著者
TAKAHASHI Yohzi KIRITANI Keizi
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
Applied entomology and zoology (ISSN:00036862)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.220-226, 1973-12-25
被引用文献数
2

Relative toxicity of 14 insecticides was examined by the topical application. Test animals were two rice pests : Nephotettix cincticeps and Chilo suppressalis, and their predators : Lycosa pseudoannulata and Conocephalus maculatus. The relative toxicity of insecticides was expressed in terms of the ratio of LD50 of predators/LD50 of insect pests. Among four carbamates, carbaryl was least toxic to L. pseudoannulata and C. maculatus. Of the organophosphates used, fenitrothion, pyridafention and tetrachlorvinphos were less toxic to L. pseudoannulata but were highly toxic to C. maculatus. C. maculatus, however, was very susceptible to six organophosphates. The toxicity of chlorophenamidine to L. pseudoannulata was as high as carbamates but was low to C. maculatus. The acute toxicity of cartap to L. pseudoannulata was low, i.e., 102.6 μg/g(LD50 after 24 hr), but all spiders were paralysed as low as at 10 μg/g and their recovery was postponed 8 days. The toxity of γ-BHC and methomyl to both species of predators were high : the values of the relative toxicity were far less than unity.
著者
二宮 栄一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.119-124, 1957-06-30

Experiment was carried out to obtain specific data on the number of aphids destroyed by a single syrphid larva and on the rapidity of consumption of an aphid, with the following results. Table showing number of consumption of aphids. [table]Table showing average time required for consumption of an aphid.[table]
著者
井上 雅央
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.49-53, 1990-02-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
5
被引用文献数
8 4

ハダニの歩行移動を防止することを目的として,いくつかのビニル障壁を作成し,壁面でのハダニの行動を観察した結果,ハダニはビニル壁面の上端を45°および30°の角度で襟状に折り返したいわゆる“ダニがえし”を乗り越えることができなかった。ダニがえしを装備した雨除け施設の周辺に,ハダニが多数寄生したホウレンソウ残渣を投棄したところ,施設内へのハダニの侵入が顕著に阻止された。また,この装置を逆に応用して,ダニがえしを装備した簡易残渣処理装置を作成して装置内へイチゴ残渣を投棄した場合,残渣からの離脱が阻止され,周辺雑草や隣接圃場へのハダニの移動が著しく抑制された。ダニがえしを装備しない雨除け施設へのハダニの侵入や,残渣を野積み投棄した場合の周辺雑草および隣接圃場へのハダニの移動は残渣投棄直後から数日以内に観察された。以上の結果から,ダニがえしは除草,下葉摘み,整枝,収穫終了時の圃場整備など日常の農作業で生じた作物残渣からのハダニの移動や施設への侵入を防止するための障壁として利用価値が高いと考える。
著者
梅谷 献二 加藤 利之 古茶 武男
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.47-53, 1975-03-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
8
被引用文献数
11 19

アカイロマメゾウムシCallosobruchus analisは,同属の他種と似た産卵習性を持ち,1粒のアズキに複数の卵を産むにもかかわらず,生育を完了して羽化脱出するのは1個体に限られるという特異的な現象がある。実験の結果,1粒のアズキは量的には複数個体を生育させるのに十分であり,共存個体の死亡要因は同一の豆の内部における幼虫の激しい攻撃に起因すると推定するに至った。すなわち,成虫脱出後の豆を解体調査したところ,本種の主要食害部は,豆の中央域に限られていることが明らかとなり,それによって生じた空洞部またはその一偶にぬり固められた摂食物残渣塊の中から主として3齢または4齢(終齢)幼虫の死体が見出された。そして,これらの死亡個体の体表から,他個体の攻撃によると思われる咬傷痕が発見された。さらには,この攻撃性に加えて主要食害部が,同属の他種においては豆の周縁部に多いのとは対象的に,本種の場合は中央域に限られるため,幼虫生育の中∼後期に相互の幼虫が遭遇することとなり,最終的には1個体を残して他は咬み殺されると推定するに至った。1粒の豆から2個体の成虫が羽化したまれな例の場合は,すべて豆の中央域に2つの食害部があり,その間は摂食物残渣塊で完全に隔離されていることがわかった。結局,このような偶然の隔離がない場合は,発育期間のいずれかの時期に,最終的には1個体しか残り得ないと解されたが,幼虫の形態には大腮を含めて攻撃的行動を特別に想起させる特徴は見出せなかった。なお,本種に見られたこのような攻撃性は,他の多化性のマメゾウムシ類では,従来知られていない。
著者
弘中 満太郎 針山 孝彦
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.135-145, 2009
被引用文献数
3

昆虫はその生活の中で、餌、交尾相手、巣、新たな生息場所など、様々な目標に向かって定位する。この行動を目標定位というが、なかでも視覚情報を用いるものを視覚定位と呼ぶ。視覚定位行動を引き起こすキュー(手がかり)は、昆虫の視覚器である複眼と単眼によって受容される。昆虫は周囲の環境にあるどのような視覚キューを受け取ることで、視覚定位を成り立たせているのだろうか。定位におけるキューの重要な要素の1つは、空間内における目標とキューとの位置関係である。また、視覚における色、形、光強度、偏光といった様々な感覚の質も、キューを特徴づける要素である。キューがどのような要素の集まりであるのかを分類することで、昆虫がどのようなメカニズムで視覚定位を成し遂げ、なぜそのキューを利用するのかを適応的な観点から理解することが可能になる。加えて、自然環境下で昆虫がなぜ人工光に誘引されたり人工光を忌避したりするのか、という応用的問題についても理解を進めることができるであろう。害虫の行動制御あるいは絶滅が危惧される昆虫の保全という観点から、人工光に対する昆虫の反応は近年注目を集めているが、その定位メカニズムや機能はよくわかっていない。現状は、光への誘引や忌避という現象の一部がクローズアップされているのみである。これは昆虫の光に対する定位行動がヒトのそれと異なり、また多様で複雑であることが原因なのかもしれない。本総説では、昆虫の視覚定位をキューの違いによって分類することで概観する。そしてその分類に立脚した視点から人工光への昆虫の定位反応をみることで、昆虫の視覚定位のメカニズムと機能の理解を深めたい。
著者
Suk-Ling Wee Keng-Hong Tan
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
Applied Entomology and Zoology (ISSN:00036862)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.365-372, 2005 (Released:2005-08-25)
参考文献数
28
被引用文献数
7 26 13

The production of a major component, 6-oxo-1-nonanol and a minor compound, N-3-methylbutyl acetamide in the male rectal gland of Bactrocera carambolae, a fruit pest of economic importance, increased concomitant with age, and their peak production corresponded with sexual maturity. During courtship period, these endogenous components were released unchanged into the air as visible smoke by a group of 100–150 males in a glass chamber. Male emissions elicited upwind flight via zigzag anemotaxis, and attracted more conspecific virgin females than males in wind tunnel assays. When these components were assayed individually, both 6-oxo-1-nonanol and N-3-methylbutyl acetamide elicited significant female responses toward the source chemicals, although the response was less than that for live males. The results suggested that these volatile components are involved in the intraspecific communication by playing a role as sex pheromones during courtship of B. carambolae.
著者
中村 寛志
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.137-144, 1980-08-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
12
被引用文献数
5 10

集合性昆虫の一種であるマツノキハバチの幼虫について集団サイズ別分離飼育を行い集合効果の検証をするとともに,幼虫集団の摂食過程と集合形態の調査を行った。1. 集団サイズ別分離飼育における令期間は1頭区の1, 2令期が他の集団サイズより長くなったが,繭重量に関しては差がみられなかった。また集団サイズと生存率の関係は1, 2, 3, 5頭区で55∼60%,7頭区で77%, 10, 20頭区ではほぼ100%であった。2. 不適な餌による集団サイズ別分離飼育においても10, 20頭区はほとんど死亡がみられず集団サイズが小さくなるにつれて死亡率が高くなった。3. 孵化幼虫はアカマツの枝の先端に集団を形成するが,1令幼虫では1葉につき約8頭の小集団に分かれて摂食した。また脱皮時には葉の基部に多くの個体が集まり密な集団を形成した。4. 以上のことから明らかになった本種幼虫の摂食集団と脱皮集団という2種類の集合形態の生態的意義を考察した。