著者
竹野 幸夫
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.109-110, 2021 (Released:2021-04-26)
参考文献数
3
著者
唐木 將行 小林 隆一 小林 英治 石井 玄吾 森 望
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.154-159, 2006-07-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
12

Bronchial asthma has been reported to greatly influence the outcome of endoscopic sinus surgery (ESS) in patients with chronic sinusitis. We studied 191 patients undergoing ESS from January 2000 to December 2004, focusing on postoperative improvement in olfactory disorders, recurrence, and incidence of reoperation in 143 patients with follow-up exceeding 6 months. Airway hypersensitivity was observed in 35% of patients undergoing ESS, compared to 75% of asthmatic patients and 81% of those with both asthma and allergic rhinitis who had preoperative olfactory disorders. Olfactory disorders improved in 82% of patients undergoing ESS. Over 50% of relapsed patients had airway hypersensitivity. Asthmatic patients had an especially high relapse 37% (10 of 27 patients) . The outcome of ESS was significantly worse in patients with asthma. We conclude that patients with chronic sinusitis and asthma, who tend to experience more recurrence, require regular examination and early treatment.
著者
金井 健吾 岡 愛子 赤松 摩紀 渡部 佳弘 上斗米 愛実 北村 寛志 今西 順久 野口 佳裕 岡野 光博
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.300-309, 2023 (Released:2023-07-28)
参考文献数
26

嗅覚障害は,感冒罹患,鼻副鼻腔の慢性炎症,外傷,薬物や毒物の吸入,神経変性疾患や脳血管疾患などによって生じる。原疾患のコントロールを行うことで改善することもあるが,治療に難渋する症例も経験する。最近では新型コロナウイルス感染症に罹患し嗅覚障害を生じる症例も存在する。嗅覚機能検査として,T&Tオルファクトメーターを用いる基準嗅力検査や静脈性嗅覚検査などが一般的に施行される。嗅覚障害に対する新しい治療法として,患者が嗅素を積極的に嗅ぐことで,嗅覚の再生を促す嗅覚リハビリテーション(嗅覚刺激療法)が注目されており,欧州では安全で有効な治療法として診療に取り入れられている。嗅覚刺激療法は当院倫理審査で承認され,リハビリテーション科医師の指導の下で言語聴覚士が行っている。当院を受診し嗅覚障害と診断された患者を対象として,嗅覚刺激療法を3か月以上行い,治療前後の嗅覚を比較した。1日2回(朝・夕)4種類の嗅素(バラ・レモン・ユーカリ・シナモン)を一つの嗅素につき10秒ずつ嗅ぎ,3か月後には4種類の嗅素をラベンダー・オレンジ・ヒノキ・バニラへ変更している。治療前後の嗅覚の変化において,基準嗅力検査(平均認知域値と検知域値)では有意差は認めなかったが,日常のにおいアンケート,嗅覚に関するQOL質問紙,VASでは有意に改善を認めた。日本人にとって,より有効で統一的なプロトコールが確立されることが期待される。
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.102-109, 1985-08-01 (Released:2010-11-19)
著者
関根 一郎 岸部 幹 高原 幹 片田 彰博 林 達哉 原渕 保明
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.169-174, 2021 (Released:2021-07-20)
参考文献数
21

神経内分泌細胞癌(neuroendocrine carcinoma; NEC)は頭頸部では比較的稀である。また,遠隔転移しやすい腫瘍としても知られている。2003年から2020年までに当科で経験した鼻・副鼻腔に発生した神経内分泌細胞癌について検討した。症例は7例で,男性4例,女性3例であり,年齢中央値は60歳(45歳~79歳)であった。原発部位は上顎洞3例,篩骨洞2例,蝶形骨洞1例,鼻腔1例であった。治療は化学放射線療法が中心で,手術治療が行われたのは2例のみであった。7例中1例は1次治療が奏功せず原病死となった。他の6例は全例で1次治療が奏功した。1次治療が奏功した6例のうち,2例が5年無病生存となったが,3例が遠隔転移をきたし原病死し,1例は他病死となった。鼻・副鼻腔原発のNECは手術や化学放射線療法による局所制御は比較的良好であるが,遠隔転移をきたす症例が多く,遠隔転移の制御が予後に関与すると考えられた。
著者
高林 宏輔 片岡 信也
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.159-166, 2023 (Released:2023-04-21)
参考文献数
23

外傷性視神経症は頭部顔面外傷に合併して起こりうるまれな疾患である。外科的治療として視神経管開放術が,保存的治療としてステロイド投与が施行されるが,定まった治療法はない。それゆえ症例ごとに治療の選択や導入のタイミングを判断していくことが大切である。今回われわれは受傷時に意識障害を伴う外傷性視神経症例について報告する。症例は36歳,男性。交通事故により受傷して当院に救急搬送された。意識障害を認め,視力は光覚弁であった。Computed tomography(CT)では右視神経管に骨折の所見を認め,外傷性視神経症と診断された。即日ステロイドパルス療法を開始しつつ意識障害の改善を待つこととした。意識障害は改善し,入院4日目には視力も改善傾向であったが,右視神経管骨折のためと思われる右眼の視野障害を認めたため5日目に内視鏡下視神経管開放術を施行した。術後から再度ステロイドパルス療法を施行し,14日目に退院となった。術後3ヶ月での視野検査では視野障害は改善し,視力は0.1まで改善した。CTで骨折を認める外傷性視神経症であったが意識障害のために手術を遅らせることとなった。受傷後5日目の手術であったが視機能は改善した。意識障害を伴う外傷性視神経症では,ステロイドパルス療法を先行させつつ意識障害の回復を待ってから外科的治療を導入することは有効と考えられた。
著者
後藤 穣
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.64-66, 2012 (Released:2012-05-22)
参考文献数
2
著者
松山 敏之 竹越 哲男 髙橋 秀行 近松 一朗
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.310-316, 2022 (Released:2022-07-20)
参考文献数
8

アレルギー性鼻炎の有病率は年々増加し,長期寛解,治癒が望めるアレルゲン免疫療法は,今後ますます重要な治療法になると考えられる。今回我々は,スギ舌下免疫療法(SLIT)により改善した症状とQOL(quality of life)及びSLITの満足度との関係について検討を行った。2014年11月から2017年12月までの間にスギ舌下免疫療法を開始し,2019年2月1日まで継続治療できた39症例を対象とした。2019年スギ花粉飛散後にSLIT開始前とSLIT後の症状スコア,QOLスコア,SLITの満足度の調査を行った。鼻水,くしゃみ,鼻閉,眼のかゆみの評価したすべての症状でSLIT後に症状スコアの改善がみられた。QOLスコアにおいて評価したすべての項目でSLIT後に改善がみられた。治療前の症状スコアとQOLスコアの間には多くの項目で有意な相関を認めた。治療前の症状スコアは高満足群,低満足群の2群間に有意差はなかったが,治療前後のスコアの改善幅はくしゃみ,鼻閉,眼のかゆみの3症状で2群間に有意差がみられた。症状の改善幅が大きいとSLITの満足度は高くなってくると思われた。症状スコアの改善幅が高満足群と低満足群の2群間で有意差があった3症状について,高満足度への寄与度を多変量解析にて検定すると,治療前後での鼻閉スコアの改善幅が大きいことが満足度に最も寄与した。SLITの満足度に最も影響を及ぼすのは,鼻閉症状の改善であると思われた。
著者
本田 芳大 武田 和也 岡崎 鈴代 中村 恵 天野 雄太 山根 有希子 端山 昌樹 前田 陽平 愛場 庸雅 猪原 秀典
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.522-530, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
22

副鼻腔真菌症の大部分は予後良好な非浸潤型副鼻腔真菌症であるが,まれに免疫が低下した患者において重症化し,致死的となる浸潤型副鼻腔真菌症が知られている。今回,われわれはびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)の化学療法中,骨髄抑制期に発症した副鼻腔炎に対し上顎洞開放を行い,その後より急速に進行した浸潤型副鼻腔真菌症を経験した。症例は69歳女性。DLBCLに対する化学療法施行後,骨髄抑制期に発熱性好中球減少症となった。経過中に右眼痛とCT検査にて右上顎洞に新規陰影の出現を認め,紹介受診となった。初診時,副鼻腔真菌症を疑い外来にて上顎洞開放を行った。上顎洞内に菌塊を認めたため除去し,明らかな菌塊の残存がないことを確認して,軟膏ガーゼを挿入した。第4病日にガーゼを抜去し,鼻内を観察すると,右鼻腔内全体に白色の粘膜病変を認め,真菌の増殖が疑われた。第5病日には右鼻腔粘膜の広範な黒色壊死を認めた。その後のCT検査にて下直筋の腫脹と眼窩内脂肪織の濃度上昇を認め,眼窩内浸潤が疑われた。内視鏡下鼻副鼻腔手術を行い,抗真菌薬全身投与継続の方針とした。その後,眼球運動障害は残存するものの明らかな増悪はなく,鼻腔内所見も著変なく経過し,第98病日に転院となった。骨髄抑制が遷延した状態で上顎洞を開放し,ガーゼパッキングを行ったことが広範な真菌浸潤をきたす一因となった可能性があり,骨髄抑制時の処置・手術にはその後の管理を含め細心の注意を払う必要があると考えられた。
著者
積山 幸祐 黒野 祐一
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.566-571, 2014 (Released:2014-12-26)
参考文献数
21
被引用文献数
3 2

放線菌は嫌気性・非抗酸性のグラム陽性桿菌で口腔内常在菌であり,しばしば気管支,消化管,女性性器から分離される。特に齲歯,歯垢,扁桃陰窩などに無害性に存在し,組織の損傷や他の感染によって宿主の抵抗が失われてはじめて病原性を発揮する内因性感染として放線菌症を起こす。放線菌症の好発部位は,顔面・頸部40~60%,腹部20~30%,胸部10~20%であり,鼻副鼻腔は非常にまれである。今回我々は,鼻腔放線菌症の一症例を経験したので,報告する。症例は19歳の女性で頭痛,左鼻閉を訴えて当院を受診した。左下鼻道に肉芽と黒褐色塊を認め,CTでは下鼻甲介と接する石灰化陰影とその周囲に軟部組織陰影を認めた。同部位の生検による病理組織学的検査で鼻腔放線菌症と診断とされた。放線菌症に対しアモキシシリン(AMPC)1500mg/日を投与し,約2か月間保存的治療を施行したのちに局所麻酔下に摘出術を施行し,術後約1か月AMPC 1500mg/日を投与した。その後約3か月間は慢性副鼻腔炎(右前頭洞,左蝶形骨洞)に対しマクロライド少量投与を施行したが改善はなく,全身麻酔下で内視鏡下鼻内副鼻腔手術(ESS)を施行した。ESS後約1年が経過したが放線菌症の再発は認めていない。治療に関してはペニシリンの大量長期投与が推奨されているが,早期に治癒せしめるために内視鏡下鼻内手術による病変の完全切除と鼻副鼻腔の好気的な環境作成が肝要と考えられた。
著者
森 裕介 鈴木 元彦 長谷川 千尋 中西 弘紀 中井 一之 江崎 伸一 竹本 直樹 村上 信五 岩崎 真一
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.292-298, 2022 (Released:2022-07-20)
参考文献数
22

背景:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は今や全世界に拡大しパンデミック化している。また欧米において嗅覚・味覚障害が重要な症状として報告されているが,本邦における報告はほとんど認められない。以上を踏まえ,本研究ではCOVID-19による嗅覚・味覚障害について検討を加えた。方法:カルテからCOVID-19患者の年齢,性別,臨床症状と血中CRP結果を抽出し,解析した。結果:100例のCOVID-19患者において,嗅覚障害を訴えたのは45例(45%)で,味覚障害は44例(44%)であった。このうち嗅覚・味覚障害の両方を訴えた患者は41例で,嗅覚障害のみは4例,味覚障害のみは3例であった。また嗅覚障害を訴えた症例の年齢と血中CRP値は,訴えなかった症例よりも有意に低値であった。同様に,味覚障害を訴えた症例の年齢と血中CRP値は訴えなかった症例よりも有意に低値であった。さらに,嗅覚・味覚障害の経過についても検討を加えたが,ともに発症後1週間以内に症状が消失する症例も見られた。結語:COVID-19は日本人においても高率に嗅覚・味覚障害を引き起こすことが示された。また,嗅覚障害や味覚障害は若年者でより高率に発現し,血中CRPは低値を示す症例が多かった。少数ではあるが味覚障害のみで嗅覚障害を訴えなかった症例が存在したことから,風味障害以外のメカニズムによる味覚障害の可能性も示された。
著者
林 達哉
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.118-120, 2019 (Released:2019-04-23)
参考文献数
3