著者
岩崎 稔 今井 昭夫 篠原 琢 長 志珠絵 金井 光太朗 石井 弓 成田 龍一 板垣 竜太 小田原 琳 土田 環 米谷 匡史
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

第一年度に当初予定していた仮説提示のためのワークショップを先送りした影響から、第二年度は二つの課題を並行して進めることになった。まず、この仮説提示のためのワークショップは、歴史叙述と集合的記憶を「記憶論的転回以後」という段階規定で考察する場合の基礎概念を提示することを目的としていたが、10月7日に「『メタヒストリー』の射程で考える歴史叙述と記憶の問題系」と題するシンポジウムとして実現した。この時点までにH・ホワイト『メタヒストリー』を翻訳し、議論の共通のプラットホームを確保した。これを通じて、歴史叙述のレベルとともに資料のレベルにおいても言語論的転回を考慮すべきこと、素朴実在論的な予断にあらゆる意味で依拠することのできない「文化的記憶」の位相において歴史認識を考察しなくてはならないこと、等が確認された。他方、二年度目の本来の課題としては、平成29年6月8日から9日にかけて、UCLAにおいて開催された歴史学部のワークショップに「集合的記憶と傷」をテーマとして報告者を派遣し、「東日本大震災以後の幽霊譚」という主題等をとりあげて全体の議論に貢献した。また、8月30日から9月3日までリスボンで開催されたヨーロッパ日本学会に研究分担者の小田原琳氏などを派遣して、戦後史の記憶について報告させた。9月20日から22日までは韓国の西江大学において、同大の林志弦氏と協力して「グローバルな記憶空間としての東アジア」と題するシンポジウムを実現し、「東アジアのメモリーレジューム」という概念を掘り下げた。10月8日から9日まではアメリカのコーネル大学で、ブレット・ドバリー教授、ナオキ・サカイ教授とともにワークショップを実施し、哲学史と植民地主義の記憶という課題で報告を行った。これらの一連の国際会議をペースメーカーとし、そのつどそれに向けた学際的基盤研究会を断続的に開催して実績を重ねてきている。
著者
篠原 琢 戸谷 浩 吉岡 潤 割田 聖史 青島 陽子 古谷 大輔 小森 宏美 秋山 晋吾 中澤 達哉 小山 哲 池田 嘉郎 平田 武 梶 さやか
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本プロジェクトは、ポーランド=リトアニア連合王国(ロシア帝国西部諸県)、ハプスブルク帝国、沿バルト地域を中心に、近世から現代にいたるネーション、およびナショナリズムの動態を分析してきた。ここでは近世から20世紀にいたる各時代の政治社会におけるネーションの多次元的な機能と構成が分析された。近世期のネーションは、多様な政治的、文化的文脈で構築され、さまざまな価値と関連付けられ、ネーション理解は単一の政治社会に収斂しない。近代のネーションは政治社会における多様な交渉を全的に文脈化する傾向をもつ。本研究は個別研究と比較史の方法で境界地域におけるこの過程を明らかにした。
著者
深澤 克己 櫻井 万里子 河原 温 北村 暁夫 西川 杉子 篠原 琢 千葉 敏之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、ヨーロッパ史上に出現した諸団体の多くに通底してみられる宗教的・密儀的な性格の比較分析をとおして、長期的時間の視野のもとに、古代から現代にいたる団体・結社の組織原理および思想潮流の展開過程と系譜関係を解明することを目的として組織された。18世紀に急発展をとげるフリーメイソン団を比較分析の十字路としつつ、古代ギリシア、中世ドイツ・ネーデルラント、近世フランス・イギリス、近代チェコ・アイルランド、現代イタリア史の専門家を結集し、合計6回の研究会を組織して、研究報告と討論を積みかさねた。本研究の独自性は、まず第一に、従来の歴史研究では各々の団体の性格に応じて、宗教史・経済史・政治史などの分野で別個に研究したのに対して、機能を異にする諸団体間の連関・重複・継承関係を重視したこと、第二に、伝統的歴史学の重視する団体の制度的・機能的側面よりも、団体内部の友愛・連帯を支える儀礼的・象徴的側面を強調したこと、第三に、これらの儀礼や象徴に素材を与えた密儀・秘教思想を、従来のように哲学的・思想史的観点のみならず、歴史的・社会的視点からも研究しようとしたことにある。もちろん研究成果には対象により粗密の差があり、全体の整合的連関にも課題を残しており、すべての問題に解答できたわけではないが、今回の成果をもとにさらに共同研究を深めれば、ヨーロッパ文明の根底にある非合理的・神秘的世界観、およびその容器となった兄弟団・友愛結社の役割の解明をつうじて、現代世界の批判的理解と実践的な未来構想の一助となる歴史理解を構築することができると信じている。
著者
岩崎 稔 八尾師 誠 大川 正彦 今井 昭夫 工藤 光一 金井 光太朗 小川 英文 米谷 匡史 篠原 琢 藤田 進 岩田 重則
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

国民国家内とそれを越える広域的空間として、南北アメリカ、アイルランド、ドイツ(旧東ドイツを含む)、オーストリア、フランス、イタリア、ベトナム、北朝鮮、韓国、中国、沖縄、日本を選択し、それらの「想起の文化」つまり過去の想起のあり方が、グローバル化・新自由主義の影響によって、大きく変容を遂げていることを、理論・方法論の構築ならびに事例解釈・思想史的分析を通じて明らかにした。それらの成果は世界各地の国際シンポジウム等で発表され、論文・著作として公刊された。