著者
青木 千帆子
出版者
静岡県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

国内の電子書籍のアクセシビリティに関する状況は、2015年に販売され売り上げ上位を占める電子書籍の9割近くが、アクセシブルなフォーマットで販売されている。また、対応するアクセシビリティ機能を購入前に判断することができる。一方、電子書籍ビューアーは、課題が残されている。このため、出版関係者と議論し、ビューアーの対応が求められる最優先項目9点を導出した。電子書籍のアクセシビリティについては、著作権法と障害者差別解消法が頻繁に参照される。著作権法を参照する場合、アクセシビリティを支えるビジネスモデルの確立に向けた語りではなく、福祉的取り組みとしての語りが採用され、旧来の状況を再構築している。
著者
西野 勝明 尹 大榮 岸 昭雄
出版者
静岡県立大学
雑誌
経営と情報 : 静岡県立大学・経営情報学部/学報 (ISSN:09188215)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.63-81, 2009-03

本研究プロジェクト1の目的は、世界及び日本の優れた産業集積の発展経路を、「集積の環境変化(危機の状況一集積内の変化も含む)」、「変化への適応」、「適応を可能にした要因」の視点から分析し、そこから「産業集積の機能が果たした役割」を捉えることである。具体的には、内外のケース・スタディを取り上げ、その発展経路を動態的に分析する。そして、そこからこれからの地域政策への含意を抽出する。本論文は、2008年度に行った金沢、バーミンガム、ドルトムントの現地調査から、産業集積の発展経路を分析している。
著者
大澤 隆幸
出版者
静岡県立大学
雑誌
国際関係・比較文化研究 (ISSN:13481231)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.69-86, 2005-09-16

ハーンは『怪談』序で、「雪女」に取りかかるきっかけを「武蔵国西多摩郡調布のある農民が、生まれ故郷の村の伝説として私に語ってくれたもの」と記した。序は作品の一部であるので、フィクションの可能性がないとは言えない。しかし、ハーンに三男の清が生まれて、1900年9月頃「府下調布在の農家の娘」お花(一雄189)が子守として来て、また「大久保に普請をするに当り」(同190)お花の父宗八が雇われた(大久保への転居は1902年3月)。このような経緯や『八雲』第14号の小泉時氏の論考「青梅と雪女」から見て、宗八がハーンに原語を語った可能性はあるだろう。チェンバレン宛の手紙や「幽霊と化げ物 Of Ghosts and Goblins」から、彼には雪女について松江時代から相当の知識があったことが知られる。そこに大久保転居後に刺激が加わり、「雪女」が成立したのではないかと筆者は推測する。本稿は、この作品がハーンが日本文化と対話して生まれたものであることを論じる。
著者
西田 ひろ子 西田 司 玉置 泰明 富沢 寿勇 根橋 玲子 SMITH Wendy A. SMITH Wendy SMITH Wendy. 石川 准
出版者
静岡県立大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1.フィリピンおよびマレーシア進出日系企業における対人コミュニケーション摩擦についての質問票調査において、フィリピンでは、18社524名(フィリピン人従業員448名、日本人従業員76名)、マレーシアでは、26社637名(マレーシア人従業員484名、日本人従業員153名)の協力を得た。2.現地従業員の日本人に対する、また日本人の現地従業員に対する「コミュニケーション上の困難度」についてのインタビュー調査を実施。フィリピンでは14社、日本人20名、フィリピン人42名、マレーシアでは15社、日本人22名、マレーシア人48名の協力を得た。3.上記(1)の本調査協力企業のうちフィリピンでは15社において、またマレーシアでは17社において労務管理の実態調査(質問票及びインタビュー)に対して協力を得た。4.マレーシア人と日本人の勤労倫理、労働観念比較調査を実施。マレーシア進出日系企業1社を事例研究対象として選び調査を実施した。5.マレーシア進出日系企業における参与観察。日本人とマレーシア人の間に生じているコミュニケーション上の問題点を文化人類学的視点から調査した。6.マレーシア人及びフィリピン人の退社後の交友関係についての質問票調査を実施した。7.フィリピン及びマレーシア進出日系企業における、日本人上司と現地従業員部下の間の対人湖謬ンケーション摩擦調査を実施した。特に日本人上司のリーダーシップが現地従業員に受け入れられているかどうかを調査した。
著者
三好 規之
出版者
静岡県立大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト トライアウトタイプ(標準)
巻号頁・発行日
2021

我々は、静岡県の特産品「自然薯」の全ゲノム解析より、有効成分ジオスゲニンの生合成遺伝子を世界で初めて取得した。本課題では、ジオスゲニン産生を1000倍増強したゲノム編集自然薯を創出する。ジオスゲニンは、抗認知症や抗フレイルなど高齢者QOL改善に役立つマルチな機能性を示すだけでなくステロイド医薬品合成の重要な前駆物質である。滋養強壮・疲労回復など健康イメージが良好な自然薯の新品種開発は、健康食品・医薬品分野で多大な商業的価値が見込めるため、地域資源を活用した6次産業の推進力となる。本課題では実用化検証として、酵母モデル系でジオスゲニン生産を増強する遺伝子配列を決定し、自然薯ゲノム編集へ展開する。
著者
内海 英雄 橋本 博 賀川 義之
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

種々の酸化ストレス疾患の発症・病態悪化に深くかかわるフリーラジカルをイメージングする臨床画像化装置の開発を目指して、動的核偏極を利用したDNP-MRI装置の高感度化に向けた基礎研究を行った。既に試作してあった装置の画像データを詳細に解析しDNP-MRI装置の特性を検証すると共に諸外国からの研究報告を含めて原理に遡って数理モデルで解析した。更に新たな基礎データを取得することで、合成体内診断薬を必要としないフリーラジカルイメージング法の開発に有用な基礎情報を得た。
著者
橋川 裕之
出版者
静岡県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、東ローマ/ビザンツ帝国において展開した教会と修道院を対象とする改革運動を体系的に考察し、その特質を包括的に把握することを意図したものである。同時代の記述史料の分析と修道院遺跡の地誌的調査を同時に進めた結果、改革の多くの局面で、生活規律の強化ないし古代的伝統への回帰を追求する修道士集団が主導的な役割を果たしており、彼らの政治的理想が改革の範囲と方向を規定していたことを明らかにした。
著者
山口 桃生 森下 智也
出版者
静岡県立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

肝線維化の有効な治療法は、いまだに見出されていない。肝星細胞(HSC)は、肝障害時に活性化し、コラーゲンを産生・分泌するようになる(活性型HSC)ため、肝線維化の責任細胞と考えられている。対照的に、静止型HSCはMMPを産生・分泌し、コラーゲンを分解することから、活性型HSCを静止型に脱活性化させることができれば、肝線維化も治療可能であると考えられる。本研究において、カフェインが、一度活性化した活性型HSCを静止型に脱活性化させること、その作用の一部にアデノシン受容体阻害作用が関与することを明らかにした。本研究成果により、有効な肝線維化治療法の開発に繋がることが期待できる。
著者
石井 康子 梅原 薫 野毛 一郎 加藤 有希
出版者
静岡県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

吃逆の治療に使われる柿蔕(Kaki Calyx)のラット脳脊髄液中神経伝達物質に及ぼす影響を検討したところ、GABAの変動は観察されなかったが、アスパラギン酸やグリシン、更に、ドパミンの代謝物であるDOPACやHVA濃度に影響を及ぼすことが示唆された。今後、これらを指標として、日本産の柿の蔕から有効成分の探索を行う予定である。また、柿蔕液の治療効果を処方の異なる施設で後ろ向きに調査したところ、化学療法の施行により発症する吃逆の治療に、高濃度の柿蔕液の服用が適している可能性が示唆されたため、前向き調査によって確認する予定である。