著者
荒牧 英治 岡崎 直観
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.32-33, 2015-12-15

2000年以降の自然言語処理(NLP)の発展の一翼を担ったのはWorld Wide Web(WWW)である.Webを大規模テキストコーパスと見なし,そこから知識や統計量を抽出することで,さまざまなタスクで精度の向上が報告されている.これらは,WebがNLPを高度化した事例と言える.本プロジェクトでは,Webのテキストデータから個人の実際の経験や意図を推測する(マーケティングでは,「傾聴」という言葉が用いられている)というタスクにおいて,自然言語処理の最先端技術の適用と,そのエラーの分析,取り組むべき課題の整理を行った.
著者
藤井 敦 乾 孝司
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.30-31, 2015-12-15

ソーシャルメディア時代のいま,誰もが物事に対する自分の評価や意見を容易に発信でき,インターネット上には大量のレビューが日々蓄積されるようになった.これに伴い,レビューを自動解析するための自然言語処理技術の開発も進んでいる.本稿では,自然言語処理技術のエラー分析プロジェクト「Project Next NLP」でのレビュー解析班の活動紹介を通して,レビュー解析タスクの概要および現状の問題点について述べる.
著者
西川 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.26-27, 2015-12-15

自動要約は情報アクセス技術の一種として重要な位置を占めている.現在の自動要約システムは,入力されたテキストを構成する文のうち要約としてふさわしいものを抽出し,余分な句や節を除去するなどした上で,抽出した文を組み合わせることで要約を出力する.自動要約は入力および出力がいずれも基本的には文章であり,その処理にさまざまな要素が関係することから,誤り分析が難しい.Project Next要約課題グループでは,自動要約の誤り分析の枠組みを考案し,それに基づいて現在の要約システムの誤りの傾向を分析した.分析の結果,より洗練された文の書き換えや,テキストの論理構造の利用などが重要であることがわかった.
著者
柴田 知秀
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.22-23, 2015-12-15

計算機によるテキスト解析やアプリケーションを高度化するためには,人間が持っている常識的な知識を計算機に与える必要がある.本稿では常識的な知識獲得を評価できるWinograd Schema Challengeを対象に,必要な知識を分析し,知識獲得の現状について述べた.
著者
藤田 篤
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.18-19, 2015-12-15

自然言語には,同じ意味内容を表わす(同じ言語)の異なる言語表現が多数存在する.このような関係にある表現を『言い換え』と言う.本稿では,Web の検索や質問応答などに必要な言い換え認識技術,テキスト簡単化や要約などで有用な言い換え生成技術の概要を紹介し,最近の研究動向と解くべき課題について述べる.
著者
岩倉 友哉
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.16-17, 2015-12-15

本稿では,固有表現抽出タスクおよび抽出手法の概要を紹介した後,固有表現抽出のエラー分析結果を基に洗い出した課題について述べる.
著者
松林 優一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.14-15, 2015-12-15

述語項構造は述語を中心として文章中の各単語の意味的な役割関係を結びつける表現であり,複雑な文構造・文章構造を持った文章において「誰が,何を,どうした」といった文章理解に重要な情報を簡潔に表現する.既存の解析器では述語と項の間に直接的な文法上の主従関係がある比較的容易な事例においてはF値で90%弱と高い精度が得られているものの,項の省略を補う必要がある事例においては,50%未満の低い精度水準にとどまっており,解析の質に大きな開きがある.一方,日本語では項が省略される事例は全体の40%を占めるため,これらをどのように補うかが重要な課題となっている.
著者
河原 大輔
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.12-13, 2015-12-15

本稿では,構文解析,特に日本語係り受け解析の現状と課題について解説する.
著者
辻井 潤一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, 2015-12-15
著者
佐々木 崇裕 原田 要之助
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.2337-2345, 2015-12-15

近年,情報システムは組織にとって欠かせないものとなり,それへの依存も高まっている.その結果,情報システムの事故や情報漏えいが社会に大きな影響を与えるようになった.これらの事故・トラブルの中には,ヒューマンエラーや規則違反といった人の行動に起因しているものがある.人の行動に起因する事故を減らすために航空や医療の分野では,事故という結果に至らなかったヒヤリ・ハット情報を収集・分析・公表する取り組みが行われており,安全に貢献している.本研究では,そのような取り組みが情報セキュリティ分野に導入できないか,取り組みの必要性,事例収集の形態について考察を行った.また,アンケート調査を通じて,その取り組みの導入を実現する可能性があること,情報を収集する際は収集目的を明確に示すことが重要であることが分かった.最後に,情報セキュリティ分野におけるヒヤリ・ハット情報収集の具体的な方法を提案する.
著者
狩野翔 福島拓 吉野孝
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.836-843, 2011-06-30

現在,モチベーション維持に関する研究が行われている.しかし,「日常的に行わない」作業を対象とした支援は十分に考慮されていない.「日常的には行わない」作業では,「日常的に行う」作業に対して存在する「やらなければならない」という気持ちが支援対象者の中に少なく,モチベーション維持を支援することは難しい.そこで本稿では,非日常的な作業として「医療分野向け用例の評価」を対象とし,そのモチベーション維持支援を行った.その手段として,モチベーション維持支援システムにおいて,定期的なシステム機能の追加を行った.本稿では,定期的に機能を追加することによる,ユーザのモチベーション維持効果を検証を行った.本稿の貢献は次の2点にまとめられる.(1)用例評価のモチベーション維持支援システムに対し,定期的に機能を追加することはシステムを利用するきっかけになり,モチベーション維持の可能性があることを示した.(2)「自分の成果を可視化する」機能は,ユーザのモチベーション維持に一定の効果を示した.
著者
間淵 洋子 小木曽 智信
雑誌
じんもんこん2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.125-130, 2015-12-12

国立国語研究所では現在,形態論情報を付与した『太陽コーパス』を構築している.文語から口語への文体移行期に刊行された総合雑誌『太陽』には,文語と口語という性質の大きく異なる複数の文体が混在する文章が多く含まれるため,文語文用解析辞書と旧仮名遣いの口語文用解析辞書のいずれかを指定して用いる従来の形態素解析手法では,精度を保つことが困難である.そこで,本コーパスの構築にあたっては,テキストが有する文体情報を利用し,複数の辞書を切り替えて,部分ごとに適応する辞書によって解析する手法を試みた.この手法の有用性を確認するため,評価用のデータを作成し,従来手法との解析精度を比較した結果,提案する複数辞書切り替え手法によって,解析精度が向上することを確認できた.
著者
高橋 恵利子 畑佐 由紀子 山元 啓史 前川 眞一 畑佐 一味
雑誌
じんもんこん2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.59-64, 2015-12-12

本研究は日本語学習者の発音の自動評価システムの開発を目的としている.そのための基礎調査と して,中国人日本語学習者の音声データと,それに対する母語話者の一対比較評価データから,課題 文及び評価方法の妥当性について検討した. 評価者の属性に関わらず母語話者の評価はほぼ一致して いたことから,一対比較による評価方法を用いれば,評価者の属性に関わらず,妥当な評価値が得ら れる可能性が指摘できる.今後,さらに評価対象とする音声データを増やして今回の結果を検証する 必要がある.また,一対比較による膨大な評価作業における評価者の負担を軽減するため,一般母語 話者を対象としたクラウドソーシングを採用することの意義と課題について言及する.
著者
河野慎 米澤拓郎 中澤仁 川崎仁嗣 太田賢 稲村浩 徳田英幸
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2013-MBL-69, no.3, pp.1-6, 2013-12-12

近年 GPS が搭載されたスマートフォンや SNS の普及によって,ユーザがリアルタイムに位置情報を付加させた情報を発信できるようになってきた.これらの位置情報付き発言を収集・解析することで,人々が集まって形成されるソーシャルイベントを検出することが可能となる.ソーシャルイベントを検出するには発見と分類の 2 段階の過程があり,本研究ではイベントが発見された後の分類手法を提案する.イベントには特徴・性質として内容・規模・大衆性の 3 つがあると考え、分類軸として大衆性に着目する.位置情報を付与させて発言しているイベント参加者のフォロー関係を解析することで大衆性の推定をし,イベントの分類を目指す.本研究ではリアルタイムに解析を行えるツールを設計・実装し,大衆性の推定手法について考察を行った.
著者
榎原 博之 大塚 隆弘 宮川 朋也
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2013-NL-210, no.5, pp.1-6, 2013-01-04

研究活動において論文などの文献情報を管理することは重要な作業の 1 つであり,現在はコンピュータの普及に伴い PDF 形式等の電子データで文献情報を扱うことが一般的になっている.電子データの文献情報は,コンピュータを介して容易に他者とのやりとりができるなどの利点がある.他者との共有を支援するアプリケーションがあれば,より便利に共有を行うことができ,さらに研究活動の効率化を図ることができると考え,我々は研究室内での利用に特化した BibTEX ベースの文献管理システム bole[1] の開発を行なっている.本稿では bole の追加機能などについて説明する.さらに, 2 つの研究室に実際に bole を長期間利用していただき,利用者による評価を行い提案システムの有用性を検証する.