- 著者
-
成岡 市
駒村 正治
- 出版者
- 社団法人 農業農村工学会
- 雑誌
- 農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
- 巻号頁・発行日
- vol.2000, no.210, pp.735-743,a1, 2000-12-25 (Released:2011-08-11)
- 参考文献数
- 12
関東ローム表層黒ボク土を採取し, 固相配列と排水特性に注目して粗間隙の構造的特徴を検討した.その結果, pF水分分布曲線群から, 有機物含有量の多少および粗間隙径の変化特徴が類型化された。黒ボク土基質の軟X線透過影像から, 固相率が大きく緻密化し団粒が発達している型は細・粗間隙の分化程度が大きく, 透水経路の屈曲度が小さいことが考察された.団粒構造が発達している黒ボク土は, 乾燥密度や間隙率の大小にかかわらず, 団粒間間隙 (粗間隙) が飽和透水の主要経路になり得ていることが明らかにされた.自然構造の黒ボク土を締固めると飽和透水係数が低下する理由について,「透水経路の縮小化, 不連続化, 屈曲度の増加, 広狭差の増加」によることが説明された.以上より, 乱していない関東ローム表層黒ボク土の粗間隙は, 等方的な固相配列と排水特性に寄与していることが明らかにされた.