- 著者
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山本 仁志
- 出版者
- 立正大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2015-07-10
昨年度に引き続きソーシャルメディアの利活用が世論形成に与える影響を分析するため、ニュースメディアアカウントをフォローするユーザのイデオロギー推定をおこなった。本年度の研究業績は世論形成モデルについて主に以下の2点である。ひとつが分析の結果が論文"News audience fragmentation in the Japanese Twittersphere"として採録が決定したことである。日本のマスメディアをフォローするツイッターユーザのイデオロギーを機械学習で推定した結果、大規模な分断化は見られないものの一部メディアでニュースオーディエンスが分断化しているという結果が得られた。更にパネルデータ分析として2017年時点のイデオロギー分布の推定を行うためのデータ収集をおこなった。また一方で多様な価値観の共存下で相互協力的な社会システムを実現するための互恵的協力のメカニズム分析をおこなった。2017年度は、規範生態系を社会シミュレーションに頼らずに、純粋に数理解析的に扱う方法を開発し、本来6万本以上の絡み合った方程式を解かなければならないところを、512本の方程式に縮減することに成功した。その結果、規範のモデル研究で安定的とされてきた「悪に協力することは悪である」という規範は、社会のメンバーが他者を部分に分解しない「個人主義」の発想に基づいて規範を構築している限りは安定的に存続できるが、他者を部分に分解する「分人主義」の発想に基づいて規範が構築されるような社会では、最終的に絶滅してしまうことが分かった。この成果は"A Theoretical Approach to Norm Ecosystems: Two Adaptive Architectures of Indirect Reciprocity Show Different Paths to the Evolution of Cooperation"として公刊された。