著者
鈴木 順一
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要 看護学・リハビリテーション学編 (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.5, pp.13-24, 2010

現在、我が国における糖尿病患者は増加の一途をたどっている。糖尿病に合併する糖尿病性足病変は、下肢切断の原因となり、対象者の日常生活活動や生活の質において深刻な問題を残す病変である。近年、糖尿病性足病変に対する医学的な取り組みとしてはフットケアが積極的に導入されている。フットケアは病変を認める患肢の評価・処置および足と靴に関する患者教育で構成されるが、制度やマンパワーの問題で患肢への関わりほど靴は着目されていないのが実情といえる。本稿では糖尿病性足病変と靴との関連性を概説し、靴を選ぶに際しての指導上のポイントと、適合性を評価するための具体的な手法を紹介した。
著者
高橋 真央
出版者
甲南女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

平成27年度もまた次の2点について主に調査、フィールドワークを行った。第1に関西地域で東日本大震災の復興支援活動を行っている学生達のボランティア活動に関しての参与観察、インタビュー調査である。また第2には東日本大震災で被災した地域(岩手県釜石市、大槌町)での学生ボランティアや被災した方々、受け入れNPO、学生ボランティアをサポートする神戸のNPO、神戸復興塾の方々へのインタビュー調査も行った。本年度は、「学生ボランティア」をキーワードに調査を行った。かつての学生ボランティア(阪神淡路大震災世代)へのインタビュー調査があまりできなかったことは反省の余地があるが、現在活発に行っている学生ボランティアについては、参与観察をはじめ、様々な形でインタビューなどを取ることができた。この研究を実施しながら、大学と学生、そしてボランティアというキーワードから現代社会の「社会貢献」や「地域貢献」に関する課題や可能性についても考えるきっかけを与えられたように思われる。1995年当時の学生たちにおいては「大学ボランティアセンター」などは無く、常にパイオニア的存在の中で社会貢献や地域貢献の先駆者となって、2000年以降の学生ボランティアの活性化を牽引してきている。この10年間を振り返っても多くの社会起業家が輩出されているのはその背景も影響している。しかしながら、ある程度のシステムが整い、社会も学生ボランティアに一定の理解が整っている2011年以降にあって、学生達においては以前よりも多くの可能性が開けているとともに、阪神淡路大震災時代の学生ボランティアとは異なる大きな課題もはらんでいる。現在の学生達のこの経験がどのように日本社会に還元され、次の学生たちに継承されていくのか? その点についてもフィールドワークやインタビュー調査から明確にしていきたい。
著者
森 津太子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 人間科学編 (ISSN:13471228)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.19-25, 2003-03-18

Most people have difficulty remembering events that occurred in their first years of life. Such a phenomenon has been studied for about 100 years since Freud termed it "childhood/infantile amnesia" . This article reviews the literature on the earliest memory, the emergence of which indicates the end of the childhood amnesia period, and examines current theories of childhood amnesia. A variety of theories of childhood amnesia were divided into three categories for discussion (the retrieval failure theory, the encoding/retention failure theory, and the social interactive theory) from the perspective of whether the theory assumes that memory is a permanent storage system or not (i.e., the retrieval failure theory vs. the encoding retention failure theory) and whether the theory assumes that memory is an intrapersonal process or an interpersonal proc- ess (i.e., the retrieval failure theory and the encoding/retention failure theory vs. the social interaction theory) . Finally, the implications of childhood amnesia for recovered memory and future directions are discussed.
著者
服部 耕治
出版者
甲南女子大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-09-05)

これまで我々は超音波を用いた関節軟骨定量評価システムを開発してきた。しかしながら、このシステムでは、軟骨表層の変性をとらえることができても、関節軟骨全層を評価することはできなかった。そこで我々は関節軟骨超音波評価システムにおいて超音波造影剤が有効に作用するかどうか調査した。関節軟骨試料からの超音波反射波はAモードエコーとして表示される。このAモードエコーのピークピーク値を評価の指標とした。軟骨試料を造影剤に浸透後、生理食塩水中で超音波計測を行った。超音波造影剤によって最大ピークピーク値は5.3~9.8倍に増強された。また、超音波造影剤は、生理食塩水に浸透後2分で最大となり、その後徐々に低下していく造影動態を示した。我々の研究は関節軟骨の超音波評価に造影剤を用いることで、関節軟骨の生体力学的な特性を予測できることを示した。
著者
松林 靖明
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 文学・文化編 (ISSN:1347121X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.A23-A33, 2007-03-20

The Bessho-Ki is one of the tales of war written in the age of wars. I examined mainly the books quoting passages from it and those influenced by it to take up various general issues which had not yet been examined.
著者
梅崎 高行
出版者
甲南女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

競技スポーツにおける指導の相互的なバイアス構成-指導者によるコーチングの偏りと選手による指導の歪んだ認知-に着目した。バイアス構成は,選手の学びと指導者の教えにブレーキをかける。この影響を最小にするため,第三者のかかわりについて検討した。とりわけ保護者については,従来から選手に対する過剰な働きかけが指摘される。錯覚とよばれるこうした働きかけを,脱錯覚的なものへと整える意義について議論された。
著者
三島 郁
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 文学・文化編 (ISSN:1347121X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.69-77, 2007-03-20

The history of music, in most cases, has actually been the history of musical style. Such a history involves identifying and connecting the characteristics of those outstanding composers that modern historians would judge as great musicians. However, in reality, the history of music encompasses all the activities of human life. In this article, I would like to restructure musical history by discussing the activities of Louis Spohr (1784-1859), a musician who lived in Germany in the first half of the nineteenth century. Spohr is known for his "Violinschule" (a manual for the violin); however, he is currently regarded as a second-class or trivial epigonic composer between the Classical and the Romantic era. Nevertheless, Spohr was admired by the critics of his time such as Johann Friedrich Rochlitz (1769-1842) in the "Allgemeine musikalische Zeitung, " and his works ranked at a high position in the repertoire of the Gewanthauskonzert. Furthermore, he founded "Cailienverin" and attempted to perform Bach's "Matthauspassion." Therefore, I would like to consider Louis Spohr as not only a composer but also a violin virtuoso, a Kapellmeister in the court, and a director in the theatrical and choral society. It is very likely that he was an integral part of musical life at that time; considering him in such a perspective can serve as a useful reference in the reexamination of musical history.
著者
瀬藤 乃理子 岡崎 伸 鍋谷 まこと 藤井 美和 山田 美智子 多田羅 竜平
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.5, pp.187-192, 2011-03-18

2010年2月に世界初の子どものホスピスであるイギリスのヘレンハウス(現ヘレン&ダグラスハウス)を訪問した。そこでは、成人まで生きることが難しいと予測されるLTC(Life-threatening conditions)の子どもたちとその家族に対し、看護師による1対1の手厚いケアと、多領域の専門職やボランティアによる多くの楽しいプログラムが提供されていた。イギリスの子どものホスピスの機能は終末期だけでなく、家族の休息の提供(レスパイト)、緊急ステイ、病状管理、24時間の電話相談などが、子どもに死が訪れるまで、長期間にわたって継続されていた。また、死別後の家族に対するサポートプログラムも充実していた。ここでは、視察で得たイギリスの子どものホスピスの実情と、その理念や運営について紹介する。