- 著者
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石本 敏也
及川 高
渡部 圭一
- 出版者
- 聖徳大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
本研究は、民俗文化を当事者に種々の負担を強いるコストとして把握し、そのコストとモチベーションという観点から実態を捉え直すと共に、その調整過程を明らかにしようとするものである。対象地域は、東北、関東、中部、近畿と広く設定し、その事例も民俗文化財や世界遺産として登録された内容をも含み、民俗学・宗教学・歴史学の知見を生かし横断的な解明を試みる。継承された民俗文化の再評価については、文化資源や観光の文脈で注目されてきた視角であるが、それが時に当事者にとっては重い負担となることは従来重視されてきたとは言いがたい。本研究は、まずは民俗文化が当事者においてこうした重いコストであり得ることを改めて強調し、その上でコストを引き受けることの有意性を明らかにし、民俗文化の再評価における新たな知見を加えようとするものである。本年度は二回の打ち合わせ会議、研究会を開催し、設定した対象地域内における民俗文化の実態とそのコストについての意見交換を行うと共に、コストを核に据えた研究方法の深化と課題について討論した。また、メンバー各自の調査地域における調査研究を遂行し、関連する資料の発掘・蓄積を行うと共に、日本民俗学会における発表を通し個々の研究成果を公表した。加えて、年末に行った研究報告会において個々の成果を共有した。本年度の成果として、共著における民俗継承に関する研究論文を寄稿し、新たな知見を学会に提供することができた。