- 著者
-
谷川 道子
- 出版者
- 東京外国語大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2004
H16〜18年度は2005(H17)年度の「日本におけるドイツ年」を挟んで、本研究テーマとそれに不可欠の関連に立つ舞台芸術の実践現場とのかかわりにおいて、かなりの実績と貢献をしたと思う。・ドイツや日本の劇団のドイツ関連上演の手伝いもだが、ドイツ文化センターの後援で現代を映し出す戯曲を一挙に三十作品、論創社より『ドイツ現代戯曲選30』シリーズとして順次刊行する企画に編集委員として携わり、若い世代を中心に翻訳チームを組んで2005年12月から刊行開始、07年3月までに27冊を刊行。拙訳のノーベル賞受賞作家E.イエリネクの『汝、気にすることなかれ』やハイナー・ミュラーの『指令』も解題つきで出版。・このドイツ演劇を広める好機に、2005年10月の日本独文学会京都秋季研究発表会での新国立劇場監督の栗山民也氏を迎えてのシンポジウム「演劇のパラダイム転換と新しいタイプの戯曲テクスト」を始め、多くのシンポジウムやドラマ・リーディング、シアター・トークなども企画・開催し、研究会を母体として「ドイツ演劇プロジェクト2005」も立ち上げた。夏には本科研費でベルリーナー・アンサンブルでの「ブレヒト没後50年祭」も訪れ、研究成果もいろいろに出た。・2005年の新国立劇場での演出栗山民也や主演大竹しのぶのブレヒト『母・肝っ玉』の台本も翻訳。・さらに2冊の研究書を刊行。単著が『ドイツ現代戯曲選30』シリーズヘの道案内という意味も込めて、論創社より12月にこれまでの論考をまとめて再編集した『ドイツ現代演劇の構図』。共著としては、3月にべりかん社より、早稲田大学での演劇COE講座の「演劇論講座」をもとに、岡室美奈子編で内野儀、宇野邦一、大橋洋一、桑野隆、谷川道子共著の『知の劇場、演劇の知』も刊行。いずれも好評で、書評も数多く出た!・勤務先の東京外国語大学の学園祭での語劇の活動が「生きた言語修得のための26言語・語劇支援」として平成16-19年度文部科学省特色ある教育プログラム(特色GP)に採され、その中心的な委員として学生たちの課外活動としての語劇を支援するさまざまな事業を行ってきた。最終19年度には、総括と今後への布石として、新規の授業「舞台芸術に触れる」の開設と、野田秀樹や宮城聡などを招いての一連の特別講演会、語劇百年の歴史的成果と今後活動と教育に対する理論的寄与とを考察した『語劇-ことば、教育、演劇』(仮題)を刊行することも計画中。この科研費とは直接の関係はないが、私の専門やテーマ、人脈、経験とも大きく関連する活動である。以上、本科研費の研究成果は十分に出して貢献したと自己評価している。