著者
満 柏
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.29-30, 2018-03-13

ものを見ることは情報処理である。視覚範囲が画面とオーバーラップのとき、画面以外の部分、つまり認識対象外のものが視覚範囲に入り、情報処理の妨げとなる。このとき、アンバランスの感覚が生じる。これは「均衡」が求められる理由だと思う。ゲシュタルトの視覚原理によれば、脳は視覚対象を体制化しようとする。その結果、画面には多くの情報グループが現れる。体制化した情報グループは視線を誘導し、視覚範囲をきめる。ゆえに、情報グループのあり方が画面の均衡感を決める。すべての情報グループに位置、形状、大きさなどのデーターがとれるので、画面の均衡度合いも数値化することが可能で、計算できると思う。
著者
松岡 浩史
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.85-104, 2015-03-13

本稿は『ハムレット』に表象される狂気を同時代の一次資料を援用して分析し、作品の悲劇性を論じるものである。第一に、亡霊の表象史を概観し、ハムレットに描かれる亡霊が、セネカの系譜上のプロローグ・ゴーストから、幻覚の可能性を包摂した内在的な存在へと変遷していることを述べ、悪魔と幻覚にかんする言説と作品との関連性を指摘した。第二に、前述の悪魔、そして幻覚の作用因として想定されていたメランコリーについて、四体液学説の観点から論じ、メランコリーという術語の多義性に基づいて概観したうえで、作品に登場する二種類の狂気について分析を加え、同時代の医学理論では説明不可能な領域が開けていたことを指摘した。第三に、同時代の診療記録を分析し、シェイクスピア時代は女性の社会ストレスが圧倒的に高く、また相対的に自殺率の高い時代であったことを指摘し、狂気が『ハムレット』の劇世界において多層的に表象されていると結論した。
著者
趙 維平
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.43, pp.11-41, 2011-03-31

中国は古代から文化制度、宮廷行事などの広い領域にわたって日本に影響を及ぼした。当然音楽もその中に含まれている。しかし当時両国の間における文化的土壌や民族性が異なり、社会の発展程度にも相違があるため、文化接触した際に、受け入れる程度やその内容に差異があり、中国文化のすべてをそのまま輸入したわけではない。「踏歌」という述語は七世紀の末に日本の史籍に初出し、つまり唐人、漢人が直接日本の宮廷で演奏したものである。その最初の演奏実態は中国人によるものであったが、日本に伝わってから、平安前期において宮廷儀式の音楽として重要な役割を果たしてきたことが六国史からうかがえる。小論は「踏歌」というジャンルはいったいどういうものであったのか、そもそも中国における踏歌、とくに中国の唐およびそれ以前の文献に見られる踏歌の実体はどうであったのか、また当時日本の文化受容層がどのように中国文化を受け入れ、消化し、自文化の中に組み込み、また変容させたのかを明らかにしようとしたものである。
著者
井ノ川 清
出版者
名古屋工業大学外国語教室
雑誌
Litteratura (ISSN:03893197)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.3-16, 1980-10-20

Die ewlge Wiederkehr von Nietzsche hat zwei verschiedene -seiten. Die ewlge Wiederkehr wird einerseits von Nietzsche als die extremste Form des bilismus gedacbt. Aber sie wird uns .andererseits als etwas Positives, der unerschtitterliche Seelenfriede dargestellt.Kann dieser Widerspruch aufgehoben werden? Ist eine einheitliche Auslegung moglich? In diesem Aufsatz versuche ich fut das obige Problem eine Antwort zu geben.
著者
島﨑 あかね
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.111-118, 2011-01-31

年々低下しているといわれる子どもの体力や運動能力の基礎を作る乳幼児期における運動あそびについて、その必要性を考えるとともに運動あそびの具体例を提示した。発育・発達の著しい乳幼児期に運動あそびを実践することは、精神的および身体的に大きな効果をもたらし、さまざまな機能を獲得し「生きる力」を豊かに育むための基礎を築くことが期待できる。
著者
岩本 真理子
出版者
北九州市立大学文学部
雑誌
北九州市立大学文学部紀要 (ISSN:13470728)
巻号頁・発行日
no.89, pp.57-73, 2019-03

日本およびドイツ、オーストリアの古本に残されていた書き込みから見えてくる世界に関するエッセイ。
著者
鬼沢 貞
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
Artes liberales
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-43, 1969-01-01
著者
磯山 甚一
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of The Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.25-56, 2001-01-01

1983年に開園した東京ディズニーランドには,「カリブの海賊」という名称の人工空間が造営されている。それを一つの例として,今日の日本には「カリブ海域」に関わる言説が多方面に見られ,英文学史上の小説作品として知られる『ロビンソン・クルーソー』もその一つである。ところがロビンソン・クルーソーの物語のテクストは,17世紀後半のカリブ海域をめぐる言説であることが隠蔽されて今日の日本に流通している。ロビンソン・クルーソーの暮らす島が「絶海の孤島」であるというのは,何かの理由によってつくりあげられた思い込みによる誤解である。コロンブスの新大陸「発見」を契機にして西ヨーロッパの列強が新大陸に競って進出し,全地球を巻き込む「近代世界」というシステムをつくりあげた。そのシステムの形成過程のなかに位置付けることによってロビンソン・クルーソー物語を理解することが重要である。
著者
吉田 光男 荒瀬 由紀 角田 孝昭 山本 幹雄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 = Proceedings of the Annual Conference of Japanese Society for Artificial Intelligence
巻号頁・発行日
vol.29, no.2I1-1, pp.1-4, 2015

ウェブ検索エンジンに入力されるクエリの検索頻度は人々の興味関心を反映しており,流行の分析などに有用なデータである。しかし,その検索頻度データを検索エンジン事業者以外が利用することは困難である。そこで本論文では,検索結果の上位に表示される傾向のあるWikipediaのページビューデータを用いれば検索頻度を推定できると仮定し,その推定可能性を検証する。The frequency of a web search query generally reflects the degree of people's interest in the subject matter. Search logs are therefore a useful resource for trend analysis. However, accessing search logs is typically restricted to search engine providers. In this paper, we investigate whether search frequency can be estimated from another resource, namely, Wikipedia page view of open data. As a result, frequently searched queries revealed remarkably high correlations against Wikipedia page view. This fact suggests that Wikipedia page view is effective for understanding popular web search trends happening around the world.