- 著者
-
園田 明人
- 出版者
- 静岡県立大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1997
本研究では、随伴性判断のバイアス認知に及ぼすオプティミズム特性の役割と、オプティミズムやバイアル認知の持つストレス適応のメカニズムを調べる実験と調査を行った。実験1では、2種の刺激条件(ノイズ/得点獲得)と4種の随伴条件(25-25,25-75,75-25,75-75)を組み合わせた8条件の随伴性判断課題に取り組んだ。オプティミズムに関する個人差特性として、説明スタイル(ASQ)、認知スタイル、絶望感、生活志向(LOT)を取り上げ、随伴性判断バイアスの差異が認められるかどうかを調べた。その結果、負の抑うつ的説明スタイルの持つバイアス効果が示された。すなわち、嫌悪刺激を用いた75-75随伴条件で、オプティミズム群に正のバイアス効果が認められ、得点獲得刺激を用いた25-25随伴条件で、オプティミズム群に負のバイアス効果が認められた。他の個人差特性によるバイアス効果はみられなかった。実験2では、客観的に非随伴性の事象の経験が、後の反応-結果随伴性事態における学習課題の遂行を阻害するか、特に、オプティミズム特性や随伴バイアスがこの遂行阻害を防衛する働きを示すかどうかを調べる実験を行った。その結果、負の抑うつ的説明スタイルによるオプティミズムス水準の差異は、先行処置の随伴性判断にも、後続のテスト課題の遂行にも、有意な差異をもたらさなかった。しかしながら、随伴性判断のバイアスの有無により群分けし(非バイアス群、正のバイアス群、負のバイアス群、統制群)、テスト課題の遂行を比較したところ、非バイアス群は、バイアス群の統制群に比べ、遂行が遅滞していた。実験2の追跡調査として、実験の先行処置におけるバイアスの有無が、自然状況でのストレッサーに対するストレス適応に関与するかどうかを調べた。その結果、ストレス反応が増加していたのは、負のアドバイス群であった。