著者
須賀 知美 庄司 正実
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.77-84, 2007

サービス業従事者は,職務上適切な感情状態を保つための感情管理-感情労働-が,職務の一部として求められている。特に,接客サービスを基本とする職種では,そのサービスの質には従業員個人のパーソナリティが大きく影響すると考えられている。本研究では,飲食店従業員(203人)を対象に,感情労働を行っていることを示す行動-感情労働的行動-とパーソナリティの関連を検討した。本研究では,サービス業と関連があるパーソナリティとしてセルフ・モニタリングと自己意識について取り上げた。重回帰分析の結果,予想通り,セルフ・モニタリングの自己呈示変容能力が感情労働的行動の下位尺度のすべて(感情の不協和,客の感情への敏感さ,客へのポジティブな感情表出)と関連を示した。しかし,予測に反して,自己意識の公的自己意識は感情労働的行動との関連がほとんど見られず,私的自己意識が関連を示した。今後は,感情労働に関連するパーソナリティについて,顧客満足のためのパフォーマンスと,従業員自身の職務満足感の両側面から捉えた研究が必要であると考える。
著者
溝尻 真也
出版者
目白大学
雑誌
目白大学総合科学研究 = Mejiro Journal of Social and Natural Sciences (ISSN:1349709X)
巻号頁・発行日
no.18, pp.95-107, 2022-03-31

This paper clarifies the images of DIY/Sunday Carpenter, which spread in Japan from the late 1960s to the 1970s as a handicraft hobby carried out mainly by men, and how it took root throughout the country. As a result of a content analysis of the bulletin magazines of the Japan DIY Club, an organization that gained members up to 45,000 during this period, it became clear that various kinds of activities were represented as DIY/Sunday Carpenter, such as making furniture and maintaining and repairing houses. In addition, it became apparent that DIY/Sunday Carpenter at that time was described with the images of craftsman devoting himself to manual labor.
著者
高田 治樹 菊地 学 尹 成秀
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro journal of psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-13, 2020

本研究は,多種のオタクカテゴリとオタクカテゴリに対する印象との関連性を検討することを目的として調査を実施した。調査対象者は,自身をオタクと自認するオタク群258名となり,自身をオタクと認識しない一般群258名を対象とした。オタク群と一般群によるオタクカテゴリごとの印象の差を検討した結果,カテゴリによって,オタク群は一般群よりも社交性に関するポジティブなイメージを抱きやすく,マナーの悪さに関するネガティブなイメージを抱いていた。また,一般群はオタク群よりもオタクカテゴリに対して不健康で,大人しいという印象を抱いていた。さらに,オタクカテゴリと印象評定との相互関連性を双対尺度法によって検討した結果,腐女子とマンガオタクは過激で妄想しやすいという印象でまとめられ,女性アイドルオタクと声優オタクは不健康という印象でまとめられ,ゲームオタクと鉄道オタクは陰気でマナーが悪いという印象でまとめられ,アニメオタクやコスプレイヤーは恋愛が苦手で大人しいという印象でまとめられた。本研究の結果から,一般群においていまだにオタクに対する偏見がみられ,その偏見はオタクカテゴリごとの異なる印象が統合された偏見である可能性が示唆された。
著者
山西 正子
出版者
目白大学
雑誌
目白大学人文学研究 (ISSN:13495186)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.205-220, 2016
著者
江下 雅之
出版者
目白大学
雑誌
目白大学経営学研究 (ISSN:13485776)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.89-103, 2008
被引用文献数
1

2006年12月に発売された任天堂のゲーム機Wiiは、新たなゲーム市場を開拓し、全世界で好調な売れ行きを記録している。しかしながら、任天堂が大幅な増産を図らないために市場は慢性的な品薄状態となり、発売前の予約段階はもちろんのこと、発売から数ヶ月後に至るまでネット・オークションでの転売が活発であった。Wiiをめぐるオークションの入札動向は、店頭発売日前後で大きく異なる。落札価格、各オークションへの入札計数とも、店頭販売当日まで上昇を続けた。しかし、こうした過熱は出品数が急増することで解消されている。また、落札価格、入礼者数ともに単調な増減を示すことはなく、おなじ日でも上下に振幅している。他方、オークション参加者はこうした傾向を考慮した入札を行っているのではなく、入礼者の参加時点で把握可能な出品機会のもとで競合の度合いを判断しているものと考えられる。
著者
黒沢 幸子 日高 潤子 張替 裕子 田島 佐登史 Sachiko Kurosawa Junko Hidaka Yuko Harigae Satoshi Tajima 目白大学人間学部 目白大学人間学部 目白大学人間学部 目白大学人間学部 Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
no.4, pp.11-23, 2008

筆者らは心理学を専攻する大学生をボランティアとして,小・中学校へ派遣するシステムを構築した。この「メンタルサポート・ボランティア活動」システムは,子どもたちの心理的支援のためのボランティア活動と,それを支える大学での授業から成り立っている。本研究は,このシステムにおいてボランティア活動を体験した学生の変化・成長の様相を明らかにすることを目的とした。そのため,学生が活動を振り返って記述した感想と活動評価アンケートへの回答を対象として,KJ法による分類を行った。分析対象となった回答は,延べ179名分であった。分析の結果,学生の変化・成長は,「学生自身の人間的変化・成長」,「現場での実践から得た学び」,「授業から得た学び」の3つの大グループと,その他3つの中グループに分類された。この3つの大グループは,相互作用・相互促進していることが見出された。キャリア教育の視点から見た学生の変化・成長は,「自他の理解能力」,「コミュニケーション能力」の2つに集約された。また,本システムにおけるボランティア活動が学生の「人間関係形成能力」を育成している可能性が示唆された。
著者
江下 雅之
出版者
目白大学
雑誌
目白大学経営学研究 (ISSN:13485776)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.87-98, 2007
被引用文献数
1

インターネットを利用した電子取引のなかで、近年、ネットオークションの取引額が急増している。その規模はすでに巨大流通産業に匹敵しており、個人の消費行動のなかで無視できない影響力を発揮しつつある。本研究では、稀少価値の高い漫画古書に注目し、ネットオークションにおける取引の成立過程のデータを収集、定量的に分析した。分析の結果、ネットオークションにおいて実際に入札者が競合する割合は低く、入札価格の変動を対象とした従来の入札行動は、オークション全体のごく一部の現象しか捉えていないことがわかった。他方、落札に至るオークションの割合は、最初の出品時の落札率によって決定される可能性がデータ分析の上で示された。また、落札に至る入札行動には、オークションの参加者がオークションを通じて蓄積した経験の度合いが強く反映されている可能性も明らかになった。
著者
胎中 千鶴
出版者
目白大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、近代における「国技としての相撲」をめぐる現象と言説について、これまで相撲史において言及されることが少なかった植民地・占領地など、いわゆる「外地」との関係性という視点から考察を試みた。その結果、「国技」成立の歴史的・政治的背景や帝国ナショナリズム分析、外地における「国技相撲」の実態解明について、多くの点が明らかになり、一定の成果を得た。
著者
齋藤 梓 岡本 かおり
出版者
目白大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では,性被害後の援助要請行動を促進するため,促進および阻害要因,性被害時の被害者心理等について明らかにすることを目的に,定性的調査および定量的調査を行った.その結果,被害時に身体が動かなくなることや,抵抗できなかったことにより,被害者が自分の身に起きた出来事を被害だと認識することが難しく,相談が困難であることが分かった.本研究の結果から,性被害に直面したときの被害者の状態や被害プロセスについて社会に伝えていき,被害者が自責感を抱かず,自分の身に起きたことを被害だと認識できること,また周囲もそれを被害だと認識できることが重要であると考えられた.