著者
山田 宣良
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.152, pp.9-13,a1, 1991-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
10

4種類の土壌を用いた土性別検討および4種類の土壌管理別にみた土地利用別検討をもとにして, クラストが形成された土壌の表層の性質を比較した。その結果, 次の3種類の形態が認められた。(1)沈澱クラスト:最表層とその下層との間の団粒率, 比表面積とK含有量に差がみられる。(2)衝潅クラスト:団粒率とK含有量に差がみられる。(3)化学クラスト:K含有量のみに差がみられる。また, 土壌侵食因子の中では, 分散率がクラストと高い相関を示した。したがって, 土壌の最表層とその下層の間の団粒率, 比表面積, K含有量に, 分散率を対比して, クラストの形態を知ることができることがわかった。

1 0 0 0 OA 凝集・沈降

著者
小林 幹佳 足立 泰久
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.377, 1996-04-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2
著者
町田 隆
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.237-239,a1, 1996-03-01 (Released:2011-08-11)

純農村の北村において, 予期していなかった温泉という地下資源の発見により, 村の中心部の町並みが変わった。これは温泉を利用した施設が相次いで誕生したからである。この温泉水には天然ガスも含まれていることから, 村ではこれらの恵まれた資源の有効利用を図るため, 施設の暖房やビニルハウスでの試験栽培等に取組んだ。本報では, その利用の具体的な事例と中心的な位置付けの赤川鉱山という地下資源利用施設について紹介する。
著者
金木 亮一 高橋 紀之 矢部 勝彦
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.211, pp.29-34,a1, 2001-02-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
13

代かき作業と肥料の種類が田面水の窒素・リン濃度に対して及ぼす影響を検討するため, ポット試験を行った.代かきについては2条件 (代かき有りと無し), 肥料の種類については4条件 (無肥料, 重焼リン, 化成肥料, 被覆肥料) とし, 実験は3回繰り返した. 表面積500cm2のポット8個に水田作土を約20cmの厚さに詰め, 10cm湛水した.ポットは20℃ の恒温室内に静置し, 実験開始1, 3, 5, 7日後に田面水を採水して分析に供した.田面水の窒素・リン濃度に対しては, 代かき作業の方が肥料の種類よりも強い影響を及ぼし, 代かき7日後においても有意な差を示していた.窒素については代かき化成肥料区が他よりも著しく高い濃度を示した. リンは代かきの有無によって大きな濃度差を生じたが, 肥料の種類による差異は小さかった.
著者
大上 博基 丸山 利輔
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.162, pp.143-150,a3, 1992-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
78

これまでに, 蒸発散算定式や蒸発散機構に関する研究が進展する過程で, 蒸発計蒸発量は基準蒸発量としての役割を果たしてきた。近年は, コンピュータ処理に馴染みかつ物理的に明解とされる蒸発散算定法が発展している。本報では, まず, 基準蒸発量算定を目的とした測定基準化へのあゆみと, 蒸発計蒸発量の問題点を整理する。次に, 測定基準と蒸発散算定法の確立のための研究を整理し, 基準蒸発量としての蒸発計の役割はほぼ達成されたと評価する。また, 蒸発計は実測, コスト, 簡便, 気象環境の反映という点で優れているため, 狭い地域や気象観測設備の不十分な地域での蒸発散研究では, 蒸発計蒸発量が重要な役割を果たすことを強調する。
著者
小林 宏康 岡本 佳久 筒井 義冨
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.208, pp.469-475,a1, 2000-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8

流水音の心理イメージ空間を構成する主要な評価軸とその音響因子を明らかにするため、10種類の流水音を84名の被験者に聞かせて評価させる官能検査と流水音の音響解析を行った。その結果、(1) 流水音の心理イメージ構造は、静動性と旋律性という2つの音響評価軸によって構成された心理イメージ空間で表現できること、(2) 静動性の音響因子はサウンドレベルであり、旋律性の音響因子はスペクトル包絡であること、(3) 周波数帯域の中で、500Hz~4kHzの音圧レベルが100Hz~300Hzの音圧レベルと比較して強調された流水音は、高音性の流れとして認知されること、等を明らかにした。
著者
石川 英輔
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1273-1276,a3, 2001-12-01 (Released:2011-08-11)

江戸時代の, 水田稲作を中心とした農村地帯の資源循環について述べた。稲作のための豊かな水は, 豊かな山林の生きた土により瀕養され, 水田を潤すとともに人々の生活を支えてきた。そして, そのシステムは今日でも本質的には変わりがない。また, 米とともに収穫された稲わらをはじめとする農産廃棄物は, 有害物質のない貴重な資源として, 農村, 都会で有効に再利用され, 1年以内にはまた土へ戻るという, 物質の循環構造があったるエネルギーは, かつてはほとんどが人力であったが, 環境を汚すようなことはなかった。しかし, 太平洋戦争以降の化石エネルギーの大量消費は, 労働力の削減, 利便性の向上, 産業の近代化に貢献したが, その見返りとして環境の悪化や複雑な社会問題をわれわれに突きつけることとなった。
著者
若杉 晃介 長田 光世 水谷 正一 福村 一成
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.219, pp.421-426, 2002-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4
被引用文献数
2

近年, 農村地域における生物多様性の低下が指摘されており, 原因の一つとしてほ場整備による湿生動物の生息地破壊等があげられている.その改善策として, ほ場整備に際して, 整備区域内に生態系保全地を設ける事例が増えつつあるが, その設置間隔等は明らかになっていない.本研究は, ほ場の湿潤な場所に生息する動物の保全地を設置する場合を想定し, 保全地の最短設置間隔の指標の一つとして, 移動能力が低いとされている湿生動物のアジアイトトンボについて移動距離を調べた.調査は栃木県宇都宮市の一般的な平地水田地帯で, 標識再捕獲法を用いて2000年8月から9月に行った.その結果, アジアイトトンボの移動距離は1.1~1.2kmであること, 出現場所は湛水休耕田の存在に大きく影響を受けていることが分かった.
著者
吉武 美孝 松本 伸介 篠 和夫
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.177, pp.383-393,a2, 1995-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
7

We investigated the water area reclamation projects, in particular the changes of these projects in Japan after the World War II.Firstly, we explained the institution of water area reclamation projects.Secondly, we classified these projects and made the distribution maps of the projects.From these results, the following was found worthy of being reported:1) Sea coast reclamation projects are concentrated around Ariake Sea, Yatsushiro Sea, Seto Inland Sea, Ise Bay, Mikawa Bay and Kagoshima Bay where tidal range is remarkable.2) All projects above mentioned except Kagoshima bay belong to alluvial plains3) Water area reclamation projects at lakes are almost all distributed around large lakes or brackish water lakes, i. e. Lake Shinji, Nakaumi, Lake Biwa, Lake Hamana, Kasumigaura, Imbanuma, Teganuma, Izunuma, Hachirogata, Lake Jusan.4) The total number of the sea coast reclamation projects is more than that of the water area reclamation projects. But the total project area and the total reclamation area of the latter are larger than those of the former.Then, from the view of social conditions, international situations and agricultural administrations, we discussed the historical transition of the projects in detail, and explained the change and decay of the projects.Lastly, we presented some tables of the project area and the reclamation area produced by each projects and these diverted area.
著者
北村 邦彦 喜多 威知郎
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.188, pp.315-322,a3, 1997-04-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

石川県内にある約3,000個のため池は, 大部分中山間地に分布しており, その80%が能登地域に占められている. そこで, この地域の4市町から17地区を抽出して水管理のアンケート調査を行った. その結果, ため池にはそれぞれ機能が定められており, 管理者はそれを有機的に結合して管理を行っている. 貯水容量高は平均231mm, ため池回転率は2~3回で集水流域からの流入に依存している. しかし, 渇水年では6月中旬までしか貯水を維持できない. 管理体制から平水年での利用水量を試算すると, それは需要量に相当する水量であり, 将来展望として新たに水源を確保する必要性のあることを提示した.
著者
山本 晴彦 早川 誠而 鈴木 義則
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.943-948,a2, 1997-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

神戸市長田区と須磨区に立地する小規模な7つの都市公園を対象に, 阪神大震災による公園内に植栽された樹木の被災状況と延焼防止機能を調査した。菅原通公園, 御蔵通公園, 大国公園の植栽の被災率は, 38%, 10%, 58%であった。これらの公園における周辺の焼失地域は1~2方位で, 公園の周縁部に植栽されたクスノキなどの常緑性高木樹が火炎を遮断することで公園内部に植栽された樹木の被災率が低くなった。さらに, 公園内に設けられたオープンスペースの存在が相乗効果となり, 後背部への延焼防止「焼け止り」の現象が発揮されたと考えられた。植栽の被災率が比較的低かった公園では, 被害樹の樹勢が徐々に回復していることがわかった。
著者
三田 長義
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.915-920,a1, 1999-09-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9
被引用文献数
1

わが国の土地改良に関する法制は, 明治維新から始まり明治・大正・昭和十年代にかけて土地に関する法規と水利に関する法規とが制定され, 主として土地の所有者が農地の改良, 水田の開発, 道水路等の施設維持を行う仕組みとなっていた。戦後における占領制度と農業事情等を背景として, これらの農業関係法制が廃止され新たな土地改良法制が誕生することとなったもので, 本稿は, 土地改良法制定30周年を記念して作成された「土地改良制度資料集成」から要約して土地改良法制定の背景と経緯を紹介する。この法律が占領政策の中にあって, 新たな耕地行政の柱となるべく法案づくりにご苦労された方々を取り巻く背景の一部でも知っていただきたい。
著者
佐藤 常雄
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.5-8,a1, 2005-01-01 (Released:2011-08-11)

江戸時代末期の伊万里焼の絵皿に描かれた農村風景の絵画資料から日本における 「水土文化の原風景」 をさぐってみたい。内径1尺の染付絵皿は, 水源となる霊山の麓で稲作の初めと終わりをそれぞれ象徴するモノとして蛇籠と案山子を左右対照で描いている。ただし, 絵皿には人物は一切登場しない。しかし, 霊山・蛇籠・案山子の三者を結び付けるのは農民であり, 日々の暮らしにかかわる人々の四季を通してのいとなみである。また, 蛇籠と案山子は現在の暮らしにおいて再評価される存在となっている。ここに「水土文化の原風景」を見出すことができる。
著者
赤江 剛夫 後藤 光喜 石黒 宗秀
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.219, pp.357-364, 2002-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
17

農地土壌の濁水発生防止は, 農地整備事業の実施に当たり極めて重要な問題である.本論文では, 農地土壌の分散性を規定する支配的な基礎的物理化学特性を明らかにするため, 中国四国地方の代表的な土壌型の農地土壌の粘土分散率を評価して基礎的特性との関係を検討した.その結果, 比表面積と陽イオン交換容量と粘土分散率の相関が高いことを見いだし, その原因を分散凝集理論に基づく表面電位の変化, および沈降に対する安定性の観点から考察した.表面電位の計算では, 塩・電位差滴定法により求めた永久荷電量を面荷電とした.また, 比表面積が大きく粒径の小さい土壌ほど沈降に対する動的安定性が高いことが推定された.農地土壌に石膏を添加すると凝集が促進され, 粘土分散率が低下したが, 石膏添加が表面の荷電特性にどのような影響を与えるかを検討した.石膏添加による凝集効果が大きい土壌では, 面電位の変化量およびpHで決まる粒子端電位の変化が大きいことが認められた.