著者
森田 勝
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.200, pp.189-197,a1, 1999-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5

土地改良事業の工事は、土地改良法所定の事業開始手続をとった場合には、工事の施行に同意していない者の土地に対しても施行することができるので、工事を施行したことに対して民事責任も刑事責任も問われることはない。土地区画整理法により土地区画整理事業の工事を所有者及び占有者の同意を得ることなく施行するについては、同法80条の規定に基づくことが必要であり、そのためには工事対象土地に対し仮換地の指定等による使用収益の停止処分がとられている必要がある。この土地区画整理法80条とほぼ同様の文章の規定が土地改良法123条の2として0設けられているが、土地改良法と土地区画整理法では、法の目的、趣旨、対象、法構成等を異にするので、土地改良事業の工事の施行に関する法律根拠を土地区画整理事業の工事を施行する場合と同様に解することにはならない
著者
成岡 市 駒村 正治
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.210, pp.735-743,a1, 2000-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

関東ローム表層黒ボク土を採取し, 固相配列と排水特性に注目して粗間隙の構造的特徴を検討した.その結果, pF水分分布曲線群から, 有機物含有量の多少および粗間隙径の変化特徴が類型化された。黒ボク土基質の軟X線透過影像から, 固相率が大きく緻密化し団粒が発達している型は細・粗間隙の分化程度が大きく, 透水経路の屈曲度が小さいことが考察された.団粒構造が発達している黒ボク土は, 乾燥密度や間隙率の大小にかかわらず, 団粒間間隙 (粗間隙) が飽和透水の主要経路になり得ていることが明らかにされた.自然構造の黒ボク土を締固めると飽和透水係数が低下する理由について,「透水経路の縮小化, 不連続化, 屈曲度の増加, 広狭差の増加」によることが説明された.以上より, 乱していない関東ローム表層黒ボク土の粗間隙は, 等方的な固相配列と排水特性に寄与していることが明らかにされた.
著者
向井 章恵 村本 明子 渡辺 紹裕 荻野 芳彦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.957-961,a2, 2001-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15

生態系の保全を考慮した水田圃場における水管理・水利用が求められている。本報では, 水田生態系における高次の捕食者である鳥類を取上げ, その水田利用の概況を整理した上で, 湛水を中心とする圃場の条件とその生息条件に関する国内外の事例を整理して, 鳥類の生息と水田の利用管理や整備の課題を考察した。とくに, 収穫後の湛水によって冬の渡り鳥に生息場を提供することを取上げ, カリフォルニアと宮城県蕪栗沼など国内外の「冬季水田湛水プロジェクト」と, また, 湖北地区におけるコハクチョウ飛来水田の条件調査の成果概要を紹介した。

1 0 0 0 OA 浮稲

著者
山田 登
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.76, 1983-01-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2
著者
有田 博之 熊谷 和美 三沢 眞一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.244, pp.527-533, 2006-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

省力的で持続型農業を実現する農法として深水栽培法に注目し, 適用に必要な農地基盤・施設の整備課題を検討した.慣行農法より深めの湛水を行う深水栽培法は, 障害型冷害の防除手段として普及したが, 近年では省力化・増収・雑草防除等の技術として寒冷地以外でも一部農家が導入している.調査は, 深水栽培を行う東北・北海道地域の農家・土地改良区にアンケートと現地聴取りを行った、結果, 深水栽培を行う上で,(1) 湛水深を維持する畦畔の高さ・幅員の確保,(2) 畦畔の漏水防止対策,(3) 畦畔高の増大に適合するための用水路改修,(4) 地耐力増進のための排水対策, が基礎的・優先的な事項であることを明らかにし, それらの技術的課題を整理した.また, 深水栽培法がもつ新たな環境機能を指摘し, 今後の普及の可能性を示した.
著者
菊池 由則 皆川 猛 宮森 俊光 田中 秀明 田中 龍太 高居 和弘 野中 公文
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.928-942,a1, 1999-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

昭和24年の土地改良法制定以降の土地改良事業制度について, 時代の要請を踏まえ, また農政の展開方向に即してその内容を充実・発展させてきたことの概要を述べる。ついで, かんがい排水事業, ほ場整備事業, 農道整備事業, 農地防災事業, 農地開発事業のそれぞれにっいて, 制度創設の背景, 展開にっいて述べる。
著者
成岡 市
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.841-847,a1, 1987-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
17

軟X線を用いた土壌孔隙形状の映橡化手法を発展させたもので, X線ステレオ撮影法により不攪乱土壌の内部に実在する管状孔隙の立体的位置, 屈曲状況 (屈曲角, 屈曲度), 直径を計測する方法を述べる。とくに本法では, 60k Vp前後の軟X線の使用, 油性造影剤の開発と注入法および孔隙の立体座標の算出法が新しい。また, パーソナルコンピュータを用いた映像の画像解析による水田, 転換畑, 南関東ロームの孔隙形状の計測とそれらの第三角法表示の事例を紹介し, 多くの問題の解決に対して本法の有効性が発揮される可能性があることを述べる。
著者
多田 敦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.311-316,a1, 2000-04-01 (Released:2011-08-11)

筑波大学は, 東京教育大学を母体としながら, 全く新しい大学として昭和48年10月に設立された。研究組織と教育組織が分離される点や大学院を含む教育組織のあり方など, 他の大学の学部制度とは異なるユニークなものである。大学院は, 5年一貫制の、「博士課程研究科」と2年制の 「修士課程研究科」 が並列されている。また農業土木関連分野が所属する博士課程農学研究科は, つくば市周辺の研究機関と連携した連携大学院方式, 昼夜開講制で最短3年で修了できる研究者リフレッシュ教育制度をもち, これも特色ある制度である。
著者
小林 浩幸 國弘 実 松島 誠一 篠田 鎮嗣
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.867-873,a2, 1999-08-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

農業集落排水処理水の水田灌漑水への一時的な直接再利用の適否を検証するため,施設に隣接する水田に処理水を灌漑漑,水稲の生育,収量と水質について調査を行った。処理水の灌漑期間は水稲の幼穂形成期から収穫10日前までの約2カ月である。花水にあたる時期10日間については処理水をT-N20~30,T-P2.5~3.5,BOD10~25mg/lに調整した水を灌漑した。生育は概ね正常であり,収量は通常の用水を用いた場合よりも多かった。水田からの地表排出水は,多くの水質項目で改善が認められた。調査結果から,集排処理水の水田灌漑水への一時的な直接再利用は可能であり,併せて若干の水質浄化が期待できると考えられた。
著者
大串 和紀 中野 芳輔
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.137-140,a2, 2006-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
16

白石平野のクリークは, かつて農業用水のみならず生活用水源としても利用され, 地域の生活全般に密接に関係する存在であったため, クリークは住民の手によって清浄に保たれていた。しかし, 1960年代以降の水田およびクリークの整備と営農形態の変化に加えて, 生活水準の向上等によりクリークと住民との関わりが希薄になったこと等により, クリークの維持管理が疎かになるとともにその水質が悪化している。本報では, クリークの生い立ちおよび1960年代の農業や維持管理の状況をレビューし, さらにその後のクリークを取り巻く環境の変化を明らかにして, 今日の水質悪化を招いた要因を考察した。
著者
三原 真智人 上野 貴司
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.200, pp.171-178, 1999-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7

畑地圃場にUSLE標準試験枠を作り, 降雨に伴って表面流が発生するたびに流亡土量と水質を観測した.採取した懸濁水のサンプルをろ過または遠心分離して上澄み水を得て, 懸濁水および上澄み水に含まれる窒素, リン成分を比較して, 土壌侵食が富栄養化成分の表面流出に与える影響について検討した.本研究の結果, 懸濁水中の全窒素および全リン濃度は浮遊物質と相関を示し, 上澄み水中の全窒素および全リン濃度を大きく上回った.無機態窒素については, 浮遊物質との相関はほとんど見られなかった.しかし, 全ての窒素およびリン成分の流出負荷は流亡土量と正の相関を示した.また最も多量の施肥 (628.5kg/10a) を行った試験枠における窒素およびリンの流出負荷は, 他の試験枠を大きく上回った.これらの結果から, 土壌流亡に伴って窒素およびリン成分の流出負荷が増大し, とくに多施肥試験枠においてこの傾向は顕著であることが明らかとなった.
著者
大友 堅一郎
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会誌 (ISSN:18822770)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.519-522,a1, 2008-06-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2

岩出山大堰の位置する大崎耕土は, 宮城県北部に広がる県内有数の穀倉地帯 (約20,000ha) であり, 全国的に銘柄米として知られている「ササニシキ」「ひとめぼれ」の発祥の地でもある。本耕土の用水源の一つである北上川水系江合川は, 上流で荒雄川とも呼ばれ, その源は鳴子町 (現大崎市) 鬼首の中央にある荒雄岳であり, その麓にある鳴子ダムを経て大崎耕土を横断して北上川に合流している。大堰は, この江合川から取水し大崎耕土の一角 (約4,000ha) を灌漑するため, 約400年前に仙台藩祖伊達政宗公が岩出山の地に築造したものである。その大堰の役割や築造から改修・復旧の変遷等について紹介する。
著者
伊藤 光
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.929-934,a1, 1979-12-01 (Released:2011-08-11)

昭和53年に北部九州, その中でも福岡市の上水と筑後川沿岸の農水は, 異常渇水により大きな水不足を経験した。その対策の渇水調整としてダムからの緊急放流が行われた。この一連の経過を紹介し, その反省と今後の課題について述べるとともに, 水問題の一側面について若干の考察を加えた。水不足の記録をとりまとめ, 今後の水問題研究に役立てることを目的としている。
著者
花田 康弘
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.37-45,a1, 1991-01-01 (Released:2011-08-11)

農道の一部を利用した, 小型航空機の場外離着陸場の建設整備を行う北海道内4地区の補助事業の事例について, 実施1地区, 全計3地区の概要を, デモ・フライト状況などを交え, 説明する。