著者
矢部 長克
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.53, no.622, 1947-05-20
著者
大藤 茂 佐々木 みぎわ
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.50, pp.159-176, 1998-07-31
被引用文献数
12

岩質, 古生物地理および剪断帯の分布と運動像から, 東アジアの各地帯とオーストラリアとの中〜古生代の運動史を次の様に考えた。(1)カンブリア-オルドビス紀の各地帯は熱帯〜亜熱帯区に位置し, オルドビス紀には, 筆石の太平洋区と大西洋区とが識別される。(2)各地帯の上部オルドビス〜デボン系は, サンゴ礁の形成可能な熱帯地域にほぼ東西に配列する, 火山弧近辺の堆積物からなる。(3)上記火山弧列は, 後期デボン紀〜ペルム紀に時計回り回転し, オーストラリアは南極域へ, アンガラ剛塊は北半球の温帯域へ移動した。北中国地塊, 南中国地塊および日本は, 熱帯のカタイシア植物区にとどまった。(4)三畳紀には南北中国地塊の東部が衝突し, 朝鮮半島の臨津江ナップが形成された。(5)南中国地塊は北中国地塊と癒合した後, モンゴル-オホーツク海を消滅させつつ北上し, 前期白亜紀までにはアンガラ剛塊と衝突した。上記の運動の中での, 日本の位置づけも議論した。
著者
徳岡 隆夫 大西 郁夫 高安 克已 三梨 昂
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.36, pp.15-34, 1990-11-30
被引用文献数
22

中海・宍道湖の自然史を, 8葉の古地理図として示した。完新統堆積前には西の大社湾に注ぐ古宍道川と東の美保湾に注ぐ二つの水系が存在した。縄文海進はこれらの二つの水系にそってすすみ, 古宍道湾と古中海湾が形成された。縄文海進高潮期には古宍道湾の中央部が埋め立てられ, 東の水域は古宍道湖となり, やがて西の中海湾へと排水するようになり, 現在の中海・宍道湖の原型ができあがった。宍道湖宅はA.D. 1600年頃を境としてそれまでの汽水環境から淡水環境へと変わった。中海では環境変化が複雑だが, 米子湾でみるとA.D. 1600年頃までは出雲国風土記にも示されている夜見島の南に美保湾に通じる水道が断続的に存在したが, その後は閉鎖的環境が急速に進んだ。これらの環境変化は中国山地の人為的な荒廃による土砂の大量流出によって起こったが, 中世の温暖期をへて, A.D. 1600年頃を中心とする寒冷期にいたる地球規模の環境変化が背景となっているものと考えられる。^<210>Pb, ^<137>Cs年代測定および過去25年間の地形変化からそれぞれ求められた宍道湖での埋積量は約0.1/gr/cm^2程度であり, 中海ではその1/3と見積もられる。
著者
市川 浩一郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.56, no.652, pp.17-22, 1950-05-25
被引用文献数
2

The direct use of the terms, Norian, Carnian, etc., in the extra-Alpine region is not adequate, since the fossil content is fairly different from that in the Alpine province., Another system of nomenclature is herein proposed., In the Triassic of Japan eight ages (chronological unit) distibuted in three epochs are distinguished., Epochs are called Eo-, Meso-, and Neo-Triassic and new names for the ages are proposed., Their names, as well as the fossil contents, are presented in the list on-p.,22., Saragian and Sakawan ages in the Neo-Triassic epoch are tentatively subdiveded into two and three Sub-ages, repectively., Species marked with (+) range into the later ages, while those with (-) range from the earlier age, and the occurrence of species marked with is very rare., The time range of the remaining species in confined to one age.,
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.54, pp.1-195,巻頭2p, 1999-12
著者
原山 智
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.43, pp.87-97, 1994-04-28
被引用文献数
12 16

最も若い露出プルトンの冷却史解明のため, 滝谷花崗閃緑岩 (北アルプス) の熱年代学的な研究を行った。垂直方向に累帯する岩相から4試料について鉱物年代を測定した結果, 黒雲母・カリ長石の鉱物年代 (K-Ar法, Rb-Sr法) は岩相によらず1.2-1.1 Maに集中することが判明した。ホルンブレンドのK-Ar年代は1.93-1.20 Ma であり, 深部相ほど若い傾向がある。これは深部ほど固結開始時期が遅れたためであろう。測定鉱物の閉鎖温度から冷却曲線を求めた結果, 平均冷却率は岩体浅所で350℃/Ma, 深部では550℃/Ma以上を示した。三次元単純熱伝導モデル計算による冷却曲線は指数減衰を示し, 岩体浅所での直線状の熱年代学的冷却曲線と大きく異なるため, 冷却前半 (2.2-1.2 Ma) では深部からの熱流入が, 後半では隆起活動による急速冷却が推定された。深部ほど冷却率が大きいのは, 冷却開始が深部では遅いため熱流入の効果は短期間で弱く, 単純熱伝導冷却に近づいたためと解釈できる。
著者
林 信太郎 伊藤 英之 千葉 達朗
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.XXVII-XXVIII, 1997-09-15
被引用文献数
2

1997年8月16日午前11時頃, 秋田焼山(標高1366m)山頂の北東500mの空沼(からぬま)付近で水蒸気爆発が発生し, 同時に継続時間約1時間の火山性微動が観測された. 噴火の起こった地点は1949年の火口群の位置にほぼ相当する(第1図; 津屋, 1954). ここでは, 噴火の二日後の18日に撮影した写真を中心に水蒸気爆発噴出物およびその火口について紹介する. 現時点で見つかった地質学的証拠から8月16日の噴火の過程を再現すると次のようになる: 1) 新火口b1あるいはb2から泥が吹き出し, 空沼火口に「泥流」となって流れ込み, 2) 次に新火口aから火山灰, 噴石が噴出, 3) 最後に新火口b2から少量の泥が噴出し. それ以前の堆積物を同心円状におおった. なお, 今回の噴火の総噴出量は1万m<sup>3</sup>以下と推定される.
著者
中沢 圭二
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.70, no.826, 1964-07-25
著者
大立目 謙一郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.49, no.586, pp.285-287, 1942-07-20

筆者の手元に石狩炭田の石狩統から産出した多數のカハニナ屬化石がある。其等をMelanodes(Semisulcos-pira) fiscina(YOK.,)として記載した。其等の産地は次の如くである。1)石狩國空知郡蘆別町, 上部蜆介層(高尾彰平氏採集) 2)同上, 赤平村, 赤間ノ澤, 下部蜆介層(角岡蘇一郎氏採集) 3)同上, 砂川町, 歌志内川樋口ノ澤, 上部蜆介層(下河原壽男氏採集) 圖版に示した如く, 高さ最高22粍, 最低7粍であり, 外形, 模様等に若干の変化を伴ふ。殼口の性質は正にカハニナに屬する。唯成長したものに於ては丈が高く細つそりし, ヌノメカハニナの形態を呈する。雨龍炭田産Thiara fiscina YOKOYAMA, 1932 は原圖版に於いては不完全な小さい標本のやうに思はれるので, 鈴木好一學士に原標本を觀て頂いた處Semisulcospiraとのことである。惟ふに兩龍炭田産のものは爰に紹介するものヽ幼殼であらう。ヌノメカハニナMelanoidesとカハニナSemisulcospiraとの殼での區別は極端なもの以外は, 特に化石として産出する場合殼口が良く保存されてゐない限り困難なことが多からう。爰には便宜上SemisulcospirをMelanoides s.,l.,亞屬として取扱って置く。
著者
田崎 和江 縄谷 奈緒子 国峯 由貴江 森川 俊和 名倉 利樹 脇元 理恵 朝田 隆二 渡辺 弘明 永井 香織 池田 頼正 佐藤 一博 瀬川 宏美 宮田 浩志郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.108, no.7, pp.435-452, 2002-07-15
被引用文献数
3 5

1991年12月,排砂ゲートを設けた出し平ダム(富山県黒部川水系1985年設立)から,初の直接排砂が行われ,その際,多量のヘドロが排出された.その後も1999年までに計8回の排砂が行われた.本研究において,出し平ダム湖および富山湾堆積物の特性について分析を行った.その結果,特に芦野沖にヘドロが堆積していること,そして,富山湾堆積物は他の湾堆積物と比べカオリン鉱物,スメクタイトが多く,出し平ダム湖堆積物と類似した粘土鉱物組成を持つことが明らかとなった.実験より,ニジマスのエラにスメクタイトが吸着することで,エラの変形や脱水を引き起こすことが明らかとなり,また,富山湾で採取されたヒラメのエラ表面が,微細粒子で覆われているのが観察された.以上の結果と1991年から1999年の出し平ダム排砂量とヒラメの漁獲量の変遷には密接な関係が認められ,ダム湖や富山湾底質の経時変化を観察することの重要性が示された.
著者
木村 学 楠 香織
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.295-305, 1997-04-24
参考文献数
39
被引用文献数
7

北海道は千島弧と東北日本弧の会合部にあり, 白亜紀以降の日高造山運動によって形成されてきた。白亜紀はじめから始新世にかけてアジア人陸の北東縁に平行な古海溝に沿って, 沈み込みに伴う付加が起こった。オホーツクプレートの南縁に位置した古千島弧が暁新世にアジア人陸縁と衝突し, サハリンや北海道北部における沈み込みが終了した。その後, サハリンと北海道地域は右横ずれ断層帯(日高剪断帯)へと変化した。北海道の東半分はその右横ずれ断層帯に沿って南へ動き, 断層帯に沿っては中期中新世のプルアパートベーズンが形成された。その右ずれ断層は日本海盆と十島海盆の拡大と, そして日高変成帯の変成・火成作用と同時に起こった。これらの事件はお互い密接に関連していたようである。日本海盆と十島海盆におけるアセノスフェアの上昇は, 右ずれ収束している日高剪断帯の下におよび, それによって同時に火成・変成作用が右ずれ変形とともに起こった。こうした出来事を通して, 北海道では厚い大陸地殻が成長した。中新世後期から太平洋プレートが千島海溝に沿って斜めに沈み込み, 千島前弧スリバーを南西へ移動させた。北海道の島弧会合部で前弧スリバーが衝突し, その結果日高変成岩が上昇・露出したが, これは上述した造構過程を通して形成された下部地殻である。北海道におけるこの大陸形成過程が新しく定義される「日高造山運動」である。日本列島同様, 島弧会合部における衝突は環太平洋造山帯のほとんどの島弧会合部で進行しており, それは沈み込み帯において新しい大陸地殻を急速に造るための重要なプロセスである。