1 0 0 0 IR ゴア問題

著者
松谷 賢次郎
出版者
東京外国語大学
雑誌
東京外国語大学論集 (ISSN:04934342)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.[59]-69, 1957
著者
平田 晶子
出版者
東京外国語大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究は、東北タイおよびラオス両国に居住するラオ族に歌い継がれてきた謡い手とラオ族の民族楽器である笙の伴奏から構成されるモーラム芸と呼ばれる地域芸能を対象とした芸能研究である。1.グローバル化に直面する東北タイおよびラオスにみるモーラム芸(ラオスではラム歌謡)と、その芸能実践者たちの越境横断的な移動現象を文化的、政治的、経済的、歴史的コンテクストから理解することを目的としている。2.2年間のフィールド・ワークで収集した民間治療儀礼、祖先供養儀礼、精霊供養祭の記録を文字化することに専念し、録画・録音した音声資料を利用して、宗教実践(仏教・アニミズム)の場で歌い継がれるラム歌謡から、多民族から成る調査村の宗教的世界観を民族誌として書き上げる。上記の目的と照合させ、以下の通り、平成24年度に実施した研究成果の3点を報告する。(1)ラオス人民民主共和国での長期調査(平成21年4月~平成23年3月)で収集したデータを用いて、平成24年度は国内の学会・研究会でこれまでの研究成果をまとめて発表し、投稿論文に仕上げ、日本タイ学会の学会誌に投稿した。成果物としての投稿論文は、「The Representation of Ethnicity as a Resource-An Understanding of Luk Thung Molam and Traditional Molam Music in Northeastern Thailand in a Globalization Epoch-」(2013年2月受理、4月下旬再提出後、委員会から受理済)で『年報タイ研究』第13号に掲載されることになっている。(2)映像、音声資料等を文字化する作業に徹し、芸能公演や宗教儀礼で用いられる歌のテキストをディクテーションし、不明な語彙の意味を確認した。(1年目と同様)(3)博士論文の構成を完成させて、執筆を進めた。
著者
上田 広美 三上 直光 岡田 知子 鈴木 玲子
出版者
東京外国語大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

研究代表者及び分担者は、定期的な研究会を開き、言語調査票作成のための基礎資料を選定した。調査地の公用語であるタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの4言語の基礎語彙に関して、意味的な差異の重要性についても検討し、また調査票の作成・公開方法についても協議した。その成果は、『東南アジア大陸部言語調査票』として平成15年3月に公開した。この調査票をもとに、3か所において危機に瀕した言語の調査を実施した。まず、2001年12月に、カンボジア、コンポンサオム州ヴィアルレニュ郡にて、サオチ(自称チュウン)語の基礎語彙の調査を行った。サオチ語はモン・クメール語族ペアル語派に属し、話者は統計では総数70名以下とされていたが、調査時にはサオチ語話者を含む世帯はわずか26世帯であり、その26世帯においても、家庭内の日常言語はクメール語であった。次に、2002年8・9月に、ラオス、ルアンナムター県ルアンナムター郡ルアン村において赤タイ語(タイ・カダイ諸語南西タイ語群)の基礎語彙を調査した。同村で赤タイ語を日常話す話者は約200名で、その数は減少の一途をたどっている。また赤タイ文字を書ける者は68歳の男性1名のみである。現在、ラオスの公用語であるラオ語の影響を強く受けてラオ語化が進んでいる。次に、2002年9月、ベトナム、ソンラー省にてカン語(1989年センサスによる話者数は3,921人)の調査を行った。カン語は系統上、モン・クメール諸語に属するが、タイ系言語(特に黒タイ語)の影響を強く受けており、基礎的語彙もその多くをタイ系言語から借用している。調査をもとに作成した基礎語彙表では、借用の可能性のある語彙については、できるだけそのことを明記するよう努めた。また、カン語の音韻分析も行った。以上の3言語の調査結果は、平成15年3月に『東南アジア大陸部諸言語に関する調査研究』として公開予定である(印刷中)。
著者
三谷 恭之 ドアン・ティエン トゥア 今井 昭夫 川口 健一 富田 健次 宇根 祥夫 THUAT Doan Thien
出版者
東京外国語大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

ベトムの少数民族(主に、ムオン族)の言語調査によって得られた基本語彙に関する基礎的資料の分類整理をすすめ、併せてその言語学的分析をある程度行うことができた。しかし、詳細な研究については多くが今後の課題として残されているが、ベトナム語の系統論的研究に関しては以下のことを明らかにすることができた。1.言語系統論的にはベトナム語における優勢な漢語要素にもかかわらず、中国語とは系統を異にすること。2.ベトナム語及びその祖語とされているムオン語からなるベト・ムオン語はシナ・チベット語族に属するシナ・タイ語派の一グル-プではなく、オ-ストロアジア語派に属するモン・クメ-ル系言語のなかの一派であること。3.ベトナム語とムオン語の近親性を十分に確認することができた。これらのことにより、ベトナム語の音韻史究明に向けて具体的な手掛かりが得られたが、その具体的研究は今後の作業として残されている。もう一つのテ-マであるベトナム語における漢越語の問題に関しても、ベトナム側研究者との討議により以下の成果が得られた。漢越語の研究で問題となるのは、ベトナム漢字音の体系がいつ形成されたかについてであるが、ベトナムと中国の地続きの地形的関係のためにベトナム漢字音の時代による分類基準を日本漢字音の形成のように必ずしも明確にすることができないという問題点がある。現代ベトナム語における漢越音の主要な形成はベトナムが10世紀余りに及ぶ中国の直接支配から抜け出る紀元10世紀半ば以降であり、その音体系は中国唐代末期の漢字の読み方から借用された音が基本になっていることはこれまでの研究で明らかにされている。しかし、それとは別に、ベトナム漢越語のなかには、それよりも古い音、すなわち、唐代中期以前の漢字の読音を留める語(古漢越語)が含まれており、これら両者の分類及び越化漢越語を含めた三者の分類については、これまでのところ確たる基準はない。今回の共同研究の初年度に多忙のなか私たちとの意見交換に参加して下さったハノイ総合大学教授グエン・タイ・カン氏はベトナム漢字音の研究に関しては斯界に優れた業績を残しておられるが、彼の提起した規則は説得性と妥当性に富むものである。その説は次のような内容である。漢越語をA類、古漢越語をB類、越化漢越語をC類とする。音節全体を見て、Y、Zという二つの音があって、共に同一の字音Xに起源があるとする。もし、YがZより古い、あるいはZの直接の源になっているものより古いものを源としているとすると、次の二つの概括的規則が得られる。1.ZをA類とするとYはB類2.YをA類とするとZはC類以上のような規則を当てはめることによりベトナム語における漢越語の音韻史的研究に新しい方向性を見い出すことができたと言えよう。ベトナム漢越語及び越化漢越語の個々の単語の音韻論的研究をさらにすすめる作業が残されている。以上が今回の共同研究の成果の概要である。しかし、相手国の研究成果がいろいろな理由により必ずしも十分に公刊されておらず、資料調査に予定よりも多くの時間を割かなければならなくなり、そのために資料の詳細な分析検討の多くはこれからの課題として残されており、上に述べた研究成果は得たものの、より深い研究成果はむしろ今後に期待される。その意味で今回得られた成果はこれまでにない新しい達成を見たものの基本的には基礎的な成果としての域にとどまる。今後はムオン語以外の少数民族の言語調査も実施し、より全体的で総合的なベトナム語祖語の系統論的研究をすすめていきたいと願っている。
著者
宮崎 恒二 内堀 基光 床呂 郁哉 山下 晋司 清水 展 伊藤 眞 山下 晋司 石川 登 伊藤 眞 清水 展
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、高齢者および退職者の海外への移動の実態を探ると共に、人口移動を、日本を含む地域間および世代間の相互循環および交換という視点から考察する可能性を追求するものである。文献資料調査ならびにマレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、オーストラリアなどにおける、政府ならびに関連機関、長期滞在者ないし移住者である日本人、関連業者に対する面接・聴取調査の結果、5に示す学術成果を公開した。その大要は次の通りである。老後の医療・介護に対する不安から、国際移住は定住よりも長期滞在へとシフトしつつある。他方、メディカル・ツーリズムの拡大を含め、滞在先での医療・介護の可能性も開け、日本で最期を迎えることに拘泥しない考え方も見られるようになっている。海外での長期滞在の選択は、経済的には費用対効果という観点から、より豊かな、あるいはより困難の少ない生活を求めた結果である。他方、壮年時の海外生活ならびに海外旅行経験者の増加は、海外在住をライフスタイルの選択肢の一つと考える傾向が生じていることを示している。海外での長期滞在については、滞在先の政府・業者、日本国内の旅行業者などにより広報されており、「ゆったりとした第二の人生」というイメージを多用している。長期滞在者は、不動産投資を目的とする場合もあるが、多くは日本での多忙な生活との対照を強調し、家族、とりわけ夫婦の間の関係の再構築に言及することが多い。長期滞在の対象国は、家族構成・生活形態等の相違により大きく異なり、フィリピン、タイは単身男性が、バリは単身の女性が、そしてその他の地域では夫婦単位であることが多い。一般に、一部の日本語教育のボランティア活動等を除き、受け入れ社会との接触は最小限にとどまる。本研究により、人と空間の関係が固定的でなくなっており、移動がライフサイクルの一部として組み込まれつつあり、かつ家族の再編を促す兆候が示された。
著者
加藤 雄二
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ゴシック的要素を扱った作家たちとその作品について、国際的な視野をもって学会発表、研究会活動、論文執筆活動を行った。2008年度には国際メルヴィル学会、フォークナー学会で研究発表を行い、外国人研究者とセミナーを開催した。2009年には日米のエドガー・アラン・ポー学会で研究発表を行い、論文を執筆した。2010年にはホーソーン学会、ディキンソン学会でゴシックを再検討した。ConradとMelvilleに関する論集に寄稿した。2011年にはメルヴィル学会、アメリカMLA全国大会に参加し、海外の研究者と成果の発表を行った。
著者
栗原 浩英 石井 明 白石 昌也 加藤 弘之 竹内 郁雄
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

2004年にベトナム・中国両国政府間で合意された越境共同開発プロジェクトが今日に至るまで進展をみないままになっている状況について調査研究を行い,双方の観点にずれがあることを究明した。ベトナムではこのプロジェクトが中国との国境地帯に限定された開発事業と理解されているのに対し,中国ではベトナム一国の枠を越え, ASEAN諸国全体を視野に入れた事業と位置づけられ,両国は妥協点を見出せないままとなっている。
著者
成 知〓 (2009) 成 知[ヒョン] (2008)
出版者
東京外国語大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

採用第2年目には、採用第1年目の成果をもとに再考察、および、精密化し、『現代日本語の補助動詞の研究-「してみる」と「してみせる」の意味・用法の記述的研究』(以下、本研究と呼ぶ)を題名とする博士論文の執筆に臨んだ。提出予定の博士論文では、語彙レベル、文法レベルの考察によって、「してみる」「してみせる」の語彙的特徴、および、形態・構文的特徴を明らかにし、それを手がかりにして両形式の意味・用法を明らかにしようとしている。また、「してみる」「してみせる」の従来の研究で、「何のために行われるか」という「もくろみ」の観点に改めて注目し、語彙・文法レベルの考察を基盤とし、さらに、連文レベルの考察を行っていることに独創性および意義があると思われる。本研究では、コーパスから採集した実例に基づき「してみる」および「してみせる」の語彙的特徴、形態・構文的特徴を明らかにし、それを手がかりにして、両形式の意味・用法について明らかにする。まず、「してみる」については、「ためし」「気づき」「慣用的用法」の3つの意味があることを示す。また、「してみる」が文脈のなかで「状況把握からの試行」「状況把握からの試行の促し」「発見状況の説明づけ」「理由、評価、立場の説明づけ」「憧れ」「禁止」という文脈的機能を果たしていることを指摘する。次に、「してみせる」については、「動作の直接的提示」「動作や言葉での間接的提示」「豪語」「称賛」の4つの意味があることを示す。また、「してみせる」が文脈のなかで「応答」「合図」「催促」「強調」「証明」「象徴」「手本」「みせびらかし」「披露」という文脈的機能を果たしていることを指摘する。博士論文での研究では、「してみる」および「してみせる」の分析に焦点を当て詳しく論じることにより種々のことを明らかにすることができると思われる。提出後は、「してみる」「してみせる」と関連する他の形式との関わりについての考察に広げていきたい。
著者
丹菊 逸治
出版者
東京外国語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

百年〜数十年前にかけてピウスツキ、高橋盛孝らによって採録されたニヴフ語口承文学筆録資料、近年の音声資料の解読・分析をニヴフ語話者の協力を得ておこなった。その結果、各伝承が個人の生活史と密接な関連を持つことが判明した。話者が属する血縁集団、個人的な事件、最近の伝承では近代化との関わりがジャンルに応じた形で反映されている。話者自身もそれを前提とし、自分にふさわしいと意識する内容を取捨選択して語っている。