著者
春日 敦子 青柳 康夫
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.229-235, 2011-06-15

大豆の浸漬水温の違いによる吸水時間と吸水量の関係を明らかにし,浸漬水温,浸漬時間,加熱時の昇温速度がイソフラボン含量に及ぼす影響を検討した.<BR>(1)平衡吸水量に到達するまでの時間は水温が60℃ではおよそ2時間,40℃では6時間,20℃では17時間であり,5℃では24時間の浸漬でも吸水量が平衡に到達しなかった.<BR>(2)浸漬水温がイソフラボン組成に与える影響は,浸漬時間が12時間では,5, 20, 30℃では浸漬によるイソフラボン組成の変化は浸漬前と比較してほとんど認められなかったが,40℃ではマロニル化配糖体が13%減少しアグリコンが僅かに増加,60℃ではマロニル化配糖体が54%減少し,アグリコンのダイゼインは10倍,ゲニステインは12倍に増加した.さらに60℃ではアグリコンの生成以外に,グリコシド配糖体であるダイジンとゲニスチンが浸漬前と比較してそれぞれ2.5倍に増加した.浸漬時間が24時間と長くなると,さらに前述の増減が著しくなった.<BR>(3)60℃ 1時間加熱と昇温2℃/minのイソフラボン組成は,加熱前と比較してマロニル化配糖体が僅かに減少し,その分アグリコンが増加していた.一方昇温速度が9℃/minと30℃/minは,マロニル化配糖体が加熱前と比較して昇温9℃/minでは38%減少,昇温30℃/minでは40%減少し,グルコシド配糖体はいずれも加熱前の2倍に増加した.<BR>以上のことより,「低温で充分吸水後に,60℃程度の低温加熱を保持」することでアグリコンを多く生成させることが可能となる.さらに「昇温速度を速くする」加熱がマロニル化配糖体を少なくする方法と思われる.
出版者
海上保安庁
巻号頁・発行日
2011-08-25
著者
中山 祐一郎 梅本 信也 伊藤 操子 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.332-338, 1997-01-31
被引用文献数
1

オオバコの種内変異を調査するため, 京都市北東部の8集団から得た系統を供試し, 同一条件下での栽培実験を行なった。さらに, 生育地の環境を調査して, 種内変異と生態分布との関連を検討した。1) オオバコの形態には著しい遺伝的変異が認められ, 普通型とminima型の2型が識別された。普通型では, 葉は大きく斜立し, 葉脈数は5で, 花序は長く, 斜立〜直立し, 1蓋果は3〜7個の大きな種子を結ぶ。minima型では, 葉は小さく傾伏し, 葉脈数は3で, 花序は短く, 傾上し, 1蓋果は4〜10個の小さな種子を結ぶ。2) 普通型は, 畦畔や農道, 路傍, 未舗装の駐車場, 社寺林の林床などに生育していた。minima 型は神社や仏閣の境内に限って生育していた。3) minima型の生育地である神社の境内は, 薄暗く, 土壌中の窒素とリンの含量が普通型の生育地より低く, 維管束植物の多様度指数が低く, また毎日掃き掃除が行われるなど, 普通型の生育地とは環境条件や管理様式が顕著に異なっていた。そのため, minima型はストレスや撹乱の質と程度に関して普通型とは異なった環境に生育していると考えられた。オオバコの種内2型はこのような生育地の環境条件の違いに適応し, 住み分けているものと推定された。
著者
第六管区海上保安本部
出版者
海上保安庁
巻号頁・発行日
vol.平成16年版,
著者
黒佐 和義
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.235-244, 1958
被引用文献数
1

1.人体に水疱性皮膚炎を惹起する有毒甲虫Xanthochroa waterhousei Haroldアオカミキリモドキの生活史・習性につき観察を行つた.2.成虫・幼虫及び卵の形態を簡単に記載した.成虫の重要な種的特徴は腹端部に見出された.幼虫は胸部各節及び第1・2腹節の背面と第3・4腹節の腹面に顆粒を伴つた疣状膨隆部を具えるが, 初齢では不顕著であつた.また終齢幼虫は無眼であるが, 初齢では2対の単眼が認められた.卵は両端の円い棒状で乳白色を呈し, 長さ約1.3〜1.4mm, 幅約0.35〜0.41mmであつた.3.本邦各地に於ける成虫の出現期間を調査した.特に東京都成増と福岡県浮羽地方ではライトトラップを用いて季節的消長を調査した.大分県佐伯地方では4月下旬より6月中旬迄, 浮羽地方では5月上・中旬より7月上・中旬迄(稀には7月下旬迄), 神戸附近では5月中旬より7月中旬迄, 東京都成増では5月中旬より7月上・中旬迄出現し, 関東・中部の山岳地帯や北海道では9月に入つてからもなお活動するもののあることが知られた.一般にその発生は初夏の候に最も多いが, 北上するにつれて, また海抜高度を増すにつれて出現期の遅れる傾向が著明に認められた.4.成虫は夜間活動性で昼間は樹木の葉裏などに静止していて活動するものを殆ど見ないが, 夕刻に栗などの花の廻りを群飛する習性のあることを認めた.野外観察, 摂食実験, 消化管内容の検査などから成虫は種々の花特に花粉を食するものと考えられた.砂糖水のみを与えて飼育した成虫のうち採集後42日間生存したものがあつた.5.東京都成増で成虫の灯火飛来の時刻的消長を調査したところ, 明かに前半夜型で, 特に暗化後1〜2時間以内に集中的に採集された.6.成虫に圧迫を加えると, 前胸背の前縁と後縁のやや側方部, 翅鞘の縦隆線, 趺節の末端等から水様透明の毒液を分泌するのが認められた.7.交尾は雄が雌の背上に同方行に平行して乗る型である.また雌が他の雌の背上に平行して乗り, 一見雄が雌に交尾をいどむ際の行動によく似たふしぎな動作を行うものが飼育器内でしばしば認められた.8.飼育器内で雌が産卵管を長くつき出し狭い間隙に挿入して卵を塊状に産下するのが認められた.1卵塊中の卵の数は調査例(5例)では56〜221個であつた.卵は常温(13.9〜31.6℃)では約7〜14日で孵化した.9.幼虫は野外では杉の丸太の接地部及び土中部のやや腐朽した材部(縁材)に穿孔していたものが見出された.よつて土を盛りそれに杉の半腐朽木を埋めこんだ大形水槽を用意し, 孵化直後の第1齢幼虫を放つて飼育を試みたところ, 翌年5月に1頭の成虫が羽化出現した.従つて本種は1年1世代と考えられる.10.本邦各地で昼間野外から採集された成虫は雌雄の個体数に著しい差が認められなかつたが, 東京都成増で夜間灯火から得られた成虫の性比を調べたところ雄は雌に比べて極端に少くて総数の2%にすぎないことが知られた.これは雄の慕灯性が雌よりも弱いことによるものと考えられる.
著者
池原 悟 白井 諭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.298-305, 1984-03-15
被引用文献数
15

日本文に含まれる誤字を対象に誤字検出実験と訂正候補抽出実験を行い 誤字の自動検出訂正の可能性を明らかにした.誤字検出実験では 正しい文章の解析のために作成した単語解析プログラムを誤字検出を目的とする日本文チェッカとして使用した結果 68%の誤字検出率を得たが 検出不能の誤字例を分析した結果 文節解析レベルのチェック機構の拡充と構文解析レベルのチェック機構の導入で 誤字検出率はそれぞれ89 93%に向上する見込みを得た.訂正候補の抽出では 誤字検出実験で検出した誤字に対して二次マルコフモデルを適用し 誤字の前後の文字からみて接続確率の高い文字を候捕文字として抽出した.また 誤字検出での検出特性に着目して正解文字の字種を確率的に推定することにより 抽出した候補文字の正解含有率の向上を図った.誤字検出実験では誤りを検出したとき 誤りの位置を正確に知ることは困難で 誤りを含む文字区間とその区間内の文字の誤り確率が与えられる.そこで 訂正候補の抽出では 誤りの検出された区間に対して訂正文字列候補を抽出した.その結果 抽出された訂正文字列候捕は上位15位までで約60%の正解含有率をもつこと 誤りの位置が正確にわかれば 正解含有率は10?25%向上することなどがわかった.これらの結果は 漢字OCRの誤読文字 リジェクト文字の救済等に応用できるものと期待される.

2 0 0 0 OA 静岡市火災誌

出版者
静岡県
巻号頁・発行日
1942