著者
岩崎 稔 八尾師 誠 今井 昭夫 金井 光太朗 篠原 琢 米谷 匡史 工藤 光一 小田原 琳 土田 環
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

東アジアを中心とした集合的記憶の動態を、「自己確証的想起」及び「脱中心化的想起」という対概念を方法論として解明した。また分析地域を拡大し、ジェンダー論等の具体的成果の再定義や表象文化分析を行った。その結果、集合的記憶の脱中心化的機能は、ナショナル・アイデンティティを相対化・異化し、支配・被支配関係を転換する効果を持つことが明らかになった。脱中心化的想起という視点を通して、正統的歴史叙述から排除された「消去された声」の再生だけではなく、集合的記憶の動態の中に起こりうるイデオロギーを超えた自己撞着や恣意的操作、アイデンティティポリティクスへの批判的な分析視点をより明確に提示できるようになった。
著者
黒木 英充 鈴木 茂 眞島 一郎 飯塚 正人 飯島 みどり 鵜戸 聡 池田 昭光 大場 樹精 山本 薫
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1世紀以上に及ぶレバノン・シリア移民の顕著な世界的活躍を支えるのは、異文化の社会に対する適応力とネットワーク形成力・拡張力の高さである。移動する自己と親族・友人等との間で、常に複数の社会における財の価値の違い等に関する情報が交換され、様々なビジネスが展開し、時には出身国と現住国の政治にすら大きな影響を及ぼす。そこでは自己の構成要素の複数性(たとえば言語など)、他者との関係構築ツール(帰属する宗教組織のネットワークから信用再強化のためのカネの貸借といった財の交換関係にいたるまで)が意識的に維持・展開される。その歴史的起源はレバノン・シリア地域の非ムスリム商人や通訳といった類型に求められる。
著者
鈴木 恵美子
出版者
東京外国語大学
巻号頁・発行日
2004

言語学 (Linguistics)
著者
深澤 秀夫 箕浦 信勝 飯田 卓
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

国語にも指定されているマダガスカル語とマダガスカルのろう者たちが用いる手話の会話場面を臨地調査によって収集・記録し分析した結果、マダガスカル語の動詞の態の選択、語順の選択、主語の単数/複数の選択の頻度を会話場面毎に計測することによってそこに内在する行為主体の志向の強弱を判定し、マダガスカルの人びとの文化の共通性と多様性を測定することが可能であるとの見通しを得た。その一方、マダガスカル語とマダガスカル手話とでは、挨拶の定型性、同時発話の頻度、動詞の態の種類をめぐり明らかな違いが認められ、その要因についてはさらなる調査が必要である。