著者
山越 康裕 渡辺 己 塩原 朝子 安達 真弓
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究課題は、言語構造が大きく異なるいくつかの言語を対象に、「文」がどのように規定されうるのかを明らかにすることを目的とする。「文」は話者が比較的自覚しやすい単位であり、かつ表記の上ではピリオドや句点といった記号で区切ることができる一方、言語学において明確に規定することが困難な単位である。とくに自然談話、つまり日常の話し言葉を観察すると、本来文末にあるべき要素が欠落していたり、節が複雑に連結した一つの長大な発話があったり、文法上は文が完結しているはずの箇所で音声的休止が入らなかったりと、判断が難しいデータにあふれている。そこで、自然談話の観察から「文」の規定が可能なのかどうかを探求する。
著者
小田 淳一 OEHLER Susan Elizabeth
出版者
東京外国語大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は大西洋黒人コミュニティー内の文化的つながりにおいて,アフリカ系アメリカ人の伝統(本研究においてはブルースという音楽ジャンル)の歴史=地理的な位置づけを民族誌によって試みることである。民族誌は文化活動をそのコンテクストにおいて探求する一つの方法であることから,アフリカ系アメリカ人のブルース伝統をアフリカの人々との関連において文脈化する有用なツールであると共に,アメリカ,アフリカ両大陸にまたがる音楽所産の理解に寄与するものでもある。具体的には,西アフリカのガーナ南東部エヴェ族の葬祭礼における歌唱の文脈化とアフリカ系アメリカ人によるブルースとの文化的共鳴,つまり「フィーリングで」表演を行うことが,エヴェ族の伝統的な葬祭礼の歌い手たちの間で広く共有されているかどうかを探るために現地において約一ヶ月の参与調査を行った。事前にエヴェ族の社会や伝統芸術,また西アフリカ全般の伝統的表演芸術についての文献資料を収集・検討した後,ガーナ・ラゴン大学アフリカ音楽舞踊国際センター(ICAMD)のサポートにより,幾つかの演奏集団の表演を調査した。取材した映像資料や音楽資料,またインタヴュー記録などのコピーはICAMDの要請によって同センターのアーカイヴに所蔵され,現地における研究資料としても活用される予定である。参与調査の結果,ブルースとエヴェ族葬祭礼歌唱との間の共鳴にとって,「フィーリング」概念が文化的源泉として捉えられるという結論が得られた。また,より実体的な事例としては,表演グループの統率者の役割が表演全体を通して特徴的であるということが付加され得る。なお,これらの参与調査の報告に関して11月に広島市立大学国際学部にて招待講演を行った。
著者
張 盛開
出版者
東京外国語大学
巻号頁・発行日
2009

学術 (Humanities)
著者
伊達 宏子
出版者
東京外国語大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

OJAD(Online Japanese Accent Dictionary)は、申請者らが2009年から開発し、2012年から現行の形で運用する、任意のテキストのアクセント・イントネーションを視覚的・聴覚的に呈示する国内外で唯一の日本語音声学習ができるEラーニング・リソースである。本研究では、従来個人使用の多かったOJAD活用法から、一般的な教育カリキュラムで体系的に音声教育の導入を行うためのOJAD活用法の確立を目指した。OJADを活用した音声教材の開発、教育実践を行いながら、その教材作成方法、教育実践方法を公開・提案した。
著者
篠田 英朗
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、パートナーシップ平和活動という国連と地域・準地域組織の間の国際平和活動における協力関係の高まりを意味する最近の現象が内包する性格を探求した。現代世界におけるパートナーシップ平和活動の全体像を整理する作業を行いつつ、この現象が国際平和活動の最近の傾向を反映したものであることを、国際立憲主義や安全保障の観点から、明らかにした。その過程で、パートナーシップ平和活動が、既存の国際秩序から逸脱するものではなく、むしろ国連憲章が標榜する国際安全保障システムの発展の一形態だと考えるべきものであることを示した。研究対象としてはパートナーシップ平和活動の主要な展開地域であるアフリカに焦点をあてた。
著者
佐々木 あや乃
出版者
東京外国語大学
雑誌
東京外国語大学論集 (ISSN:04934342)
巻号頁・発行日
no.68, pp.99-128, 2004
著者
千葉 敏之
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究計画では、『悦楽の園』所収の挿絵を含む図版346点のうち、ダイアグラムを含む頁をリストアップし、関連する収録テクストとの対応関係を確認しつつ、ダイアグラムの構成や目的に応じた類型に分類し、基礎データとした。そのうえで、ホーエンブルク女子修道院とその文化圏における12世紀後半の蔵書状況を蔵書リストや書簡をもとに分析した。また、『花樹の書』などのダイアグラム入り詞華集だけでなく、キケロ著『スキピオの夢』を註解したマクロビウスの写本などの継続転写型の写本群の転写・蔵書状況を調べた。その結果、パリ大学を中継点とするダイアグラム写本の波及経路のうちアルザスに至るルートをほぼ確定することができた。