著者
萬處 展正
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.156-159, 2002

従来,「糸を伝わる波の速度」の実験では,長いバネを代用してきた。しかし,糸でも十分な長さがあれば実験可能であることが判明した。また公式の検証より公式の導出をねらいとしたスタイルにして取り組ませたところ,納得のいく結果が得られた。導出の過程で両対数グラフを用いるなど,他教科との乗り入れを行い,総合的な学習の時間に取り組むテーマにもなりうる。
著者
佐久間 彬彦 定本 嘉郎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.12-15, 2010
被引用文献数
2

凸レンズを通る光の道筋の作図について通常の授業を受けた中学生は,その多くが光の道筋の作図をすることができることが分かった。また,光の道筋と共に,凸レンズによってできる像を正確に記入できる生徒は,記入できない生徒より,像の大きさや位置を理解していることが明らかになった。しかし,像を正確に記入できた者のうち,像の大きさや位置の正解者の割合は約50%であり,凸レンズを通る光の道筋とできる像の作図を指導するだけでは,凸レンズによってできる像の理解が進むとは考えにくい。
著者
中畑 雅行
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.365-369, 2002
被引用文献数
1

小柴昌俊先生が2002年ノーベル物理学賞を受賞された。受賞の理由は,「天体物理学とくに宇宙ニュートリノの検出にパイオニア的貢献」であり,アメリカペンシルヴァニア大学のレイモンド・デイヴィス・ジュニア教授との同理由共同受賞であった。また、同賞は「宇宙X線源の発見を導いた天体物理学へのパイオニア貢献」を行ったリカルド・ジャコーニ氏にも与えられた。このように,2002年ノーベル物理学賞は,ニュートリノやX線といった新たな手法での天体 宇宙観測の道を開いたという業績にたいして与えられた。小柴先生のノーベル物理学賞受賞は,実験物理学の分野では,日本で初めてである。小柴先生は,義受験神岡町の神岡鉱山内に「カミオカンデ」という名前の実験装置を建設し,超申請や太陽から飛んでくるニュートリノを捕らえたということが、受賞の直接的な理由となった。本解説では,「ニュートリノとは何か」,「どのような現象を捕らえたのか」,「今後どのように発展していくのか」といったことについて解説する。
著者
大谷 徳樹 富永 昭
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.228-232, 2004

永久ゴマ加速装置の働きを理解するため,デジタルオシロスコープを用いて電圧の時間変化を測定し,解析を行なった。ベース-エミッタ間電圧においてトランジスタの電流増幅作用がOFFとなっている時間帯に-8V程度の定電圧が生じている。この定電圧は,トランジスタのベース-エミッタ間における電子なだれによるツェデー電圧のあらわれである。ベース-エミッタ間はツェナー電圧8Vのツェナーダイオードとして振舞う。
著者
清原 洋一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育学会年会物理教育研究大会予稿集
巻号頁・発行日
no.24, pp.10-11, 2007-08-18

中央教育審議会の教育課程部会理科専門部会において,これからの理科教育の今後の改善の方向性について,審議が続けられてきた。以下は,平成18年8月11日の理科専門部会から教育課程部会への報告の概要である。その後,教育基本法,さらに学校教育法等の改正を受けての中央教育審議会教育課程部会等の動向を踏まえながら理科教育課程改善の方向性について話す予定である。
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.277-278, 2002

本年度の評議員会は8月11日(日)16:15-19:30,東京学芸大学20周年記念館で行われた。出席者は23人,また,事前に文書だけで意見をいただいたのは6人であった。理事会からの検討課題は,本年度は本会の50周年であり,中・長期に見通したうえで「これからの学会活動のあり方」について検討するということであった。これに対して,現実が厳しいだけに,現実の諸問題に触れつつ,この課題について意見交換を行った。ここでは,そこで交わされた主な意見を紹介して,評議員会の報告としたい。
著者
片桐 泉
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.334-337, 1999

従来から知られている虹ビーズを用いた人工虹では,副虻はできない。しかし,虹ビーズを貼り付ける台紙に反射する板を用いると,二重に虹ができることを,科学クラブの生徒が発見した。そしてさらに,四重の人工虹へと発展した。この新しい虹ができる原理を考察し,実験値と比較したところ,妥当性が確かめられた。また,クラブの生徒たちの発見の喜びを,授業で一般の生徒に体験させる試みを行ったところ,非常に活発な授業となった。
著者
平田 邦男
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.291-294, 1989

本論説は1990年8月6日に東海大学湘南校舎で開催された第7回物理教育研究大会における講演『物理カリキュラム研究のすすめ』を編集部の依頼により要約したものである。高校物理教育の危機は教育現場の荒廃とは無縁ではないこと,高校物理カリキュラム研究の視点として,構成主義者的学習論の重視,数式物理の追放,文系志望者のための物理カリキュラムのあり方の3点を挙げたこと,および次期学習指導要領の改訂に向けての準備について述べた。
著者
林 昌樹 小林 功英
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.413-414, 2001

現代の先進的な科学・技術社会においても非科学,オカルトが生まれる土壌がある。その背景には現代の科学・技術に対する根強い不信感がある。さらに我が国特有の科学(理科)教育が抱える問題がある。また専門の世界では社会性が欠如し視野狭窄に陥っている研究者の世界が抱える問題もある。本稿では我が国において非科学,オカルトが生まれる土壌の原因をつくり出していると思われるこうした問題点について考える。
著者
濱田 栄作 荒谷 美智
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.303-304, 2009
被引用文献数
1
著者
文屋 優
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.351-353, 2002

完全学校5日制度実施により授業日数で16日,授業時数で26時間ほど,3年間の総単位数も6単位減少した。理科総合A,B,理科基礎,I,IIの組み合わせでカリキュラム編成が普通科も,専門学科の編成も難しくなった。一方で本を読まない,読めない生徒が増加している。こんな中での授業の工夫や教材の精選,課題学習,長期休業中の学習習慣の維持,読書のすすめ等を列挙した。最後に土・日曜における余暇のあり方,ボランテア,社会体験等に関して記述した。
著者
竹中 洵治 佐藤 正明 岡崎 久
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.307-311, 1981

現在の高校生の学力,興味,意欲などは非常に多様化している.このような状況のもとで,従来のような全体の学習者を一律に,画一的な方法で教授,学習を行なうのでは不十分である.個々の学習者に適した教授,学習が望まれる.今回,夏休みの課題として,個々の学習者の学習歴に則して,教育工学的手法を用い,個々一人一人に適した処方問題を与えた.その結果,多数の学習者から好意的な意識反応が得れたのでここに報告する.
著者
秋山 和義
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-4, 1984

摩擦のある水平面上で,ばねを用いて加速した物体をすべらせ,ばねの弾性エネルギーとすべった距離の関係を調べることによって摩擦の法則を検証し,摩擦係数を測定する実験の報告である.この実験は高等学校の教材として,ばねの弾性エネルギーエネルギー仕事の関係及び摩擦の法則を理解させるのに役立つ.簡単で内容の深い実験と考えられる.
著者
渡辺 愈
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.113-115, 1982

今日の,いわゆるドレミファという音階が,どのようにして構成されたのであろうか?という疑問に,感覚の面ではなくて数理解析の面から模索してみた.29個の要素の発見と,それらから,今日の音階が構成される様子は,物理と音楽との間を,多少とも埋めることになったのではなかろうか.
著者
山田 功
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.591-592, 2001

物理の学習指導を考える時,つい授業ばかりに目がいってしまう。しかし,実は教室の外での子供の頃のさまざまな体験が大きな意義をもっていることに注目をした。昔は教室の外で体験した,昆虫採集や,物の分解や,遊び道具作りや,読書等が自然科学への興味,関心をもたせた。今はそうした体験が少なくなった。これが授業の理解を困難にしたし,理科離れのひとつの要因になっているのではないだろうか。そんな反省のもと,授業へのささやかな提案をする。