著者
川田 殖
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 = 山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.43-51, 1987

新約聖書の生命観は旧約のそれを前提し、ある点でそれにとって代っている。本稿は新約聖書記者の関係記事を検討して、そこに見られる生命観の特質を明らかにしようとする試みである。イエスの奇蹟物語と譬話の叙述には、生命の創造者・維持者たる神との正ししい関係に人を生かす「神の国」の現実的到来の事実が示されている。また初めからイエスを霊的存在としてとらえたバウロにとって、イエスは救い主・キリストであるとともに、人間生命のいっそう大きな広がりを啓示する存在であった。福音書記者ヨハネにとってイエスは神の子であり、神に至る道であり、復活であり、生命であり、彼を信ずる者は死を味わうことなき「神の国」で永遠の生命を現に受けている。以下この枠組の中で新約聖書の病気観、死生観、復活観が論じられ、キリスト教の信仰・希望・愛の究極的基礎たる終末論的生命観の検討をもって結ばれる
著者
宮 木 孝子
出版者
実践女子短期大学
雑誌
実践女子短期大学紀要 = The bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.(1)141-(15)127, 2014-02-04

北原白秋と鈴木三重吉の大正四年から昭和八年に至る十八年間を、書簡を中心に考察する。彼らは既に定説とされている『赤い鳥』の児童芸術運動の中心人物の二人であるが、北原白秋の晩年の『多磨』における短歌論にも影響を与えたこの時期の関係を再考したい。
著者
日野 一成 ヒノ カズナリ Kazunari Hino
出版者
鹿児島国際大学経済学部学会
雑誌
鹿児島経済論集 = The Kagoshima journal of economics (ISSN:13460226)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.77-98, 2019-07-31

損害保険代理店が保険契約締結の代理権を付与されていることから,事故発生後に事故者が代理店と共謀して事故発生前に契約成立日や保険料支払日を不正に遡及させて偽装するアフロス契約が存在し得る。実質的契約当事者が共謀して保険契約申込書や保険料領収書の日付を事故前に遡らせて作成すると,書証の持つ事実上の推定力により,保険者において保険料未収の証明責任を事実上負担することになり,従来,訴訟上において,その立証が極めて困難であると考えられてきた。 本来,保険契約は保険者と保険契約者間において保険契約の意思表示の合致すなわち申込と承諾により成立する諾成契約であり,保険料の支払または書類の作成をまたず,合意だけで成立することは判例や学説の一致した見解である。 しかし,保険実務では通常の保険契約は事実上,要式化されており,約款上,保険料領収前事故保険者免責規定がある。したがって,実質的に保険料の支払行為とほぼ同時に損害保険契約が成立すると考えられることから,保険料領収証等の交付が損害保険契約成立の証拠と看倣して, これがない場合には損害保険契約の成立が認められない。 そこで,保険始期に接近した保険事故が発生し, アフロス契約が疑われ,事実関係が真偽不明の場合,保険料未収の証明責任が問題となるが, これを本稿では, もっともIT化が進む自動車保険契約において,保険会社が敗訴した最近の裁判例を手掛かりに改めて考察したい。
著者
石塚 晴通
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1~4, pp.33-61, 1985-03

It is well-known that the texts of the Nihonshoki owned by the Iwasaki-Bunko, which include the use of diacritic marks are the oldest texts of this kind, but there are few papers written about the compounding marks “gōfu” 合符 used with characters. In the texts there are two types of compounding marks. One was marked between two characters in the middle and the other was marked between two characters on the left. These compounding marks were based not on Chinese but on Japanese. The ones marked in the middle indicated a single Japanese word, and the ones on the left indicated two Japanese words in the 10th century.
著者
野口 義直
雑誌
摂南経済研究 = Setsunan Economic Review (ISSN:21857423)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1・2, pp.27-37, 2020-03
著者
小越 康宏 日名田 明 広瀬 貞樹 木村 春彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.397-400, 2003-02-15

コンピュータシステムの個人認証においては,従来よりユーザ名,パスワードの情報を用いて本人かどうかの認証を行っているが,これらの情報が漏れた場合に不正利用される恐れがある.そこで,ユーザ名,パスワードを入力するときの打鍵間時間(あるキーが打たれてから次のキーが打たれるまでに要する時間)の特徴を参考にして個人認証を行うシステムがいくつか提案されている.しかし,打鍵の熟練者においては打鍵間時間に差異が現れにくく,どのシステムにおいても本人かどうかの認証が困難となる問題点があった.本研究では,このような打鍵間時間を基にした認証システムにおいては,認証時に意図的なリズムを持たせて打鍵するリズム打鍵が有効で,認証精度を大幅に改善できることを示す.