著者
高木 昭作
出版者
東京大学
雑誌
東京大学史料編纂所報 (ISSN:03869008)
巻号頁・発行日
no.5, pp.40-45, 1970
著者
蓑輪 顕量 林 隆嗣 今水 寛 越川 房子 佐久間 秀範 熊野 宏昭
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

仏教分野は文献を中心に、止観の実践と理論とがどのように形成されたか、実践に伴う負の反応にどう対処したのかを明らかにし、また心理学、脳科学(認知行動科学)との接点を探る。脳科学分野では瞑想時の脳活動を熟練者、中級者を対象に計測し、瞑想時の脳活動を計測し、予想される負の側面について、注意機能に与える影響を検証する。心理学分野ではマインドフルネス瞑想のグループ療法の参加者を対象にランダム化比較試験を実施し、媒介変数の絞り込み、意図通りに進まない場合の対処法、有害事象の有無について検討する。さらに初学者に止と観の瞑想の順番を変えて実習させた場合に生じる問題点、およびその対処方法について検討する。
著者
菅 裕明 仙石 徹
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2020-07-30

本特別推進研究計画では、これまで申請者が研究室を主宰してきた約20年にわたる「特殊ペプチド創薬」研究に区切りを付けるべく、やり残された挑戦的な研究に絞り目標を定め、それらを集大成させる。(1)細胞膜透過を有する特殊ペプチドの構造膜透過性相関検討による探索基盤の確立(2)環β-、環γ-、不飽和環アミノ酸含有特殊ペプチドライブラリーの翻訳合成と生理活性種探索(3)翻訳後酵素修飾された擬天然物ライブラリーの創製と生理活性種探索(4)特殊ペプチドおよび擬天然物の細胞膜透過性と小腸吸収性の研究上記の研究目標に沿って基礎および応用研究を進め、これまで解決できなかった命題に挑戦する。
著者
MCKAY EUAN
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、LGBT(Lesbian、 Gay、 Bisexual and Transgender)に代表される性的少数者に関する権利拡大の動きは日本を含めて世界的にみられる。本研究では、大学に通うLGBT当事者に対してインタビュー調査を行い、かれらが大学生活において抱える具体的な困難やニーズを質的に明らかにする。その結果から、LGBTに対する大学のサポート体制や学生の主観的体験が学生の精神健康度や学業の動機づけにどのように影響するかについて仮説を生成し、Web調査にて量的に仮説を検証する。本研究の結果から、LGBTを含む多様性に開かれた大学環境を実現するうえで有益な知見を提示できると考えられる。
著者
茅根 裕司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

次世代宇宙マイクロ波背景放射観測実験Simons Observatoryは、地上CMB観測における第3から3.5世代に位置付けられる実験である。昨年度出版したscience forecast paperでは、主に最初の5年間の観測を目的としたスタディを行った(normal plan)。同時に我々は、次の世代である第4世代地上CMB実験「CMB-S4」の準備を進めている。我々はSimons Observatory自体を容易に拡張できる様に設計しており、本年度はnormalの先として「enhanced plan」の検討を進め、様々なscience caseを前回から拡張した。CMB-S4に繋がるenhanced planでは、現在建設している望遠鏡群の数を増やすことで、sigma(r)=1e-3、ニュートリノ総質量は15 meVまで測定可能であることを示した。これらの検討成果を米国の「Astro2020 APC white paper」として報告した。データ解析の準備としては、Bモード測定時における系統誤差の検討、高性能計算機(High Performance computing)での使用を前提としたパイプラインフレームワークの開発を進めた。後者については、開発を主導しているローレンスバークレー国立研究所(LBNL)に併設されているNational Energy Research Scientific Computing Center(NERSC)の研究者の協力のもと、東京大学で開発に関するワークショップ・ハッカソンを開催した。日本国内の多くのCMB研究者に参加していただき、好評を博した。
著者
岩滝 光儀 高橋 和也 鈴木 敏之
出版者
東京大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

東南アジア沿岸域では小型渦鞭毛藻による有害赤潮と漁業被害が頻発し,この対策が喫緊の課題となっている。本研究ではこれまで調査対象外となっていた小型種を選択的に検出することで,近年有害赤潮を形成するようになったカレニア科,そして出現情報が全くないアンフィドマ科渦鞭毛藻を対象に,種組成,毒組成,個体群分布を明らかにする。東南アジアにおける有害藻類研究者の連携体制を強化しながら,潜在する小型有害渦鞭毛藻の種組成と強毒個体群の分布海域を把握することで,被害対策に資する学術基盤を構築する。
著者
伊藤 伸泰
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

稀釈合金系の磁性のモデルとして研究が始まったスピングラスモデルは、競合する相互作用を原因として複雑で興味深い振舞いを示すさまざまな系の研究の際にも重要なモデルとなっている。その重要性は今日、物性物理に留まらず、最適化問題、神経網、蛋白質ほかの分野でも認識されている。このようなスピングラス系に対して、相転移の研究に際して有効な場合が多いことが本研究代表者により明らかとなった「非平衡緩和法」を応用し、解明することが本研究の目的である。2年間に渡る研究の結果、次のような成果が得られた:正方格子および立方格子上のスピングラスモデルについて、常磁性強磁性相転移を精密に調べた。その結果、相境界がこれまで以上の精度で解明された。強磁性相互作用の濃度を変化させると、磁化や相関長などの静的な物理量の指数や動的指数は普遍的ではないことが明らかとなった。さらに静的な指数に対しては弱い普遍性が成り立つ一方、動的指数では弱い普遍性は成り立たないことが明らかとなった。この静的指数の弱い普遍性はスピングラス相との3重臨界点では、破れていることも明らかとなった。立方格子上のスピングラスモデルのスピングラス転移、スピングラス相でのクローン相関関数の非平衡緩和の様子が明らかとなり、グラス転移に対する非平衡緩和法による研究手法が確立した。現在、この手法によるゲージグラスモデルの研究も進められている。強磁性相の近くでは、スピングラス相中に強磁性秩序状態をもつ熱力学的状態が存在することが明らかとなった。このような状態は、ランダムな相互作用分布に対して測度0で存在すると解釈されるが、このような相を捉えることができたのは、非平衡緩和法ならではの発見である。このことから、3次元スピングラス相がこれまでに考えられていた以上に複雑な多重谷構造を持つことが示唆される。
著者
瀬山 淳一郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

人工物(画像)の写実性(本物らしさ)が人間の判断に影響を与えうることはよく知られており、そのような影響に言及した仮説に「不気味の谷」がある。この仮説は、高い写実性を持つロボットや人形が、観察者に不快感を与えるであろうと主張している。本研究では不気味の谷の検討を出発点として、より広い意味での写実性判断に関わる心的プロセスの解明を目指した。心理実験の結果、写実性の判断のために視覚系が利用している情報は、「本物らしさ」よりもむしろ「作りものらしさ」であることを示すデータが得られた。
著者
馬渕 浩司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

琵琶湖の20m以深の深層には、比較的純粋に近い日本在来系統のコイの集団が生息することを、核ゲノムの解析により明らかにした。解析にあたっては、日本在来の系統とユーラシア大陸からの導入系統を区別できるような一塩基変異7つを核ゲノム中から見出し、交雑の解析に用いた。この7つのDNAマーカーはさらに、湖岸のある地点に産着されていた卵の解析にも使用し、その結果、この場所の産着卵の大部分は在来・導入両系統の中間的な交雑状態のものであることが判明した
著者
饗場 篤 中村 健司
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

本研究では、化学発がん物質をH-ras遺伝子欠損マウスに用いて、発がんにおけるH-ras遺伝子の役割を直接検証すること、および新たながん遺伝子を単離することを目的とした。H-ras遺伝子欠損マウスおよび野生型マウスにDMBAの単回投与およびTPAの反復投与により、パピローマの形成能を調べた。その結果、野生型では一匹あたり、平均約16個のパピローマが観察されたのに対して、H-rasヘテロ型欠損、ホモ型欠損マウスでは、その2分の1、および7分の1程度の数のパピローマしか観察されなかった。このことはH-ras遺伝子がパピローマの形成において重要な役割を果しているが、その形成に必須ではないことを示している。また、パピローマのDNAを抽出し、H-,K-,N-rasのすべてについて12,13,61番目のアミノ酸残基をコードするDNA塩基配列を決定したところ、野生型マウスに形成されたパピローマのDNAではすべてH-rasの61番目のコドンに突然変異が検出された。一方、H-rasホモ型欠損マウスに形成されたパピローマのDNAでは半数以上でK-ras遺伝子の12,13,61番目のコドンのいずれかに突然変異が検出され、他のパピローマでは、K-,N-ras遺伝子のいずれにも突然変異は検出されなかった。この結果により、K-ras遺伝子の活性化によってでも皮膚パピローマの形成はおこることを初めて示すことができた。今後は同様の系を用いて、腫瘍の悪性化にどのようにH-ras,K-ras遺伝子および他の発がん遺伝子が関与しているかを検討したい。
著者
今井 公太郎 本間 健太郎 伊東 優 国枝 歓 佐藤 淳 福島 佳浩
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、実用化が進む金属の3Dプリント技術を用いて住宅の仕口(ジョイント)を製作し、大部分の工程をセルフビルド可能な住宅のプロトタイプを建設する。学術的には、プロトタイプの建設を通して、3Dプリンタの建材(特に構造材)への応用の可能性を明らかにし、「複雑」な造形がデジタルに施されたジョイントによって、どこまで人間の手による建設を「単純」化できるかを明らかにする。そして、建設した住宅に対してプラニングの自由度・構造的合理性・建設可能性・環境的性能・移動可能性(再建築・運搬)などの観点で性能を評価し、最終的に移動可能で自由なライフスタイルを可能にする安価な住宅サービスへの適用方法を研究する。
著者
後藤 明 板垣 雄三 松原 正毅 佐々木 高明 板垣 雄三
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

1.平成3年度調査研究実施計画にもとづき、学術調査の対象国をアメリカ合衆国にしぼり、同国の地域研究機関の研究実績面、組織・行政面の情報集積・解析・評価をおこなった。2.研究実施のための計画作業わが国における新しい「地域研究」の組織上の、また研究方法上の推進体制に関して国立民族博物館においておこなっている調査研究の作業の進行と密接に連携しつつ、本研究組織としては、欧米諸国における「地域研究」の歴史と現状に関する事前サ-ヴェイをさらに深化させるべく集中的討議をおこなうとともに、この学術調査の実施上の重点目標の確点、調査項目の調整、調査対象機関の選定、それとの連絡態勢の確立、調査対象機関における協力者との事前の協議など、計画の具体化をすすめた。3.研究遂行のための現地調査実施の概要1)現地調査のための派遣者(2名)研究分担者 板垣雄三(東京大学名誉教授)研究協力者 竹下典行(文部省学術国際局研究機関課課長補佐)2)現地調査のための派遣期間:平成3年11月5日〜16日(12日間)3)おもな訪問機関および応接者ワシントンDC(1)ジョ-ジタウン大学現代アラブ研究センタ-/イブラヒ-ム・イブラヒ-ム所長およびマイケル・ハドソン教授(2)ジョ-ジ・ワシントン大学政治学部/バ-ナ-ド・ライク教授(前学部長)(3)中東研究所/ロバ-ト・キ-リ-理事長(4)スミソニアン研究機構ウイルソン・センタ-/ロバ-ト・リトワク国際研究部長(5)アメリカン大学国際学部(SIS)/ルイス・グッドマン学部長およびシェリフ・マルディン教授マサチュウセッツ州ボストン(6)マサチュウセッツ工科大学アガカ-ン計画/バ-ブロ・エック部長(7)ハ-バ-ド大学中東研究センタ-/ウイリアム・グレアム所長(8)ハ-バ-ド大学国際開発研究所/大木正光研究員(前外務省中近東二課長)ニュ-ヨ-ク市(9)社会調査研究所/ジャネット・アブ-ルグド教授およびエリック・ホブズボ-ム教授(10)コロンビア大学中東研究所/グレゴリ-・ゴ-ズ3世助教授(11)社会科学研究所(SSRC)/メアリ-・マクドナルド事務局員4.観察結果および収集された情報資料にもとづく研究作業本研究組織としては、調査実施から得られた知見を整理・分析・評価する作業をすすめつつ、調査研究のつぎの段階の準備にとりくんでいる。本年度の調査にかぎっていえば、アメリカ合衆国においては、世界諸地域の地域研究がしばしば政策形成・実施のための応用研究に引き寄せられ基礎研究としての系統性と持続性に欠ける結果となってきたことへの反省が全般的につよく生じており、教育の次元からの再建・再編への動きが看取される。わが国における総合的な地域研究の組織化への志向は、そこで大きな関心を呼んでいる。
著者
板垣 雄三 永田 雄三 斯波 義信 佐藤 次高 湯川 武 後藤 明
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1988

本研究計画は最終年度にあたり、総括班の連絡と調整のもとに研究活動のとりまとめが行なわれた。具体的には1.研究会の開催:公開性を原則とし、研究班組織にとらわれず、また研究分担者以外の研究者も参加した多様な形式の研究会が組織され成功した(3年間に191回)。とくに総括班の機能性を発揮して、クウェ-ト危機、地震、都市環境に関するセミナ-など現実の問題に即応した研究会がもてたことも成果のひとつである。2.第2回国際会議(中近東文化センタ-との共催 12月27〜29日)を開催し国際共同研究を充実させた。3.成果の流通:共同研究の新しいモデルとして、研究分担者や関連研究者に研究成果を迅速に公開することを目的とした出版活動も順調に行われた。3年間の出版物は231点になる。4・成果の公開性:特に今年度は研究成果の社会的還元のために、大学院生・学部学生を対象としたサマ-・スク-ル(7月23〜27日)を、一般市民を対象とした講演会を各地(仙台・大阪・福岡など)で開催した。1991年2月11〜12日の「大学と科学」公開シンポジウムー都市文明イスラ-ムの世界ーにも全面協力した。2.全体の研究活動のとりまとめとして全体集会(12月1〜2日)を開催し、共同研究・比較研究の総括がなされた。また、招へいしていたDale F.Eickelman、Hassan Hanafiの両氏より国際的見地からの評価ととりまとめに対する助言をうけた。3月23日には本研究のしめくくりの研究会を予定している。5.新たな理論枠組みに基づく研究成果のとりまとめとして、研究分担者全員および関連研究者が執筆に当たる『事典「イスラ-ムの都市性」』、『イスラ-ム都市研究史ー歴史と展望』、『イスラ-ム都市から世界史をみなおす』等の刊行が準備されている。
著者
板垣 雄三 黒田 壽郎 佐藤 次高 湯川 武 友杉 孝 後藤 明
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1988

イスラムの都市性を比較の視点から検討しその総合的解明を目指す本研究において、総括班は共同研究の実をあげるために、研究全体の活動の相互の連絡・調整に当たった。即ち、互いに関連する研究班の合同研究会やセミナーの開催、研究成果の発表のための出版活動、海外の研究者・研究機関との交流などに努めた。具体的には、1.研究会の開催:個別研究班を統合した合同研究会、外国人招聘研究員Anouar Abdel-Malek, Nurcholish Madjid氏を中心とした国際セミナー、在日中のMochtar Naim, Abdallah Hanna, Mahmud Hareitani, EmileA. Nakhleh氏を招いた研究集会や公開講演会を開催した。これにより、個別研究の枠を超えた情報交換を実現し、国際的共同研究を進展させ、成果を広く社会に還元することに努めた。2.成果の流通:研究成果を研究分担者全員が随時共有するため、ニューズレター「マディーニーヤ」(創刊準備号〜15号)、研究報告シリーズ(1〜23号)、研究会報告シリーズ(1〜7号)、Monograph Series(No.1〜8)、広報シリーズ(1〜2号)を出版し、国内外の研究者・研究機関に配布し、研究連絡網を確立した。3.総括班副代表の後藤明をアメリカ合衆国に派遣し、本研究活動に対する当地の研究者の協力を要請するとともに、関係学会、研究機関との研究協力態勢の確立につとめた。4.来年度開催予定の国際シンポジウムにむけて、数次にわたる準備連絡会議をもち、各セクションのテーマの設定、招聘研究者の選定などの作業を行った。すでに第二次サーキュラーを内外の研究者に配布した。以上の諸活動により、イスラム世界の都市性についての研究視角が明確化し、都市研究における新たな参照テーマとしてイスラム圏の都市研究の重要性が広く認識され、活発な比較研究を刺激・促進する結果を生んだ。