著者
道方,香織
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, 2007-12-01

妊娠によって母体には著しい生理的変化が起こる.その多くは妊娠の終了と供に妊娠前の状態に戻る.これらの現象を正しく知ることは妊婦管理を行ううえで,極めて重要なことである.正常妊娠に伴う生理的変化について概説する.
著者
加藤 紘
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.1317-1326, 1970-12

二重抗体法によりHCGの Radioimmunoassay を行つたが, その感度は10mIU/m1以上であつた.また Assay に対するHGH, HTSH, ACTH及び Prolactin の影響は軽微であり, 他の非特異的反応も殆んど認められなかつた.この Radioimmunoassay を妊婦及び絨毛性疾患患者のHCG測定に応用し次の結果を得た.1)妊婦血中及び尿中のHCG量は9~12週目にpeakを示した後速やかに減少し, 21週目より40週目にかけて再び漸増した.また羊水中のHCG量は, 妊娠前期において高値を示す例が多かつた.2)分娩時母体血, 臍帯静脈血及び羊水中のHCG量を測定し, 母体血と臍帯静脈血のHCG量に相関関係を認めた(γ=0.80).また新生児血中のHCGは生後16時間目で半減した.これらの成績より臍帯静脈血中のHCGは母体または胎盤由来のものと思われる.3)切迫流産患者の血中HCG量に対する尿中HCG量の割合は0.44±0.01となり, 正常妊婦の値0.80±0.12より低値であった.4)絨毛性疾患患者の血中HCG量を測定し, Follow up に利用した.経過良好な例では, 絨毛上皮腫では子宮単純全摘出術後4週間目に, また胞状奇胎では子宮内容除去術後3週間目に正常 Gonadotropin level に下降した.
著者
加藤,紘
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, 1970-12-01

二重抗体法によりHCGの Radioimmunoassay を行つたが, その感度は10mIU/m1以上であつた.また Assay に対するHGH, HTSH, ACTH及び Prolactin の影響は軽微であり, 他の非特異的反応も殆んど認められなかつた.この Radioimmunoassay を妊婦及び絨毛性疾患患者のHCG測定に応用し次の結果を得た.1)妊婦血中及び尿中のHCG量は9〜12週目にpeakを示した後速やかに減少し, 21週目より40週目にかけて再び漸増した.また羊水中のHCG量は, 妊娠前期において高値を示す例が多かつた.2)分娩時母体血, 臍帯静脈血及び羊水中のHCG量を測定し, 母体血と臍帯静脈血のHCG量に相関関係を認めた(γ=0.80).また新生児血中のHCGは生後16時間目で半減した.これらの成績より臍帯静脈血中のHCGは母体または胎盤由来のものと思われる.3)切迫流産患者の血中HCG量に対する尿中HCG量の割合は0.44±0.01となり, 正常妊婦の値0.80±0.12より低値であった.4)絨毛性疾患患者の血中HCG量を測定し, Follow up に利用した.経過良好な例では, 絨毛上皮腫では子宮単純全摘出術後4週間目に, また胞状奇胎では子宮内容除去術後3週間目に正常 Gonadotropin level に下降した.
著者
三谷 茂 中嶋 唯夫 宗田 太郎 柳下 晃 畑山 道子 高柳 和雄 足立 康弘 金子 豊 関本 英也 檀上 忠行
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, 1964-06

1. 日本赤十字社産院における昭和11年より昭和36年6月に至る満25年間における帝王切開実施1238例について, これを戦前, 戦時, 戦後及び最近期に分類して, 母, 児の予後に対する検討を行い, その変遷を追求した. 2. 母体死亡率は昭和11~16年9.52%から最近期1.47%と低下した. 3. 児の周産期死亡率も戦前30.95%から6.81%と低下したが, 尚高率である. 4. 術式の上から母, 児の予後を見ると, 腟式は戦後行われていないが, この際には児の死亡率が高いのみならず母体死亡率も高く, Porro氏手術でも同様のことがいえる. 5. 帝王切開時の出血量は子宮収縮剤の使用の有無に拘らず, 25年間著しい変化を見ず, 601CC以上の症例が20%にも見られ, その対策を考慮する必要がある. 6. 母体の術後合併症中37.5℃以上の発熱を40%にも見る. 又最近耐性菌による感染が認められた. 7. 術創不全は非破水群では少い, 但し破水後経過時間との間に有意の差を見ない. 8. 適応の上から予後を見ると, 母体死亡率は減少しても尚今日晩期妊娠中毒症, 心, 肺疾患, 出血に留意する必要がある. 9. 常位胎盤早期剥離群では今日尚50%の児死亡を認め, 子宮破裂, 前置胎盤群での予後も悪い. 又児側適応による帝王切開術が最近屡々行なわれるが, 児の死亡率は高率で, 17.14%であり, この点に十分留意すべきである. 10. 非破水群の児の予後は最近0.99%の低死亡率で極めて良好であるが, 破水群では低下したといえ尚高率である. しかし破水後の経過時間の長短との関連はない. 11. 体重別に児の予後をみたが2000g以下の朱熟児では依然として70%余と予後の改善を見ないし, 未熟児では予後が依然として不良であるが, 2501~3500gの生下時体重群の死亡率は好転している.