著者
瀧本 禎之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

摂食障害患者の治療拒否時の対応に関して、文献調査により「最善の益」と「判断能力」の二つが論点として抽出された。この2つの論点に対して、国内の摂食障害の治療専門家の意識を調査した結果、「最善の益」を生命維持と捉えて、生命危機時には強制的治療を選択する一方で、摂食障害患者の「判断能力」は認める傾向が認められた。強制治療に対する考えは、保健行政側も同様に考えていることが明らかなった。国外との比較においても、一定の判断能力を認めつつも生命危機時には強制的治療を選択する傾向は同様に認められた。ただし、日本は、海外に比べて強制治療の根拠を家族の同意におく傾向が強いという特徴が認められた。
著者
臼井 佐知子
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2006

博士論文
著者
郷原 佳以
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

モーリス・ブランショ、ロラン・バルト、ジャック・デリダは、いずれも20世紀フランスにおいて「エクリチュール」を概念化し、根源的な営みとして捉えた批評家であり思想家である。彼らのエクリチュール概念は、それが主体の理性的な統御を免れるものだという点においては共通している。しかし、構造主義が依拠した発話理論の言語学との関係という観点から見ると、彼らのエクリチュール概念はそれぞれに異なっている。本研究は、関連テクストの精査により、エクリチュール概念と発話理論の関係性という見地から彼らの思想の共通性や差異を明らかにし、それを通して、ブランショやデリダと構造主義との距離をも明らかにする。
著者
団藤 重光
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1962

博士論文
著者
局 博一 桑原 正貴 土井 邦雄 菅野 茂
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

鼻粘膜の感覚を支配する三叉神経、および喉頭粘膜の感覚を支配する上喉頭神経には、触刺激、温度、圧力、呼吸筋運動に応答する神経受容器が存在することを明らかにし、それらの受容器を介する反射機構を追求してきた。今回の研究課題では、鼻粘膜および喉頭粘膜の侵害受容に関与すると思われるC線維の活動記録を通じて、各種化学的刺激に対する応答能と刺激伝導特性を明らかにした。1)鼻粘膜:モルモット鼻粘膜の篩骨神経から、合計36本の単一神経活動を記録した。C線維を選択的に刺激しうるcapsaicin(0.3mM)を作用させたところ、19本(53%)が明瞭に刺激された。一方、ammonia(1.5M)およびnicotine(6mM)に対してはそれぞれ17本、6本が刺激された。同一の神経線維が2種類以上の物質に応答する交差反応も認められた。capsaicinとnicotineに対する応答様式は放電が長時間持続する遅順応型を示す一方、ammoniaに対しては放電が一過性に終わる速順応型を示した。前者の応答は、鼻粘膜のかゆみ、充血、鼻汁分泌などに、後者の応答は痛み感覚などに関与することが推測されるとともに、いずれもくしゃみ反射の誘発に欠かせないものと思われる。実際capsaicinの反復投与によりC線維が脱感作されたモルモットでは、くしゃみ反射の誘発がかなり困難になった。また、正常な鼻粘膜に高濃度のbradykininやhistamineを作用させても、明瞭な神経応答を示さないことが解った。2)喉頭粘膜:モルモットおよびラットの喉頭粘膜にcapsaicin(100μg/ml)またはhistamine(200μg/ml)を作用させ、呼吸循環反射と上喉頭神経求心性活動を記録した。capsaicinの作用では、いずれの動物種でも強い呼吸抑制、血圧降下、徐脈が生じたが、とくにラットでは著しかった。ヒスタミンは、一部のモルモットに対して軽度の呼吸抑制を生じたが、ラットに対しては何等の効果がなかった。これらの成績は、両動物種(とくにラット)において喉頭粘膜にC線維が多く分布するという知見や、ラットにおいてはモルモットほどirritant receptorが見いだされないという知見に一致する。神経活動記録では、capsaicinに対して強い応答を、histamineに対してはモルモットで弱い応答が示された。histamineの全投与によりcapsaisinに対する応答性が増強されることも明らかになった。
著者
上田 大志
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本年度は、昨年度同様、注視している固視点を数百ミリ秒前に消すことにより、周辺視野に呈示される視覚刺激への運動反応が促進されるギャップ効果と呼ばれる現象を使い、「意識にのぼらない視覚刺激が行動に及ぼす影響」について検証した。昨年度の研究では、アモーダル補完による「物理的には消失するものの主観的には維持される固視点」を使用することで、ギャップ効果による運動反応促進には固視点の主観的消失が必要不可欠であることを明らかにした。そこで本年度は、昨年度の「見えていないのに在ると思う」に合わせ、「見えていないのに実際には在る」視覚刺激を使用し、ギャップ効果による運動反応促進における固視点の物理的消失の必要性を検証した。実験では、視覚刺激の物理的入力が維持された状態で意識に上らなくさせる連続フラッシュ抑制と呼ばれる知覚現象を利用し、「主観的には消失しているものの物理的には維持される固視点」を使用した。結果、眼球運動では、通常のギャップ効果の条件に比べ反応促進効果が減少し、固視点の物理的消失が必要不可欠であることが示された。一方、手の運動では、通常条件と同程度の反応促進効果が見られ、固視点の主観的消失の有無のみ影響することが示された(Experimental Brain Research誌掲載)。また本年度は、これまでの「知覚と運動」に、「高次認知機能」を加えたより一般的な視覚運動変換の理解を目指し、自分に対する視線の出現・消失による注視刺激の「意味的」変化によるその後の運動反応への影響についても検証した。結果、従来のような低次知覚によるギャップ効果が生じない条件であっても、顔・視線認知に関連する高次機能がその後の眼球運動反応に影響を与えることを明らかにした。このことは、顔・視線認知同様、ギャップ効果による眼球運動の反応促進が、潜在的かつ自動的なプロセスによって生じていることを示唆している(Attention, Perception, & Psychophysics誌掲載)。
著者
岩月 憲一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

英語による論文執筆は,非英語母語話者には大きな負担であり,その支援は,我が国の研究スピード及びプレゼンスの向上という観点でも極めて重要である。本研究は,英語論文において繰り返し使われる表現,「定型表現」に着目し,この定型表現を大量の論文から抽出し,適切に分類し,検索・提示する方法の確立を目指す。そして,英語論文の執筆支援システムを構築し,広く利用に供することが本研究の最終目的である。
著者
潮 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

甲殻類による食物アレルギーの発症機序はIgE介在性アレルギーだけでは説明できないと考え,甲殻類アレルギーは,いわゆる「食べ合わせ」のように,甲殻類ヘモシアニンがヒト免疫担当細胞を著しく活性化し,感作を誘発するという仮説を立てた.まず,甲殻類ヘモシアニンおよびその分解物がヒトおよびマウス樹状細胞等の炎症応答に及ぼす影響を明らかにした.甲殻類トロポミオシン経皮免疫誘導食物アレルギーマウスを用いてヘモシアニンがアナフィラキシーなどのアレルギー反応を増悪することを確認した.樹状細胞等に結合するペプチド配列を網羅的に探索し,食品成分中に見出される炎症誘導ペプチド配列を決定した.
著者
山室 真澄 戸野倉 賢一 平塚 健一 横石 英樹
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

ジブチルアミンを誘導体化試薬としイソシアネート群を分析する方法を構築し、イソシアネートを使用する工場付近の屋外大気を測定したところ、ヘキサメチレンジイソシアネートが検出された。ダイヤモンドの微粒子を固定した直径5mmの研磨棒をモータで回転させ、ポリウレタンに押し付けて削り取る実験を行った結果、発生量はわずかだが73番のイオンを確認できた。SafeAir芳香族イソシアネートバッジ(検知限界はTDIで0.6ppb、MDIで0.4ppb)を協力者に合計50送付して日常生活で柔軟剤に遭遇して症状が悪化する状況にバッジを設置してもらったところ、全ての場合においてイソシアネートは検出されなかった。
著者
辻本 元 長谷川 篤彦 宮沢 孝幸 亘 敏広
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

日本全国各地における猫免疫不全ウイルス(FIV)env遺伝子の塩基配列を解析した結果、東日本ではサブタイプBが、西日本ではサブタイプDが主要なサブタイプであり、散発的にサブタイプAおよびCが存在することが明らかとなった。ヒトのHIVにおいて、ウイルスのco-receptorとして同定されているケモカインレセプターのリガンドであるCC-ケモカインおよびCXC-ケモカインについて、猫の遺伝子クローニングを行った。これらケモカインのうち、SDF-1βは、猫のTリンパ球におけるFIVの増殖を濃度依存的に抑制することが明らかとなった。さらに、CXC-ケモカインリプターと結合する物質として同定されたT22についてもFIV増殖抑制効果が確認された。一方、FIVによって誘導されるアポトーシスは免疫不全症の発症に重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。そこで、抗酸化剤であるN-アセチルシステインおよびアスコルビン酸をFIVによるアポトーシス誘導系に添加して培養したところ、それらによるアポトーシス抑制効果が認められた。さらに、同様のFIVによるアポトーシス誘導系にIL-12およびIL-10を加えて培養したところ、IL-12はアポトーシスおよびFIV増殖を抑制する効果が確認され、その効果はIFN-γの発現を介していることが明らかとなった。IL-10にはそれら抑制効果は認められなかった。さらに、これらFIV増殖抑制剤およびアポトーシス抑制剤の生体内投与における効果を判定するため、FIV感染猫における血漿中ウイルスRNA量をQC-PCR法によって定量した。その結果、非症候性キャリアー期の猫では10^5コピー/ml以下の低いウイルス量を有する個体が多かったが、エイズ期の猫では10^7コピー/ml以上の高いウイルス量を有する個体が多かった。現在、このFIV感染猫におけるウイルスRNA定量系を用いて、ウイルス動態の解析および抗ウイルス薬の治療効果の判定を行っている。
著者
松平 斉光
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1961

博士論文
著者
寳月 圭吾
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1961

博士論文
著者
米田 信夫
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1961

博士論文
著者
尾上 圭介
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2005

博士論文