著者
川添 貴章 大谷 栄治
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.62, 2004

1.はじめに現在、初期地球における集積とそれにともなう地球中心核の形成過程を総合的に理解するモデルとして、深いマグマオーシャンのモデルが広く受け入れられている。まず微惑星の集積によって初期地球が成長すると同時に、その衝突エネルギーによって地球表層が熔融しマグマオーシャンを形成した。その中において熔融した金属鉄がマグマから分離し、原始マントルを沈降して核を形成した。その沈降する過程において熔融した金属鉄はマグマもしくは原始マントル鉱物と元素の分配反応をしたと考えられ、その反応の痕跡はマントル組成に見られる。Fe、Ni、Coはマントル存在度をMgで規格化してCIコンドライト組成と比較すると約10分の1に枯渇している。この枯渇の要因を高温高圧下における熔融金属鉄とマグマもしくは原始マントル鉱物との分配から説明し、マグマオーシャン底部の条件を見積もる研究が行われてきた。マグマオーシャンの深さ・その底部の温度を見積もることは集積・核形成についてだけでなく、固化過程を含めた冥王代の地球の姿を解き明かすためにも非常に重要なものである。本研究では28 GPa、2400 Kにおいて熔融金属鉄と原始マントルを構成したと考えられるMg-ペロヴスカイト、マグネシオヴスタイト間のFe、Ni、Coの分配係数とそれに与える酸素分圧の効果について研究を行った。2.実験方法高圧発生装置には東北大学設置の川井型3000 tonプレスを用いた。二段目アンビルには先端サイズ2.0 mmのタングステンカーバイド製のものを用いた。試料は目標圧力である28 GPaまで加圧した後、圧力媒体内部に組み込んだReヒーターを用いて加熱し、2400 Kで30分から2時間保持し急冷した。脱圧・回収した後、波長分散型EPMAによって組成分析を行った。3.結果と議論分配係数にはFe、Ni、Coの熔融金属鉄とMg-ペロヴスカイト、マグネシオヴスタイト中の重量分率の比を用いた。熔融金属鉄とMg-ペロヴスカイト間の分配係数はNiについて81-161、Coについて41-83、Feについて10.8-35.6であり、熔融金属鉄とマグネシオヴスタイト間の分配係数はNiについて11.3-23.2、Coについて8.1-16.2、Feについて3.1-6.4であった。酸素分圧の増加にともないそれぞれの分配係数は減少した。求められた分配係数から見積もられるマントル存在度と実際のマントル存在度を比較・検討すると、マグマオーシャンの深さは約1500 km(50 GPa)であったことが考えられる.
著者
鍵 裕之
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
鉱物学雜誌 (ISSN:04541146)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.33-43, 1998

It is worthwhile to note that hydrogen atoms sructually bound to minerals can interact with network-forming oxygen atoms in minerals through hydrogen-bonding. This suggests the significance of chemical state of hydrogen on studying the role of hydrogen to the change in physicochemical and elastic properties of materials in the mantle. IR spectroscopy provides us with much information on the chemical states of OH species contained in these H-carrying minerals. This paper reviews the advantages of IR spectroscopy to the speciation of OH in minerals, quantitative analysis of hydrogen and determination of direction of OH dipole moment in a single crystal along with the several attentions to be paid on thepractical experimantal procedures. Furthermore, speciation of OH in the olivine-wadsleyite-ringwoodite system and its potential role on mantle dynamics is mentioned in detail. It is a definite fact that IR spectroscopy is one of the most promising method to study properties of hydrogen in minerals, but a complementarity use of other methods such as neutron diffraction will be necessary for thorough understanding of hydrogen in minerals.
著者
白水 晴雄 小川 留太郎 田中 信也 宮久 三千年
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.191-195, 1961

Brucite from Sasaguri occurs as foliated or fibrous aggregates, associating with calcite and yellowish serpentine. H=2.5; S.G=2.475; &omega;=1.562, &epsilon;=1.581. Chemical analysis gives: SiO<sub>2</sub> 0.33, Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 0.08, Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 1.69, MgO 64.81, MnO 1.10, H<sub>2</sub>O(-)0.39, H<sub>2</sub>O(+)31.38, total 99.78. X-ray powder data and D. T. A. curve are also given. The mineral seems to have been formed under hydrothermal condition.
著者
宮久 三千年 石橋 澄 足立 富男
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.25-29, 1975
被引用文献数
3

Malayaite is found in the contact skarn zone of Toroku mine, Miyazaki Prefecture. The crystals are commonly granular to massive shape, but sometime crystals show platy to wedgelike aspect, which reach to 3cm in length. Color is white to greenish gray. Luster is resinous. Fluoluminescence of greenish yellow color is observed, when on ultraviolet ray. The refractive indices are <i>&alpha;</i>=1.764, <i>&beta;</i>=1.784-1.786, <i>&gamma;</i>=1.801 and 2V (+) 84-86.<br> Chemical formula calculated from the analysis is:<br> Ca<sub>0.978</sub>Sn<sub>0.980</sub>Ti<sub>0.002</sub> Si<sub>1.002</sub>O<sub>5.000</sub><br>which is in good accord with Ca (Sn, Ti) SiO<sub>5.000</sub> of sphene-malayaite series.<br> Genetic considerations of ore-forming minerals, and problems of tin-mineral dressing are also discussed in this paper.
著者
三浦 保範
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.72, 2005

1)石英とカリ長石からなる急冷コロナ組織の三種類が、高松香川地区の地下の破砕岩(610m)から発見された。2)カリ長石(rim)と石英・長石ガラスからの沸石(core)のコロナ組織は、複合的"coronas in coronas"を示す。3) コアの部分が流動的になって、埋没時に沸石化して変質している。4) 花崗岩のメルトした鉱物がコロナ組織の骨格を形成している。5) コロナ組織の鉱物は、火山岩や塩基性岩の組成が混入せず、衝突時に混入した組成(炭素)が多量に含まれている。5)これらは、高松・香川地域の埋没衝突孔が花崗岩の衝突急冷でできたことを示している。
著者
市川 渡
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石礦物礦床學 (ISSN:18830757)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.282-287, 1938-12-01 (Released:2008-03-18)
参考文献数
6
著者
香内 晃
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.1, 2003

1.はじめに<br> 隕石中のいわゆるプレソーラーダイヤモンドの特徴は次の通りである:i) 同位体異常を示すXeが含まれる,ii) SiCやグラファイトより2-3桁多量に存在する,iii)しかし,炭素同位体はsolarである.これまでにいくつかのモデルが提案されているが,以上の3つの特徴をすべて説明できるモデルは存在しておらず,ダイヤモンドの形成機構はいまだによく分かっていない.そこで,星間分子雲から隕石母天体への進化過程で起こりうる有機物の生成・変成過程を再現する実験を行った.<br>2.実験<br> 本研究では,次の2つの実験を行った:1)分子雲中での氷(H<SUB>2</SUB>O:CO:NH<SUB>3</SUB>:CH<SUB>4</SUB>=4:2:2:1)への紫外線照射による有機物の生成と,その有機物が低密度雲でさらに10<SUP>5</SUP>年紫外線照射を受ける過程を再現する実験,および,2)分子雲有機物が炭素質隕石母天体に取り込まれた後に起こる,水質変成・熱変成を再現する実験.<br>3.結果<br> 1)分子雲で生成された有機物は,電子線回折ではハローパターンを示すが,高分解能電子顕微鏡観察では1 nm程度のダイヤモンド微結晶(または,ダイヤモンド前駆体)とグラファイトの存在が明らかになった.さらに,低密度雲でのさらなる紫外線照射によりダイヤモンドが5 nm程度まで成長することがわかった. <br>2)分子雲有機物の炭素質隕石母天体での水質変成(100-200<SUP>o</SUP>C)および熱変成(200-400<SUP>o</SUP>C)により,ダイヤモンド,グラファイト,アモルファスカーボン,カルビンが形成されることが明らかになった.<br>4.議論<br> 隕石中のいわゆるプレソーラーダイヤモンドは炭素星や超新星起源ではなく,星間雲起源だと考えるとこれまで問題になっている以下の事を無理なく説明できる:i)SiCやグラファイトより2-3桁多量に存在することは当然である,ii) 炭素同位体も太陽系と同じ物質からできたので同じで当然である,iii) 超新星起源のXeが星間雲の有機物に打ち込まれ,これがダイヤモンドに取り込まれた.また,プレソーラーダイヤモンドに起源の異なるものがあることや,彗星起源の惑星間塵は小惑星起源の惑星間塵と比べてダイヤモンドの含有率が低いことは,プレソーラーダイヤモンドの一部が隕石母天体で形成された可能性を示唆する.
著者
佐々木 晶
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物学会・学術講演会,日本岩石鉱物鉱床学会学術講演会講演要旨集 (ISSN:13486543)
巻号頁・発行日
vol.2004, 2004-09-22

小惑星、彗星、カイパーベルト天体などの太陽系小天体の研究が、近年非常に活発になり、惑星科学の分野でも存在感を大きい。特に、太陽系物質の起源と進化を探る上では欠かすことのできない研究ターゲットになっている。 隕石の母天体は小惑星と考えられている。しかし、反射スペクトルすなわち「色」には不一致(普通コンドライトに対応する小惑星が少なく、S型に対応する隕石が少ない)があり、長い間謎であった。それを解決したのが、宇宙風化作用の解明である。大気の無いシリケイト天体が宇宙空間に晒されていると、宇宙空間ダストの高速衝突による加熱により表面物質の蒸発・凝結が起きる。その際に、微小鉄粒子が生成されて、反射スペクトルの暗化・赤化を引き起こす。我々は実験室のシミュレーションにより、宇宙風化作用の素過程を明らかにした。最近では、小惑星の族の力学的年代と、宇宙風化度に相関があることがわかってきた。宇宙風化作用が年代学のマーカーとしても利用できる日が近い。さらに、始原的な炭素質天体でも時間とともに「色」の変化が起きていることが明らかになっている。 一方、1992年にはじめて発見されたカイパーベルト天体は、その後、続々と発見されて、現在では数は1000に近い。大きいものは冥王星の衛星シャロンを凌ぐ。最近の、力学的研究により、カイパーベルト天体のうち軌道が不安定になったものが、太陽系の内側へ運ばれ、木星族と呼ばれる彗星を経て、短周期彗星へと進化する道筋が明らかになった。カイパーベルト天体は、もともと遠方の氷微惑星が起源である。そのため、彗星を調べることが太陽系の外側での物質進化研究において重要な役割になる。また、一部の炭素質小惑星は、短周期彗星を起源としていると考えられている。短周期彗星起源であることが力学的に明確な天体は、将来の接近探査やサンプルリターンの重要なターゲットになるだろう。
著者
田崎 耕市 高橋 治郎 板谷 徹丸 グレープス R.H. 鹿島 愛彦
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.155-160, 1990
被引用文献数
10

Many andesitic intrusions are exposed along the Median Tectonic Line (MTL) in northwestern Shikoku, Japan. Three dikes along the MTL and one intrusion occurring close to it were dated by the K-Ar method to estimate when the fault movement ceased. The dikes and intrusion are not deformed by the movement. The results give 15.1 to 15.4 Ma excluding severely altered one. The MTL in northwestern Shikoku region has not been active since about 15 Ma. Although a similar attenuation of active movement of the MTL during middle Miocene has been reported, the fault movement has continued in the other areas of southwestern Japan as demonstrated by Active Fault Research Group (1980). This may suggest that block displacement has been dominant since middle Miocene in the studied area. The age of the samples also indicates that the volcanic activity of Seto-uchi region started 15 Ma in northwestern Shikoku.
著者
宮島 宏 松原 聰 宮脇 律郎 三石 喬
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.125, 2003

ミャンマー産ひすい輝石岩から、ストロナルシ石成分を最大48 mol%含むSrに富むバナルシ石(以下、Sr-Bnl)が発見された。バナルシ石はNa<SUB>2</SUB> Ba Al<SUB>4</SUB> Si<SUB>4</SUB> O<SUB>16</SUB>なる組成を持つ長石族鉱物で、イギリス・WalesのBenallt鉱山が原産地である(Smith et al., 1944)。原産地以外には、スウェーデン (Welin, 1968)、東京都白丸鉱山(加藤ら, 1987)、ミャンマー(Harlow and Olds, 1987)、ロシア(Koneva, 1996)、南アフリカから報告がある。本報告のSr-Bnlは淡緑色半透明緻密堅硬のひすい輝石岩中に、無色透明ガラス光沢、最大1.5cm×0.7cmの不規則形で偏在していた。Benalltや白丸のバナルシ石と同様、短波長紫外線で赤色蛍光を発する。青紫色異常干渉色と不規則な消光を示し、明瞭な劈開はない。ひすい輝石岩の空隙を充填したような産状を示すが、(1) Sr-Bnlと接するひすい輝石は半自形結晶で破断されていないこと、(2) Sr-Bnlに包有される自形から半自形のひすい輝石があること、(3) Sr-Bnlの外形が丸みを帯びた不規則形であることから、Sr-Bnlはひすい輝石岩が脆性破壊を被って生じた割れ目に後から晶出したものではなく、ひすい輝石岩生成の晩期にひすい輝石とともに熱水条件下で生じたものと考えられる。<br> EDSによる代表的分析値は、SiO<SUB>2</SUB> 37.79, Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>31.81, BaO 14.66, SrO 6.52, Na<SUB>2</SUB>O 9.34, Total 100.12 wt%で、これからNa<SUB>1.92</SUB> (Ba<SUB>0.61</SUB> Sr<SUB>0.41</SUB>) <SUB>Σ1.02</SUB> Al<SUB>3.98</SUB> Si<SUB>4.01</SUB> O<SUB>16</SUB>という実験式(O=16)を得る。BSE-imageでは、Ba/(Ba+Sr)=0.67-0.52の組成変動に対応する若干の濃淡が認められるが、大半はBa/(Ba+Sr)=0.6前後の組成である。バナルシ石のSr置換体がストロナルシ石(stronalsite Na<SUB>2</SUB> Sr Al<SUB>4</SUB> Si<SUB>4</SUB> O<SUB>16</SUB>)で、Hori et al., (1987)が高知市蓮台の変塩基性凝灰岩中の脈から報告した。他に岡山県大佐町のひすい輝石岩(Kobayashi et al., 1987)、ロシアZhidoisky massifの輝岩中の脈(Koneva, 1996)、糸魚川・青海地域と兵庫県大屋町のひすい輝石岩(宮島ら, 1998)から産出報告がある。<br> Harlow and Olds (1987)のミャンマー産バナルシ石は端成分に近い組成で、母岩はコスモクロア輝石、クロム鉄鉱、ニーベ閃石、エッケルマン閃石などを含む特異な岩石でひすい輝石岩ではない。本報告のようにバナルシ石とストロナルシ石の中間的な組成ものはKoneva (1996)による報告が唯一である。<br> 蓮華帯のひすい輝石岩からは、その生成晩期に熱水条件下で生じたSrやBaを主成分とする鉱物が報告されている(例えば、Miyajima et al., 1998による糸魚川石)。しかし、ミャンマー産ひすい輝石岩からは未発見だった。今回、Sr-Bnlが発見されたことで、ひすい輝石岩にSrやBaを主成分とする鉱物が出現することが蓮華帯のひすい輝石岩に限られた特異な現象ではないことが明らかになった。日本やミャンマーのひすい輝石岩にSrやBa鉱物が共通して産することは、その生成機構と密接に関係したことであろう。
著者
矢内 桂三 野田 賢 Byambaa C. Borchuluun D. Munkhbat T. Baljinnjam L.
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.22, 2003

ジャルナシ(Jalanash,モンゴル名Nuzhgen)隕石はモンゴル国(モンゴル人民共和国,Mongolian Peopleユs Republic)に近年落下した隕石で,同国で回収された隕石6個のうちの1個である.ジャルナシ隕石は1990年8月15日14:00頃西モンゴルのウルゲイ(Olgiy, 49°N, 90°E)に落下したもので,落下直後同地の遊牧民により回収された.当時1個以上が落下したと言われているが回収した隕石の総重量は約1kgで,現在はその本体約700gが研究されることなく,West Mongolian Museumに保管されている.1994年11月にジャルナシ隕石の一部を入手できたので,本隕石の種類,鉱物組み合わせと組織,及び全化学組成等について概要を報告する.ジャルナシ隕石は粗粒,塊状で非常に脆いが落下直後に回収されたためきわめて新鮮である.構成鉱物は主に粗粒カンラン石とピジョン輝石からなり,鉱物粒子間を炭素質物質が埋める典型的なユレイライトである.Fe-Ni金属鉄も粒間に多量に生じている.金属鉄は珪酸塩鉱物のFe成分が炭素により還元され生じたものであろう.鉱物組成は非常に均質でカンラン石(平均Fo80.6, 最大値Fo79-80の間,組成巾 Fo91.8-78.6),ピジョン輝石(平均En75.1Fs17.2Wo7.7; 組成巾 En75.8-74.3Fs17.9-16.6Wo8.3-7.1).主化学組成はSiO2 39%,TiO2 0.08%,Al2O3 0.9%,FeO 16.2%,MnO 0.5%,MgO 38.3%,CaO 0.82%,Na2O 0.09%,Cr2O3 0.7%,FeS 0.8%, Fe 2.1%,Ni 0.1%,Co<30ppmである.南極産ユレイライト12個と比較検討したと結果,組織はいずれのものとも異なっているが,鉱物組成はALH-78019及びALH-78262ユレーライト隕石に類似していることが明らかになった.
著者
島 誠 永田 武 岡田 昭彦
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.239-247, 1970

Fine materials (1008489) contains many round shape particles which are almost similar shape and size of cosmic dust. By the chemical composition, they are classified into three groups, 1) Fe-Ni group, 2) Fe, group, and 3) silicate group. The glassy particles composed mainly of silica are thought to be a kind of microtektite which are found on the earth. It is suggested that a part of spherules are extraterrestrial matter.
著者
湊 淳一 キム ワイージェイ 山田 裕久 渡辺 雄二郎 田村 堅志 横山 信吾 チョー エスービィ 小松 優 スティーブンス ジィーダブリュー
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.102, 2004

産業・生活廃水中のアンモニウムイオンは、河川や湖に富養化をもたらしている。その吸着・除去剤として安価な天然ゼオライトが注目されている。天然ゼオライトのアンモニウムイオン吸着効率は、ゼオライト種、交換性陽イオン容量、長石やイライトなどの不純物量などによって決定される。本研究では、クリノプチロナイトとモルデナイトを主成分とする韓国産の天然ゼオライトを空気分級法を用いて、異なる粒径の試料に調整した。空気分級されたそれぞれの試料は、XRD、粒径測定、SEM-EDS、ICP-MSを用いて特徴付けた。さらにそれぞれのアンモニウム吸着量の粒径依存性について明らかにしたので報告する
著者
氏家 治 田中 るみ 渡邊 和徳
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩鉱 : 岩石鉱物鉱床学会誌 : journal of mineralogy, petrology and economic geology (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.94, no.9, pp.315-328, 1999-09-05
参考文献数
41
被引用文献数
7 8

毘沙門岳火山は単斜輝石&mdash;斜方輝石安山岩&sim;デイサイトと比較的少量の角閃石安山岩からなる。Sr/Y>40, SiO<sub>2</sub>&asymp;63%, Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>&asymp;18%の組成を有するこれらの岩石はアダカイト質であり,近隣の火山の岩石と比べてK<sub>2</sub>O, Rb等の液相濃集成分に乏しく,基本的には,広域的安山岩マグマと当火山に固有の珪長質マグマの混合物と考えられる。珪長質端成分マグマは,Mgに富む斜方輝石(Mg/(Mg+Fe)&asymp;0.80),単斜輝石(Mg/(Mg+Fe)&asymp;0.82)恐らくマントル由来の橄欖石(Fo&asymp;90)を特徴的に含み,その化学組成(SiO<sub>2</sub>>65%, Na<sub>2</sub>O&le;3.2%, K<sub>2</sub>O&le;1.2%, Rb&le;20 ppm, Y<10 ppm, Nb&le;6 ppm,全FeO/MgO&le;1.6,およびSr/Y>60)はアダカイトの特徴をより明瞭に示す。断定するには未だデータ不足だが,この端成分アダカイトマグマは沈み込みつつあるフィリピン海プレート海洋地殻の部分溶融作用で生じた可能性が高い。
著者
塩沢 孝之
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.75-84, 1970
被引用文献数
3

筆者は石母狩湾堆積物中の粘土鉱物組成を調べ,その分布を規刷している主な要因が分凝作用であろうと推論した(塩沢,投稿中)。その推論を確めるべく,湾の主要構成粘土鉱物のモンモリロナイト・クローライト・イライト(代りにセリサイト)からなる分散系で分凝作用に関するある種の実験を行なった。<br> それによると,モンモリロナイトは懸濁液攪拌放置後の時間経過に伴って,懸濁液中で相対的に濃集し,クローライト(セリサイトもほぼ同じ)は逆に減少することが明かになった。この分凝作用は一般に塩分濃度と分散系中の粘土鉱物濃度の増加にともなって顕著になる。この結果は, Whitehouseら(1960) の単一鉱物の分散系で行なった実験結果からほぼ説明される。今回の実験結果は,石狩湾に関する筆者の推論が正しいであろうことを裏づけた。
著者
柳澤 教雄
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.87, 2004

地熱発電所や実験・開発プラントにおいては、アモルファスシリカや炭酸カルシウム、硫化鉱物や鉄鉱物など、さまざまな地熱水由来のスケール鉱物が沈殿する。そのスケールの種類は、熱水の温度、pH、共存成分などに依存する。 ところで、日本の地熱発電所では生産熱水を地下に還元しており、それらが地下で加熱され、一部は再び生産に寄与する。そのプロセスをきわめて早くし、地上から河川水等を注入することで熱を取り出すのが高温岩体発電の考え方で2002年まで日本では肘折などで実験が行われ、現在ではオーストラリアなどで実用化にむけての開発が行われている。また、既存の地下貯留層の多くは、雨水や地下水が、断層亀裂などを通して、長時間かけて地下深部に到達することで形成されている。このような地下還元プロセスの時間の差もスケールの生成に関与している。以下、事例を示す。1)高温岩体システムのように、数時間_から_数日で地上から注入された水が加熱されて地上に戻ってくる場合、地下に到達した時点で100℃以下の低温であるため、その周辺の硬石膏を溶解する。硬石膏は高温で溶解度が低いため、地下の加熱の間に析出される。その際、地下でCa濃度が高いまま地上に達すると今度は、地上の二酸化炭素と反応しカルサイトやアラゴナイトを析出させる。 スケール生成状況は、注入井から生産井までの距離や貯留層の滞在時間にも左右される。その距離が70m前後で数時間の滞在であるHDR-2の場合、熱水ラインのスケールは、循環当初は50-70%がアモルファスシリカであったが、井戸の急速な温度低下がおこって以後は、カルサイトやアラゴナイトが増加し、シリカは1%程度の少量となった。また、3ヶ月のスケール沈積量は40mmと厚いものであった。地上でのSO4濃度は700ppm程度であるが、Ca濃度は140ppm前後であることも、地上でのCaとCO3の反応を示している。 一方、距離が130m以上で数日の滞在であるHDR-3の場合、熱水ラインのスケールは循環期間を通してアモルファスシリカ(70%程度)と磁鉄鉱(10%程度)が主でありで炭酸カルシウムは5%以下であった。また、沈積量も1mm以下と少なかった。これは、HDR2に比べ貯留層内の滞在時間が長く、温度も高いので、貯留層内や坑内での硬石膏の再沈殿がおこり、坑内のCa,SO4濃度はHDR2に比べて1/5程度となり、地上部でCaCO3が沈殿する条件にはならなかったと考えられる。そして、地上部での熱水中のSiO2濃度は、高温のためHDR-2の2倍程度あり、相対的にシリカスケールが主成分となったと考えられる。2)従来型の地熱発電所においても地下還元の影響で温度が逆転する箇所があると、そこに硬石膏が析出する。たとえば、澄川では、半月から1月程度で還元熱水が生産井に達するが、そのような井戸の深度2000m以上で、温度が逆転する箇所への硬石膏の付着が報告されている(加藤ほか(2000))3)地熱発電所の生産が継続する過程で、貯留層の圧力低下に伴い、より浅い部分の熱水や地下水の影響を受けることがある。たとえば、葛根田では、マグマ活動起源の金属元素を含むスケールが沈積する。初期のpHは4程度であったが、生産を継続するうちに、pHが上昇し、温度が低下するとともに、スケールの種類もひ鉄鉱、斑銅鉱から四面銅鉱に変化していくこと、シリカスケールの減少が示されている。