-angle dips toward SE. The Sarugakyo group is considered, from fossils, to belong to the middle Miocene. Some intrusive bodies, such as the Izumi-yama andesite, the Kasse andesite, the Amami-yama andesite, porphyrite and quartz diorite, are found in this area.
著者
遠藤 毅 青木 滋
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.102-103, 1969-02-25
著者
鈴木 正男 鎮西 清高
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.8, pp.173-182, 1973-03-31

黒曜石は,ガラス質であるから,フィッション・トラック法による年代測定の試料として,実験操作,計数操作が容易で測定しやすい試料の一つである。これまで当研究室で得られた測定値の多くは,K-Ar法による測定値とよい一致を示す(KANEOKA and SUZUKI, 1970)けれども,中には,他の地質学的データと矛盾する値も測定されている。このような測定値の得られた試料は,黒曜石噴出後の熱的影響あるいは二次的影響が考えられる(KANEOKA and SUZUKI, 1970)。今回,新潟油田地帯で採取された黒曜石は,地質学的にみて,新第三系に由来する地層に含まれていたものである。これらの試料では,自発核分裂飛跡の部分的消失がみられ,この結果,自発核分裂飛跡の計数効率が大幅に減少して,若い年代が得られた。こうした若すぎる年代を補正するため,加熱による誘発核分裂飛跡の消失実験を行ない,補正曲線を各個試料について作成した。フィッション・トラック法による年代測定と,核分裂飛跡消失実験とを通じて以下のような結論を得た。i)自発核分裂飛跡の大きさの分布が単峰性であり,平均径が,誘発核分裂のそれと均しい場合(U1),測定された年代は,黒曜石が噴出した年代,または,臨界温度・熱条件以上に加熱された年代を意味する。ii)自発核分裂飛跡の大きさの分布が単峰性であり,平均径が,誘発核分裂のそれより小さい場合(U2),測定された年代は,黒曜石が噴出した年代,または,加熱された年代より著い年代を示すことになる。この場合,加熱実験により待られた補正曲線を用いて補正された年代が真の年代を示す。この際の加熱は,臨界温度・熱条件以下の加熱を意味する。FT 405,406,407MSの試料から得られたデータによれば,これらの試料は,30〜40℃/10^6yearsのthermal historyをもつと判断され,単に熱的影響だけでなく,二次的加水や,再結晶等の影響による自発核分裂飛跡の部分的消失も考えられる。iii)自発核分裂飛跡の大きさの分布が二峰性の場合(B),大きい飛跡の分布の平均径に基づいて得られる年代は,加熱された時から現在までの時間を示し,小さい飛跡の分布の平均径に基づいて得られる年代は,噴出から加熱までの時間の縮小された時間を示す。後者の年代をii)で述べた補正をほどこして得られる年代が,およその噴出した時から加熱された時までの時間を示す。結局,加熱から現在までの年代と,補正された噴出から加熱までの年代とを合計した年代が噴出年代を示すことになる。この場合の加熱もii)と同様,臨界温度一時間条件以下である。iv)核分裂飛跡の平均径の減少とそれに由来する飛跡密度の減少は一次関係ではない。この事実は,二次的(熱,加水等による)影響が単に,飛跡距離の一次関数的減少に帰結するのではなく,飛跡の三次元的な物理化学的変性に帰結することを意味する。この現象を他の天然鉱物・ガラスについて検討する必要がある。v)核分裂飛跡の二次的変性を厳密に究明することによって,その試料の経てきたthemal historyを解明することが可能である。そのためには,長期的な加熱による飛跡消失実験を行なう必要がある。